入試で狙われそうな最近の時事ニュース(なぜオーロラは北極圏や南極大陸のような極地でしか見ることができないのか)

3月18日未明に、北海道名寄(なよろ)市の「なよろ市立天文台きたすばる」の職員が、オーロラの撮影に成功しました。天文台によると、国内でオーロラが観測されたのは2004年11月以来とのことです。
きたすばるのHPで今回のオーロラの観測写真が見ることができます。

オーロラといえば、天空にカーテンのように広がる神秘的なイメージがあり、誰しもが一度は見てみたいと思う自然の芸術作品ですが、そもそもどのようにしてオーロラは発生するのでしょう。また、なぜ日本ではなかなか見ることができないのでしょうか。そこでこんな問題が考えられます。

  • 「オーロラはなぜ北極圏や南極大陸のような極地でしか見ることができないのでしょうか。磁場、という語句を使って説明しなさい」
  • 「日本でのオーロラについての最古の記述がなされているといわれる書物は、奈良時代に舎人(とねり)親王によって書かれた歴史書です。その書物の名前を漢字で答えなさい」

今回は国内で約10年ぶりにオーロラが観測されたニュースについて中学受験の理科・社会(文学史)の観点から分析したいと思います。

【オーロラはなぜできる】

オーロラの発生メカニズムには太陽が深くかかわっています。太陽は「太陽風」というガスを放出しています。このガスはプラズマと呼ばれ、電子や水素イオンなどの粒子から成るものです。この太陽風が地球に到達した際に、地球の「磁場」の影響を受けて極地に運ばれます。磁場というもののイメージが難しい場合は、地球が北極をS極、南極をN極とする大きな磁石であることを想像してみてください。太陽から飛んできた電子やイオンは、磁石の力で地球に引き寄せられて、北極と南極めがけて地球に飛び込んできます。この時に北極や南極上空で大気中の酸素や窒素などの原子を刺激して発光が起こります。それがオーロラなのです。このメカニズムが第1問の答えになります。太陽風が地球の磁場の影響で、S極(北極)とN極(南極)を起点・終点とした磁力線に沿って極地へと運ばれていくため、日本をはじめ緯度の低い地域ではオーロラがなかなか見られないのです。

電子が原子を刺激する件について、もう少し踏み込んでみましょう。太陽風に含まれる電子が大気中の酸素や窒素の原子・分子に高速で衝突します。すると原子は電子から運動エネルギーを与えられ、通常の状態とは異なる、励起(れいき)という不安定な状態になります。この励起状態が収まって元に戻る際に、余分なエネルギーを電磁波(光)として放出します。これがオーロラの発光源になるのです。

同じように電子が高速で衝突した際に発光するというメカニズムが使われているものがネオンサインです。ネオンサインでは、ネオン管と呼ばれる管の中にネオンガスという物質が入っていて、そのネオンガスに高速で電子を衝突させた際に発光する仕組みが使われています。普段、街中で目にするネオンサインと、遠く極地付近で見られる神秘のオーロラに共通点があることに気をつけておいてください。

【日本で見られるオーロラ】

普段はより緯度の高い地域で見られるオーロラが日本でも見られたのはなぜでしょう。オーロラが観測された3日ほど前に、太陽の表面で起きる「フレア」と呼ばれる爆発現象が活発になり、過去10年で最大規模の磁気の嵐が地球に襲来してきました。そのため、低緯度の地域でもオーロラを観測することができたそうです。

今回北海道で観測されたものもそうですが、低緯度地域で見られるオーロラは北の空であまり動きを見せずに、赤色の幕の様に広がっていることが多くなります。高緯度地域で見られるような、多くの方々がオーロラと聞いてイメージするものとは異なります。

それでも太陽活動が活発な時期に、これまでも日本でオーロラが観測されたことが何度かありました。小規模のものは緯度が高い北海道で見られることが多いですが、大規模になると見られる地域は南にまで広がります。1989年10月のオーロラは東北地方でも目撃され、また1958年2月のものは中部・関東地方にまで見られる地域が広がりました。

古い記録によれば、1770年9月のオーロラ(当時は「赤気(せっき)」と呼ばれていました)は、北海道から九州の長崎までの広い範囲で見られたとのことです。

さらにさかのぼって、オーロラについての日本最古の記述が見られるのが第2問の答え「日本書紀」です。日本書紀の記述は原文では以下のように残されています。
「(前略)天有赤氣、長一丈餘、形似雉尾。」

いきなり漢字ばかりが並んできましたが、日本書紀はこのように漢文のかたちで書かれています。また、日本書紀では編年体(へんねんたい)という起こった出来事を年代順に記していく方法がとられていますが、これに対して個人や一つの国に関しての情報をまとめて記述する方法を紀伝体(きでんたい)と言います。日本書紀でのオーロラの記述を現代語訳すると「天に赤気があり、その形は雉(キジ)の尾に似ていた。長さは一丈(約3.8m)あまりであった」となります。雉の尾のようなかたちというところにオーロラらしさが表されていますね。

奈良時代にもオーロラが見られていたことに驚きを感じますが、日本がいかに時代を経ても宇宙で起きる現象に変わりはない。宇宙の歴史からすれば日本の歴史はほんの一部に過ぎない、ということをオーロラが教えてくれているようにも思われます。

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