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いよいよ本番まで約100日となりました。これを読んでいただいている受験生の方々は最後の追い込みをがんばっていらっしゃることと思います。みなさんは、来年の本試験を迎えるにあたり、何年も苦しい思いをしながら時間と労力を費やし、合格の力を蓄えてきたことでしょう。ところが、試験というのは非情なもの。どれだけ努力しようと当日の答案でのみ実力を評価されます。せっかく100の力を持っていても、答案に80しか表現できなければ80の力と評価されるのです。
そこで今回は、今持っている力を100%答案に表現した最高の答案を作るためにやれることをお伝えしたいと思います。
では、最高の答案を作るにあたって何が大切なのでしょうか。キーワードは「段取り」です。仕事でも料理でも、うまくいくかどうかは事前の「段取り」(準備)次第です。同様に試験でも、開始の合図から終了までの与えられた時間内で、どこで何をするべきかをあらかじめ決めておき、それを実行することです。
それでは、具体的に試験開始から終了までの時間軸に沿ってお話ししていくことにしましょう。
6年生ともなると、少なくとも漢字や語句問題がないかを最初に確認し、先にやってしまうぐらいのことは普段のテストでもやっているしょう。しかし、その後の文章題はどうでしょうか?いきなり一の文章を読み出していませんか?ちょっと待ってください。
あせってはいけません。解く前にしっかりと準備をしましょう。まず1ページ目から最後のページまでめくってください。ページが抜けていないかを確認するのはもちろん、大設問の数、文章の種類(説明文・物語文など)・文章の長さをおおよそつかんでください。そして解答用紙を確認し、だいたいの記述量をつかんでください。特に本番の試験では、過去問と比較することで「文章が長くなった」「問題数が多くなった」「記述が増えた」等々、どのように対処すべきかをその場で考える必要があります。(この点でも、過去問を解く意味があります)
問題一から解く必要はありません。問題全体から合格点をとればいいのです。ということは、最悪時間が足りずに解ききれない場合、不得意な問題を残すべきです。最も得点できる問題、得意な問題から解くべきなのです。ですから、どの問題から手をつけ、次にどの問題に行くのかを決めてから解くことにしましょう。
試験の厳しさは、制限時間内に問題を解くことにあります。最初の問題をじっくり解いていたために時間がなくなり、後の問題の答えをあわてて出した経験はありませんか?これは下手な試験の受け方です。与えられた時間はできるだけ均等に使うべきです。もちろん時間のかかる問題、かからない問題はあります。ですが、普通なら5分で解ける問題に10分使ってはダメです。一つの問題を解くのに夢中になってはいけません。集中しながらも冷静に臨むようにしましょう。
そのために時間配分をあらかじめ決めてから問題にとりかかることにしましょう。その際、問題用紙や解答用紙(ただし解答用紙にメモした場合、最後に消してください。余事記載は失格答案になるおそれがあります)に試験時刻に合わせた終了予定時刻を書き込むとよいでしょう。たとえば、試験開始が9:00ならば、一 は「9:20」、二 は「9:45」といったように時計の時刻に合わせて書き込んでおくと、時計を見た時、予定より遅れているかどうかすぐに確認できます。また、時間配分をする際には、少なくとも最後の5分程度を答案の見直し時間にあてるようにしましょう。最高の答案を作る上で答案の見直しは重要です。以上が試験開始の合図から問題を解き始めるまでにやっておくべき「段取り」です。これらの段取りができたら、次は問題解きです。
文章の読み方、設問の解き方は人によって様々です。何がよくて何が悪いのかは一概には言えません。ただ試験において、文章を最初から最後までしっかり読めるチャンスは1回です。この1回のチャンスをどのように生かせるかどうかがカギです。よく言われる一つの方法に設問の事前確認があります。文章を読む前にどのような設問があるのかを確認しておくことです。どんなことが聞かれるかを頭に入れて文章を読むのと、何も心づもりがなくて文章を読むのとでは読む人の意識が違います。特に段落分け問題、脱文挿入問題、段落整序問題、要旨・主題問題と言った文章全体に関わる問題や文章の中から答えを探し出す問題のチェックはしておきたいものです。
また、文章を読みながら設問を確認するという方法もあります。本文を読み進める中で線や空欄がでてきたらその都度設問を確認し、答えが出そうならば、そこで答えを出して解答用紙にすぐさま書き込んでしまうというやり方です。もっとも、このやり方は、設問確認の時点で、解けるか解けないかの判断をしなければならないので、その判断を意識的に普段練習する必要あるでしょう。
ここでも時間の使い方と段取りを考えてください。入試は満点を取らなくても合格できます。学校にもよりますが、おおよそ60%から70% 取れば合格となる場合が多いのです。とすると、逆に30%程度は間違えてもいいわけです。もちろん全ての設問に目を通す必要はあります。まったく設問も読まないで試験終了というのは最悪です。ただ、全ての問題に目を通すことと、全ての問題をきっちり解くことは別です。実力があり時間的な余裕があるならば全問をしっかり解くのは当然です。
しかし、解けそうにない問題、時間があまりにかかりそうな問題に遭遇したら深追いをしてはいけません。深追いした結果、10分使って0点になるなら、10秒考えて0点になる方がずっと得策なのです。その10分を別の得点可能性のある問題に振り向けることができるのですから。そこで、時間がかかりそうな問題・解くのが難しそうな問題を見分け、そういった問題を後回しにできる勇気を持ちましょう。また、答案見直しのための準備も欠かせません。問題を解き進める中で、どうも解答に不安がある、「ア」か「ウ」で迷った、といった問題にチェックをしておいてください。優先的に後で見直す問題をチェックしておけば見直しが効率的にできます。
一点の差が明暗を分ける試験では、いかにミスを防ぐかが大きなポイントになります。人間はミスをします。そのミスを発見することが合格につながると言っても過言ではありません。最高の答案を作ろうと本気で思うなら自然と答案の見直しをしたくなるはずです。模擬テストでも、時間があるのに見直しもしないで答案を提出しているようでは、まだまだ合格への気持ちが低いと言ってもいいでしょう。本気で合格したいと思っていない証拠です。とはいうものの、どこをどんなふうに見直しすればいいのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、あらかじめ何をどのような順序で効率的に見直しをするのか準備しておきましょう。見直しのポイントは、形式的なミスから内容上の間違いの発見へと進めることです。形式的ミスの方が簡単に発見できるからです。形式的ミスには、漢字のトメ・ハネにはじまり、記述答案の誤字・脱字、記述答案の文末、形式的条件(たとえば、「最後の五文字を書きなさい」)違反などです。これらのミスは設問の言葉と自分の答案を交互にチェックすることで発見可能です。形式的なミスの次は内容上の間違いです。まず、設問で問われていることと自分の解答が、問いと答えの対応になっているかを確認します。(単なる文末の一致ではなく、内容が答えとしてふさわしいかの確認です)。
その後、内容上の条件(たとえば、「○○という言葉を使って」といった条件)に一致しているか、選択問題の迷った選択肢の再検討、そして自分の答えの合理性(根拠)の確認へと進めるのがよいでしょう。見直すべきことはたくさんあります。時間が余ったら何度も何度も終了の合図があるまで見直してください。最後の最後まで答案と問題から目を離してはいけません。
敵を攻略するためには準備と作戦(段取り)が大切です。ここまで申し上げたことを参考にして、本番の試験をシュミレーションしながら試験開始から終了までやるべきことを決めておきましょう。やり方は人それぞれです。試行錯誤しながら自分にあったやり方を早く見つけてください。
また、本番の試験は今までに経験したことのない緊張状態に置かれます。ですから普段やっていること以上のことはできません。過去問や入試問題を解く中で、「段取り」を意識した勉強(訓練)をしてください。そして本番の試験で最高の答案を作ってください。
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