入試で狙われそうな最近の時事ニュース(東京から富士山が見えた日数が50年前の6倍に)

2014年の1年間に東京都内から富士山が見えた日は138日で、これは50年前の6倍にもなる水準であることが、民間の気象観測所の調査で分かりました。

確かに自分たちが子供の頃と比べても、高いビル群に遮られることが多くなったとはいえ、それでも富士山がくっきりと見える日が多くなった印象はあります。富士山がより多く見えるようになった理由は空気が澄むようになったためですが、その空気が澄むようになった理由となると、公害対策が進んだこと以外にどんなことが考えられるでしょうか。

また、東京から見える富士山といえば、葛飾北斎の『富嶽三十六景』を見逃すことはできません。

そこでこんな問題が考えられます。

  • 「東京から富士山が見える日数が増えた理由として、大気中の汚染物質が減ったこと以外にどのようなことが考えられるでしょうか」
  • 「葛飾北斎の『富嶽三十六景』の中の『江都駿河町三井見世略図(こうとするがちょうみついみせりゃくず)』に描かれている店の看板に、「現金掛け値なし」という文言がありますが、どのような意味でしょうか」

今回は富士山が東京から見えやすくなったというニュースについて、中学受験の理科・社会の観点から分析したいと思います。

【空気が澄んでいる理由】

東京の大気が澄むようになった大きな理由は、公害対策が進んだことにあります。高度経済成長期に問題化した大気汚染に対して、1968年に「大気汚染防止法」が施行されました。東京都などでは2003年にディーゼル車の排ガス規制も始まりました。

そうした公害対策が奏功したことに加えて「ヒートアイランド現象による乾燥も影響している」(帝京大学・三上岳彦教授)という説もあります。気象庁によると、東京の平均湿度は1960年代には64.7%だったのですが、2000年以降は59.8%にまで低下しているそうです。湿度が低いと大気中の水蒸気が視界を妨げることが減るため、富士山がより見えやすくなるということなのです。公害対策が進んで富士山がよく見えるようになるのは大変喜ばしいことですが、空気の乾燥という別の環境問題が生じつつあることもしっかり認識しておく必要があります。

空気中の水蒸気に関連して、霧や「もや」ができる仕組みも整理しておきましょう。ここで重要なのが「飽和水蒸気量」です。ここでは詳しい説明は割愛しますが、理科の重要ワードのひとつなのでしっかり確認しておいてください。飽和水蒸気量は空気の温度が高いほど多く、温度が低いほど少なくなります。空気が冷えることで飽和水蒸気量が空気中の水蒸気量を下回る(露点を超える)と、空気中の水蒸気が液体となって、水滴の状態で空気中に浮かんだ状態になります。この現象が地表近くで生じると霧や「もや」になり、上空の高い位置で起こると雲になるのです。

理科の問題では雲のでき方としてよく出題されますので、必ず覚えておくようにしてください。

【富嶽三十六景】

葛飾北斎については以前のメルマガ(2014/09/19「印象派の巨匠モネと葛飾北斎の接点」)でも触れましたので、ぜひそちらも参考にしてください。 今回の題材となる『江都駿河町三井見世略図』はネットでも閲覧できますので、ぜひ絵を見ながら読み進めてみてください。

絵の舞台となった駿河町は現在の日本橋室町にあたります。絵の中にある「三井」とは呉服屋の三井越後屋のことで、現在の三越百貨店の前身になります。この越後屋の看板にある「現金掛け値なし」とは、掛け売り(代金後払いの約束で品物を売ること)をやめて現金取引とする一方で、掛け値(支払い日までの利息を含んだ価格)をやめて公正な価格とする販売方法のことです。そこから転じて、「うそいつわりのないこと。正真正銘であること」という意味にもなります。

当時の呉服業界では「節季払い」という年に二、三度まとめて商品の代金を支払うシステムが一般的でした。そのため商品の値段は掛け値となり、利息が含まれることで高値になっていました。そこへ17世紀の後半に伊勢松坂で商人として成功していた三井高利(みついたかとし)が、「現金掛け値なし」という新しい商法を江戸に持ち込んで、三井越後屋を大繁盛させたのです。顧客にとっては現金支払いをしなければなりませんが、その分安い値段で購入できるというメリットがありました。

三井高利はその他にも「店先売り」という新商法も導入しました。これは文字通り、来店した客に商品を売る方法です。今では当たり前のことですが、当時の呉服業界の商売方法は商品を包んだ風呂敷をかついだセールスマンが顧客のもとに訪れる、という訪問販売が一般的でした。店先売りにすることで、顧客からすればその場でたくさんの商品を見ることができたため、この商法は大きな成功を収めました。

三井高利の商才は同業者からは嫉妬の対象となり、組合からの追放や不買運動など様々な迫害にあいますが、幕府御用達の商人に任命されたことで、そうした難も乗り越えることができたのです。この三井高利こそがのちの三井財閥の基礎を築いた人物でした。

『江都駿河町三井見世略図』は、越後屋の三角形の屋根と、中央の奥に同じく三角形の富士山が配置され、空中にはお正月の凧(たこ)が舞うといった空間構成が絶妙であると評される名作です。その他にも『富嶽三十六景』には様々な富士山の姿がありますので、ぜひお子さんと閲覧してみてください。

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