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第14回は『容器と水量(2)』です。2つの内容を学習します。
1つ目は、容器の水の中にある物体を沈めたときの、水の深さの変化を考える問題です。基本は、[水に沈めた物体の体積=見かけ上増えた水の体積]です。
2つ目は、容器を傾ける問題です。ここでは、自分で図をかいて考えることで、理解が深まります。
なお、分数は、分子/分母の形で、帯分数は、(整数と分子/分母)の形で表します。
[水に沈めた物体の体積=見かけ上増えた水の体積]を理解して、このことをどのように利用するかを、必修例題で学んでいきましょう。
水の入った容器に、物体を沈める問題を学習します。
「見かけ上」という考え方が少し難しいので、予習シリーズ133、134ページの解き方にある図を参照してください。とてもわかりやすく図解されていますので、じっくりと見て理解を固めましょう。
底面積が200平方cm、高さが20cmの直方体の容器に、深さ14cmまで水が入っています。
(1) この容器に、1辺が10cmの立方体を沈めます。(立方体の高さは10cmですから、深さ14cmの水の中に完全に沈むことを確認しておいてください。)沈めた立方体の体積は、10×10×10=1000立方cmですから、見かけ上増えた水の体積も1000立方cmです。
容器の底面積は200平方cmですから、1000÷200=5より、見かけ上増えた水によって、深さが5cm増えましたので、14+5=19より、水の深さは、19cmです。
(2) 見かけ上増えた水の体積を求めると、沈めた物体の体積になります。容積(容器の体積)と水の体積の差に、こぼれた水の体積を加えた合計が、見かけ上増えた水の体積となります。
容積と水の体積の差は、200×(20-14)=1200立方cmで、こぼれた水の体積150立方cmを加えます。1200+150=1350より、見かけ上増えた水の体積、つまり、沈めた物体の体積は、1350立方cmです。
前問と同様に、水の入った容器に、物体を沈める問題ですが、注意すべき点があります。水の深さについて場合分けして考える必要があるのです。予習シリーズ134、135ページの解き方にある図を参照してください。
底面積が250平方cmで、深さが20cmの円柱の容器に10cmの深さまで水がはいっています。また、底面積が50平方cmで、高さが15cmの直方体のおもりが2個あります。
(1) 水の体積は、250×10=2500立方cmです。おもり1個を容器の底に立てたとき、おもり(高さ15cm)の一部が水面より上に出ると考えます。容器の底面積のうち、水の入る部分の底面積は、250-50=200平方cmとなりますので、2500÷200=12.5より、深さは、12.5cmです。この12.5cmは、おもりの高さの15cmより低いので、おもりが水面より上にでていますので、そのまま答えにすることができます。しかし、次の(2)では、(1)と同じように考えられないところが出てきます。
(2) おもり2個を容器の底に立てると、容器の底面積のうち、水の入る部分の底面積は、250-50×2=150平方cmです。よって、2500÷150=(16と2/3)より、水の深さは、(16と2/3)cmとなりますが、おもりの高さの15cmより高くなっていて、おもりが水面より上にでるとして考えた前提が、間違っていたことになります。
そこで、すべて水に沈むものとして、解き直します。おもり2個の合計である、50×15×2=1500立方cmの物体を水に完全に沈めますので、見かけ上増えた水の深さは、1500÷250=6cmです。よって、10+6=16より、水の深さは、16cmです。
おもりの一部が水面より上に出るかどうかを、確認することに気をつけてください。
「必修例題2」は、比を利用した別解も考えられますが、ここでは、比を利用せずに解きました。比の利用については、予習シリーズの解き方を参照してください。
おもりの置き方をかえて水に入れたときの、水の深さを考える問題です。予習シリーズ135ページの問題の図、および解き方にある図を参照してください。
(1) (図2)の深さ8cmが、(図3)の深さ10cmに変化したのは、(図2)において、水面より上の部分を切り取って、水の中に入れた場合と同じに考えられます。つまり、切り取った部分である、8×8×(12-8)=256立方cmの体積の物体を水に沈
めたことにより、深さが10-8=2cm増えたと考えます。よって、256÷2=128より、水そうの底面積は、128平方cmです。
(2) (図3)において、水の深さ10cmのときの体積から、おもりの体積を引いたものが水の体積です。
おもりの体積は、8×8×12=768立方cmですから、128×10-768=512より、水の体積は、512立方cmです。
水の入った容器を傾けたときの、水の体積や、部分的な長さを求めることを学習します。
水の入った容器を傾ける問題です。予習シリーズ137ページの問題の図、および解き方の図を参照してください。
1辺の長さが12cmの立方体の容器に8cmの深さまで水が入っています。この容器を、底面の1つの辺を床につけたまま傾けます。
(1) この容器を正面から見た状態で、水によってできる図形の面積を考えます。奥行き(立方体のたて方向)は同じですので、水の量が同じであれば、傾ける前も、傾けた後も、正面から見た四角形の面積は等しくなることがポイントです。傾ける前の長方形の面積は、8×12=96平方cmです。ですから、(図1)の台形の面積も同じで、台形の面積を求める式は、(x+12)×12÷2=96となります。よって、96×2÷12-12=4より、xは、4cmです。
なお、別解として次のように考えることもできます。面積が等しく、容器底面の横の長さも等しいので、どちらも、容器の左右の部分にある辺の長さの合計は等しくなります。つまり、8+8=12+xとなります。よって、x=8+8-12=4より、x=4cmと考えることもできます。
(2) 水面は、床と平行になります(ここがポイント)。水面の線と容器の辺の間の角度は、平行線のさっ角により45度になります。立方体の1つの面が正方形であることから、水面の線は、正方形の対角線です。よって、水によってできる図形は、直角二等辺三角形になります。
(図1)と比べると、xを底辺とする三角形の部分がこぼれた水の部分です。予習シリーズ137ページの解き方の図を参照してください。
面積は、4×12÷2=24平方cmで、この面積に奥行きの12cmをかけると、体積になります。24×12=288より、こぼれた水の体積は、288立方cmです。
(2) はじめに入っていた水の体積は、12×12×8=1152立方cmで、こぼれた水の体積である540立方cmを引いて、1152-540=612立方cmが、残っている水の体積です。(図2)の面積に奥行きの12cmをかけると、残っている水の体積になりますので、式に整頓すると、×12÷2×12=612となります。よって、612÷12×2÷12=8.5より、yは8.5cmです。
第14回は『平均』です。4年上の第4回「和と差の問題」で部分的にふれたましたが、この回で、本格的に学習します。予習シリーズ130ページの冒頭にある、平均についての意味と求め方を理解しましょう。また、面積図を利用した解き方も学習します。
平均問題の基本は、公式を利用することで比較的簡単に解けると思われます。例題2の2組の平均から全体の平均を求める問題はミスが多いようですので、きちんと理解しましょう。また、例題4や5の面積図の利用をしっかり理解しておきましょう。
基本を学習します。
平均の使い方をトレーニングする問題です。
(1) [平均=合計÷個数]を使います。
5月から9月までの5か月間に読んだ本のさつ数の合計は、4+2+5+6+4=21さつです。そして、個数は、5(か月)です。よって、21÷5=4.2 より、1か月あたりの平均さつ数は、4.2さつです。さつ数は、普通は整数ですが、平均の問題では、小数や分数でもかまいません。
(2) [合計=平均×個数]を使います。
4教科の平均点が78.5点ですから、78.5×4=314 より、4教科の合計は314点です。この合計点数から、わかっている国語80点、算数92点、社会60点を引きます。314-(80+92+60)=314-232=82 より、残りの理科の点数は、82点です。
2組の平均から、全体の平均を求める問題です。
男子3人の体重の平均が34㎏、女子2人の体重の平均が32㎏であるとき、この5人の体重の平均を求めます。
平均を求める公式、[平均=合計÷個数]より、5人の体重合計を5で割ることになります。男子3人の体重合計は、34×3=102㎏、女子2人の体重合計は、32×2=64㎏ですので、5人の体重合計は、102+64=166㎏です。よって、166÷5=33.2 より、5人の体重の平均は、33.2㎏です。間違えて、34と32の合計を2で割ってはいけません。くれぐれも間違えないように。
平均の問題にほかの処理を合わせた問題を学習します。
平均の問題で、少し複雑な問題です。まずは、整頓できるところまで進めます。
25人の生徒が受けた、30点満点のテストの結果が与えられています。全体の平均点が17.2点ですから、17.2×25=430点が全体の合計です。また、表に出ている点数から、アやイも使って点数の合計を式にすると、0×3+10×7+20×ア+30×イ=430 となりますので、70+20×ア+30×イ=430、整頓すると、20×ア+30×イ=430-70=360…Aとなります。一方、人数の関係は、ア+イ=25-(3+7)=15…B となります。
書き直しますと、
A…20×ア+30×イ=360
B…ア+イ=15
AとBの2つの式から、つるかめ算を使って、アとイを求めることができます。
15人全員が30点とすると、30×15-360=90点多くなっています。これは、30-20=10点低い生徒がいるためですから、90÷10=9 より、アは9人です。また、15-9=6 より、イは6人です。
面積図を使って、平均の問題を解いていきます。
公式 [合計=平均×個数] の形は、[長方形の面積=たて×横] の形と同じです。長方形の図に、たてに平均の数、横に個数の数とし、合計を面積として、考えることができます。
予習シリーズ133ページの説明をよく読み、面積図の仕組みを理解しましょう。
面積図の使い方を学習する問題です。
予習シリーズ134ページの解き方にある面積図を参照してください。
[合計=平均×個数] のうちの個数であるテストの回数が質問ですから、合計と平均が与えられていなければ解けません。部分的な平均点はありますが、やはり回数が不明ですので合計点につながらないのです。そこで、面積図を利用します。
問題文に与えられた条件から、面積図をかいてみましょう。
今までのテストの回数を□回として、その時の平均点が84点ですから、たてを84点、横を□回とする長方形がかけます。そして、その右横に、次の1回(横)で100点(たて)とする長方形をかきたします。この図に、合わせた平均点の86点をたて、(□+1)回を横とした長方形を重ねてかきます。これが、予習シリーズ134ページの例題の解き方にある図です。
この図において、アとイの面積が等しくなることを利用します。
アの面積は、(86-84)×□で、イの面積は、(100-86)×1です。よって、それぞれ計算できるところを計算した結果を等号でつなぐと、2×□=14となりますので、□=14÷2=7 より、今までのテストの回数は7回でした。
前問と同じく面積図を使いますが、工夫が必要な問題です。
合格者のグループ、不合格者のグループから、長方形が2つできますが、人数(横の長さ)は与えられていますが、それぞれの平均点(たての長さ)が不明で、かわりに平均点の差(たての長さの差)が与えられています。問題文の条件に合わせてかいた面積図が、予習シリーズ135ページの解き方にある図です。参照してください。
前問と同様、図のアとイの面積は等しいのですが、どちらもたての長さが不明のため、このままでは進めることができません。そこで図のウの部分をア、イにつけたしますと、ア+ウ=イ+ウとなります。ア+ウの面積は、70×180=12600とわかり、イ+ウの面積は、たてを□として、□×(180+420)=□×600となります。□×600=12600 より、□=12600÷600=21 です。
よって、182-21+70=231 より、合格者の平均点は、231点と求められます。
面積図がかけるように、必ずトレーニングして下さい。
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