No.1350 中学受験生に最適な読書感想文の書き方

 今回は、「読書感想文の書き方」について、中学受験に必要な記述力をアップさせ、かつ短い時間で完成できるような、とっておきの方法を詳しくご説明します。
 「本を読んで自分の感じたこと、考えたことについて体験を交えて文章にまとめる」読書感想文と、「文章を読んで、自分の意見ではなく文章に書かれた内容に従って答えを出す」中学受験の読解とでは求められる力は必ずしも合致しません。それでも、文章の中で感想文に使えるトピックを選び、読み手に伝わる文章を書くという読書感想文を完成させるプロセスは、文章からポイントとなる箇所に着目し、その要素をつなぎ合わせるという中学受験的記述力のアップと深くつながり合っていると言えます。

 なお、本文の解説は、本を選んだ後の段階からスタートします。本を選ぶ際には、「読みやすい本であること」を第一に、何より「面白い」と感じられることを基準としましょう。サッカーが好きであればサッカー部を舞台にした作品など、身近に感じられる作品を選ぶことも読み手に伝わりやすい読書感想文を書くうえでは重要です。

【感想文の構成のポイント】

 本を選んだうえで、いざ読書感想文を書き始めますが、短い時間で完成させるためのポイントは、決まったパターンにあてはめて書くことです。本を読んで感想が思い浮かんでも、どのように書き始めればよいのか、迷ってしまうことが多々あります。そこでパターンが決まっていれば、スムーズに着手することができます。

 そこで基本パターンの一例をご紹介しましょう。

 このパターンに沿って各項目を書いて、最後にそれをつなげる、という流れで進めれば、断然取り組みやすくなるでしょう。

 ここからは、基本パターンのそれぞれの項目を作るうえでの注意点についてご説明します。

① 本を選んだ理由
 本を選んだ理由については、難しく考える必要はありません。素直に本当の理由を書くようにしましょう。「表紙を見て面白そうだったから」や「自分もサッカーをやっているから」といったもので構いません。

② 感じたこと、考えたことの内容を短い表現でまとめる。
 ここで書く内容は、⑥のまとめと近いものになります。先に大まかな感想を伝えておいて、③から⑤で感じたことを具体的に説明して、⑥のまとめで改めて詳しく説明するという流れです。先に⑥を書いてから、それをまとめるという流れでもよいでしょう。

③ あらすじ
 読書感想文の鉄則として「あらすじではなく、自分の考えを述べること」が大事であることは言うまでもありません。では、あらすじは必要ないかというと、あらすじがあった方が、この後の自分の感想を書きやすくなりますので、簡単にでも書いておいた方がよいでしょう。
 また、このあらすじを書くという作業は、中学受験的にも記述力をアップさせる訓練になります。詳しくはこの後にご説明しますが、不要な内容をけずったり、他の言葉に置き換えるといった作業は、制限字数付きの記述問題で多く使う方法なのです。
 あらすじのまとめ方は以下のようになります。

 右の赤枠左の緑枠を比べると、その長さの違いがはっきりします。左は物語の展開をほぼそのまま書いていますが、これでは長すぎて、感想文全体に占める割合が多くなりすぎてしまいます。
 文章を簡潔にまとめるポイントは以下の通りです。
・登場人物についての説明は、「サッカー部に所属するタカシ」のように、人物の前に説明を持ってくる。
・「腹を立てる、いら立つ」を「敵対心」とするなど、気持ちを表す言葉は短くまとめた言葉に書き換える。
・「病気の弟に試合に勝つところを見せる」などの具体的なエピソードは省く。
 これらのポイントに注意して、内容を読みやすくつなげるようにしましょう。

④ 感じたこと・考えたこと(1)
 この④、⑤が感想文の中で最も大事になりますので、詳しくわかりやすく書くように、じっくり取り組みましょう。
 この部分を書くうえでの「基本的な成り立ち」についてご説明します。
 ここで言う「基本的な成り立ち」とは、「本を読んで素直に感じた感情からスタートし、そうした感情を抱いた理由を自分の体験と関連づけて説明し、自分との違い、そこから発見したことの説明したうえで、自分の中で起きた変化としてまとめる」、といった組立てのことです。
 図にすると以下のようになります。

 本を読んで抱いた感情には、悲しかった、楽しくなった、もやもやした、など様々なものがありますが、それを「共感」「驚き」「反発」のどれかにあてはめれば、上の図のような組立てで書き進めることができます。
 先程のあらすじの内容を使って、3つのパターンについての書き方の例を挙げてみましょう。

 共感型と反発型は最後の「自分の中の変化」が同じになりましたが、どのような感情のパターンから始めても、ここに入る内容はあまり変わらないと考えてよいでしょう。大事なことは、自分がどのような感情を抱いて、そこから自分がどのように成長して行きたいか、という点です。

⑤ 感じたこと・考えたこと(2)
  ④とは別の部分で、自分の感じたこと、考えたことを書きましょう。字数が少なく限られた場合や、4年生のお子さんの場合は④だけでも構いませんが、5、6年生で1000字くらいの字数が設定されている場合は、2つ以上のケースを挙げた方が、厚みのある内容にできるでしょう

⑥ まとめ
  ④と⑤で書いた「自分の中の変化」の内容を踏まえて、この本を読んだことが自分にとってどのようにプラスになったか、これからどのように考え、生きて行きたいか、といった内容でまとめるとよいでしょう。
 
 以上が、読書感想文を短時間で完成させるための基本的なパターンの一例です。必ずしもこのパターンに合わせる必要はありませんが、構成について考えることなく読書感想文の作成に取り組むことは、特に文章を書き慣れていないお子さんにとっては大きな負担になります。できるだけパターンにあてはめて書き進めるようにしてみましょう。
 なお、5、6年生お子さんは上記の①から⑥で構成することをおすすめしますが、4年生のお子さんは、①→④→⑥のかたちで作ってみて、字数が足りなければ、他の要素をプラスするのでもよいでしょう。

【読書感想文を書く際の注意点】

 実際に読書感想文を書く際には以下の点に注意しましょう。

・ふせんを用意する。
 まず、本を読む際には「ふせん」を用意してください。本を読みながら、感想文に使える箇所があったらその都度ページにふせんを貼っておきます。この作業をしておかないと、どの場所を使ってよいのかが後でわからなくなり、時間的に大きなロスになります。
 同じように、どの文章を選んだかがわかるように、本に線を引くこともおすすめします。図書館で借りた本であれば、写真をとって、その写真にマークをしておくという方法があります。

・下書きを作る。
 いきなり原稿用紙に本書きをすると間違えた際の修正に大きな手間がかかります。先の《読書感想文の基本パターン》の内容で、下書きを作るとよいでしょう。その際には、メモ書きではなく、原稿用紙にそのまま本書きに使えるように書くようにしましょう。本書きを作る際に手間が省けるだけでなく、字数が足りないか、オーバーしてしまうかの判断もできるようになります。

・音読をして文章のチェックを
 どんなに内容が優れていても、文章が乱れてしまっていては完成度が大きく下がってしまいます。下書きの段階でそれぞれの項目に入った文章を音読してみて、助詞(てにをは)が不適切であったり、文章の主語・述語が乱れていないかなど、事前にチェックしてから本書きに進むとよいでしょう。このチェックも、文章の構成への意識を高め、中学受験の記述問題のレベルをアップさせることにつながります。

【最後に】

 今回ご紹介した方法で進めれば、短い時間で読書感想文を完成できることはもちろん、中学受験の問題にも対応できる国語力アップにもつながります。ぜひ試してみてください。

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