鉄人会プロ家庭教師による出身校紹介(ラ・サール中学校編)

いよいよ9月に入り、受験校選びも本格化してまいりますが、今回は私の出身校であるラ・サール(鹿児島)について簡単に紹介させていただきます。

私が在学していたのは、もう20年近く前になりますが、学年の約半分は鹿児島市内の生徒が占めていました。通学可能な生徒は自宅から、それ以外の生徒は寮に入りますが、当時は寮生の約50%が関西地方、約25%が関東地方の出身者でした。最近では入学試験日の変更に伴い、鹿児島や他の九州地方の出身者の割合が増えているようです。

このような出身地構成のためでしょうが、九州大学や鹿児島大学など九州を中心とした国公立医学部への進学を希望する生徒が多く、高校2年から理系文系に分かれますが、一学年250名中で200名近くが理系を選びます。そしてその大半が、医学部に進学します。

まず学校のシステムから始めていきます。授業料と寮費がかかるため高額と考えられがちですが、塾に通う必要がありませんので、教育費全体で考えるとダブルスクールの場合と大差ないと思います。学校側が「塾は要りません」というカリキュラムですが、授業のスピードは高校2年生までに高校までの全課程を終了し、高校3年生の一年間は受験対策となります。これは首都圏の進学校と同じでしょうが、ラ・サ−ルの特徴は「テストの多さ」と「面倒見のよさ」にあると思います。

中学1年から、基本的に毎月定期テストが行われます。中間(5月・10月・1月)、期末(7月・12月・3月)以外の月にも実力考査があります。実力考査も授業内容がテスト範囲となっており、2ヶ月に一回のテストだと一回あたりのテスト範囲が膨大になりすぎるため、毎月テストを行っているといった意味合いが強いです。それだけ授業のスピードが速いことの証ともいえます。

英・数・国・理・社と5教科ありますが、各教科2人ずつ(数学だと代数と幾何)の先生が担当されますので、10科目のテストを受けるのですが、これを中間・期末は3日間で、実力考査にいたっては2日間(1日5科目ずつ)で消化し、テスト休みのような期間は一切ありません。テスト前日まで普通に7時限授業を行い、テスト翌日から普通に授業が再開されます。

それどころか数学に関しては、テスト終了直後のホームルームで答案が返却され、成績不振者に対して翌日に追試が行われることも少なくありませんでした。しかも追試は1回きりではなく、合格するまで何回も行われます。

追々々…々と先生も「何回目だっけ?」とお尋ねになるほど続くこともありました。私の中学1年のときの担任も、入学初日の自己紹介で「趣味は追試と朝補習です」とお話され、「えらい所へ来てしまった」と思ったものです。

とにかく数学と英語の先生は、放課後の日程調整が必要なほど補習が好きです。ただ合格点はさほど厳しくなく、普通に準備しておけば補習や追試を受けることはありませんので、勉強を「やらされている」という印象は持ちませんでした。宿題を忘れたり、テストで悪い点数をとっても怒らない代わりに、追試や補習を行うことが「もっとしっかり勉強しないと後々困るよ」というメッセージで、生徒の自主性や自立心が育まれるように促しておられました。

しかしラ・サ−ルの本当の「熱心さ」は、高校1年からスタートする放課後テスト(当時は週テストと呼ばれていました)にあると思います。当然、全員必修です。(定期テスト、実力考査の週は実施されませんが)

これは、授業内容とは別に与えられた自習用教材の確認テストで、高校2年までは英・数・国の3教科が週に1〜2回、高校3年生は5教科を週3回実施されます。1回につき1教科ですが、一回あたりの出題範囲は数学であれば大学入試の問題を50問といった、かなり大変な分量です。

このようなハードな6年間ですが、大学受験から逆算して中学入学時から徐々に負荷をかけて学力を確立していったからこそ、学年平均点あたりの成績であれば現役で国公立の医学部に進学できる学力がつくのだと思います。

このように授業の予習復習に加えて、膨大な課題が与えられ、1教科あたり毎月3回程度のテストを受けるわけですから、作成・採点される先生方の労力も凄まじいものであったはずです。にもかかわらず、ほぼ例外なくテストの翌日には答案が返却されていました。今さらながら、先生方の仕事ぶりには頭が下がる思いです。

引き続き、興味深き「寮生活」へと話を移します。中学寮は8人部屋で、1年生から3年生まで混在しており、各学年2人か3人ずつで構成されています。先輩には敬語で話すなどの最低限の上下関係は求められますが、運動部の上下関係などと比べると、大変緩いものです。

各部屋には2段ベッドが4つと個人ロッカー8つが設置されており、それとは別に「自習室」に専用の机が用意されています。プライベートなスペースは、ベッドの上と机のみということになりますが、さほど気にはなりませんでした。集まってくる生徒が、よく言えば「個性的」なせいもあるでしょうが、早い時期から「自己」を確立しており、お互いに尊重しあう風潮があるからだと思います。

一日の流れは(多少の変更点はあると思いますが)、朝は5時以降、任意に起床できます。7時半に点呼代わりのラジオ体操、その後朝食を摂って登校となりますが、2度寝をして朝食を食べずに登校する人もいたり、スタイルは自由です。始業時刻は8時半で、授業は6〜7時限あり、下校後はほとんどの生徒が部活動に励みます。18時ごろ部活が終了し、夕食とお風呂を済ませて、19時15分に「義務自習」が開始となります。この「義務自習」は、平日は19時15分〜20時45分と21時15分〜22時45分の2回、土曜日は20時〜21時半のみ、日曜日は朝の9時〜10時半と20時〜21時半となっており、23時に完全消灯となります。

テスト一週間前になると部活は休みになるため、義務自習以外の時間も自習室で勉強したり、朝5時から勉強する人も多いのですが、普段は義務自習の時間しか勉強しない人が大半でした。授業の予習復習も、毎日3時間は集中して勉強すれば十分足りる量だったということでしょう。

その他、日曜日は先輩後輩入り混じってソフトボールやサッカーをしたりすることも多かったです。「いじめ」の心配についてですが、私が中学寮にいた3年間の間に一度だけ対象者が停学処分を受ける事件がありましたが、ほとんど無いと言えます。

これは毎年入寮式の際にされるお話ですが、鹿児島でラ・サール生は期待の星であり、模範的な学生と位置付けられているため、常に世間から注目されている意識を持つことを説かれます。

また校則も一応存在するのですが、基本的に飲酒・喫煙など法律に反すること意外には寛大で、思秋期特有の「おしゃれ」も理解を示して下さっていました。多少髪を染めたり、変形ズボンを履いたりする程度のことを口うるさく注意することはありませんでした。

塾に通えないことや、親元を離れている生徒が多いということもあるでしょうが、良いことや悪いこと、自分がやるべきことを気づかせてくださり、単なる大学受験のための通過点ではなく、学校全体で一人一人の生徒が、将来世の中のために貢献できる人間となるよう育てていくという熱意と暖かい眼差しに支えられて生活することができました。

このような環境で6年間を過ごすことになれば、きっと数多くの恩師と出会えることになるでしょうし、ラ・サールで出会った仲間と、そこで過ごした時間はその後の人生に大いに役立つ宝物となることは間違いありません。中学入学と同時に寮生活をさせることは不安ばかりと思われますが、長期休暇で帰省するたびにその不安の何倍もの驚きをもって、成長したお子様を目にすることになると思います。

ラ・サールは東京会場での受験を実施しておらず、1月下旬に鹿児島まで行かなくてはならないデメリットもございますが、この文章を読んで少しでも受験校にと考えていただければ幸いです。

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