予想問題付き!サピックス5年生7月2日(日)組分けテスト算数攻略ポイント

今回は、5年生7月度の組分けテスト対策をお伝えします。また、攻略ポイントだけでなく予想問題付きです。過去問を分析し最も出題される可能性が高い問題を揃えてあります。解説も準備しますので、間違えた箇所はとくに読み込んで本番で同じ間違いをしないように注意してください。問題は6/23(金)のお昼ごろ 鉄人会のHPにアップ致します。アップが完了しましたら、メルマガ、フェイスブック、ツイッターでもお知らせ致しますので、ぜひ鉄人会のフェイスブック、ツイッターもフォローしてください!

今回は、7月度組分けテスト対策についての解説を進めます。 出題範囲が限定されない実力テストになりますが、その中でも、必ずおさえておいて頂きたいポイントをお伝えします。

まずは対策を進めるうえでの大前提として頂きたいこと、またテスト会場で気をつけて頂きたいことをお伝えします。

【攻略ポイント1 あと一歩だった問題を中心に復習を】

今回の組分けテスト対策については、「難しい問題を見直す」ことよりも「あと一歩で正解できた問題」や「テスト後に見直すと解けた問題」を中心に復習することをお勧めします。
これまで受けてきたテストの中で、間違えはしたものの、間違えた理由がはっきりとわかっている問題は、次にあたった際には得点できる可能性が大きく上がります。前の間違いを次の得点につなげられるように、強い気持ちをもって復習を進めましょう。教材としては、これまでのマンスリーテストを見直すことも有効ですが、『デイリーチェック』で該当する単元の復習をすることも効果的ですので、ぜひ活用してください。

【攻略ポイント2 時間配分に細心の注意を】

この7月度組分けテストは夏期講習のクラスを決めるテストということで、気持ちがより前のめりになりがちです。そこでつい焦ってしまって、必要以上に1問に時間をかけてしまったり、少しでも多くの問題を解こうとするあまりに見直しの時間を設定することを忘れて、得点できるはずだった問題を逃してしまうということが起こってしまいます。大事なテストだからこそ、より時間配分に気をつけるようにしましょう。全ての問題を解こうとするのではなく「解ける問題を確実に得点する」ことに、いま一度注意してください。
一方で、難しそうに見える問題でも、(1)だけでも得点する意識を大事にしましょう。一見難しそうでも、いざ解いてみると意外と簡単だった、というケースもあります。初めから解けないと決めつけずに、チャレンジすることを忘れないでください。

ここからは、具体的に問題を解くうえでの注意点を挙げていきます。

【攻略ポイント3 忘れがちな単元】

5年生の前期は、4年生から学年が1つ上がっただけなのに、演習する内容がとても多くなったと感じ、戸惑われたお子さんも多かったと思います。それに加えて春期講習が終わってからは、「速さ」に関連する様々な単元が続き、単元演習にも難しさを感じたことも多かったのではないでしょうか。
もちろん「速さ」は重要な単元であり、今回の組分けテストでも出題が予想されます(詳しくはこの後に説明します)が、ここで気をつけなくてはならないのが、「速さ」の演習に追われて、やり方を忘れてしまっている他の単元の復習がおろそかになってしまってはいないか、ということです。範囲がないテストですので、4年生で習った単元からも出題される可能性が高くあります。まずは、そうした忘れてしまっている単元がないかチェックをして、やり方をしっかり思い出すようにしましょう。

ここでは、そうした過去に演習した内容から、ポイントとなるいくつかの単元を取り上げます。テストでは主に前半で出題される難度の問題を取り上げますので、確実に得点できるように固めておくようにしてください。

《約数・倍数》

次のような問題には、どのように対応すればよいでしょうか。
「1から400までの整数のうち、5の倍数でも7の倍数でもない数は全部でいくつありますか」
これが、5の倍数でも7の倍数でもある数、という問題であれば、5と7の最小公倍数である35の倍数を見つければよいことになります。ここで気をつけなくてはならないのが、5の倍数でも7の倍数でもないのだから、35の倍数ではない数を求めればよい、と勘違いしてしまわないようにすることです。例えば、14は35の倍数ではありませんが、7の倍数ですので、この問題では該当しない数になります。35の倍数以外、としてしまうと、5の倍数ではないけれど、7の倍数である数、あるいはその逆にあたる数を見のがしてしまうのです。
ここではぜひ、集合のベン図を用いてみてください。まず全体を四角の枠として、そこに1〜400とかき入れます。次に枠の中に、2つの円を一部が重なるようにかき込みます。1つの円は5の倍数の集合を表し、もう1つの円は7の倍数の集合を表します。円が重なる部分が、5と7の公倍数の集合を表すことになります。
ここまでの図をかいたところで、お子さんに、今回の問題の答えにあたるのは、図のどの部分か、斜線をかき入れさせてみてください。そこでお子さんの理解度が一目にわかります。答えは四角の枠の中の、2つの円によって囲まれるところの外の部分になります。
あとは計算で、それぞれの部分にあてはまる数の個数をかき入れて行きます。5の倍数は400÷5=80より80個、7の倍数は400÷7=57あまり1より57個、円の重なりにあたる35の倍数は、400÷35=11あまり15より11個となります。ここから、2つの円に囲まれた部分にあてはまる数の個数が、80+57−11=126(個)となり、答えが、400−126=274(個)と求められます。
一度ベン図で問題の成り立ちが理解できれば、それからは図がなくとも式で解き進められるまでにもなります。慣れないうちは、ぜひ簡単なかき方で構いませんので、図をかいてみてください。

《平均算》

全体÷個数=平均の式だけでなく、その逆算にあたる平均×個数=全体の内容も覚えらているかチェックしましょう。
例えば次のような問題があります。
「A、B、C、Dの4人の身長の平均は150cmです。AはBより1cm低く、BはCより2cm低く、CはDより3cm低いとき、Dの身長は何cmですか」
問題としては和差算の考え方を使って、4人の身長の関係を線分図に表すことができれば、一気に解決できるという方針が立ちます。そこで必要なのが4人の身長の和で、その値を出すのに平均の考え方を用いるのです。
4人の身長の平均が150cmですから、4人の合計は150×4=600(cm)となります。あとは上述の通り、線分図で対応します。
もっとも背の低いAの身長を表す線分より1cm長くBの身長を表す線分を、そのBの線分より2cm長くCの線分、Cの線分より3cm長くDの線分として、4本の線分の長さの合計が600cmとすれば、図は完成です。
求めるのはDの身長ですので、4本の線分の長さがDの長さにそろうように、1+2×2+3×3を600に加えて4で割ればよいことになります。(600+1+2×2+3×3)÷4=153.5より、答えは153.5cmとなります。

この問題のように、メインは和差算ですが、そこで必要な要素を求めるのに平均算が使われる、といった複合型の問題も出てきますので、まずは各単元の理解を確実にしておきましょう。

《つるかめ算》

ここでは、次のような問題を取り上げてみます。
「コップを1個運ぶと5円もらえる仕事があります。ただし、運ぶ途中でコップをこわしてしまうと5円はもらえず、12円支払わなくてはなりません。太郎君はこの仕事をしてコップを500個運びましたが、そのうち何個かを途中でこわしてしまったので、1888円受け取りました。太郎君がこわしてしまったコップは何個ですか」
つるかめ算の基本的な問題では、例えば「1本80円の鉛筆と1本120円のボールペンを合わせて30本買ったところ、3120円になりました。鉛筆は何本買いましたか」といった問題のように、どちらもお金がかかるといった、プラス同士の関係になります。それがこの問題では、無事に運ぶと5円もらえ、こわしてしまうと12円支払う、といったプラスとマイナスが混ざった関係になります。数学でマイナスの概念を習った親御様にとっては、決して難しく感じられないかと思いますが、マイナスの概念を習っていない小学生にとっては、決して簡単に解ける問題ではないのです。
あくまで、つるかめ算の基本は、単位量の変化を用いることを確認しておきましょう。鉛筆とボールペンの問題であれば、鉛筆からボールペンに1本入れ替えるごとに、120−80=40(円)が増えることになります。それが今回の問題では、コップを1個こわしてしまうと、5円をもらえないばかりか12円を支払うので、合計して5+12=17(円)減ってしまうということになります。ここで、数学の考え方の、5−(−12)=5+12といった進め方はお子さんに伝えない方がよいでしょう。お子さんの理解が混乱してしまう危険性が否めません。そこでお子さんの理解を進められる言葉として「損」が有効になるかもしれません。マイナスの概念がない小学生にも、損という言葉の意味は浸透しています。

今回の問題であれば、コップをすべて無事に運んでいれば、5×500=2500(円)の収入となる予定が、1888円になってしまったので、合計して2500−1888=612(円)の損になります。コップを1個こわすごとに、本来もらえるはずの5円が手に入らないため、まず5円の損が発生し、さらに12円を払わなくてはならないので、12円の損がプラスされます。結果として1個あたり5+12=17(円)の損となるので、612÷17=36(個)をこわしたことになります。

ぜひ、お子さんにとってわかりやすい言葉を使って、理解を進めさせてください。また、つるかめ算といえば面積図が有効に使えますが、このプラスマイナスが混ざるタイプの問題では、無理に面積図を使わなくてもよいでしょう。

《方陣算》

次のような問題があるとします。「289個のおはじきを正方形の形にぎっしり並べると、いちばん外側の1まわりに並ぶおはじきは全部で何個になりますか」
解き方としては、正方形の形に並んでいるので、いちばん外側の1辺にあるおはじきの個数を求め、その個数から1をひいた数を4倍することで、いちばん外側の1まわりの個数を求める、といった流れになります。1辺の個数から1をひくのは、4つの隅の部分の重なりをなくすためです。この点の理解は曖昧でないように、確認をしておいてください。

むしろポイントになるのが、平方数の考え方です。この問題であれば、いちばん外側の1辺の個数をかけあわせて289になりますので、どの数をかけ合せると289になるのかを求めなくてはなりません。恐らくかけ合せの数(平方数)は、覚えているとしても15×15=225までかと思われます。今回の289のように、未知の平方数にあたった際には、どのように対応すればよいでしょうか。

まず数の範囲をしぼります。15×15=225、20×20=400なので、289は16から19のいずれかの数をかけ合せたことになります。ここからは一の位に注目します。例えば11×11=121、12×12=144、のように、かけ合せた結果の数の一の位は、かけ合せる数の一の位の平方数の、一の位と一致します。これは実際に筆算をしてみると、よりわかりやすいでしょう。そこで16から19の一の位に注目して、そのかけ合せた結果が289の9になるものを探してみると、7×7=49があてはまります。よって17が求める数になるのですが、念のため確かめてみると、17×17=289で間違いことがわかります。

このような、あてはまる数を見つける際に、範囲をしぼって、何かしらの条件をつける、という考え方は、平方数に限った話ではありません。数の感覚を養ううえでも大事な作業となります。 問題の答えですが、(17−1)×4=16×4=64(個)となります。17が見つかって安心してしまい、17×4としてしまわないように注意しましょう。

《場合の数》

この単元はテストの後半に出題されるような難度の問題もありますが、まずは次のような問題に正確に対応できるかをチェックしましょう。「1、2、3、4、5、6、7の数がそれぞれ書かれた7枚のカードから、2枚のカードを同時に取り出したとき、そのカードに書いてある数の和が偶数になる取り出し方は何通りありますか」
まずは2つの整数の和が偶数になるのは、2つの整数の組合せが「偶数+偶数」「奇数+奇数」になるときです。「偶数+偶数」となる数の組合せは、2+4、2+6、4+6で、並び方は関係ない(2+4でも4+2でも同じである)ので3通り、「奇数+奇数」の組合せは、1+3、1+5、1+7、3+5、3+7、5+7の6通りです。よって、全部で9通りとなります。
ここで、和が偶数となる2つの整数の組合せを求めたように、場合の数では、数の性質に関する知識が前提となることがあります。偶数や奇数に関するものだけでなく、どのような数が3の倍数や4の倍数になるか、といった倍数のきまりも確認しておきましょう。

《平面図形・角度》

平面図形の角度のうち、錯角や同位角、対頂角の考え方は、マンスリーテストの小問集合などでも使ってきたかと思いますが、次のような問題を確実に正解できるでしょうか。
なお、メルマガでは図を表せませんので、まずは説明にそって図をかいてみてください。
まず正三角形ABCを、頂角がA、底辺の位置が辺BCとなるようにかきます。そこに辺BCの長さと辺CDの長さが等しい二等辺三角形BCDを辺BCが一致するように、正三角形ABCに重ねてかきます。このとき、点Dは、辺CAよりも右側にあり、辺CAと辺CDの間の角ACDの大きさが38度になるようにします。辺CDは正三角形ABCの右側外にあることになります。BDとACの交点をEとします。
図はかけましたでしょうか、問題は角BECの大きさを求める、というものです。

いくつかの解き方がありますが、ここでは正三角形の内角60度と、三角形の外角を用います。ゴールとして、求める角BECは三角形ECDの外角ですので、三角形ECDに注目します。すでに角ECDは38度と与えられているので、角CDEの大きさがわかれば解答に行き着くことができます。この角CDEを含む三角形として、三角形BCDを見ると、こちらもBC=DCの二等辺三角形で、角BCDの大きさが38+60(正三角形の内角)=98(度)ですので、(180−98)÷2=41より、角CDEの大きさは41度となります。よって、求める角度の大きさは、38+41=79(度)と求められます。

このように三角形の角度を求める際に、正三角形や二等辺三角形は有効に活用できますので、辺の長さが等しい関係を図の中に見つけるように意識しましょう。また、三角形の外角が2つの内角の和であることは頻繁に使われますので、慣れるように練習を重ねましょう。
その他、正五角形、正六角形や正八角形の内角の和、1つの内角の大きさなども忘れてしまいがちですので、角度そのものを覚えるか、あるいは算出方法を覚えるなどの準備を、しっかりしておきましょう。

《平面図形・面積》

面積の単元では、次のような問題にも注意して見直しをしておきましょう。
まずは図の説明です。辺ADと辺BCが平行の関係にあり、AD=13cm、BC=16cmの台形ABCDがあります。台形の高さは11cmです。この台形の辺BC上に点E、Fがあり、点の位置は左からB、E、F、Cとなります。そして点Aと点E、点Dと点Fを結んでください。そこでできた三角形ABEの部分をア、台形AEFDの部分をウ、三角形CFDの部分をイとして、台形ABCDの内部にア、ウ、イと記号をかき入れます。図はこれで完成です。

ここから問題ですが、「アとイの部分の面積の合計がウの面積と等しくなりました。このときEFは何cmですか」というものです。

高さが同じ図形であれば、その面積を比べる場合、底辺に注目することで活路を見出すといった解法で進める問題です。
ア、イ、ウはいずれも高さが等しい図形ですので、問題にある「アとイの部分の面積の合計がウの面積と等しい」という内容は、アとイの三角形の底辺の長さの合計が、ウの台形の上底と下底の長さの和と等しくなる、と言い換えられることになります。ウは台形ABCDの面積の半分にあたるので、ウの台形の上底と下底の和は、台形ABCDの上底と下底の和の半分となります。(13+16)÷2=14.5より、ADとEFの和が14.5cmとなり、ADが13cmなので、EFの長さは、14.5−13=1.5より1.5cmと求められます。

面積の大きさの関係を底辺の長さの関係にするという、視点の切り替えが身につくように練習を重ねましょう。

《立体図形・水深》

水深の変化の問題は、テキストナンバー14『量の変化(2)』でも学習しましたが、あらためて、次のような問題で確実な対応ができるでしょうか。
まず図は、直方体の水そうの中に、ある深さまで水が入っていて、さらに水の中に立方体のおもりが沈められている、というものです。水そうは、底面の横の長さが15cm、たての長さがa(エー)cm、高さが18cmです。水は水そうの11cmの深さまであり、水中にあるおもりは1辺の長さが6cmの立方体です。
ここから問題になります。「直方体の形をした水そうに水が入っていて、1辺6cmの立方体の形をしたおもりが水の中にあります。このときの水面の高さは11cmですが、おもりを取り除くと水面の高さは9.5cmになります。aの長さは何cmですか」
おもりを使った水深変化の問題の多くは、水の中におもりを沈めた際の水深の変化が題材となりますが、この問題はその逆で、おもりを取り除く、というケースになります。 
解き方の基本はおもりを沈めるケースと全く同じで、おもりの体積=高さが増えた(減った)分の水の体積、であります。おもりの体積は6×6×6で求められ、それが15×a×(11−9.5)と一致しますので、6×6×6÷(15×1.5)=9.6より、aの長さは9.6cmと求められます。
上記の9.6を求める式ですが、6×6×6=216、15×1.5=22.5と計算をせずに、できれば分数のかたちで解き進めましょう。分子に6×6×6、分母に15×1.5とすれば、6と15や1.5は、6が1.5で割り切れ、6と15は公約数3でどちらも割ることができるので、計算がとても楽になります。テストでは時間が限られますので、少しでも早く、正確に計算できる方法を考えるようにしましょう。

【攻略ポイント4 応用問題】

ここでは、テストの後半に出題され、大問の中にいくつかの小問があるようなタイプの問題をいくつか取り上げます。

《和と差の文章題》

和と差の文章題では、消去算や平均算、相当算などの考え方を使って解く問題が出題されます。ここでは次のような問題を取り上げてみます。なお、メルマガでは「○の中に数字」の表記が文字化けしてしまう可能性がありますので、マル1、マル2と表記させて頂きます。
「えんぴつは1本60円、ボールペンは1本90円、シャープペンは1本100円です。花子さんは、えんぴつとボールペンとシャープペンを合計100本買ったところ、代金の合計は8310円になりました。もし、シャープペンを2倍の本数買うと、代金の合計は10110円になります。このとき、次の問いに答えなさい。

  1. シャープペンは何本買いましたか。
  2. ボールペンは何本買いましたか。

えんぴつとボールペン、シャープペンの1本の単価が与えられていて、合計100本買ったところ、代金が8310円になった、といったかたちで単価と個数、合計が与えられていることから、つるかめ算で解けるのではないか、と考えつくでしょう。ただし、えんぴつ、ボールペン、シャープペンの3種類を扱うため、このままではつるかめ算の考え方をすぐに使うことができなくなります。
まずは(1)を解いてみましょう。問題文の「もし、…」以降を見てみると、シャープペンだけを2倍の本数買うと、代金が10110−8310(円)だけ高くなるので、もとのシャープペンの本数をマル1とすると、シャープペン1本の値段が100円なので、(マル2−マル1)×100=マル1×100が、10110−8310=1800円に相当することになります。ここからマル1=1800÷100=18より、シャープペンを18本買ったことがわかります。

次に(2)ですが、(1)の答えによって、問題文に書かれた内容が一気に整理されました。シャープペンの本数、代金を除くことで、えんぴつとボールペンを買った本数は合計で100−18=82(本)となり、代金の合計は、8310−18×100=6510(円)となります。こうなれば、つるかめ算で対応できます。求めるのは単価の高いボールペンですので、(6510−60×82)÷(90−60)=1590÷30=53より、ボールペンを53本買ったことがわかります。

このように、問題文を読んだ段階で思い浮かぶ解法が使えないように見えて、実際に小問を解き進めることで、その解法を使えるようになる、というパターンもあります。早々にあきらめずに、ぜひ(1)を解くことを心がけてください。

《規則性》

早速、例題をご紹介します。
「次のように、5の倍数以外の整数が、小さい順に並んでいます。
1、2、3、4、6、7、8、9、11、12、13、14、16、17、18、19、21、22、…
次の問いに答えなさい。

  1. 99は左から何番目の数ですか。
  2. 左から100番目までの整数を全部たすといくつになりますか。

この問題にはいくつか解法があり、例えば、(1、2、3、4)、(6、7、8、9)、(11、12、13、14)、…と、5の倍数の前までの4つの数からなるグループ数列として考えることもできるでしょう。
ここでは、少しでも問題が解きやすくなるような「表」の使い方をご紹介します。
まず、1から9までの数を並べて書き、その下に11から19までの数が、一の位の数がたてにそろうように並べて書きます。その下に、21から29を書き、あとはその繰り返しになるので、書かなくて構いません。このように数字を並べることで、たてには一の位が同じ数が並ぶことがわかります。
ここで(1)ですが、99が左から何番目かを求める問題です。99の一の位は9なので、たての数の列では、表の一番右にあることになります。あとは横の列がいくつあるかですが、十の位で見ると、1から9までの、十の位がない列がありますので、99は10列目にあることがわかります。1列に数字は8個並んでいるので、10列目の一番右にある99は、全体で見れば、8×10=80(番目)になることがわかります。

(2)では、100番目の数がどの列の何行目にあるかを考えます。1列に数が8個あるので、100÷8=12あまり4より、100番目の数は13列目の右から4番目の数であることがわかります。13列目の一番左の数は、121で、その列の4行目であることから、100番目の数は124とわかります。
あとは和を求めるのですが、ここでも列単位で考えて行きましょう、1列目の1+2+3+4+6+7+8+9=40で、ここから行がひとつ下になるごとに、数が10×8=80増えて行きます。列ごとの和を並べると、40、120、200、…という等差数列で、12番目の数は、40+80×(12−1)=920となります。これで12列の一番右の数までの和が、(40+920)×12÷2=960×6=5760と求められます。残るは、121+122+123+124=(121+124)×4÷2=490となり、結果として左から100番目までの整数を全部たすと、5760+490=6250となるのです。

メルマガでは表が再現できませんので少し複雑に見えますが、実際に表で数字を書いてみると、問題の解きやすさがよりわかりやすくなると思います。サピックスのテストは、正確に数を整理することと、そこから解法を推測する力が求められます。その力の養成はたやすくはないですが、その養成のための訓練を重ねることが、実際の入試問題への対応力をアップさせることになります。ぜひ地道な作業も実践して行きましょう。

《速さの問題》

春休み明けから数回にわたり、様々な速さの問題に取り組んできました。今回の組分けテストでも、かなり近い時期に演習した単元ではありますが、速さの問題が出される可能性が高くあります。それだけ速さは重要な単元であり、実際に入試問題で速さの単元を出題しない学校を見つけるのが難しいくらいです。

例題を挙げます。ポイントは状況を整理するために有効な図を、どのようにかくかということになります。問題文はかなり長くなりますが、どうかあきらめずに読み込んでください。
「P、Qの2地点を結ぶ1本の道があり、この道を太郎君と花子さんが一定の速さで進みます。はじめに花子さんがP地点を出発してQ地点に向い、花子さんが400m進んだところで太郎君がP地点を出発してQ地点に向かいました。太郎君は出発してから8分後に、P地点とQ地点のちょうどまん中の地点で花子さんを追い越しました。その後、Q地点に到着した太郎君はすぐに引き返して、同じ速さでP地点に向かいました。すると、太郎君は花子さんを追い越してから10分後に花子さんとすれ違いました。
次の問いに答えなさい。

  1. 太郎君と花子さんが進む速さの差は分速何mですか。
  2. 太郎君と花子さんが進む速さの和は分速何mですか。
  3. 太郎君がQ地点に到着して引き返した後、花子さんとすれ違った場所は、P地点から何m離れた地点ですか。

この問題の状況を図に表すとして、どのような図が有効でしょうか。図のタイプとしては、線分図とダイヤグラムが挙げられます。例えば、2つの地点を往復する際に、途中で休んでから、速さを変えてまた動き出す、といったタイプの問題であれば、ダイヤグラムが有効でしょう。休む間にも時間が経過する過程は、線分図では表しづらくなります。
今回の問題では、往復の動きはありますが、2つの地点のまん中で追いこす、といった内容になりますので、線分図で表してみましょう。

まず、P地点とQ地点を結ぶ道での話ですので、線分をひいて、一方の端をP地点、もう一方の端をQ地点とします。問題で2つの地点のまん中を扱いますので、線分のまん中の位置に、わかりやすいように印をつけておきましょう。
その線分の下に、先に出発する花子さんの動きを表す線分、さらにその下に、太郎君の動きを表す線分をかきます。花子さんがP地点を出発して400m進んだところで太郎君がP地点を出発しますので、花子さんの線分でP地点から400mのところに○を記します。そして同じ○を太郎君の線分のP地点の位置に記します。これで○が同じ時点を表すことになります。そして花子さんはP地点とQ地点のちょうどまん中の地点で太郎君に追い越されますので、太郎君と花子さんは同じ時点で、P、Q両地点間のまん中の位置にいることになります。そこで花子さん、太郎君のどちらの線分にも、まん中の位置に●を記しましょう。これで、○から●が8分間であることがわかります。その8分間で距離にして400mの差がありますので、(1)で問われる、2人の進む速さの差は、400÷8=50より、分速50mと求めることができます。

次の(2)では、2人の速さの和を求めることになります。問題の内容を先に進み、図に表して行きましょう。
2人が同じくまん中の地点にいるところから、続きを進めます。その後、太郎君はQ地点に到着してすぐに引き返して、同じ速さでP地点に向かい、花子さんを追い越してから10分後に花子さんとすれ違うことになります。その通りに太郎君の線分をQ地点にまで達して、そこから花子さんの線分の高さで、太郎君の線分を折り返しましょう。花子さんがまん中の地点を出て10分後に2人は出会うのですが、その出会う地点をどのあたりにすればよいでしょう。そこで、これまでかいた線分に時間をかき込んでゆきましょう。花子さんの動いた時間はシカクで、太郎君の時間はマルとします。

まず(1)で利用した線分ですが、2人は8分間進んだところですれ違いますので、花子さんの線分の○から●の部分にシカク8、太郎君の線分の○から●の部分にマル8とかき入れます。次に太郎君がまん中からQ地点に行き着く部分ですが、太郎君はP地点からまん中まで8分かかることから、まん中からQ地点までも同じく8分かかりますので、そこにも同じくマル8とかき入れます。
次に花子さんの線分で、太郎君がQ地点に着く、まん中から8分のところに■の印をかき入れましょう。そこで、太郎君の線分のQ地点の位置にも同じく■をかき入れます。ここから図の対称を利用します。花子さんの線分でP地点からまん中までは、400m+マル8になっています。それをそのまま対称移動すると、まん中からQ地点まではマル8+400mとなります。つまり、花子さんがまん中から8分間、Q地点に向かって進んだ地点は、Q地点まで残り400mとなります。2人はまん中から10分進んだ地点で出会いますので、その時点を▲とすると、■から▲までは10−8=2(分)が経過しますので、花子さんの■から▲はシカク2、太郎君の■から▲はマル8となり、花子さんの■から▲と、太郎君の■から▲を合わせると400mとなることから、シカク2+マル2=400という式が成り立つのです。2人が2分ずつ進んだ距離の和が400mという意味ですので、ここから(2)で問われる、2人の進む速さの和が、400÷2=200より、分速200mと求められます。

最後の(3)は、これまでの答えを利用すれば、決して難しくありません。求める距離は、ここまでで完成した図を見ると、太郎君がマル8+マル8=マル16、つまり16分間かけて進んだ距離が、P地点とQ地点を結ぶ距離となり、そこから■から▲の部分、つまり2分間かけて進む距離を引けばよいことになります。太郎君の速さが求められれば、その速さに16−2=14(分)の14をかければよいです。
太郎君と花子さんの速さの差が分速50m、速さの和が分速200mですので、和差算の考え方で、(200+50)÷2=125より、太郎君の速さは分速125mとなります。よって、求める距離は、125×14=1750(m)になるのです。

速さの問題の中でも、この問題のように、いくつかの段階を経るものでは、どうしても内容を整理するために図が必要になります。図がしっかりかければ、問題を解く糸口がとても見つけやすくなり、また今回の問題のように、最後の(3)が容易に解けてしまうといったこともあるのです。ぜひ様々な図をかくことに慣れて、どの図を使うことが有効なのかを考えられるように練習を重ねましょう。

今回の組分けテストは、夏期講習のクラスを決める大事なテストではありますが、一方で夏休み前の今だからこそ必要な復習をするためのテストでもあります。そしてテストそのものは今後の演習のための重要な教材になります。答案が返されたら必ず見直しをして、今後の演習につなげてください。

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