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今月は、“ニホニウム”と“131億年前の酸素発見”そして“眠れる鉱物資源”と“スーパーマーズ”について取り上げてみましょう。
今年1月の理科のトピックスで紹介しました、日本の理化学研究所のチームが合成に成功した原子番号113番の新元素の名称案が「ニホニウム」 元素記号「 Nh 」と決まりました。
ニッポニウムでもジャパニウムでもありません。ニホニウムですので、間違えないで下さいね。
詳しい解説は本年1月21日のメールマガジンに載せていますのでご覧くださいね。
実は約100年前の一時期、現東北大の学長を務めた小川博士が発見した原子番号43の元素を「ニッポニウム」と命名し、約10年間周期表に記載されていたそうなのです。ところが、小川博士が発見した元素は後に原子番号75番と判ったため、43番元素としていたこの発見は誤りと判り、登録が抹消されました。一度登録を抹消された名称は使用できない決まりなので、今回の新元素は「ニホニウム」となったようです。現在は、化学者によって、周期表の第8周期に位置づけられる、未発見の原子番号119番以降の新元素の発見競争が熾烈(しれつ)に行われています。
大阪産業大と国立天文台などの研究チームは、南米チリにある世界最大の最新型電波望遠鏡「アルマ電波望遠鏡」を使い、131億光年かなたのくじら座の方向にある直径1万〜2万光年の銀河に“酸素”が存在していることを発見したと発表しました。酸素が見つかった天体では観測史上最も遠く、宇宙誕生初期の天体形成の謎に迫る発見だということです。宇宙誕生の7億年後にあたる131億年前の酸素を確認したことになり、これまで最も古かった122億年を9億年さかのぼったことになります。この銀河の水素に対する酸素の比率は2000分の1でしたので、現在の天の川銀河と比べると、酸素の量はおよそ10%しか無かった様です。
138億年前のビックバンによって誕生した直後の宇宙には水素とヘリウムがほとんどだったとされています。その後、重力によって水素やヘリウムガスが集まり、星が誕生して高温で輝き、その星が年老いて爆発し再び宇宙空間に原子をばらまく活動が繰り返され、酸素や炭素、鉄など他の元素ができたとされていますが、まだまだ解明されていないことがたくさん有ります。今後、宇宙の初期に酸素がどのように作られたか、星や銀河がどのように形成されたのか、研究が促進されることが期待されています。私達の体を構成している物質は、超新星爆発などで作られた、宇宙空間で出来た各種の元素によって作られています。言ってみれば私たちみんな“星の子供”と言えるのです。
“資源小国日本”長い間、日本は鉱物資源に恵まれない国と言われてきました。ところが近年、日本近海の海底には「マンガン団塊」、固体化したメタンガスである「メタンハイドレード」が見つかり、レアメタルの価格高騰などの背景もあって資源調査が進み、日本近海の太平洋海底は鉱物資源の宝庫だったことが判りました。その規模は300兆円相当の製品価値が有ると言われています。
日本は大きく「ユーラシア」「北米」「太平洋」「フィリピン海」各プレートが衝突する区域であり、プレートの潜り込みによってマグマに引き込まれた水分が周りにある鉱物資源(希少金属/レアメタル)を溶かし込み徐々に海底から熱水として湧き出してきます。海水中で冷やされると各種金属は海底に蓄積していきます。このような場所を「熱水鉱床」と言い、日本近海の水深700mから3000m付近に多数存在しています。マンガン団塊は水深4,000mから6,000mの海山の斜面や頂部に玄武岩や石灰岩等の基盤岩を覆うように存在し、数100〜数1000万年をかけて成長したと考えられています。特にレアメタルの一種であるコバルトに富んだものをコバルトリッチクラスト(CRC)と呼んでいます。
この様な鉱物資源は深海にあるため、採掘が大変困難で、採算の取れる採掘方法の開発がカギとなっています。そこで、海底を掘削し熱水鉱床の吹き出しより大きな50㎝程度の穴を開け、人工の熱水鉱床を作って、「魚を養殖」するように「熱水鉱床を作り育てる」時代、「探査」から「育てる」時代へと向かっているようです。
5月31日前後は火星が地球に最接近する「スーパーマーズ」が観察できました。直近の10年間で火星は地球に最も近い距離(約7528万キロ)となり、大きく明るく見える「観察の好機」でしたので、ご覧になった方も数多く居た事でしょう。今回のスーパーマーズの明るさは1等星の約16倍の明るさ「マイナス2等星」くらいになり、地球から見える火星の見かけの大きさも、今年1月の最も小さいときと比べて直径がおよそ3倍になります。
火星のすぐ内側の軌道にある地球は、火星より短い周期約365日で公転していますから、約780日(約2年2カ月)の周期で火星に接近、追い越しを繰り返しています。ところが、地球の軌道は円に近い形ですが、火星の軌道は楕円形をしているため、接近する軌道上の位置や距離が接近の都度ことなっていますので大接近や小接近が起り、接近時の見かけの大きさが毎回異なっています。計算上、最も近い位置での接近と最も遠い位置での接近では、距離が2倍ほど違います。
2年後の2018年7月31日です。このときの地球との距離は、今回の4分の3となる約5700万kmにまで迫り、火星の見かけの大きさは、今回と比べて直径がさらに1.3倍にもなる、まさに「大接近」になるということです。
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