入試で狙われそうな今月の理科時事問題

今月は、“理化学研究所113番元素の命名権”と“ドローン”についてのお話です。

<理化学研究所113番元素の命名権を与えられる>

元旦になる2時間前、欧米の国以外では初めて日本人が新しい元素を発見し、国際機関に認められたというニュースが報道されました。
理化学研究所(理研)は記者会見を行って、化学者の国際組織IUPACから原子番号113の元素の発見者として認定され命名権を与えられたと発表しました。発見したのは理化学研究所の森田浩介教授(九州大)のチームです。

『元素ってなに?』

文明が発祥した古代中国、古代インドの時代から「物質は何からできているか」という疑問を人々は考えてきました。古代ギリシャの人々は「火」「土」「水」「空気」が4大元素であると考えていました。
16世紀になると錬金術師達が金を作り出そうと色々と実験をしたことで化学的知識が増えていき、18世紀になると科学の発展に伴って、もうこれ以上細かく分かれない物質が数多く有ることが判ってきました。火を付けると燃えて水になる「水素」、これが無いと物が燃えない「酸素」などが次々と発見されてきました。これらの物質を元素と呼びます。
現在では元素の中心にある原子核の重さによってそれぞれ異なる元素であると判っています。一番軽い元素を原子番号1として水素と決め、2番目をヘリウムというように、重い順に番号が増えていき元素の名称が決まっています。
元素を重い順に並べていくと同じような性質を持つ元素が繰り返し出てくることに気が付いたロシアの化学者ドミトリ・メンデレーエフは、1869年に科学的な性質によって並べた元素の周期表という物を提案しました。するとその表に記載されていない重さの元素があることが明確となり、多くの科学者が未知の元素の発見を競い合いました。この周期表が数々の改善を経て現在まで使われています。
近代科学は西欧を発祥の地とし、これまで全ての元素は欧米人により発見されているために、名称も欧米人によって決められてきました。今回の快挙で初めて欧米以外の日本人により命名された元素の名称が周期表にのることになります。

『 なぜ新元素の発見が困難なのでしょうか?』

自然な状態で存在する元素は、原子力発電の燃料として皆さんも知っている原子番号92のウランまでで、93番目以降は人工的に作製された元素です。ただし、43番、61番と85番の元素は例外で、自然界にはありません。一般的に重い元素ほど不安定で別の元素へ変化してしまいます。今回の原子番号113の元素は原子番号30の亜鉛と原子番号83のビスマスを秒速3万km、光速の10分の1の速度で衝突させて作り出しましたが、合成されてわずか0.667ms(約1万分の7秒)で次の元素へと姿を変えます。またその元素も次の姿へ、と次々に姿を変えていき、わずか135秒の間に6回の変身を行い、原子番号101の元素になるほど不安定なのです。そんな短時間に新しい元素であることを証明しなければなりませんし、ちゃんと衝突させるのも大変な数を重ねなければならなかったからこそ困難な発見であったとされているのです。

今回IUPACによって、この他に115,117,118番の3元素がロシアと米国の合同チームに認められました。これで現在元素として認められるのは118種類となります。

<ドローンとは>

2015年4月に首相官邸のヘリポートに墜落したことなどで一躍有名になったドローンですが、ドローンとは何の名称なのでしょうか?プロペラが平面上に4つとか8つ並んで垂直に飛び上がるリモコンの遊び道具だけではないのですよ。ドローンの語源はオスのハチをさす言葉でしたが、無人で遠隔操作や自動制御によって飛行できる航空機の総称として使われているのです。実は元をたどると軍事用無人機の技術になります。
1970年頃から無線機の小型化や電子誘導装置が発達したことにより、写真偵察などを目的とする無人偵察機がアメリカやイスラエルで本格的に開発され、20世紀末からは高精細な画像撮影や伝送機器、通信機器、コンピュータの発達により、リアルタイムでの操縦と偵察映像の入手、完全自動操縦などが可能となってきました。

『なんで急に普及したのでしょうか?』

軍事技術のGPSが民間に普及し自動車のカーナビとして花開いたことはご存知ですよね。同じように、無線機、姿勢制御装置やGPS等の部品の小型・軽量化・高性能化が進み、民需用のドローンは操縦しやすい機体が量販店で簡単に買えるようになりました。これが普及を促進させた理由となります。余りに急速に普及したため、操縦するルールを定める法律が整備されるのが後手に回ったほどです。
そうなると、中には不注意やいたずら心で事件や事故を起こす人も出てきました。首相官邸無人機落下事件や、文化財などの建築物の撮影や地域の祭りなどの催しで許可なく使用したり、操縦の不注意での衝突・落下、テロへの悪用の危険性など安全管理が問題になってきました。一方で、有効利用の可能性に社会が着目し、優れた提案がされるようにもなってきましたので、このような事態を受けて2015年9月4日、改正航空法が可決成立し、使用に関する規制・罰則が定められ、12月10日に施行されました。
この法律により、墜落事故が起こらないよう「人口密集地区」の飛行が許可制となったため、都内23区はほぼ全域がその対象となりました。そこで、東京都はドローンを活用する産業の育成のためにも「国家戦略特区制度」を活用し都内の山間部や島しょ部に「ドローン特区」を作り、高画質の伝送、災害時の孤立した集落への長距離物資輸送、害獣対策等の実証試験を行う方針を公表しました。

『今後の可能性』

事件や事故の印象がどうしても強くなってしまいますが、活用の仕方によってドローンが私たちの生活の中で重要な役割を果たしていく可能性は十分にあります。
以下のような可能性があることもぜひ注意しておきたいですね。

  • (1)軽量物資の宅配、被災孤立地域への物資輸送
  • (2)火山、水害等の危険地域の監視・データ取得
  • (3)上空からの景観撮影や老朽化した建物・橋脚等の調査
  • (4)ドローンの大型化
  • (5)移動範囲・飛翔時間の拡大

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