サピックス6年生 5月10日(火)マンスリーテスト算数攻略ポイント

6年生5月度のマンスリーテスト対策をお伝えします。今回も攻略ポイントだけでなく予想問題付きです。マンスリー過去問を分析し最も出題される可能性が高い問題を揃えてあります。解説も準備しますので、間違えた箇所はとくに読み込んで本番で同じ間違えをしないように注意してください。

問題は5/2(月)のお昼ごろ 鉄人会のHPにアップ致します。アップが完了しましたらフェイスブック、ツイッターでお知らせ致しますので、ぜひ鉄人会のフェイスブック、ツイッターをフォローしておいてください。予想問題は5/9(月)の17時ごろまで1週間だけの公開となります。その後は公開致しませんので入手忘れがないようにツイッターかフェイスブックのフォローをお勧め致します。
※今回の予想問題はベータ版ですので無料です。

今回のテストの範囲は、「2量の関係」「小数・分数」「立体図形(1)」「立体図形(2)」となる予定です。4月のマンスリーと比べると範囲は少なくなりますが、それでも大事な単元が目白押しですので、それぞれの単元で気をつけるべきポイントについて、順にお伝えして行きます。
なお表記上の注意点ですが、分数については、2分の1は1/2と分数線が斜線になるかたち、帯分数は1と3分の2は1・2/3のかたちとします。
また、「○の中に数字」の表記が文字化けしてしまう可能性がありますので、マル1、マル2と表記させて頂きます。

【攻略ポイント1 『基礎力トレーニング』の復習】

ここ何回かくり返しお伝えしていることですが、基本的な内容の理解度をチェックするために、ぜひ『基礎力トレーニング』の復習を活用してください。今回のテストでも小問集合のかたちで、『基礎力トレーニング』(S−03)からの出題が予想されます。小問集合でどれだけ失点を抑えられるかがテスト全体の得点をアップさせるポイントになることは、すでに経験されていると思います。ぜひ『基礎力トレーニング』の復習は取り入れるようにしてください。

例えば、「0、3、4、6、7の数字が書かれた5枚のカードの中から3枚を選んでできる3けたの整数のうち、4の倍数は何個ありますか」といった問題を確実に正解するためのポイントはおさえられているでしょうか。まず4の倍数は、下2ケタの数が4の倍数になるということは確実に覚えられているでしょうか。これが3の倍数となる問題もよく見られます。倍数のきまりはしっかり確認しておきましょう。また、0のカードの扱いにも注意が必要です。3けたの整数にしなければなりませんので、百の位に0は使えません。どれも当たり前のことと思われるかもしれませんが、テストの会場でもこうしたポイントを焦らず迷わず思い出せるように、しっかり復習をしておきましょう。

食塩水の濃度の問題も注意が必要です。6年生の5月にもなれば、小問集合の中に、食塩水の混ぜあわせの問題が出てくる可能性が十分に高くあります。基本よりも難しい標準レベル問題も、この時期のテストでは基本の扱いで出題されるという一例です。
例えば、「濃さ15%の食塩水240gに、濃さ8%の食塩水を何g加えて混ぜると、濃さ10.8%の食塩水になりますか」といった問題。面積図がかければすぐに解決できる問題ですが、面積図のかき方が曖昧であってはいけないことはもちろん、作図に時間をかけ過ぎてしまっても、その後の進め方に影響が及んでしまいます。ラフでも間違いのない面積図を確かなスピードでかけるように、しっかり復習をしておきましょう。

平面図形の角度の問題で、長方形を折り曲げるタイプの問題もよく見直しておいてください。同じ角度がどこに移動するかといった視点の変え方は、同じパターンの問題をくり返し解くことで、確実に身について行きます。視点の変え方がしっかりできれば決して難しい問題ではなく、大事な得点源になります。図形の折り曲げもぜひ復習しておいてください。

ここからは単元別の解説になります。

【攻略ポイント2 2量の関係】

正比例・反比例に関する問題が中心になりますが、なかなか対応しづらい問題も含まれます。解き方がわかっていなければ手も足も出なくなってしまうことがありますので、注意してください。

まずは正比例・反比例の基本として、2つの数量に関するいくつかのケースを挙げて、それが正比例するものか反比例するものか、あるいはそのどちらでもないかを区別させる問題があります。例えば以下の3つのケースはどのように区別されるでしょうか。

  • ア 面積が100平方cmであるひし形の、2つの対角線の長さ
  • イ 濃さ10%の食塩水の、全体の重さと溶けている食塩の重さ
  • ウ 時速20kmで100kmを走るときの、走った距離と残りの距離

すぐに答えが浮かばなければ、式にしてみるとよいでしょう。アであればA×B÷2=100より、A×B=200と、積が一定になりますので反比例、イであれば、A×0.1=Bと商(割り算の答え)が一定になるため正比例とわかります。問題はウで、A+B=100と、和が一定になりますので、これは正比例でも反比例でもなくなります。2つの量が正比例する場合、反比例する場合の式のかたちさえ把握できていれば、正解に行きつくことができます。式のかたちをよく確認しておいてください。
ここで、できれば文章内容を式にする練習をするためにも、「和が一定」「差が一定」「積が一定」「商が一定」の四つのパターンについて、まとめて整理しておくとよいでしょう。「和が一定」は上記のような合計の値が定まっている場合、「差が一定」は、例えば兄と弟の年齢の関係など、そして「積が一定」は反比例の関係、「商が一定」はA×定数=Bとなるので、正比例の関係となります。

その他、典型的な反比例の問題として、歯車の問題があります。歯車がかみ合っている場合、それぞれの歯数×回転数の答えは同じになることを確認しておきましょう。

この単元で注意すべき問題として、まず2つの量の.関係が「段階的な変化」をするタイプの問題があります。例題を挙げましょう。
「ある市のタクシー料金は、乗ってから1500mまでは620円で、1500mを超えると80円加算され、以後315mを超えるごとに80円加算されます。例えば、2200m利用したときにかかる料金は860円です。花子さんがこのタクシーを利用したとき、支払った料金は1500円でした。花子さんがこのタクシーを利用した距離の範囲は何mを超えて何mまでと考えられますか」
まず答えが幅になるということが、多くのお子さんを悩ませる要因になります。答えがひとつに絞られないと、それだけで難しいと思ってしまうことが多いようです。

このタイプの問題を攻略するためには、ぜひグラフをかいて内容を整理してください。 実際に上記の問題をグラフにしてみましょう。
まず、縦軸を料金、横軸を距離とします。縦軸上のある地点(半分より少し下くらい)を620円とします。0mでは料金は発生しないので、その地点は白丸とします。そこから横軸に平行に線を伸ばし、1500mのところは620円の料金が発生する終点ですので、黒丸として線を止めます。この後も料金が発生する点は黒丸、発生しない点は白丸として行きますので、この区別を間違わないようにしてください。
グラフの作成を続けます。1500mの黒丸から80円分上に白丸を置いて、そこからまた横軸と平行に線を伸ばし、315m分伸ばしたところで黒丸、またそこから80円分上に白丸を置いて、そこから315m分横に線分を伸ばして黒丸…とくり返します。結果として階段のようなグラフができあがりましたでしょうか。このグラフは多少時間がかかっても、ぜひかいてみてください。このグラフがかければ、内容理解が大いに進みます。
ここで、問題で示されている例をチェックしてみましょう。タクシーを2200m利用した場合、2200−1500=700(m)が基本料金620円を超える分になります。700÷315=2あまり70より、基本料金から2+1=3回加算されることになり、620+80×(2+1)=860(円)となります。この加算される回数の数え方に気をつけてください。曖昧になってしまった場合は、グラフを見て、具体的な数値をあてはめて確認しておきましょう。
ここから本題を解いて行きますが、方針として、まず基本料金から何円増えているかを確認し、そこから基本料金からの加算回数を算出することになります。1500−620=880(円)、880÷80=11(回)となります。ここから注意が必要です。加算回数が11回ということは、タクシーを利用した距離が「最大の場合」で、1500+315×11=4965(m)となります。この距離を少しでも超えてしまうと、タクシーは12回目の加算をしてしまいます。あとは、この4965mから315m手前までがこの11回の加算の対象になりますので、4965−315=4650(m)を超えて4965mまで、が答えとなります。
別解として、11回を算出してから、1500+315×(11−1)=4650(m)と、最小の場合を先に出す方法もあります。もちろんどちらでも構いませんが、1をマイナスする意味が曖昧な場合は、最大値から出す方法を試してみるとよいでしょう。

このタイプの問題では、タクシー料金の他に、駐車場の料金や小包の郵送料金、電気・ガス料金などが使われることが多いです。いずれもお子さんにとっては、あまり馴染みがない状況であることも問題を難しく感じさせてしまう要因とも思えますが、解き方さえしっかり身につけておけば複雑な内容ではありません。得点できるようになれば差をつけられる問題にもなりますので、ぜひ焦らずじっくり練習してください。

また、時計が遅れる、進むといった問題も、多くのお子さんが難しいと感じてしまうタイプの問題です。計算が複雑になる印象があるかもしれませんが、粘り強く取り組めば、意外と単純に解き進めることができます。出てきた数字に驚くことなく取り組むようにしましょう。例題を挙げます。
「ある日の朝、7時の時報のときにかべにかかっている時計を見たら、6時58分を指していました。その日の夕方、6時の時報のときに同じ時計を見たら、6時3分を指していました。この時計が正確な時刻を指したのは何時何分ですか」
まず、このタイプの問題で気をつけるのが、時刻を正しく把握することです。というのが、多くのケースで、時刻は時計で表されたまま、24時制ではなく12時制で表されています。そして、文章中にそれが午前なのか午後なのかがわかる言葉を入れているのです。この問題であれば、冒頭の「朝」と、途中の「夕方」を見逃さないことが重要です。ここを見逃してしまうと、思いのほか解くのに時間がかかってしまいます。この問題であれば、正しい時計で朝7時から夕方6時(=18時)の、11時間の間に起きたことであることを間違わないようにしてください。

ここから2つの解き方をご紹介します。
ひとつは正しい時刻と、誤った表示をする時計の「時間の差」から、単位当たりの量の考え方を使う方法です。7時のときに6時58分(2分遅れ)、18時のときに18時3分(3分進み)となることから、誤った表示をする時計が、11時間の間に2+3=5(分)多く進んだことがわかります。朝7時の時点では2分遅れているので、11×2/5=4・2/5(時間)たったときに正しい時刻を指すことになります。よって7時+4時間24分=11時24分となります。

もうひとつの方法では、正しい時刻と誤った表示の時計のそれぞれが動いた時間をそのまま使います。正しい時刻が11時間進んだ間に、誤った表示の時計は6時58分から18時3分と、11時間5分進んだことになります。いずれも分に直し、正しい時間と誤った時計の進む速さの比を出すと、660:665=132:133となります。ここからは線分図があるとさらにわかりやすくなります。正しい時間を上に、誤った時計を下に、2本の線分を引きます。上の線分は7:00が起点となり、下の線分はそこから少し左に6:58が起点になるようにします。そこから右に線を伸ばし、正しい時刻の地点で上下2本の直線がそろうようにしますので、下の線分が少し左に長いかたちになります。
ここで、上の線分の長さをマル132、下の線分の長さをマル133とすると、差のマル1が2分にあたることがわかります。よって、7時から132×2=264(分後)が求める時刻になりますので、7時+4時間24分=11時24分、と出すこともできます。

どちらの方法でも構いません。後に説明した方法は数が大きくなりはしますが、先の方法では時刻が遅れたり進んだりした場合の「差」の数え方を間違えると、正答率が大きく下がってしまう危険性があります。どちらも練習しておいて、より確実に解ける方法を選ぶとよいでしょう。

【攻略ポイント3 小数・分数】

いくつかの出題パターンがありますので、順に説明して行きます。
まずは、分数の大小関係を求めさせる問題です。例えば次のような問題です。
「2/33、3/52、4/67、5/81を小さい順に並べなさい」
分数の大小を比較する際には、分子か分母を同じ数にそろえればよいですが、多くは分子を1にする方法が使われます。この問題では2/33=1/16.5、3/52=1/17.33…、4/67=1/16.75、5/81=1/16.2となります。割り切れない場合は小数第2位か3位くらいまでを出せばよいでしょう。あとは「分母が大きい分数の方が値は小さくなる」ことに気をつけて、順番を決めます。この問題では、3/52、4/67、2/33、5/81の順番が正解になります。解法を身につければ十分に得点源になりますが、全体の正答率も高くなることが予想されます。取りこぼしのないように気をつけましょう。

次に、2つの分数に、ある分数をかけて整数にするタイプの問題です。応用問題になるとかなり難度が上がりますが、まずは基本パターンをしっかり習得しましょう。A/BにかけてもC/Dにかけても積がともに整数になるような0より大きい数のうち、最も小さいものはいくつですか、といった問題です。分子がBとDの最小公倍数、分母がAとCの最大公約数となる分数にすれば正解に行きつけます。このタイプの問題も全体正答率が高くなると推測されますので、しっかり得点できるように復習してください。

小数・分数の単元で特に気をつけて頂きたいのが、既約分数(これ以上約分できない分数)に関する問題です。書き出しと工夫の両方を求められます。例題を挙げてみましょう。
「分母が15である分数のうち、それ以上約分できない分数について、次の問いに答えなさい。

  • (1)0より大きく、2より小さいものは何個ありますか。
  • (2)小さいほうから32番目までのものをすべて加えるといくつになりますか」

まずは(1)ですが、それ以上約分できない分数を挙げるためには、約分できる分数を全体から省けばよいことになります。約分できるということは分母の15との公約数がある数字が分子にくることです。よって、分子を3と5の倍数以外の数にすればよいことになります。
次に、0より大きく2より小さいとありますが、1から2までは帯分数の整数部分が1になるだけで、分数部分は0から1までと同じになりますので、0から1までで該当する分数が挙げられれば、あとはくり返しです。
ここから書き出しですが、分母は15で同じですので、分子にあたる数だけ書き出して行きます。少しでも確実に、かつ時間を短縮できる方法で進めましょう。 0から1までで該当する分子は1、2、4、7、8、11、13、14の8個です。1から2までも同じく8個ですので、答えは8×2=16(個)となります。
この(1)のような、分数の個数を出すだけであれば、より計算が楽な方法があります。集合のベン図を使う解法です。
分母が15で0より大きく2より小さい分数は、分子が1から29となるので全部で29個あります。まず大き目に四角の枠をかいて、1〜29と記しておきます。その枠の中にベン図の丸を2つ、一部が重なるようにかき入れます。1つの丸が3の倍数、もう1つの丸が5の倍数で、重なった部分が15の倍数です。そこでそれぞれの個数を求めると、3の倍数は29÷3=9あまり2より9個、5の倍数は29÷5=5あまり4より5個、15の倍数は29÷15=1あまり14より1個、よって3または5で割りきれる数が9+5−1=13(個)となり、3でも5でも割り切れない数は、29−13=16(個)と求められます。書き出しで起こりうる「もれ」を防ぐことができる方法ですので、ぜひ覚えておいてください。

次に(2)ですが、(1)でご紹介した2つの解法のうち、前者の書き出しの結果をそのまま使います。0から1までの8個をひとつのグループとすると、32番目の分数は32÷8=4より、4つ目のグループの最後の数となります。4つ目のグループは整数部分が3になりますので、32番目の分数は3・14/15です。
ここからがポイントです。32番目の分数までの和を出すにあたって、(1)で書き出した分子の数値の和を式にしてみると、1+2+4+7+8+11+13+14となります。両端の数を足すと1+14=15、2番目と7番目を足すと2+13=15、と端から順に対称の位置にある数どうしを足すと、15になる組がちょうど4個できることになります。分数のかたちにすると、1/15+14/15=15/15=1が4個となるのです。
これは32番目までの分数を並べても同じことです。1/15+3・14/15=3・15/15=4、2/15+3・13/15=3・15/15=4…と、対称の位置にある分数の和がすべて4ですので、32÷2×4=64、と答えを出すことができます。32個の分数すべてをたし算する時間はもちろんありませんので、いかにルールを見つけられるかがポイントになります。練習を重ねてルールを見つける目を養いましょう。

【攻略ポイント4 立体図形(1)】

立体図形が(1)と(2)に分かれます。(1)では立体の体積・表面積、水深変化、円すいの性質を中心に出題されます。特に水深変化は様々な出題パターンがありますので、ひとつひとつの解法を確実に身につけて行きましょう。

まずは体積・表面積ですが、展開図からその立体の体積・表面積を求めさせる問題に注意が必要です。特に円柱や、底面がおうぎ形の柱の問題では、円周や弧の長さから半径や中心角を求めさせることがあります。時間をかけ過ぎないように、3.14の計算結果(1から9までの整数×3.14の結果)を覚えておくことが有効です。

水深変化については、2つのパターンについてご説明します。
ひとつは、ある高さまで水が入っている水そうに、おもりを沈めて行く問題、もうひとつが水を移しかえて、水そうの深さが同じになる問題です。

まずはおもりを沈める問題ですが、塾での授業や、テストの解説では、おもりを積み上げた高さと変化した水深の関係によって、場合わけをして解く説明があります。もちろんそのやり方がしっかり理解できていれば、テストでぜひその解法を活用してください。
ただし、この場合わけという解き方を苦手としているお子さんが非常に多いようです。そこでここでは、図を使って視覚的に解き進められる方法をお伝えします。

まずは例題を挙げてみます。以下のような問題です。
「全体の高さが14cmで、底面積が100平方cmである円柱の形をした水そうがあり、5cmの高さまで水が入っています。また、底面が5cm×5cmの正方形で、高さが2cmの四角柱のおもりが何個もあります。水そうの中にこのおもりを入れることを考えます。ただし、おもりを水そうに入れるときには、水そうの底面とおもりの正方形の面とが平行になるように重ねて入れることにします。次の問いに答えなさい。

  • (1)水そうの中におもりを3個重ねて入れると、水面の高さは何cmになりますか。
  • (2)(1)で入れたおもりの上にさらにおもりをもう1個重ねると、水面の高さは何cmになりますか」

この(1)と(2)は、おもり一つの差ですが、状況が大きく異なります。
多くの解説で見られる場合わけの基準は、おもりがすべて水に沈むかどうか、というところにあります。(1)であれば、水深が2×3=6(cm)を超えるかどうか、(2)では水深が2×4=8(cm)を超えるかどうか、が基準となります。水深が積み上げた高さを超えた場合は水に沈んだおもりの総体積分を容器の底面積で割って増えた水深を出せばよいのですが、水深が積み上げた高さを超えない場合は、底面積を変化させる必要があります。

こうした場合わけを思いつかなくても、図をしっかりかくことで内容がすっきり整理できる方法があります。まず図をかいてみましょう。立体的な図形ではなく、水そうの断面図をかいてください。長方形の上の辺がないかたちで、縦は水そうの高さの14cm、横は適当に十分な長さにして、それを底面積100平方cmの「100」とします。
まず高さ5cmのところに水面を横線で記入します。これで水そうに水が入った初めのかたちになります。そこからおもりを沈めた図にして行きます。おもりは断面図の左はしに長方形のかたちでかき込みます。
(1)では横の長さを底面積の25平方cm分、縦の長さをおもりの高さ2×3=6(cm)になるように長方形を左はしにかきます。
おもりの右横にできた水の部分の面積は75×5=375で、全体の水の量である100×5=500との差にあたる、500−375=125が水の部分の上に来ます。ただし、上のスペースは、おもりの高さと水面の差である6−5=1(cm)の分しかありません。125−75×1=50の分の水が、おもりと水の部分を合わせた全体部分の上に重なることになります。容器全体の底面積は100ですので、50÷100=0.5(cm)が6cmの上に重なり、答えは6+0.5=6.5(cm)となるのです。

次の(2)ですが、おもり4個を重ねた高さは2×4=8(cm)です。(1)と同じく、おもりが入ったことで500−375=125の分の水が、もともとの水の部分の上に重なります。今度は上のスペースが8−5=3(cm)分あります。125÷75=1・2/3(cm)がもともとの水の部分の上に重なり、そのまま5+1・2/3=6・2/3(cm)を答えとすることができます。

場合わけの方法では、実際に計算をしてみて、条件にあえばそのままで、違えば別のやり方に換えることになり、慣れれば判断も早くできますが、作業を負担に感じてしまうお子さんも多いかと思われます。上記の図を使った方法であれば、方針を変えることなくそのまま解き進められるメリットがあります。ぜひ試してみてください。

水そうの深さが同じになるタイプの問題ですが、早速例題を挙げてみましょう。
「底面積の大きさが異なる3つの円柱形の容器A、B、Cがあります。それぞれの容器に同じ量の水を入れたら、水面の高さがAは60cm、Bは48cm、Cは15cmになりました。次に、この容器A、B、Cの水をうまく移しかえて、容器A、B、Cの水面の高さが同じになるとすると、水面の高さは何cmになりますか」
できれば、図をかいてみましょう。円柱の図をかこうとするときに、底面積をどれくらいの大きさにすればよいか、で立ち止まると思います。この問題はそこがポイントになります。水の量は「底面積×水面の高さ」で求められるので、水の量を1とすると、底面積はそれぞれA、B、Cの順に、1/60、1/48、1/15となり、底面積の比は、1/60:1/48:1/15=4:5:16となります。そこで、Aの底面積をマル4、Bの底面積をマル5、Cの底面積をマル16とすることができます。

ここであらためて方針を確認しましょう。3つの容器の水面の高さが同じになる、ということは、仮に3つの容器をすべてつなぎ合わせたとすると、全体の水の量は、底面積をすべて合わせてできる大きな底面積に、同じになる水面の高さをかければ算出できることになります。逆に水面の高さを求めるには、全体の水の量を底面積の和で割れば導き出せます。
全体の水の量についてマルを使って表す際に、A、B、Cそれぞれの容器に入っている水の量を出して足す、という計算はできれば避けましょう。3つの容器に同じ量の水が入っているので、1つの容器に入っている水の量を3倍すればよいのです。計算としてはその方が断然楽になります。60cmという計算しやすい数値である容器Aを使って算出します。
全体の水の量は「マル4×60×3」、底面積の和は「マル4+マル5+マル16」なので、マル4×60×3÷(マル4+マル5+マル16)=28.8(cm)と求められます。
わかっていない数値があったとしても、比を有効に使えば解き進めることができます。比についてはしっかり復習をしておきましょう。

円すいの性質に関する問題では、以下の内容について、まずチェックしてください。

  • ①展開図での側面(おうぎ形)の中心角=360度×(底面の半径/母線)
  • ②側面積=母線×底面の半径×3.14

この2つはいずれも母線と底面の半径の関係を活用したものですが、①の式が理解できれば、側面積(おうぎ形)は母線×母線×3.14×中心角/360の式で導き出せるので、中心角の部分を①の式と入れ替えると、②の式が成り立つことがわかります。まずは①の式の成り立ちをしっかり復習してください。展開図で側面のおうぎ形の弧の長さと、底面の円周の長さが一致することから、それぞれを式で表して比べてみると、すぐに理解できます。

上記の2つの式を活用する問題の例を挙げてみましょう。メルマガでは図を表せませんので、実際に図をかいて考えてみてください。
「側面の展開図(おうぎ形)の中心角が120度になる円すいがあります。この円すいを、下底面(下の部分の底面)が半径8cmの円で、上底面と下底面をつなぐ母線部分の線分の長さが9cmになる円すい台の上にのせると、1つの大きな円すいができます。円周率を3.14として、次の問いに答えなさい。

  • (1)円すいの底面の半径は何cmですか。
  • (2)円すい台の表面積は何平方cmですか」

図はかけましたでしょうか。まずは(1)から取り組んでみます。

側面の展開図の中心角が120度になることから、上述の①の式にあてはめると、底面の半径/母線=120/360=1/3となります。ここで、相似の考え方から、展開図の円すいを円すい台の上にのせてできた大きな円すいについても「底面の半径/母線」の値が1/3となります。よって、大きな円すいの母線は8×3=24(cm)と求められることから、展開図の円すいの母線は、24−9=15(cm)となります。ここから再度、底面の半径/母線=1/3を利用して、底面の半径が15×1/3=5(cm)と導き出せるのです。

次の(2)ですが、上底面と下底面はそれぞれ半径が5cm、8cmの円になりますので、あとは側面積を算出すればよいことになります。
円すいの側面がおうぎ形になりますので、円すい台の側面は、中心を同じにする大きなおうぎ形の面積から小さなおうぎ形の面積を除いたかたち(バームクーヘンをカットして上から見たようなかたち)になります。面積も大きなおうぎ形から小さなおうぎ形を引いて求められますが、ここで上述の式②を活用することになります。大きなおうぎ形の面積は24×8×3.14、小さなおうぎ形の面積は15×5×3.14の式となりますので、すべて合わせると以下の式になります。
5×5×3.14+8×8×3.14+24×8×3.14−15×5×3.14=(25+64+192−75)×3.14=206×3.14=646.84(平方cm)
こうしてようやく答えが求められますが、円すいの性質、3.14を最後にまとめる計算の工夫、3.14計算の答え、と大事なポイントが満載の問題ですので、ぜひチェックしておいてください。

【攻略ポイント5 立体図形(2)】

立体図形(2)では、立方体や直方体を積み上げてできた図形の体積や表面積に関する問題、立方体を切断する問題、複雑な立体について段ごとに区切って調べるタイプの問題が出題範囲の中心になります。

立体を積み上げて大きな立体とするタイプの問題では、以下のような例題があります。
「1辺1cmの立方体が25個あります。これらをすべて積み上げて大きな立体を作ります。ただし、立体を積むときには、面と面がぴったり重なるようにします。できあがる立体にはいろいろなものが考えられますが、その中で表面積が最も小さいものを作るとき、その表面積は何平方cmになりますか」
立体の表面積は、その立体全体を立方体に近いかたちにするとより小さくなります。その点が大きなポイントになりますので、忘れないように気をつけてください。
1辺1cmの立方体を25個使って、立方体に近いかたちを作るには、1辺3cmの立方体に近づけることになります。その場合は3×3×3=27(個)の立方体が必要になり、2個足りなくなります。そこで、1辺3cmの立方体の1つの頂点部分にあたる小さな立方体と、その隣の小さな立方体を省いてできるかたちが考えられます。実際に図をかいてみるとわかりますが、その場合も表面積は1辺3cmの立方体と同じになります(面を動かせば大きな立方体と同じになります)。よって3×3×6=54(平方cm)となります。

立体の切断は、多くのお子さんが苦手とする単元のひとつです。見えない部分がどのように切り取られるかが、なかなかイメージできないことが原因のひとつのようです。大事なことはイメージに頼らないことです。この切断にはいくつかのルールがあります。そのルールに合わせて進めれば、決して難しい問題ではなくなります。特に今回のテストでは切断の基本を問われますので、この機会にしっかりルールを習得してください。
重要なルールは以下の2つです。

  • ①同じ平面上にある2点を直線で結ぶこと。
  • ②向かい合う平行な平面上にある切断線は互いに平行になる。

この2つをしっかり踏まえれば、基本をおさえることができます。
例題を挙げてみましょう。まず立方体をかいて、上の面の正方形をABCD、下の面の正方形をEFGHとし、AとE、BとF、CとG、DとHが上下につながる関係となるように、記号を記入してください。立方体ABCD−EFGHの完成です。問題は以下の通りです。「立方体ABCD−EFGHを、頂点A、頂点F、辺GHの中点の3点を通る平面で2つに切り分けたとき、切り口はどのような形になりますか」
まずルール①の通り、同じ平面上にある2点のみを直線で結びます。このルール①は当たり前のように見えるかと思いますが、意外とこのルールを踏まえずに、例えば、頂点Aと辺GHの中点(以下点Pとします)を直線で結んでしまうことがあるのです。この直線は立方体の内部を貫通してしまっていますので、ありえません。 まず頂点Aと頂点Fは同じ面ABFE上にあるので結ぶことができます。また、頂点Fと点Pも同じ面EFGH上にあるので結ぶことができます。
ここからがルール②になります。いま面ABFE上に切断線AFがあり、面ABFEと向かい合って平行にある面DCGH上の点Pが切断線の起点となります。ここで、AFと平行になるように、点Pから切断線を引きます。こうした平行線を引く際には、相似の考え方を使うと楽になります。三角形AEFは正方形を対角線で分けてできる直角二等辺三角形です。よって、面DCGHの上にも三角形AEFと相似な直角二等辺三角形ができるように、点Pと辺DHの中点(以下Qとします)を結べば、それが切断線になります。
これで3本の切断線を引くことができました。最後に、点Qと頂点Aは、面ADHEの上にある2点ですので、結ぶことができます。これで切断面は四角形AFPQになることがわかります。AFとPQは平行になるので台形に、さらにFPとAQは長さが等しくなるので、答えは「等脚台形」と求められます。
立体の切断は同じような出題が多いです。ぜひ上記の2つのルールを使って、できるだけ多くの練習を重ねてください。

立体を段ごとに区切って調べるタイプの問題ですが、次のような問題ではどのように対応すればよいでしょうか。「1辺6cmの立方体のすべての表面を赤くぬりました。そのあと、この立方体を1辺1cmの立方体216個に切り分けます。こうしてできた1辺1cmの立方体のうち、2つ以上の面が赤くぬられているものは全部で何個ありますか」
まずは実際に立方体をかいてみてください。さらに問題にある通り、6×6×6=216(個)の小さな立方体に切り分けるように、立方体の各辺を6等分する線をひいてみます。
こうしてできた図をもとに考えて行きますが、2つ「以上」の面が赤くぬられた、とありますので、2つの面がぬられた立方体と、3つの面がぬられた立方体を数えて行くことになります。4つ以上の面がぬられる立方体はないことに気をつけましょう。ここからただ数え上げて行くと、見落としてしまうことが起こり得ます。そこで、段ごとに考えてみましょう。
1辺6cmの立方体を底面に平行な面で6つの直方体に分けます。それぞれの直方体には6×6=36(個)の小さな立方体があることになります。このうち一番上にある直方体と、一番下にある直方体については、赤くぬられる状況が同じになります。また、上から2番目、3番目、4番目、5番目にある4つの直方体も、同じぬられ方になります。よって2つのパターンについて考えればよいことになります。
一番上と一番下の直方体をつくる36個の小さな立方体のうち、4つの隅にある立方体は3つの面が赤くぬられています。また、一番外側に配置された立方体で、4隅にあるもの以外の4×4=16(個)は、2つの面が赤くぬられます。よってこの36個の立方体のうち、2つ以上の面が赤くぬられている立方体の数は、4+16=20(個)、それが一番上と一番下の直方体にあてはまるので、このパターンで合計20×2=40(個)が該当します。
次に上から2、3、4、5番目の直方体ですが、それぞれ4隅にある立方体で、2つの面が赤くぬられることになります。よってこのパターンで合計4×4=16(個)が該当します。
2つのパターンを合計して、全部で40+16=56(個)が求める答えになります。

このタイプの問題は切断と同様に、慣れないうちは頭の中だけでイメージするのがとても難しいかと思われます。できれば一度でも、ゆっくりと図をかいて考え方を整理する方がよいでしょう。図をかく際には、親御さんがすべておぜん立てしてしまうのではなく、できるだけお子さん自身が手を使って作業できるようにしてあげてください。多少時間がかかっても、定着度が圧倒的に高くなります。

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