入試で狙われそうな今月の理科時事問題(熊本地震、太陽系外惑星、衛星「ひとみ」)のその後

今月は、“熊本地震”と“太陽系外惑星”そして“「ひとみ」閉じる”について取り上げてみましょう。

<熊本地震>

熊本県を震源(しんげん)とする地震は、4月14日と4月16日共に震度7を観測し、阿蘇山(あそざん)を超えた大分県側で地震が誘発(ゆうはつ)されるなど熊本県を中心に甚大(じんだい)な被害が発生しています。熊本地震発生から約1か月が経過しましたが、震度1以上の地震は1400回を超え、未だに余震が継続しています。皆さんの中にも被害に遭(あ)われ方々に黙(もく)とうをし、被災者に支援を行った方も数多くいらっしゃることと思います。
今回の地震は、本震と思われた14日の震度7の地震が前震であり、2日後の16日に発生した震度7マグニチュード7.3の地震が本震と分かり、震度7の地震が連続して発生するという今まで経験したことのない活断層のずれによる直下型の地震です。
何が起きたのか理解するために、地震についての知識をおさえておきましょう。

『なぜ地震は起こるのでしょう?』

地球の表面は、10数枚の岩盤(プレート)で覆(おお)われています。そのプレートは高温でどろどろにとけた岩石でできたマグマに載(の)っています。そのマグマが対流していることで、年に数cm〜10数cm程度プレートが動かされています。各々のプレートの端は地球内部に沈みこんだり上に載ったり盛り上がったりしています。プレートの境界は、ずれ易(やす)い所と突っ張って動かない所があるので、歪(ひずみ)が限界までたまると急激に動いて地震になります。
日本は“ユーラシア”、“北米”、“太平洋”、“フィリピン海”という4枚のプレートが入り組んだ岩盤の上にあるため地震と火山活動が多いのです。

『海溝型地震』

それが海の中なら海溝(かいこう)型地震となり、海底が動くため津波を起こすことがあります。2011年3月11日に発生した東日本大震災(だいしんさい)はこのタイプで、北米プレートに太平洋プレートが沈み込む東北地方沖の日本海溝で発生しました。
現在、最も発生が心配され、関東から九州の太平洋沿岸地域に地震と津波による甚大な被害が想定され、国として対策に力を注いでいるのが“南海・東南海地震”です。この地震は、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境界にあって、駿河(するが)湾(わん)から九州沖に伸びる長大な“南海トラフ”が動くことで最悪マグニチュード9クラスの地震と津波が発生すると予測されています。また、日本海溝から相模(さがみ)湾(わん)に伸びる“相模トラフ”は陸側のプレートとフィリピン海プレートの境界にあり、関東大震災規模のマグニチュード8クラスの地震の発生が予測されています。

『内陸型地震』

一方“内陸型地震”は、プレート同士の動く力で岩盤が押されたり引っ張られてヒビが入ったりヒビが動く時に起こります。このヒビを断層と言います。引っ張られて上下にずれるのを「正断層」、押されて上下にずれるのを「逆断層」、水平にずれるのを「横ずれ断層」と言います。特に過去数10万年以内に動いた断層を「活断層」といいます。

『火山性地震』

この他に地震の原因には火山性地震が有ります。プレートの沈み込みによって地下にマグマ溜(た)まりができ、そのマグマが上昇して地殻を押し広げて出てくる時に発生します。巨大地震が発生すると近くの火山が数年以内に噴火する事が知られています。熊本県を中心とする一連の地震では阿蘇地方でマグニチュード5級の地震と小規模な噴火が観測されたので、大規模な噴火が誘発されることを心配しましたが、兆候(ちょうこう)はないとのことです。

『熊本地震』

今回の地震は、熊本県を横断する活断層の北側が大分県の方向、北東にズレた“横ずれ断層”型でした。この断層帯の延長線上には四国愛媛県伊予灘(いよなだ)から奈良県に伸びる長大な「中央構造線断層帯」がありますが、関連があるかは未だ分っていないようです。1995年1月17日未明に発生した“阪神淡路大震災”も“横ずれ断層”型直下型地震でした。今回の本震のエネルギーは“阪神淡路大震災の1.4倍”に当たるそうです。

『日本の活断層』

日本には分っているだけで約2000本の活断層が有り、政府の地震調査委員会から主要活断層に対して今後30年以内の地震確率が示されています。3%以上の確率の断層は28本あり、最も発生確率が高いのは本州を中心で縦断(長野県−山梨県−静岡県)する糸魚川(いといがわ)−静岡構造線断層帯、富士川河口断層帯、中央構造線断層帯などが有ります。

<太陽系外惑星>

米航空宇宙局(NASA)はケプラー宇宙望遠鏡等による観測で累(るい)計(けい)3200個余りの太陽系外惑星を見つけたと発表しました。今回ケプラー宇宙望遠鏡によって見付けた1284個の惑星の中で9個の軌道は公転する主星との距離が、惑星上で水が液体として存在できる程度の表面温度を保てる範囲(ハビタブルゾーン)にある地球型惑星だそうです。
これで生命を育んでいる可能性がある地球型の太陽系外惑星は合計で21個確認されました。

遠い恒星に惑星があるかどうかは宇宙望遠鏡を使用しても大変困難であり、最も遠い惑星を持つ恒星は1000光年を超える距離でも見つかっていますが、現在の観測技術では大半が300光年以内にあるようです。
つまり太陽からおおよそ300光年以内に生命の可能性のある惑星が21個あるということです。私たちの銀河系の直径は10万光年なので、面積的には約28000倍あります。単純に比例とはいかないでしょうが、銀河系には約60万個の生命の可能性がある惑星があることになります。私たちの宇宙138億光年の内で、観測できる範囲内にある銀河の数は7兆個以上とも言われていますので、可能性のある惑星の数は文字通り天文学的数字になってしまいます。この宇宙は生命に満ち溢(あふ)れているのかも知れません。どこかに光速を超える移動手段を開発して、高度に文化や文明を進化させた宇宙人が居て、ひょっこり地球を訪ねてくると楽しいですね。

<「ひとみ」閉じる>

今年2月29日のメルマガで取り上げましたⅩ線天文衛星「ひとみ」は、打ち上げられてからわずか2か月で運用を断念する事態になってしまいました。故障原因は姿勢制(しせいせい)御(ぎょ)異常を修正するために衛星に送ったプログラムが衛星を更に回転させ、太陽電池パネルを破断させたためだそうです。原因となった改定プログラムは地上での動作確認実験を行わないで衛星に送った可能性があるということです。
次のX線天文衛星は、欧州が2028年に打ち上げるまで計画が有りませんので、長期の観測空白期間による研究の遅れが心配されています。最高な人材が集まっている研究開発機構でも、検算をしないで答案を出す様なミスが起こるのですね。気を付けましょう。

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