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今年は国際連合が定めた「国際生物多様性年」で、10月には愛知県名古屋市で、生物多様性条約の10回目となる締約国会議(COP10)が開催されます。「生物多様性」は、これまでも中学受験において理科・社会の時事問題や国語の論説文で、非常に多く登場していましたが、今年はそうした記念すべき年でもあるだけに、特に注意が必要となります。
そこで今回は、この「生物多様性」というテーマがどのような内容であるか、実際の入試問題ではどのように扱われているか、を示したうえで、この決して分かりやすいとは言えないテーマについて、雑誌や展示など理解を深めるためのツールをいくつかご紹介します。
ここでは、小泉浩明先生の著された『中学受験 必ず出てくる国語のテーマ』で示されている定義を、以下に引用します(カッコ内は加筆)。「(生物多様性とは)生態系がシステムとしてうまく作動するためには、微妙なバランスを保つための多様な生物の存在が必要であるという考え方。つまり生物の数が多いだけではなく、種類の多さも必要なのです。生物の種類が少ないと、生態系の中で欠ける部分が出てきてしまい、うまく機能しなくなります。ただし種類が多いと言っても、本来の自然状態では存在しない生物が、人間の活動によって入り込んでくるとまた別の問題(外来種の問題)がおこります。」
このように「生物多様性」は、生態系のバランスを保つうえで、つまり「環境を保護・保全」するうえで欠かせない考え方である、ということになります。「生物多様性」について理解を深めるためには、生態系についての認識が不可欠で、また生物多様性を重視するということと環境を保護・保全することの結びつきが、中学受験では非常に強いことを十分に踏まえておく必要があります。
「生物多様性」というテーマは、理科・社会・国語のどれでも出題される内容ですが、ここでは国語の論説文に注目して、「生物多様性」に関連する内容が出典となった過去の入試問題を検索します。
「生物多様性」をテーマとしたものの中でも、特に有名な問題です。問題文の難度が非常に高く、小学6年生の生徒さんに理解できる語彙レベルを超えています。「具現」や「帰結」「危惧」など注釈がつく語句もありますが、「生物多様性とは何か」についての説明は一切ありません。つまり、「生物多様性」について理解していない生徒さんにとっては何が書かれているかも分からなくなる可能性すらあるのです。まず生徒さんに一読させて文書内容の理解を確認した後に、この後ご紹介するツールなどで「生物多様性」についての理解を固めて、また読み直してみて下さい。文章が難しいことに変わりはありませんが、幾分かは読みやすくなるかと思われます。問題の難度は文章ほどではありませんが、最終問題で本文内容と合致する選択肢を選ぶ際には、やはり難度の高い選択肢の文章内容をしっかりと理解する必要があります。この問題については、焦って時間を切らずに、「生物多様性というテーマを理解する」目的で文章内容をじっくり理解することを優先しましょう。
上記の洗足学園ほど「生物多様性」を全面に出した内容ではなく、「人間が自然と共存・共生することの大切さ」が説かれています。著者自身が野生動物に魅せられてケニアに移り住んでおり、そうした経験から、「日本の生活は物質的には豊かでありながら、精神的には豊かとは言えない」という論が展開されます。この考え方は文明社会についての論説文でもよく見られますのでしっかり理解する必要があります。そこから日本の生活が自然との「反共存・反共生」であるとの考え方へと進んでゆきます。野生動物を嗜好品やグルメの資源として利用する姿勢を強く批判する件は、具体例もあって分かりやすい内容になっています。生物多様性そのものを扱っている内容ではありませんが、関連が極めて深い「自然との共存・共生」について密度濃く述べられていますので、ぜひ内容を確認しておく必要があるでしょう。
同じ作品(出典場所は異なる)が同年の巣鴨中・東京学芸大附属竹早中でも出題されているように、自然をテーマとした出典の中ではベストセラーと言える作品です。非常に読みやすい文章で書かれており、特にこの城北中の問題文は、「コウノトリが生きるためには、たくさんの魚やカニ、カエルなどがいなければなりません」や「コウノトリという鳥を守ることによってその傘の下に暮らす無数の小動物や植物が守られるのです」といった文章があるように、「生物多様性」や生態系の基本的な理解を固める材料としてとても有効な内容になっています。問題は40字記述の1問以外のほとんどが記号選択になっており、その問題を解くことでより深く文章内容が理解できる構成になっています。入試問題を通してテーマを理解する目的としては、ぜひ最初のうちに取り組んで頂きたい問題です。
生物多様性は決してわかりやすい内容ではありませんので、より具体的なイメージが必要になります。まずは上記に挙げた入試問題の出典となった書籍を読んでみることをおすすめします。そのうえで以下のようなツールを活用してみて下さい。
最新号の『ニュートン』です。『ニュートン』についてはこれまでもメルマガで紹介したこともあり、また知名度も高い雑誌ですので、詳しい説明は割愛します。もともと大人向けの雑誌で、テーマによっては難解な文章にもなりますが、この号はどの記事もとても読みやすく、また「生態系とは何か?」「生態系の多様性とは何か?」「生物多様性と森林破壊」「生物多様性と汚染」といった構成で章が組まれているために、内容を段階的に理解できるようになっています。何より『ニュートン』の魅力のひとつであるカラー写真の充実がこの回でも全開です。特に、キリンとウシツツキという鳥が共生する様子や、一本の林道の周囲からアマゾンの森林破壊が進んでいる様子の空撮などは、極めて説得力の高いものになっていて、生徒さんが一目見て、イメージを深く刻み込めると思われます。恐らく多くの受験生が手にすることになるでしょうから、お早めに書店へ!
アラスカの自然を中心に、美しい写真と詩的な文章で多くの傑作を出した星野道夫の作品の中から一冊ご紹介します。PHPから出版されている『Michio’s Northern Dream』シリーズの一冊ですが、他にも同シリーズから『オーロラの彼方へ』『森に還る日』など計5冊が出されています。星野道夫の写真は多くの雑誌などでも登場していますので、ご存知の方も多いかと思われますが、この作品も一度見たらしばらく目が離せなくなるほどの美しい写真が満載です。カリブーの群れが列をなして大河を渡る夕景や、広い草原の中で体を寄せ合うクマの親子の風景などは、勉強に疲れた生徒さんの目を休める効果も望めるのではないかと思われるほどです。またその著書が入試国語の出典にもなるほどに、文章も非常に評価が高いのですが、この本には他作品で著された文章も抜粋で掲載されています。ぜひ触れてみて下さい。一部をご紹介します。
「いつしか歳月も過ぎ、家を建て、この土地にすっかり根を下ろすと、風景は別の言葉で語り始めていた。人間も動物も、季節を吹き抜けてゆく風さえも、自然という同じタペストリーの中に織られたそれぞれの糸のような気がしてきた。原野で出会うクマの生命が、自分の短い一生とどこかで絡まっている。(『長い旅の途上』より)」
この展示そのものが、国際生物多様性年に合わせて開催されるもので、「身近な哺乳類を通して、生物の多様性についてわかりやすく学ぶ」ことがテーマのひとつとなっています。
場内では、「3大珍獣」と呼ばれるジャイアントパンダ・オカピ・コビトカバなど様々な哺乳類の剥製や、化石、骨格標本などが展示されており、また生物の進化の過程を学ぶこともできます。その他、哺乳類の毛皮に直接触るといった従来の展示にはない方法で、来場者に実感をもって哺乳類の生態系を理解させる構成になっています。6月13日(日)までは『陸のなかまたち』として、陸上に生息する哺乳類を取り上げ、7月10日(土)から9月26日(日)までは『海のなかまたち』となって、海に生息する哺乳類について展示が開催されます。図鑑では感じられない直接の体感を、ぜひ生徒さんに持たせて下さい。
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