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コンビニエンスストアのサークルKサンクスで、「ミドリムシ」を使った中華まんが発売になりました。ミドリムシを使った食品としては、同じくコンビニエンスストアのファミリーマートでミドリムシ入りの抹茶スフレが先月発売されました。ミドリムシを使った食品や化粧品原料は数多く開発され、「ミドリムシ」が2014年ユーキャン新語・流行語大賞の候補50語にも選ばれるなど、その注目度は大きくアップしています。
このミドリムシですが、実は地球を救う可能性を持った大変な生き物なのです。
そこでこんな問題が考えられます。
今回は果てしない可能性を秘めた生き物「ミドリムシ」をテーマに、中学入試の理科・社会の観点から分析を進めてみます。
ミドリムシと聞くと昆虫の一種ではないかと思ってしまいますが、ミドリムシは昆虫ではなく、ワカメやコンブと同じ「藻」の仲間です。緑色の体で植物のように光合成を行って栄養分を体内に蓄えるだけでなく、動物のように細胞を変形させることで自分の力で動くことができるのです。ここに植物でもあり、動物でもあると言われる所以があります。
植物としての特質に注目すると、ミドリムシが地球の環境問題の解決に大きな役目を担っていることがわかります。
光合成についての1問目の答えは「二酸化炭素」です。光合成を行う生物は、光エネルギーを使って水と空気中の二酸化炭素からでんぷんなどの炭水化物を合成して、水を分解する過程で生じた酸素を大気中に供給しています。
ミドリムシは光合成を通して、稲の数十倍もの速度で二酸化炭素を炭水化物に固定化して酸素をつくりだすと言われています。さらにミドリムシは大気中の約1000倍という高い二酸化炭素濃度の中でも元気に生きていけるだけの適性能力を持っているそうです。
二酸化炭素を吸収・固定する能力が非常に高いミドリムシは、地球温暖化の防止に貢献する、いわば地球の救世主となる可能性があるのです。
食品として使われるミドリムシの特徴を見てみましょう。植物でもあり動物でもあるミドリムシは、ビタミン、ミネラル、アミノ酸など59種類もの豊富な栄養素を備えています。その中には青魚が持っているDNA、EPAまで含んでいるのです。NASAが宇宙食として興味を示すのも当然と言えるでしょう。ミドリムシを使った医療、医療品の開発が行われたのは1990年代になってからでした。そして2005年に、日本の会社である株式会社ユーグレナが沖縄県石垣島で世界初となるミドリムシの食品としての屋外大量培養に成功しました。ミドリムシ入りの中華まんや抹茶スフレもユーグレナがコンビニエンスストアと共同で開発したものです。豊富な栄養素を備えたミドリムシがこれから世界的に広がると、栄養素が足りないことでおきる病気でも予防することができるのです。
ミドリムシからできた燃料でジェット機が飛ぶ…夢のような話ですが、その計画が着々と実現に向けて動き出しています。株式会社ユーグレナでは全日空やNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)などからの支援を受け、ジェット機に使えるミドリムシバイオ燃料の研究開発を進めています。
植物や藻類などからつくり出すバイオ燃料は石油などの化石燃料のように資源が枯渇する心配がありません。また化石燃料を燃料として使用すると新たに二酸化炭素を排出してしまうのに対して、バイオ燃料は成長の過程で二酸化炭素を吸収・固定して、それを燃料として排出しているので、結果としては二酸化炭素の排出量が増えないことになります。それが最近では、バイオ燃料の二酸化炭素排出に対する目も厳しくなり、生産から消費・廃棄に至るまで全体で二酸化炭素削減が50%に達しなければ、バイオ燃料の削減効果を認めないという考え方が主流になってきました。
その基準を満たしているのが2問目の答えの「サトウキビ」なのですが、そんなサトウキビにも代わる新たなバイオ燃料として、ミドリムシが注目を集めているのです。
ミドリムシは、光合成によって二酸化炭素を固定して成長する際に、油脂分をつくり出しており、これをバイオ燃料の元として利用することが可能になります。さらにミドリムシは藻類の中でも抽出・精製された油が軽質であることから、他の藻類と比べてもジェット燃料に適していると言われています。
燃料として使用するためのミドリムシの生産量は膨大になりますが、専用設備を使って培養するために農地を使う必要がありません。サトウキビやトウモロコシなどのバイオ燃料よりも敷地あたりの油脂生産性が高いこともあって、バイオ燃料としてのミドリムシへの注目度が大きく上がっているのです。
環境問題・食糧問題への世界の懸念が高まる中にあって、このミドリムシの価値は一層高まっていくでしょう。体長たった0.05mmの小さな生物が地球の救世主になるかもしれません。ぜひミドリムシの活躍に今後も注目してください。
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