武蔵の算数に代表されるような文章問題を克服する方法

以前から武蔵中学の算数は、「単なるパターンの暗記のような学習では歯が立たない問題」であり、「自分で考えて解決する力」を要求されることは有名でしたが、近年ではそういった「脱・パターン問題」の傾向はますます顕著になり、多くの中学の入試問題に広がってきています。そこで今回は「文章問題が苦手だ」というタイプの生徒さんへ向けて対策を考えてみます。

文章題が苦手で困っている生徒さんの多くは、問題を解くための力はあるし、解法も身についているのだが、複雑な問題になると「考えをまとめる」ということができない。という状態です。つまり、問題文に書かれた状況を正確に把握し、じっくりと考えるという作業が苦手なのです。そこで大切なのは「ものごとを集中して深く考える」という訓練です。具体的には、以下の方法で訓練してみてください。

【1】時間制限を設けて解く。

これが一番手軽にできますね。実際の入試での制限時間が多くの場合50分程度であることを考えれば、一つの問題に10分以上の時間をかけることはあまりいいことではありません。ほとんどの問題については「10分以内で解く」というルールを適用していいと思います。ただし、「解き方の道筋は立てられる。ただ、そこから後の作業に自信がない。」という場合には、多少時間をかけてでも「解ききる」訓練が必要ですのでご注意ください。

【2】実際に手を動かし、対象を動かし、リアリティを実感する。

生徒さんに、複雑な問題を文章だけ見せて「考えてごらん」とお話しても、「どこから考えればよいのか…」と、考えに窮してしまうこともあるかもしれません。その対策のひとつとして「実際に手を動かして、対象を作り出してみる」という方法があります。例えば『展開図』の問題は、立体と平面を組み合わせた点で、対応しづらい内容でもあります。テキストの向きを変えたりしただけでは、イメージは膨らみません。そこで、実際に展開図を書いて、切り取り、立体を作ってみてはいかがでしょうか。立方体などの基本問題だけでなく、「三角錐が正方形から作り出せる」などといった応用問題でも、頭で考えるよりも自分で作りだす方が、より鮮明にイメージをうえつけることが出来ます。その手法は算数の問題を1問解くだけの価値にとどまらず、「もののつくりってこうなっているんだ」と、対象に対して立体的に「考える」きっかけにもなります。生徒さんは「きっかけ」を得ると、加速度的に自ら考えることを始めます。

文頭の武蔵中の理科の最終問題は、磁石や石鹸袋など具体的な対象物をそのまま生徒さんに渡して「考え」させる「お土産問題」と呼ばれるものです。中学校からも「頭だけで考えない」ことの重要性がメッセージとして伝えられているのかもしれません。

【3】解けなかった問題について、まずは自分で解説を読ませて理解させ、その上で本人にその問題の解説をしてもらう。

解けなかった問題について、解説を読んで理解するという作業は一般的に行われていますが、それだけではどうしても「じっくりと」「深く」「集中して」考える訓練にはなりにくいのです。そこで、「本人に解説させる」という方法をとります。昔から、「人に教えると自分の勉強にもなる。理解がさらに深まる。」ということはよく言われていることですよね。なかなか効果的ですよ。できればこの「本人に解説させる」ときには、多少おもしろみを持たせ、ゲーム感覚で、本人がまた説明したいと思うような雰囲気を作れれば理想です。ご家族のどなたかが説明を聞いてあげて、「あなたの説明はとてもわかりやすかった!おかげで私も理解できた!」とほめてあげてください。きっと本人も達成感を得られ、「また説明して理解してもらいたい。」という意欲を持ってくれるはずです。

文章問題をいかにして克服するかということは、決して簡単なテーマではありません。また手軽で即効性のある対策もありません。しかし、時間をかけてコツコツと鍛錬することで徐々にですが、必ず効果が現れてくるものです。ですから早い段階で対策に取りかかる必要があります。ここに挙げた内容を参考にしていただき、少しでも文章問題に対して自信を持っていただければ幸いです。がんばってください!

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