入試で狙われそうな今月の理科時事問題(日本カワウソ38年ぶりに発見か?、黒潮の大蛇行、危険生物再び、太陽フレア11年ぶりに大爆発)

今月は、“日本カワウソ38年ぶりに発見か?”と“黒潮の大蛇行”と“危険生物再び”そして“太陽フレア11年ぶりの大爆発”について取り上げてみましょう。

<日本カワウソ38年ぶりに発見か?>

ドラえもんのアニメ「カワウソのび太の大冒険」を見た方もいらっしゃると思います。のび太が誤って川に落ちた瞬間に撮った写真の中に、絶滅していたと思われていた日本カワウソが偶然写っていた。そこから物語が始まるというアニメです。ところが実際、長崎県の対馬で琉球大学のグループが仕掛けていたカメラに偶然カワウソが写っていたのです。日本で野生のカワウソが発見されたのは実に38年ぶりのことなのだそうです。

『日本カワウソって?』

カワウソにはラッコも含む10数種の仲間がいます。日本カワウソはその中のユーラシアカワウソの一種とされています。昔は全国の湖、河川や海岸などの水辺に生息し、体長は尻尾を含めて約1mで、主に魚、エビやカニを主食としていますが、ネズミ、鳥、昆虫なども食べる肉食獣です。
カワウソが発見された対馬には、天然記念物のツシマヤマネコやツシマテンなど固有種が生息する豊かな自然が残っています。しかし、全国的な毛皮目的の乱獲(らんかく)により、ここ対馬では江戸時代以降でカワウソが生息していた確かな情報は無かったのだそうです。環境省の調査で見付けられたフンからは、ヨーロッパやアジアに多い「ユーラシアカワウソ」のDNAが検出されたのだそうです。可能性としては“日本カワウソが絶滅していない”、“ユーラシアカワウソが韓国から泳いできた”あるいは“島に故意に持ち込まれた”などが考えられるので、結論はまだ出てはいません。

<黒潮の大蛇行>

黒潮は東シナ海を北上し、鹿児島県から太平洋沿岸に沿って北上し、通常は房総半島沖を東に流れる強い暖流です。ところが、気象庁によると今年は黒潮が紀伊半島沖から南に大きく蛇行しているのだそうです。今後さらに蛇行が南下すると、2005年以来の「黒潮の大蛇行」となる可能性があると8月30日に発表されました。この大蛇行は観測結果のある1965年以降で5回確認されていて、最も長い期間では4年8カ月間続いたそうです。

『どの様な影響があるの?』

黒潮の大蛇行は四国と紀伊半島の中間あたりから南下し、左回りの円を描いて北上して相模湾沖あたりから通常の流れに戻るのです。蛇行部分と沿岸の間には左巻きに回転する巨大な流れが発生し、そこには低温水域(冷水海)が発生します。シラスなどの稚魚は遊泳力が弱いので流れによって沿岸から大きく流されてしまいます。その結果、沿岸では不漁になり、シラスやイワシをエサとする近海魚も影響を受けてしまいます。海水温に敏感なマグロやカツオなど回遊性の魚類は黒潮の移動の影響を受け、例年漁場としてきた海域では取れなくなることとなります。
蛇行した黒潮が北上して沿岸に向かってくる関東や東海の潮位は水圧で上昇するので、台風時の高潮被害に対して注意が必要になってきます。また、海面での黒潮の幅は約100km、流速は最大で秒速2.0〜2.5m時速7.2〜9.0kmに達することもあるので、大洋を航海する船舶はこの潮流を利用し燃料を節約する航路を選んでいます。従って蛇行によって効果的に利用できなくなり、運航費用が余分にかかってしまう場合があるようです。

<危険生物再び>

今年7月14日号の「毒ありヒアリ」昨年8月24日号の「マダニ」で取り上げました危険生物のトピックスですが、毒蛇のヤマカガシやマダニによる死亡事故などの被害が相次いでいますので再び登場です。

『ヤマカガシ』

日本には3種の毒蛇「ハブ」「マムシ」「ヤマカガシ」が生息していますが、意外なことに致死性が最も高い毒を持つのがヤマカガシだったのです。このヤマカガシは北海道と小笠原諸島や南西諸島を除く全国どこでも生活の中でよく見かける蛇ですが、なんと1972年まで毒蛇とは思われていませんでした。
かまれると脳出血(のうしゅっけつ)や腎不全(じんふぜん)で死亡する危険があります。7月末兵庫県の小学校5年生がかまれて一時重体になりましたが幸い血清により助かったそうです。
今まで確認された死亡例は4件だけですので、むやみに怖がらなくても大丈夫ですが、からかったり、捕まえて遊ぶようなことは決してしないで下さいね。

『マダニ』

ちょっと難しい名前ですが「重症熱性血小板減少症候群」略して「SFTS」という、マダニがウイルスを媒介する感染症の発症報告が、統計があるここ5年間で最多の64人となったと国立感染症研究所が発表しました。流行季節半ばの先月上旬までですら、最多人数となっています。

*どの様な感染症なのでしょうか?

この感染症は、原因となるウイルスを持っているマダニにかまれて感染し、発熱や下痢などの症状がでます。感染した場合、ワクチンなど有効な治療法はないので、国内での致死率はおよそ20%に上る恐ろしい感染症です。
この感染症は約6年前の平成23年に中国で新しく発見された感染症です。国内で初めて確認された感染例は平成24年の秋に山口県内で死亡した女性で、その後、西日本を中心に毎年、患者が報告されています。

*地域性はあるのでしょうか?

都道府県別では、発生件数順に、長崎県、山口県と宮崎県、鹿児島県など、九州や中国地方で多く、西日本を中心に17府県で感染者が見つかっています。
東日本に住んでいるからと言って安心はできません。実はウイルスを持ったマダニは東日本でも見つかっているのです。

*注意点は?

とにかく、登山やハイキングなどで草むらや林の中に入る可能性のある場合には、少なくとも11月頃までは長袖と長ズボンを着用し、素肌を出さない対策を十分にして下さいね。

<太陽フレア11年ぶりの大爆発>

9月6日太陽の表面で2006年以来最大の太陽フレアの大爆発が起きました。この結果、大量の電気を帯びた粒子が地球に降り注ぎ、通信やGPS測位や電力機器など社会インフラが故障や損傷することが心配されました。

『太陽フレアって何?』

地球は北極にS極南極にN極があり地球上どこでも磁石で南北が判るくらい磁力線は南北方向にそろっています。ところが、太陽表面には対流現象によって幾つもの巨大なN極S極があり、自転運動により磁力線がもつれ合って変動しています。その影響で原子がバラバラになったプラズマとなって電気を帯びた粒子、つまり荷電粒子が太陽表面から跳ね飛ばされて宇宙空間に放出されています。それが日食の時に観測できる“コロナ”で、太陽の引力を振り切った荷電粒子が“太陽風”として常に太陽系内に放出されています。その一部が地球の極地方で観測されるオーロラであることはご存知でしょう。
ところが、たまに磁力線の乱れが極端に大きくなる時があり、爆発的にX線などの電磁波や荷電粒子を放出します。それがフレアと呼ばれる現象で、今回の爆発が通常の1000倍規模だったので世界中が緊張したのです。

『どんな影響が有るの?』

通常規模のフレアでも“デリンジャー現象”といって電波を反射してくれている電離層が乱れて短波の通信が途絶える現象が起こります。また、オーロラが極地方で観測できる原因となります。
太陽フレア爆発による被害は過去にも何度も起こっていて、1989年にはカナダのケッベック州の送電設備が破壊されて大規模な停電が起きました。また、気象衛星の故障や衛星の機能障害の原因にもなっています。さらに、普段は見られないような低緯度地域でオーロラが観測されることもあり、日本でも歴史書“日本書紀”に記されているくらい昔から観測されていたようです。
今のところ、GPSの位置の乱れ程度で重大な事故、衛星通信への障害は起こっていないようですが、最近のICT情報通信技術の高度化によってデジタル機器やソフトウェアが複雑に絡み合ってきていますので、思わぬところに影響が出て来るかも知れません。

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