入試で狙われそうな最近の時事ニュース(来年度中学入試時事の大本命 北陸新幹線が開業)

先日3月14日に、北陸新幹線の長野—金沢間がついに開業しました。新幹線は中学入試で頻出テーマのひとつで、昨2014年が東海道新幹線の開業50周年であったことから、今年2月の入試でも慶應中等部、桐朋中、学習院女子など多くの学校で新幹線をテーマとした問題が見られました。すでに北陸新幹線についての問題を出している学校もあります。来年度入試で北陸新幹線が要注意のテーマとなることは必至です。そこでこんな問題が考えられます。

  • 「北陸新幹線は豪雪地帯を走ることから、線路の大部分を高架とするなどの対策が講じられています。一般に雪の対策として、除雪や排雪といった雪を固体のまま移動させる方法以外に、雪を溶かして水に変える融雪(ゆうせつ)という手段もあります。この融雪の問題点について説明しなさい」
  • 「石川県金沢市で発展を遂げた染色技法(とその作品)を何と呼びますか」

今回は北陸新幹線開業のニュースについて中学受験の理科・社会の観点から分析したいと思います。

【融雪】

北陸新幹線と同じく雪の多い地域を走る新幹線ということで、今年の慶應中等部の社会で上越新幹線が問題対象となっていました。上越新幹線では線路周辺にスプリンクラーを重点的に設置している、といった内容でしたが、今年開業した北陸新幹線にとっても雪の対策は避けて通れないものでした。北陸新幹線では線路の大部分が高架となり、線路はその高架橋の一段高いところに敷かれています。列車や除雪車で線路の雪を両脇によけて、雪を貯めておく「閉床式貯雪形高架橋」と呼ばれる構造が、高架の基本パターンになっています。

ここで雪対策全般について踏み込んでみます。雪を固体のまま移動させるのではなく、水に溶かす融雪という方法には主に2つ、雪の融点にまで雪に熱を与える動作と、雪の融点を低下させる動作があります。このそれぞれの問題点が第1問の答えとなります。

雪に熱を与える方法で最も多く用いられるのが、地下水や水道水を消雪パイプやホースを通じて散水する方法です。比較的廉価で行えるというメリットはありますが、大量に地下水を使用し過ぎると地盤沈下の原因にもなり、また気温が氷点下以下になる地域では適さなくなります。
雪をカーボンブラックなどで黒く着色することで、太陽熱を吸収させるという方法もあります。これは後に挙げる塩化カルシウムを用いる方法などと比べると環境への悪影響が少なくすみますが、ある程度の日照時間があることが前提となるため、一日中日影になってしまう場所には適さなくなります。

雪の融点そのものを下げる方法としては、塩化カルシウムの主成分とする融雪剤の散布が行われることが多いです。効果てき面ではありますが、塩分が多く含まれているため、土にまいてしまうと植物が育たなくなる、地下水や河川水にも悪影響が及ぶ、自動車や線路にとってはサビの原因にもなる、といったいわゆる「塩害」が懸念されます。

除雪や排雪などは建造物の構造そのものから考える必要があり、経済的な面などの問題がありそうに見えますが、融雪という方法にもメリット・デメリットがあることを理解しておきましょう。

【友禅】

第2問の答えは「加賀友禅(かがゆうぜん)」です。作品としての加賀友禅は着物を指します。友禅染めとは、絵柄の輪郭に糊(のり)を置いて、それを防波堤の様にして、ひとつひとつの色が外へしみ出さない様にした技法のことです。加賀友禅と、京都の京友禅がよく比較されますが、いずれの友禅もその創始者は宮崎友禅斎という人物で共通しています。京友禅を創始した宮崎友禅斎が江戸時代の中期に京都から金沢に渡ったことから加賀友禅の歴史は始まりました。

創始者が同じでも、加賀友禅と京友禅にはいくつかの違いがあります。京友禅が金箔や刺繍をほどこした図案調の模様であるのに対し、加賀友禅は金箔や刺繍は一切使わず、細やかな絵柄と深みのある色使いで表現されています。加賀友禅の模様には、草や花、鳥などの絵画調のものが多く見られます。

加賀友禅では加賀五彩(かがごさい)と呼ばれる5色が使われることが基本となります。北陸新幹線・金沢駅のホームに設置された可動式ホーム柵(ホームドア)も、この加賀五彩にちなんで各線で色が異なるようにつくられているそうです。

加賀五彩は「黄土・深緑・古代紫・藍・墨」の5色ですが、いずれも地味な中間色です。この5色をベースに、様々な組み合わせで何十色もの別の中間色がつくられます。京友禅と比べると、同じ色でも鮮やかな京友禅に比べて加賀友禅は淡く落ち着いた色調になります。その理由として金沢の気候が影響しているという説もあります。沖縄のような気候であれば原色が似合いますが、金沢では原色が風土として似合わない。いわば「曇天の美」が映える風土だからこその色使いであるとのことです。

そうした淡い色をより魅力的に見せるために、加賀友禅では色に濃淡をつける「ぼかし」という技法が使われています。このぼかしでの発色の仕上げとして、川の流れで余分な糊や染料を洗い流す「友禅流し」と呼ばれる技法が使われています。もともとは自然の川で行われていましたが、水質汚染などの影響で現在では人工的に作り出した川の流れで行われることが多いそうです。流れが速すぎると必要な染料まで流れてしまい、逆に流れが遅いと余分な染料が落ちないために美しい色が出ないため、その絶妙な流れのスピードを再現する工夫が必要となります。伝統を継承するためには様々な試みが必要となる一例と言えます。ぜひ今後も北陸新幹線、金沢に関するニュースには日々目を向けるようにしましょう。

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