入試で狙われそうな最近の時事ニュース(タイヤに新たなゴムが使われるニュースを中学入試・社会の目で見る)

タイヤで世界最大手のブリヂストンが、タイヤに用いる新しい天然ゴム資源の開発を進めています。将来、東南アジアでゴムの木が不足する可能性があるため、新たな原材料として「グアユール」という植物を使う研究を進め、2020年代の実用化を目指しています。

タイヤがゴムからできていることは誰しも知っていることですが、このゴムの歴史を振り返るとそこに意外な人物が登場します。日本とのつながりが非常に深い人物です。

そこでこんな問題が考えられます。

  • 「日本にはじめてゴムを持ち込んだのは、江戸時代に黒船艦隊を率いて日本に開国の交渉を要求した人物と言われています。この人物とは誰のことですか」
  • 「グアユールはアメリカ南西部も産地としているため、アメリカは自国の資源から天然ゴムを消費することができます。このように、地域で作られた農作物をその地域で消費することを何といいますか。漢字4文字で答えなさい」

今回はタイヤの技術革新をテーマに、中学入試・社会の歴史と地理の観点から分析を進めてみます。

【ゴムが日本にやってきた】

最初の問題は少し易しすぎたかもしれません。答えはもちろんペリー(正式名はマシュー・カルブレイス・ペリー)です。1853年にペリーが率いる艦隊が浦賀湾に来航し日本に開国の交渉を要求、翌1854年に日米和親条約が締結されたという流れはしっかりおさえておいてください。ペリーが日本にゴムを持ち込んだというのが意外に思われますが、徳川将軍に献上するためにペリーが持ってきた有線電信機のコードにゴムが使われていたと言われています。これがゴムの日本初上陸となります。

ゴムの歴史を遡ると、また別の有名な人物が登場します。ゴムを最初に発見したのはあの探検家クリストファー・コロンブスで、1493年に航海の途中にハイチ島で原住民の子供たちが樹液から作った黒いボールで遊んでいるところを見つけ、帰国後に報告したことがゴムの始まりだと言われています。その当時のゴムは生ゴムとも呼ばれ、温度が上がると軟化してベトついてしまい、温度が下がると硬くなるという欠点があったため、あまり利用価値がないものでした。

コロンブスの発見から約350年後の1839年にアメリカ人のチャールズ・グッドイヤーがふとした偶然からゴムの加硫(かりゅう:化学反応によってゴムの分子を硫黄でつないでゴムの性質を変えること。ゴムの強度が増大し、湿度の変化による弾性の減少を防止する)方法を発見しました。さらに4年後にイギリス人のトーマス・ハンコックによって加硫方法が確立され、これによりゴムは工業用材料としての需要が増加し、利用価値が一気に高まったのです。ちなみにタイヤメーカーのグッドイヤーの社名はチャールズ・グッドイヤーにちなんで命名されていますが、グッドイヤー本人と会社の間に法的・資本的な関係はないそうです。

コロンブスにペリーと、歴史上の有名人が関連しているゴムの歴史ですが、そのゴムからタイヤを製造する過程が、大きく変わろうとしているのです。

【グアユールという木】

2問目の答えは「地産地消(ちさんちしょう)」です。タイヤに用いる新たな天然ゴム資源となることを見込まれているグアユールは、アメリカ南西部からメキシコ北部の乾燥地帯を原産地としているため、アメリカからすると地産地消による効率化が見込めることになります。

グアユールを活用する目的はもちろんそれだけではありません。現在タイヤの主要資源として大きな比重を占めている天然ゴムは、その約9割が東南アジアで生育する「パラゴムノキ」という木から採取されています。今後、新興国を中心として世界の自動車保有台数が増加していくに伴ってタイヤの需要が拡大すると、パラゴムノキが不足してしまう可能性があります。そこで新たな原材料として、グアユールに対する注目の度合いが高まっているのです。

グアユールの産地はアメリカ南西部からメキシコ北部の乾燥地帯で、東南アジアを中心に栽培されているパラゴムノキとは産地が重なりません。グアユールを実用化することで、天然ゴム資源の産地が一極集中する事態が緩和されることを期待されています。

ちなみにパラゴムノキとグアユールでは、天然ゴムの採取方法が異なります。パラゴムノキから採取する場合には、木の幹に傷をつけてそこから流れる乳液(ラテックス)を集めるという方法が使われますが、グアユールの場合は幹、葉、根のあらゆる部分にゴムが含まれているため、木を切り倒し、乾燥して粉砕し、水と一緒に煮沸させることによって表面に浮かんでくるゴムを集めるという方法が使われます。

ブリヂストングループでは、グアユールの他にも様々なバイオ素材の研究開発を進めていますが、その中にロシアタンポポという植物があります。このロシアタンポポはウズベキスタンやカザフスタンなどを原産地としているため、研究が進めばパラゴムノキやグアユールとも異なる場所で天然ゴムを採取することができるようになります。タイヤ需要の増加に対応するための研究が日々進められています。

普段当たり前のように見ているタイヤを取り巻く環境が大きく変化していることに気をつけながら、今後のニュースを注目してください。

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