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桜蔭、女子学院、雙葉の問題には、それぞれ際立った特徴があり、個別対策が不可欠となります。国語に関しましては「長文記述の桜蔭・スピード重視の女子学院・韻文&記述の雙葉」といった印象が定着している感がありますが、その印象だけでは立ち向かうことは、とても危険です。例えば「記述といえば雙葉」のイメージが浸透しており、確かに雙葉の記述は「内容を理解するだけでなく表現の技術も要する」ところで難問揃いですが、桜蔭の解答用紙をご覧頂けますでしょうか。武蔵中の如き字数制限のない「短冊」型の解答欄が多くあります。難度の高い記述を出題する点では桜蔭も同じになります。また、それぞれに特徴のある三校ですが、共通していますのが「随筆文」の出題が多いことにあります。以前もこちらのメルマガでご紹介致しました通り、「随筆文」は多くの生徒さんが苦手とされています。その苦手分野からほとんどの問題を出している点からも、女子御三家の求める読解力の高さが伺い知れます。この難敵に向かうためのいくつかのポイントにつきまして、今回はお伝え致します。
【桜蔭】
問題構成は大問2問で制限時間50分、漢字以外は小問すべてが記述問題です。文章ジャンルは「物語」と「随筆」で、いずれも小学生が読むには抽象的な表現も多く、難解です。本文総数6000〜7000字と、ボリュームのある文章を50分で解かなければならないため、「読む速度」も他校以上に重要になります。スピードが求められるのは女子学院だけではありません。問題対策としましては、「記述問題の内容が、問題該当部の前後周辺で対応出来るものではない」ため、
「全文を通して内容を把握したうえで、該当箇所を見つけ、自分の言葉も交えて解答にする」という、高度な構築を要します。「読むための語彙と、表現するための語彙」の両方が必要となります。
【女子学院】
問題構成は大問3問で、制限時間40分、記述は全体の30%前後、かつ制限字数が60字以下と、桜蔭とは一見対照的にも見られます。ただし、平成19年 度より、記述の内容で「文章中の言葉を使って」といった文言が減少したように、その自由度が増しています。また、同校の最も大きな特徴は「問題数の多さ」にあります。40分制限で大問3問を解くための「確実な早さ」が不可欠になります。出題ジャンルは最近3年ではすべて「随筆」となっています。
【雙葉】
問題構成は大問3問で制限時間40分、「雙葉と言えば詩」でしたが、最近2年間は詩が出題されなくなりました。ジャンルは「物語」と「随筆的要素の多い説明文」です。同校の最大の特徴は「言葉に対する鋭い感覚」を求めているところにあります。本年度も独立大問1問で「短文づくり」が出題され、読解問題中にも「火の燃える様子で『ぼうぼう』と『ちろちろ』の違い」などが出題されました。記述問題については自分の言葉で表現する、自由度が上記2校よりも高く、本文内容に即したうえでの、自由記述の鍛錬が必要になります。
【桜蔭】
上述の通り、「読むための語彙と、表現するための語彙」、の両方が必要になります。まずは桜蔭に出されるレベルの文章に慣れるために、多くの「随筆」に触れることが重要です。ひとつのサンプルは新聞のコラム。『天声人語』などから、生徒さんに読みやすい内容をピックアップして、中断なく読み込み、要旨を200字程度でまとめる、といった演習も同校には有効となります。同校記述は、単純に文章中のキーワードを集めて固めればよい、というレベルではないため、難度の高い記述問題集や、男子校まで含めた記述重視校の問題を解き重ねることが必要になります。開成中の問題構成が比較的近しいです。
【女子学院】
まず問題数と制限時間のバランスに特徴があり、「確実に早く解く」術を得ることが重要になります。問題の長さに応じて、常に「制限時間」を設定して、集中して解く習慣をつけることが不可欠です。また、記述も少ないながら出題されるため、「一行記述」の練習を早期から始めておくことが必要になります。
【雙葉】
語句対策と、記述対策は分けて進めることが必要です。いずれも高いレベルにあるため、対策で混乱をきたさないことが重要になります。語句に関しては夏休みまでは通常の進め方で、確実に基礎を固め、夏以降は実践対策として、語句に集中した過去問対策を重ねましょう。語句重視の他校から問題を抜粋するなどの、実践演習で習得度を上げることが必要です。記述に関しては、「自らの意見」を書かせることが多くあるため、上記桜蔭と同様に「新聞のコラム」や、短い随筆などを活用して、書いてあることを踏まえて、自分の意見も表現する練習を重ねることが有効です。「公立中高一貫校対策問題集」も活用することが出来ます。
タイプ別に以下の通りとなります。
(1)随筆文対策
随筆は出題頻度が増していますが、必ずしもまだ多くはありません。これまでは、以下の各校で出題されることが多くありました。
→光塩女子・頌栄女子・日本女子大附属・横浜雙葉・浅野・開成・慶応普通部・巣鴨・聖光学院・桐朋・本郷・早稲田・青山学院・江戸川取手・渋谷教育幕張・
(2)桜蔭の記述対策
試験時間50分の中で、総文字数6000字以上、記述率80%以上の学校が、これまでのところ以下の各校になります。
→鴎友学園・学習院女子
(3)女子学院のスピード対策
試験時間45分以下で、記述率50%以下の学校が、これまでのところ以下の各校になります。
→立教女学院・鎌倉女学院
(4)雙葉の語句対策
問題のレベル、量ともに「灘中1日目」が、これまでのところ近しいです。
「御三家」と称されるため、だけでは決してなく、各校とも生徒さんに、極めて高いレベルの読解力を求めています。これらの学校を志望される生徒さんだけではなく、「国語を得点源として、より高めて行きたい」といった生徒さんにとりましても、その対策は大きな効果を生み出すと思われます。ぜひ、一度「御三家の国語」をご覧になられて下さい。
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