日能研の6年生の皆さんへ、前期日特の活かし方(国語編)

2月17日から、日能研でも「日特」が始まりました。5年生の時に比べ、日能研に拘束される時間が圧倒的に増えたというのが実感だと思います。Mクラスは、本科授業が週4日、1コマ70分の授業が12コマ。Aクラスでは、本科授業週3日・9コマ。その上、M・Aクラスとも、日曜日にはテストと70分3コマの「日特」授業があります。日曜日は、朝8時半過ぎから夕方5時ぐらいまで日能研に缶詰め状態です。もちろん、5年生の時に比べ6年生は、家庭学習で要求される学習量も増えています。お子さんたちは、日曜日も含め、「とても忙しい一週間だな。時間が足りないな。時間に追いかけられているみたいだな。」と実感されていると思います。そこで、家庭学習を含めた一週間のスケジュール管理が、とても重要になってきます。

今年度から、日能研の「日特」の枠組みが、変更になりました。昨年度までは、一日3コマの授業の内、2コマが国語か算数、残り1コマが社会か理科であったのが、3コマ連続で一つの教科をやるようになりました。したがって、社会・理科は、昨年度より多くの入試問題に触れ、かなり深い授業が展開されています。国語・算数についても、3コマ連続での授業展開ができますので、ただ問題を演習するというのではなく、入試問題自体そのものを、その学校の特徴を浮き彫りにしつつ考えていく授業がなされています。

しかしながら、日曜日の「日特」の授業は本科授業とは違い、授業内完結を目指し、家庭学習に持ち越される課題は極力抑えられています。それでも、Mクラスには「事前課題」がありますし、M・Aクラスとも、授業内でやり残した問題は、家庭学習でやるように指示が出ています。そこで、「日特」に関する家庭学習を効率良く済まし、そんなに時間をかけずに、しかも、出来得る限りの成果を得られるようにするにはどうすればいいかを考えていきたいと思います。

ここからは教材を見ながら、「国語科」にしぼり、もう少し具体的に考えてみたいと思います。国語科では、M・Aクラスとも「思考シート」を用いて、入試問題で取り上げられた「本文」について、また、添削課題になる個別の「問題」について、分析をしていきます。「本文」については、大きく「説明的文章」と「文学的文章」とに分け、それぞれに分析項目があります。

「説明的文章」では、項目事項の中にもある「文章の話題」を押さえることが、まず重要となります。その「話題」も、表面的な問題提起文だけを取り上げるのではなく、その文章で筆者が、本当は「何を」考えたいのか、読者に「何を」考えてもらいたいのかまで掘り下げられたら、深い学習につながります。次に、「どんなキーワード」を用いて、「何を」説明しているのかを押さえていきましょう。そして、どんな説明的文章にも、必ずと言っていいほど「具体例」が挙げられています。その「具体例」は、「何」の「どんな側面」を説明したいがために使われているのかを考えていきましょう。「具体例」には、必ず「何か」を説明したいが故に「こう使おう」という筆者の「意図」があります。その「意図」を探るつもりで読んでいきましょう。その他、「対照」として「何と何」が比べられているかなど、それぞれの文章により押さえていきたい項目はありますが、最終的には、筆者が伝えたい「結論・主張」は何かを押さえることを目指してください。「思考シート」の項目をうまく活用して、説明的文章は「こう読んでいけば良い」という読解練習をしていくことができるでしょう。

次に、「文学的文章」の「物語文」を例に考えていきます。「思考シート」の項目にもある「中心となっている出来事」を押さえていきましょう。もちろんその前に、「時間」や「場所」、「登場人物」の把握、登場人物同士の「関係」など、読み取っておかなくてはならないことはありますが、大きく「場面設定」を理解したら、「中心の出来事」を押さえるようにしましょう。作者は、意図的に大きな「出来事」を描き、それを通して主人公に「心情の変化」を起こさせます。そして作者は、心情変化後の主人公に、「何らか」のメッセージを語らせます。その「メッセージ」こそが『主題』です。作者は、「出来事」を通して、主人公に「変化」を起こさせ、「何か」を伝えるのです。このように、『中心となる出来事』⇒『心情の変化』⇒『主題』という流れで、「物語文」を把握していくという読解練習を意識してやってみましょう。必ず物語文読解の力がつくはずです。是非、親子の「会話」を通して、自分の「考え」を「言語化」する練習も兼ねて、挑戦してみてください。

今度は、「思考シート」の裏面を見てください。こちらは、日特授業の「添削課題」問題を分析し、解答を書き、提出する時に使います。特に「問われていること」という項目を、しっかりやることが大切です。ただ「問題文」をなぞるだけでなく、「本文の中」で何を問われているのかまで考えていく事です。「説明文」でしたら、「何」の説明の中で、何についての「理由(説明・目的・結果)」なのかまで突き詰めて考えましょう。「物語文」ならば、どんな「場面」の中で、どんな「出来事」が起こった時に、「誰の誰に」対する「心情(行動・様子)」を問われているのかまで、具体的に考えましょう。また、「思考シート」の「条件」「手がかり」の項目も、うまく活用してください。「条件」は、「字数」だけではなく、「比喩表現を使っている8字」など、重要な点を押さえていけるようにしましょう。「手がかり」の欄は、本文の「何行目と何行目」といった事を記入すれば良いと思います。もちろん、記述内容の「方針メモ」を記入することもできます。提出した「思考シート」が添削され、返却されたら、さっと見るだけでなく、必ず日特テキストを開いて、本文を確認しながら考え直しをすることです。

さて次に、Mクラスに用意されている「事前課題」の活用法を考えていきます。「事前課題」では、ある「文章(説明文の時もあるし、物語文・随筆文の時もある)」を「文章加工」しながら読み、文章についての「設問・模範解答・解説」を作成するというものです。これは、「作問者の立場に立つ」という事を考えて、今年度から導入された試みです。「作問者の視点」で文章を読む事で、今までとは違った多くの点に気付けるはずです。「話題」に対する「結論」はどこに書かれているのか、どんな「キーワード」が使われ、「何」を説明しているのか、どんな「具体例」があり、具体例は「何」を説明するためのものかなど、今まで考えなかった事を考え、押さえていこうという「読解」ができます。

そして、「問題作成」を通して、「こんな問い」に対して「書き抜き」の形で「こんな答え」がある、「選択問題」を作る時に、本文にあるこんな「例外や注意点」を入れて誤答を作ろう、こんな「記述問題」を作成したら、本文の「この部分とこの部分」を使って記述できるなど、「深い読解」ができると思います。但し、あまり凝り過ぎて、多くの時間を割く事は考えものです。30分から1時間を目安に取り組むことをお勧めします。そして、授業中の友達(他者)の作問に触れる機会を活かしてください。友達(他者)が、「どんな点」に着目し「どんな問題」を作ってきたか、しっかりメモして、家庭学習の際にもう一度考えてみることです。本文の作者とは違った「作問者」の視点にはこんな物もあるのかなど、自分とは全く違った視点に驚き、気付く事が出来るでしょう。それこそが「深い読解」への一歩です。

最後に、M・Aクラス共通の内容として、「1つの学校の入試問題」を丸々取り上げて、「学校の出題方針」「文章テーマ」「設問の流れ」「解答形式」などを総合的に捉え、考えていくという「日特授業」について考察してみたいと思います。今回は、日特テキストにある「専修大学松戸中学校2012年」の問題を例にとって考えてみたいと思います。まず、「解答用紙(授業中に配布されることがある)」を見てみましょう。漢字等も含めた個別の小問が、何と49問もあります。50分の制限時間を考えると、1問1分でやらなくてはなりません。しかも、50字の記述が4問もあります。さらに驚く事には、大問2の物語文本文は166行・約5300字、大問3の説明文本文は149行・約4700字、合計10000字(原稿用紙25枚分)の文章を読まなければなりません。形式的な事ではありますが、ここから分かる事として、学校側は、「素早い情報処理能力」を求めていることは明らかです。

もう少し、問題の中身を見ていきましょう。大問1で「漢字」の読み書き10題、大問2の中にも、問2・3は「語句・文法」問題、大問3の問1・2・3・8も「語句・敬語」の問題、計23題(全問題数の約47%)が「知識問題」になっています。過去数年の入試問題を見ても同様の傾向があり、漢字の「画数・部首名・筆順」「熟語の成り立ち」「四字熟語」「同義語・対義語」「文法」「敬語」などを積極的に出題してきます。こうした出題傾向を見てみますと、「専松」は、国語の基礎的な力・知識力を重視していることが分かります。そこで対策ですが、日能研の本科テキスト巻末の「完成シリーズ」を、地道に取り組むことが効果的だと思います。

さて次に、文章読解問題について考えてみましょう。「専松」も、昨今の入試で一番多い型である、所謂「バランス型(選択問題・書き抜き問題・記述問題全てをバランス良く出題してくる)」の学校の一つです。そこで考えたい事は、「選択・書き抜き・記述」問題の中で、一番数多く出題され、配点も多いのが「選択問題」であるという事実です。その事実は、極端な話、「語句・知識問題」と「選択問題」をしっかり得点すれば、充分合格点に達するという事を物語っています。「国語」というと、どうしても「記述問題」にばかりに目がいきがちです。しかし、「合格」を考える上で、「選択問題の正答率」こそが「カギ」になる事を知っておきたいと思います。そこで、日能研での「カリテ」や「公開テスト」の選択問題の「正答率」に注目してください。正答率が50%以上の問題の取りこぼしはありませんか。是非、確認なさってください。

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