入試で狙われそうな今月の理科時事問題(チバニアン、ドラゴン宇宙船、AI)

今月は、“チバニアン”と“ドラゴン宇宙船”それに“AI”について取り上げてみましょう。

<チバニアンと命名されるかも?>

皆さんは方位磁石が北を指す理由を知っていますね。方位磁石のN極が地球の北極近くにあるS極に、また方位磁石のS極が南極近くにあるN極に引っ張られるからです。そうです。地球は北極をS極、南極をN極とする巨大な磁石になっているのです。
ところが、360万年前から現在までに少なくとも11回、46億年の地球の歴史からするとさらに数多く地球のS極とN極は入れ替わったことが知られています。最後の逆転が起ったのは77万年前なのですが、その証拠を示す地層が千葉県市原市の養老川沿いの地層で発見されました。その地層には何年前頃に降り積もったか判る火山灰と磁気を帯びた鉱物が入っていて、その鉱物はS極が北を指していたのです。
そこで、磁場のN極とS極が最後に逆転した重要な節目であるこの時代をチバニアン(千葉時代)と名付けるようにユネスコの機関である国際地質科学連合(IUGS)に申請したのです。

『時代を知る方法は何があるの?』

私達が古い時代を知る方法として、

  1. 「示相化石」:地層ができた当時の生物の化石から自然環境や気候などを知ることが出来る化石。
  2. 「示準化石」:特定の時期だけに生きていた生物の化石から時代を知ることが出来る化石。

これらを見付けることで判ります。つまり、サンヨウチュウとサンゴが一緒にでてきた地層なら古生代(5億6000万年から2億4500万年前)の温暖で浅くきれいな海だったことが判ります。

(3)さらに、時代の特徴を示す化石が出てくる地層が特徴的に分布する地域を「模式地」(もしきち)と言いますが、ある模式地の中から未確認の化石がでればその時代がわかることになります。

46億年の地球の歴史の中は「新生代」「中生代」「古生代」など分類されていますが、時代は更に細かく時代区分されています。これらの区分は地層と化石の研究から名づけられたもので、映画「ジュラシックパーク」でご存知の恐竜たちが繁栄していた「ジュラ紀」は、恐竜たちの時代の地層が広がるフランスからスイスの「ジュラ山脈」から名付けられたのです。
これと同様に、地球の磁極が最後に反転した77万年前の時代がチバニアンとして命名され、模式地としての千葉が認められると良いですね。ただし、同様の地層がイタリア南部に2か所ありますので、審査によって認定されるのは年内に出ると思われます。

磁極の反転は短時間で反転するわけではなく、逆転したり戻ったりと不安定な期間があった後に安定するとされています。約77万年の磁場逆転の時期は、通常は北極や南極近くでしか見られないオーロラが世界中の夜空を彩ったことでしょう。地磁気を使って移動する渡り鳥は方向感覚が失われ、目的地に渡れなかったかもしれません。

<ドラゴン宇宙船>

米国の宇宙開発は今後、国の機関NASAは高度な国家プロジェクトを主体に、衛星打ち上げロケットなどは民間活用を進めています。その一環として、民間企業米国スペースX社は4月9日「ファルコン9」ロケットで「ドラゴン宇宙船」を国際宇宙ステーション(ISS)へと打ち上げ、約3000キロの物資を宇宙ステーションISSへと届けました。今回の打ち上げの特徴は打ち上げ重量の約半分を占める「ビゲロー膨張式活動モジュール(BEAM)」です。これはISSへドッキング後、空気を入れて膨張させ、宇宙飛行士による活動領域となり、将来はモジュールを複数連結させ、一般の人でも宇宙に滞在できる、いわゆる「宇宙ホテル」の試験機で、「火星有人探査」などへの応用が考えられています。今後、4ヶ月後にモジュールに空気が入れられ、2年にわたって実験が行なわれる予定です。

宇宙ホテル開発のキーポイントは、ロケットに搭載できる機材の大きさに制限があるので、宇宙でどれだけ大きな施設を造ることができるかという点だそうです。
「宇宙ホテル」の試験機がISSに取り付けられることについて、6年前ISSに滞在経験がある日本人宇宙飛行士の山崎直子さんは、膨張式技術を使い、広い空間を宇宙に作れるようになるので「宇宙観光時代が近づいている」と大きな期待を寄せています。更に2030年を目標とした有人火星探査計画の大型基地設営の可能性が広がっていくと期待しています。
山崎宇宙飛行士は、20年前の東京大学の学生時代に「宇宙ホテル」を研究テーマにし、自ら設計図を作成したことがあるのだそうです。ご自身の夢が現実に近づいているのを見て感慨深いものがあるでしょうね。皆さんも夢に向かって勉強しましょうね。

<人工知能 AI>

チェスや将棋より格段に打つ手の数が多い「囲碁」で人工知能 (AI) が世界トップ棋士に勝利したニュースに続き、AIと人間が共同で執筆した短編小説が国内文学賞(星新一賞)の一次審査を通過するという素晴らしい快挙をあげました。
人工知能AIの飛躍的な能力向上は、今までの「答えのある問題を解く」ことから「人間の指示なしで適切に判断し行動できる」ようになりそうです。人口知能の応用は色々な分野で進んでいます。

  • 人型ロボット「エミュー」(日立製作所)は周辺の監視カメラの映像から、道に迷っている人にその人の言語で自ら声をかけ、目的地まで先導して道案内が出来ます。(2018年実用化目標)
  • 人型ロボット「ペッパー」(ソフトバンク)は人間の感情が判るロボットです。
  • 自動車の自動運転
  • 医療分野では、お医者さんへの病気判断、治療法などの措置の支援
  • 防犯の分野では、複数の防犯カメラの画像から瞬時に同一人物を特定

今後は様々な分野に浸透していき、人工知能AIを搭載しない機械はないくらい普及するでしょう。

『AIってなに?』

人口知能といっても、もちろん人間の脳をつくる訳ではありません。皆さんの家庭にあるパソコンを高度にしたようなものなのです。簡単に言えば、音声や画像、世界中の専門知識やデータから必要な情報を抽出したり、推測したりする高度なプログラムによって膨大なデータを高速処理するコンピュータといえば良いでしょうか。
まだ、狭い分野に特化した形で進んでいますが、いずれは鉄腕アトムのような人間の感性を持ったロボットも実現するでしょう。

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