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今年も中学入試が終了しました。入試問題の中で、麻布の社会に注目をしてみました。毎年あるテーマを扱う長文から、その内容にそって問題が出されますが、今年のテーマは「東京湾の変化と人びとのかかわり」でした。縄文時代から始まり、現代に至るまでの東京湾の歴史が紹介され、変遷を通じて東京湾が人びとの生活にどのように関わってきたかが説明されています。テーマとしては昨年の「旅行」と比べると他の学校でも見られるような地域を題材とした内容で取り組みやすかったかと思います。
それでも最終問題で、東京湾周辺で行われた改造・開発がどのような問題を解決してきたか、実現すべき開発とすべきでない開発についてその理由は何か、といった説明をさせる記述問題は、問題文の内容と社会の知識を踏まえて、自分の考えを正確に記述する、という一見簡単に書けそうで難しい麻布の問題らしさが出ていました。そんな麻布の社会を見ていて、頭に浮かぶテレビ番組がありました。NHK総合テレビの『ブラタモリ』です。タモリが東京の街中を地理学の専門家などと歩きながら、その街に古くから残る建造物や通りなどを、独自の視点で紹介する番組で、ご存知の方も多いと思います。地理の要素を大いに含む内容で、特に街を探索する際にタモリが江戸時代・明治時代の古地図をもとに、そこに残る歴史の痕跡を発見してゆく点は、上記に紹介した麻布の問題をはじめ、多くの中学校が作成する、地域の歴史と地理を総合的に出題するタイプの問題と共通する意図が見えます。『ブラタモリ』を見ていれば社会の問題が解けるということではありませんが、社会を勉強するうえで不可欠な「地理や歴史を見る目」を養うきっかけになるでしょう。NHKの番組には、たかがテレビとは言えない逸品が意外にも隠れています。そこで今回は、科目にかかわらず受験に必要なものの見方を養うことができるようなNHKテレビ番組をいくつか紹介します。
番組の内容は上記の通りです。この番組を観ていると、当たり前のように見てきた風景に、いかに歴史的な要素が潜んでいるかがわかります。「江戸城外堀」の回は、江戸城防衛の要であった外堀を様々な視点から探索する内容でした。現在、上智大学のグランドになっている土地は外堀のひとつ「真田堀」を埋め立てたものですが、この真田堀は他の堀のように谷筋に沿ってできたものではなく、もともと台地だったところを掘り進めたもので、掘り出された土の量は10トンダンプで10万台分にもなるとのことです。そもそも外堀工事は徳川家が大名に分担させたもので、高い工事費を負担させることで反乱を起こすだけの資金を持たせない目的もあったそうです。そうした歴史的な背景を踏まえて、現在の街に至るまでの過程がわかりやすく説明されます。ちょうどお花見の時期は真田堀のまわりも桜の名所になりますので、生徒さんと実際に足を運んで、目で見て確かめることもよいでしょう。この番組でも登場する古地図は中学受験の社会で扱われることが多く、例えば平成17年度の駒場東邦の社会第1問は、ちょうど番組で扱った外堀周辺の江戸の古地図と同じ場所の現在の東京地図を並べて、両方の地図から方位や、読み取れる事実を答えさせる内容になっています。古地図の存在や、都市の変遷が地図を見比べることで読み取れるということがわかっていれば、こうした問題を解くきっかけはよりつかみやすくなるでしょう。ぜひ駒場東邦の問題を見たうえで、また番組を観賞してみて下さい。
低学年対象の社会の番組です。実写映像にアニメーションのキャラクターを合わせる手法は、まさに昔ながらの教育テレビという印象ですが、中身は非常に濃密で、受験生の皆さんが社会の知識を確認するのに活用することも十分できます。番組は毎回ある都道府県を取り上げ、その特色を表すキーワードをきっかけに、その地域の産業・人・暮らし・伝統や文化などを紹介する構成になっています。例えば「千葉県」の回では、落花生・東京湾アクアライン・酪農をキーワードとして、落花生であれば、千葉県が日本一の生産高を誇るというデータを紹介し、その理由となる気候条件などを説明します。まさに社会の授業そのものといった風ですが、アニメのキャラクターが現地の人々と会話するスタイルですので、とても見やすく自然に知識を吸収できます。それ以外にも千葉で酪農が盛んになった起源が、酪農を推奨する徳川吉宗がインドから千葉に牛を取り寄せたことにある、といった歴史的な事実も組み込まれ、総合的な地域学習につながります。中学受験の社会でも都道府県をテーマとして、その地域の歴史と地理を問う総合的な問題が出題されることが多くありますので、地域を見る目を養うことは大いに必要です。そのきっかけとして活用することができる、教材としての価値が高い番組です。
毎回ある生き物を取り上げてその生態を観察する番組です。同じような内容の番組は民放を含めて数多くありますが、この番組の特徴は「ありのまますべてを見せる」ことにあります。例えば「うま」の回では、馬が雪に体をこすりつけて清めている姿、立ちながら寝ている姿、冬に野草がない時には堅い小枝をバリバリとほおばる姿など、生態として聞いたことはあってもなかなか映像では見られない様々な行動が映し出されます。特に母馬が子馬を出産する場面はその迫力に目が離せなくなります。母が地面に横たわり、その体から子どもが産まれ出てくる瞬間から、産まれたての子馬が必死に自力で立ち上がろうとする姿、その体を慈しむように舐める母親の姿まで、一連の行動がつぶさに映し出されるのですが、よくここまで撮影できたものだと驚かされる程のものです。ハイビジョンということもあり、その映像の真に迫る鮮明度はありがちなドキュメンタリー番組にはないもので、見ていてグイグイと引き込まれます。あらゆる生き物に命が宿っていることが自然に伝わってくる、極めて良質な動物ドキュメンタリーです。かわいらしいタイトルからは想像もできない程、貴重な情報が溢れている番組ですので、特に低学年の生徒さんが理科の生物に関心を持つきっかけに適した教材と言えます。
子どもたちの表現力、コミュニケーション能力を向上させるために、様々な分野の「伝える達人」が文章、話し方、映像などの表現手法の心得を極意として伝える番組です。達人たちには、作家のあさのあつこ、ジャーナリストの池上彰、コピーライターの仲畑貴志といった錚々たる顔ぶれが並びます。番組の最大の魅力は、達人たちが極意を伝えるために本気で子どもたちに接していることにあります。例えば映像作家の大林宣彦が達人として、「海のあるふるさと」をテーマにビデオ作品を作る小学生たちに対して、映像で伝える極意を伝授する回。生徒たちが、雨の中で撮影をし、喧々諤々意見をぶつけ合う編集を経て完成した作品に、達人は容赦なくダメ出しをします。決して高圧的ではないながら、「初めて見る人にもわかるような工夫が必要、現場でみつけたものを大切にすべし」といったメッセージを子どもたちにはっきりと伝えます。子どもたちも真剣にその言葉を受け止め、編集をし直し、結果として見違えるほど素晴らしい作品が作り上げられるのです。15分の番組ながら密度は濃く、伝えることの難しさを感じ、意識を変えることで伝える中身は鮮やかに向上するといった過程は、国語の記述問題に取り組む際にも大いに参考になるでしょう。
「作って・食べて・旅をして」をコンセプトに、毎回司会の杉浦太陽と著名な料理人が関東甲信越各地で地元の住民や生産者と交流しながら、その土地の食材を使って料理を作り上げるという番組です。旅番組と料理番組が合体したような印象ですが、各地域での人と人との触れあいに飾り気がなく、観ていて気持ちが温かになる良質な番組です。この番組を推薦する理由の第一は、「作り手の思い」が画面全体から伝わってくることにあります。この作り手とは、地域の農家や猟師、酪農家の人々のことでもあり、また食材に向き合う料理人のことでもあります。例えば世界的パティシエの辻口博啓氏が茨城県石岡市を訪れた回。地元の人々から食材を提供された辻口氏は、初産み卵と名産のとちおとめでロールケーキを、富有柿と自家製ヨーグルトのシャーベットを作り上げ、生産者にお返しをします。それらを口にした人々が満面の笑顔で「柿が喜んでいる」「卵もこれで幸せだ」と喜びを表し、辻口氏も「生産者の皆さんの顔が浮かんだ」と応える場面は、作り手同士の思いが結びつく、貴重で豊かな瞬間となります。鳥インフルエンザや諫早ダムなどのニュースで、生産者の人々の思いという言葉が多く聞かれますが、この番組を観ることで、そうした人々の思いを自然に温かに受け止めて、ニュースを見る目をより深くすることができるでしょう。社会、時事問題といった社会の教材としてだけはなく、他人の思いを知る国語の教材としても活用できます。
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