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大手の塾では今年度の入試を振り返っての説明会が開催されるなど、総括を公表する時期になり、いよいよ新6年生の生徒さんの新年度が本格的にスタートした感が強まってきました。そんな新6年生の生徒さんの中で、今回は特にサピックスに通われている方々へ向けて、塾内テストを分析した内容をお届けします。テストについては、先日の3月1日に行われました『第4回組分けテスト』を題材とし、科目は「国語」を取り上げます。
サピックスにお通いでない生徒さんにとりましては、内容が具体的になる分、伝わりづらいところもあるかと思われますが、テスト問題を振り返る際のポイントという意味では、共通する部分も多くありますので、ぜひ参考にして頂きたいです。
分析については、漢字・語句問題は割愛し、読解問題2問について取り上げます。特に、全体正答率は低いと思われるものの、ぜひとも正解をしておきたい、正解することで差をつけられる問題を中心に内容の確認を進めます。
文章内容は「結論を先に述べる」ことの重要性について主張している文章で、論点をまとめる際に「第一に…第二は…」といった羅列型になっている点など、論説文の中では対応しやすいかたちでした。ただし、「国際化」をはじめとして、それぞれの言葉が文章中でどのような意味で使われているか、を正確に把握することを難しく感じた、言い換えれば語彙で苦労した生徒さんも多かったのではないか、と思われます。
問1の副詞の穴埋め問題、問2の言葉の意味を問う問題については、満点を目指したいところです。特に問2については、わからない場合は本文の表現と入れ替えてみて、正しいかどうかを判断する方法ができるようにしましょう。問3は選択肢問題で区別が難しそうですが、解くべきポイントがはっきりしている問題です。「利点」について問う内容でしたが、本文中にその利点が「第一に…、第二に…」と挙げられています。こうした羅列型に文章が並ぶ場合は、読みながらしっかりと印をつけて、論点がまとまっているところに、後で戻れるようにしておきましょう。この問題では、選択肢の文章も前半・後半に分かれているので、それぞれの内容を照らし合わせれば、正解に行き着くことは難しくありません。本文中の「気持ちが楽」と述べられているのが、「話し手」であることに注意しましょう。ここを取り違えると、(エ)に誤答してしまいます。
問4も選択肢問題ですが、すべての選択肢が「国際化時代」で始まっているので、本文中のどの箇所を見ればよいかは限定されます。気をつけるのは言葉の言い換えで、本文中の「乗り切れない」が、選択肢の「通用しない」とほぼ同じ意味になることに対応できるかどうかがポイントになります。その点が理解できれば、正解のウに行き着くことは困難ではないでしょう。この問題も苦戦する生徒さんが多い可能性もありますが、解きづらい問題ではないと言えます。
問11は選択肢の文章の正誤を答える問題でした。その中の(エ)を正答できるかがポイントになります。具体例が挙げられた選択肢ですので、本文中の該当箇所がわかりやすいですが、こうした時こそ焦らないことが第一です。本文中に、『「窓を開けて下さい」なら、ぎりぎり辛抱のできる線ですが、これも実用にはならない』、と書かれていますので、途中の「ぎりぎり辛抱」に惑わされず、「実用にならない」に行き着くように、文章を必ず最後までしっかり読むようにしましょう。
第2問では、問7、8、9が難問でした。特に問8は最大の難問と言えます。直接内容を説明している表現が本文中になく、自分の言葉で説明をしなければなりません。その説明に用いる言葉として「時間がかかりすぎるから」を思いつかせるというのは、かなり厳しい要求です。正解した生徒さん(部分点でも)は、大きな自信にして下さい。
今回の物語文は、文章の相性が生徒さんによって大きく分かれた可能性があります。と言うのも中学生女子が主人公で、親友との友情関係が破綻に向かう様子が描かれている内容なのですが、その破綻の原因が「恋愛」であり、女子の心情の細やかな変化をとらえる必要があるものでした。恋愛を扱う文章との相性は生徒さんが男子か女子かの違いは問いません。
ちなみに、同じ作品が昨年の豊島岡女子でも出題されましたが、豊島岡の方は、友情関係の破綻が原因で部を辞めた主人公のその後を題材としており、恋愛の要素はなく、友情と他者理解を通しての主人公の成長がテーマになっている分読みやすかったと言えます(問題は難問ぞろいでしたが)。
問1、4の選択肢問題はいずれも心情理解を問う内容でしたが、選択肢の文章について内容が区別しやすい点、登場人物の言動から内容を理解しやすい点で、正解したい問題です。取りこぼしのないようにしたい種の問題です。
問2は、場面の展開で、現在と過去(回想)がどこで切り替わっているかを問う内容でした。問題の「どの場面につながりますか」の表現がわかりづらかった可能性はありますが、難しい問題ではないと言えます。物語文読解では、場面の切り替え(時間・場所による)を把握することは基本になります。問題を解く前、本文を読んでいるうちから気をつけて、切り替えの箇所に線や印をつけておくよう習慣を身につけましょう。
問8は抜き出し問題でしたが、問題で問われている「テニス部二年女子」が登場する場面は限られているので、適語が含まれている箇所を見つけることは困難ではありません。ポイントは「どのような存在か、を七字で抜き出す」ことです。少ない字数に限定された中で「存在」を説明するには、名詞か形容詞を答えとするかたちが適することが多くなります。その視点で本文を見直せば、正解は見つけやすくなるでしょう。
第3問では、問7、9、10が難問でした。問9、10はいずれも選択肢問題ですが、4つの選択肢→2つ、までの絞込みに難はないと思われます。ただしそこから問9であれば、アとウを残したうえでアを消去する材料(みんな×、二年生のみ)を見つけること、問10であれば、主人公の心の痛みは理解できるとしても、アとエを残したうえで「血は出ていない=表面的には平常」のつながりを理解することは難しいです。
第3問は長文だったために、時間がなかった生徒さんも多くいたでしょう。ぜひ再度時間を設けて、挑戦してみて下さい。
今回はサピックスの塾内テストを取り上げましたが、他の塾にお通いの生徒さんにも同じように、ぜひお伝えしたいことがあります。模試や塾内テストについて、国語の見直しを必ず行って頂きたいことです。科目の性質上、算数の方が国語よりも自分の答えと正解の違いがわかりやすいことは事実ですし、そのため見直しも算数の方が生徒さんも進めやすいことはあるでしょう。ただし、国語にも確実に解法があります。テストが終わってまだ記憶の新しいうちに、塾で配られる解説をしっかりと見直して、間違えた理由、正解となる流れを理解するようにして下さい。繰り返しお話していますが、国語は定着まで時間がかかる科目ですが、一度定着すると安定を見込める科目です。解法を少しでも増やすために、見直しを必ず進めるようにしましょう。その際に上記にもありますが、「全体正答率が低いからできなくても構わない」という考えは捨てて下さい。今の生徒さんの状態から、その問題は本当に難しいのか、正解に至る根拠は理解できないものなのか、といったところを精査して、生徒さんそれぞれの理解度に応じた分析をするようにして下さい。生徒さんが全体正答率の低い問題に対して、確かな根拠をもって正解に行き着いた際は、その成果をしっかりと評価しましょう。「みんなはできなくても僕にはできる」と思えることは、生徒さんにとって大きな強みになります。
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