入試で狙われそうな最近の時事ニュース(新たな時代のエネルギー供給システム、コージェネレーションとは)

東京都心で進む再開発のオフィスビルや役所の建物に小さな「発電所」が増えているそうです。どういうことでしょうか?

ガスを燃やして電気を生み出し、熱も利用するという「コージェネレーション」と呼ばれる設備が注目を浴びています。コージェネレーションは商用だけでなく家庭用にも取り入れられる動きがあり、将来的には新しいエネルギー発動設備としてその存在感が一気に増していくと見込まれています。
中学入試の理科・社会でもエネルギー問題を扱う問題は多く出題されるようになっていますので、このコージェネレーションも注意すべきテーマとなります。

そこでこんな問題が考えられます。

  • 「日本の発電電力量の電源別割合が最も高いのは何発電ですか」
  • 「コージェネレーションの課題点が何かについて、自分の考えを述べなさい」

今回は今後の日本のエネルギーシステムを大きく変える可能性を持つ「コージェネレーション」について、中学入試の観点から分析を進めてみます。

【従来システムの課題】

日本の発電電力量の電源供給割合は、2012年度のデータ(電気事業組合の公表値による)で、火力発電が88.3%と圧倒的な数値で最も高くなります。実は火力発電所でつくられるエネルギーが需要地に届くまでに、電気を起こすときに出る熱や、需要地に送るまでに失われてしまう電気が約60%にも及んでしまうので、実際に電気として届くのは40%程度になってしまうのです。

これに対してコージェネレーションのシステムでは、約75〜80%の効率でエネルギーを活用できるため、大きな省エネルギー効果を望めることになります。ここで改めてコージェネレーションの基本形態を確認してみましょう。コージェネレーションとは内燃機関、外燃機関などの排熱を利用して、電気や熱など2種類以上のエネルギーを同時につくり出すシステムのことで、現在では工場やオフィスビル、ホテルや病院など、さまざまな分野で活用されています。

例えばある病院での導入事例(資源エネルギー庁2012年10月の資料による)を見てみましょう。その病院では2000kw級のガスエンジンを2台導入して、発電効率41.6%、排熱回収効率38.6%で合わせて80.2%という高い総合効率を実現しました。コージェネレーションシステムで発電した電気は空調・照明等に利用され、熱は吸収式冷温水機や冷凍機を通じて温水や冷水として利用されています。

コージェネレーションのメリットには、こうした省エネルギーだけでなく、二酸化炭素の排出削減や、エネルギー供給のコスト削減があると言われています。また万が一の停電の際にも長時間にわたって電力を供給できるという効果も見込まれているのです。

このシステムは家庭への導入も始められています。エコファーム、エコウィルといった名前をテレビのCMなどで聞いたことがあるのではないでしょうか。それらこそが家庭用のコージェネレーションシステムの製品名なのです。

一般家庭への導入が進めば、まさにエネルギー革命とも言える現象が起きそうですが、そんなコージェネレーションシステムにもさまざまな課題があります。

【コージェネレーションの課題】

従来システムではありえなかった多くのメリットを持つコージェネレーションシステムですが、現在のところまだ普及が進んでいるとは言えない状況です。

最大のデメリットにして大きな課題になっているのが、初期投資額の大きさです。一般家庭用の製品でもエコウィルで約60〜80万円、エネファームで約200〜300万円とかなりの高額になります。商用になるとさらに高く、トータルで考えると数千万円の初期投資が必要になると言われています。

規模が大きければ大きい程、初期投資額は高くなる分、省エネルギーや省コストなどのメリットも大きくなるとは言えますが、これからさらに普及が広まるためには、少しでも費用を低減することが必要となるでしょう。

また、システムの起点ともなる燃機関には都市ガスが使われることが多いのですが、現在広く使われている都市ガスは天然ガスが使われています。この天然ガスの国内消費量の95%以上は海外からの輸入に頼っています。

主な輸入先は、マレーシア・オーストラリア・インドネシア・カタール・ロシアなどです。もしも世界的に天然ガスの価格が急騰した場合、天然ガスを使用している都市ガスの価格も大きく向上してしまう可能性も当然高くなります。実際に、あるリゾートホテルでは重油を使ってディーゼルエンジンを燃機関としていましたが、燃料価格が高騰したために運転が停止してしまったという例もありました。

新しいエネルギー供給システムであるコージェネレーションでも、燃料価格の変動による影響は避けられないことはしっかり認識しておきましょう。

トヨタ自動車が昨年12月に発売開始した世界初の量産FCV(燃料電池車)『MIRAI(ミライ)』は、水素を燃料として自ら発電して走る車として、大きな話題となりました。これからエネルギーの多様化が加速度的に進んでいくことは明白で、中学校の先生方がエネルギーをテーマとして問題を作成する流れも進んでいくでしょう。大きな魅力を持ったコージェネレーションに関する動きに、これからもぜひ注目してください。

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