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今回は、5年生の10月度マンスリーテスト対策をお伝えします。また、攻略ポイントだけでなく予想問題付きです。過去問を分析し最も出題される可能性が高い問題を揃えてあります。解説も準備しますので、間違えた箇所はとくに読み込んで本番で同じ間違いをしないように注意してください。問題は10/6(金)のお昼ごろ 鉄人会のHPにアップ致します。アップが完了しましたら、メルマガ、フェイスブック、ツイッターでもお知らせ致しますので、ぜひ鉄人会のフェイスブック、ツイッターもフォローしてください!
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今回のテスト範囲は「旅人算」「流水算」「時計算」「通過算」と、速さの問題が中心となります。入試でも頻出の単元になりますので、今の時期に基本からしっかり固めておくことが大事です。順に説明を進めていきます。
なお、「○の中に数字」の表記が文字化けしてしまう可能性がありますので、マル1、マル2と表記させて頂きます。
まずは基本として、以下のような問題を確実に得点できるかチェックしておきましょう。
「太郎君は分速75mの速さで、A地点からB地点に向かって、花子さんは分速60mの速さでB地点からA地点に向かって、同時に歩き始めたところ、2人はA地点とB地点のまん中から60mはなれたところで出会いました。A地点とB地点は何mはなれていますか」
基本というには難度が高く思われるかもしれませんが、今回のテストではこの問題よりも難度が高い問題が目白押しですので、上記のような問題は確実に得点したいところです。ポイントは「まん中から60mはなれたところ」で2人が出会ったという点です。2人の速さがわかっていますので、速さの差もわかります。太郎君が花子さんより何m長く歩いたかがわかれば、距離の差を速さの差で割って、2人が歩いた時間が求められるという流れで、一気に正解に近づきます。
ここで、太郎君と花子さんの歩いた距離の差を60mとしないことが重要になります。太郎君は真ん中よりも60m長く、花子さんは真ん中よりも60m短く歩いたので、2人の距離の差は60×2=120(m)です。120÷(75−60)=8(分)より、答えは(75+60)×8=1080(m)となります。
上記の「2倍する」という考え方を使わない解き方もあります。比を使った線分図を活用する方法です。具体的なかき方をご説明します。まずA地点からB地点までの距離を表す直線をかきます。その下に、A地点からB地点に向かう太郎君の動きを表す直線を、さらにその下にB地点からA地点に向かう花子さんの動きを表す直線をかきます。太郎君の直線と花子さんの直線は、A地点からB地点までの距離の半分より60mB地点に近いところで出会うようにします。上下2本の線になるので、直線どうしがぶつかることはありませんが、出会う地点までをそれぞれ矢印にすればわかりやすいでしょう。
ここから比の考え方を使います。太郎君と花子さんの速さの比は75:60=5:4より、2人が同じ時間に進む距離の比も5:4となります。そこで太郎君の直線の2人が出会う地点までの長さをマル5、花子さんの直線の同じ地点までの長さをマル4とします。全体の長さはマル5+マル4=マル9となるので、A地点とB地点の中間地点までの長さはマル9÷2=マル4.5の位置となります。こうした数値はどんどん線分図にかき入れてください。方針がより見えやすくなります。A君の進んだマル5と、中間地点までのマル4.5の差であるマル0.5が60mにあたるので、60÷0.5×9=1080(m)として答えに行きつけます。
長さを2倍しなければいけない、という複雑さがなくなり、また状況が視覚的にわかりやすくなりますので、ぜひ図を活用する方法も試してみてください。
では次のような問題はいかがでしょうか。
「ある池の周りを一周するのに、兄は36分、弟は60分かかります。この池の周りを、兄と弟が同じところから同時に出発して反対の方向に進むと、2人は出発してから何分何秒後に初めて出会いますか」
池の周りの長さがわかっていないところがポイントになります。このようなタイプの問題では、周りの長さを便宜的に決めてしまいましょう。この問題であれば、池の周りの長さを36と60の最小公倍数である180とおきます。長さを1としてもよいのですが、そうしてしまうと、その後に複雑な分数計算をしなければならなくなります。計算をより速く確実に進められる数値として、最小公倍数を選びます。池の周りの長さが180ですので、兄の速さは180÷36=5より毎分5、弟の速さは180÷60=3より毎分8となりますので、2人が同じところから同時に出発して反対の方向に進むと、180÷(5+3)=22・1/2(帯分数の「22と2分の1」を表します)となるので、答えは22分30秒後です。
別解として、比を用いる方法もあります。同じ距離を進むのに、兄と弟の時間の比が、36:60=3:5なので、速さの比は逆比の5:3となります。兄の速さを毎分5、弟の速さを毎分3とすることで、池の周りの長さを、5×36または3×60から180とすることができます。そこからは上記と同じ解き進め方になります。比をマスターするうえでも、ぜひ比を使った方法にもチャレンジしてください。
次のようなタイプの問題です。
「A地点からB地点まで行くのに、分速80mで進めば予定より4分早くB地点に着き、分速60mで進めば予定より3分遅くB地点に着きます。A地点からB地点までの道のりは何mありますか」
このタイプの問題では、上記のような出発地点から到達地点までの距離を問うものと、移動に予定していた時間を問うものがあります。
どちらを求める際にも同じ方法で進めることができるのですが、解き方にも2通りあります。ここではその両方をご紹介します。
まずは比を用いる解き方です。前提として同じ距離を進む際には、速さの比と、かかる時間の比が逆比になることをしっかり確認しておきましょう。この問題では分速80m:分速60m=4:3より、かかった時間の比は3:4になります。この比の差(4−3=)1が、4+3=7(分)にあたるので、分速80mで進んだ際にかかった時間が7×3=21(分)とわかります。よって80×21=1680(m)と答えを求められます。
もうひとつの方法は、早く着く、遅れて着くという言葉を距離に置き換えるかたちです。
「早く着く」=「予定していた時間であれば、目的地より遠くまで進む」、「遅れて着く」=「予定していた時間であれば、目的地よりも手前に着く」、と置き換えます。分速80mで予定していた時間を進むと目的地よりも80×4=320(m)先まで進むことに、分速60mの場合は目的地よりも60×3=180(m)手前に着くことになります。この320+180=500(m)の差を、速さの差(80−60)で割ることで、予定していた時間を出すことができるのです。500÷(80−60)=25(分)より、予定していた時間は25分、分速80mの場合は、その予定より4分早かったので、道のりは80×(25−4)=1680(m)として求められます。
2通りの解法のうち、解きやすく確実に得点できる方法を習得すればよいのですが、できれば両方の方法を覚えておいておきたいところです。というのも、上記の式を見比べると、後に説明した距離の差に置き換える方法の場合、予定していた時間(25分)を出した後に、距離を求めるために時間の調整(25−4)をしなければなりません。ここで4をマイナスするのかプラスするのかを間違えてしまうことが起こりがちなのです。そのことから、距離を出す場合には、先に説明した比を用いる方法の方が、最後の調整をする必要がないというメリットがあります。
では、次のような問題はどうでしょうか。
「花子さんは乗る予定の電車の発車時刻に間に合うように、8時ちょうどに家を出発し、駅に向かいました。分速84mで進むと、発車時刻の5分後に駅に到着することがわかっているため、分速120mで進み、発車時刻の2分30秒前に駅に到着しました。花子さんが乗る予定の電車の発車時刻は何時何分ですか」
今度は、予定していた時間を求める問題です。
先程の問題と同じ順番で、まずは比の方法で進めてみましょう。5分後に到着予定の場合と2分30秒前に到着の場合の速さの比が84:120=7:10であることから、駅まで向かうのにかかった時間の比は10:7となります。この比の差(10−7=)3が、5+2.5=7.5(分)にあたるので、分速84mで進んだ際にかかった時間が7.5÷3×10=25(分)とわかります。よって8時+25分−5分=8時20分と、答えを求められます。ただ、最後に5分を引く、という調整が必要になりました。
もう一方の距離の差の解き方で進めると、84×5+120×2.5=420+300=720(m)と、まず距離の差を出して、それを速さの差で割ります。720÷(120−84)=20(分)と、予定していた時間が求められました。後は出発した時刻に足して、8時+20分=8時20分、と同じ答えになります。今度はこちらの方法で、調整が必要ないメリットが出てきます。
最後に数値の調整が必要となると、そこで間違ってしまう可能性も出てきてしまいます。そうした可能性を避けるためにも、ぜひ2つの方法を試してみてください。あくまで、混乱しないことが大前提とはなりますが、2つの方法を覚えておけば、距離を出すなら比の方法、予定時間を出すなら距離に置き換える方法、のような使い分けができます。
今回の旅人算の中でも、特に多くの受験生が苦手としているタイプの問題です。こうした問題を解く際には、図が不可欠になりますが、図のかき方が難しいため、より混乱してしまうことが多いです。このタイプの問題で図が活用できるようになると、6年生になってからとても有利になります。ぜひ頑張って取り組みましょう。
例題を挙げてみます。
「AさんはP地点から分速64m、BさんはQ地点から分速96mで、向かい合って同時に出発し、2人とも休むことなくP地点とQ地点を往復します。2人は出発してから15分後にはじめて出会い、さらに歩いてR地点で2回目に出会いました。Q地点とR地点の距離は何mですか」という問題です。
ここでのポイントは「2人が2回目に出会うまでに、2人合計してP地点とQ地点の間の距離の3倍を歩いた」ことがわかるかどうかです。このポイントを理解するために、図をかくことが必要になるのです。
図をかく上で、まずAさんとBさんのはじめのスタート位置を「ずらす」ことが重要です。向かい合って進むからといって同じ直線上に2人を置いてしまうと、往復した時点で図がグシャグシャになってしまいます。上下にずらして2人をスタートさせれば、とても見やすい図になるのです。それぞれの動きを表す2本の直線をかくことになるため、2人が1回目(15分後)に出会う地点については、同一直線上でぶつかるようにはかけなくなります。そこは、上下にずらしたまま、出会う地点に同じ印をつけてわかるようにしておきましょう。
そこから2人がさらに進み、往復してからは、上の線は下に折り返し、下の線は上に折り返して、2人が1本の直線を向かい合って進むようにします。こうすると、2人が2回目に出会うまでの図は、アルファベットの「S」の左右を逆にしたような線になります。
こうして完成した図を見れば2人が動いた距離の合計が、P地点とQ地点の間の距離の3倍になることがわかるでしょう。このプロセスはどんなに時間がかかっても構いません。ゆっくりお子さんの理解を確かめながら、図の作成を進めてください。ここで急ぐことは禁物です。
P地点とQ地点の間の距離は、(64+96)×15=2400(m)、2回目に出会うまでにA君が進む距離は64×15×3=2880(m)となることから、Q地点とR地点の距離は、2880−2400=480(m)と求められます。
この往復するという問題は、応用問題でも頻出パターンのひとつです。お子さんが理解するまでは、時間をかけてでも折り返しの図のかき方を、しっかりマスターさせてください。
人数が増えることで、よりわかりづらくなってしまう問題です。この問題でも、やはり図が不可欠になります。例題を挙げてみましょう。
「学校から図書館までの間を、太郎君と次郎君は学校から、花子さんは図書館から同時に出発します。太郎君と花子さんが出会ってから3分後に、次郎君と花子さんが出会いました。太郎君、次郎君、花子さんの速さは、それぞれ分速100m、分速70m、分速50mです。学校から図書館までの距離は何mですか」
ここで、3人の進む状況を1本の直線にまとめる、という方法は選ばないように気をつけてください。線が重なって、状況が全くわからなくなります。状況をより理解しやすくするためにも、同じ直線にそろえるのではなく、上下にずらして3本の直線でかくようにしましょう。こうした手間を惜しまないようにすることが算数の問題を攻略するためには、とても大切になります。
2人が出会う地点が同じ直線上にならなくなりますが、【攻略ポイント3】の問題と同じように、出会う地点を同じ印で記して、ずらしたままでかくようにします。
例えば、一番上に太郎君、真ん中に花子さん、一番下に次郎君、としてみましょう。まず太郎君と花子さんが先に出会いますが、3人の速さはわかっていて、太郎君は花子さんの倍の速度で進みます。そのため出会う地点は、真ん中より図書館寄り(全体の距離を2:1に分ける地点)になります。太郎君と花子さんが出会った時点で、一番下の線である次郎君は、太郎君よりも遅くなるため、2人が出会った地点よりも学校側にいることになります。
そこからは、花子さんが次郎君と出会う場面に切り替わります。ここで、問題で与えられた「3分後」を活用することになります。分速70mの花子さんと分速50mの次郎君が3分かけて出会うのですから、太郎君と花子さんが出会うまでに進んだ距離は、(70+50)×3=360(m)です。これは、次郎君が太郎君よりも360m後ろにいた、ということになりますので、360mは太郎君と次郎君の進んだ距離の差でもあるのです。この、2人が進んだ距離の「和」を、別の組合せの2人が進んだ距離の「差」に切り替えることが、この問題を攻略するうえでの最初のポイントになります。太郎君と次郎君は同時に学校を出発していますので、360mの差ができるまでに、2人は360÷(100−70)=12(分)進んだことになります。この12分は、太郎君と花子さんが出会うまでの時間でもあります。この時間の切り替えが2つ目のポイントです。
こうして学校から図書館までの距離は、(100+50)×12=1800(m)と求められるのです。
同じタイプの問題で、別のものを求めさせる場合があります。例題を挙げてみましょう。
「1440m離れたA地点とB地点があり、A地点からは太郎君と三郎君が、B地点からは次郎君が向かい合って同時に出発しました。すると、次郎君は太郎君と出会ってから3分後に三郎君と出会いました。次郎君の速さが分速65m、三郎君の速さが分速55mとすると、太郎君の速さは分速何mですか」
先の問題が、3人の速さが与えられていて、3人が進む距離を求めるタイプでしたが、今回は距離が与えられていて、3人のうちの1人の速さを求める問題です。基本的な考え方は変わりませんが、計算の順番が変わってきますので、見方を切り替える必要があります。
まずは同じように3本の直線をかいて、一番上を太郎君、真ん中を次郎君、一番下を三郎君とします。まず太郎君と次郎くんが出会う状況ですが、太郎君の速さがわかっていませんので、適当なところに出会う印を記入します。適当とはしましたが、3人同時に出発して、太郎君は三郎君より先に次郎君と出会いますので、太郎君は三郎君よりも速いことは明らかです。したがって太郎君と次郎君が出会う印は、あまりA地点に近いところにせず、ほぼA地点とB地点の真ん中くらいにするとよいでしょう。
次に次郎君と三郎君が出会う場面に切り替わりますので、次郎君と三郎君の直線が出会う印を記入して、計算に進みます。
このタイプの問題では、後に出会った次郎君と三郎君の速さがわかっていますので、その2人が出会った状況から解き進めます。1440mの距離を、次郎君と三郎君が同時に出発して出会うまでの時間は、1440÷(65+55)=12より12分後です。その3分前に次郎君と太郎君が出会っていますので、12−3=9より、次郎君と太郎君は出発してから9分後に出会っていたことがわかります。そこから1440÷9=160より、2人の速さの和が分速160mとなりますので、太郎君の速さは、160−65=95より、分速95mと求められます。
難しそうに見える問題ですが、図をかいて内容を整理することで、パターンを習得できれば、難しい問題ではありません。ぜひ慣れることができるように、練習を重ねてください。
上りの速さ=静水時の速さ−流速、下りの速さ=静水時の速さ+流速、という内容を言葉だけで覚えてはいないでしょうか。基本問題であれば、覚えているだけで解くことはできますが、少しでも応用の要素が入ると、たちまち対応できなくなってしまいます。
まずは、速さの関係を一度図にしてみましょう。静水時の速さをかき、そこに流速をかき加えたものが下りの速さ、流速分を引いたものが上りの速さです。当たり前のようでも、まず図にしてみてください。それがこの後説明する、注意すべき問題の解法につながります。
そうした基本を踏まえて、ここではより難度の高い問題を取り上げます。
次のようなタイプの問題です。
「ある船が川を48km上ったところ、6時間かかりました。その後、流れの速さが上るときの3倍になったので、同じところを下るのに2時間かかりました。この船の静水時の速さは時速何kmですか」
まずは、与えられた条件から、この船の上りと下りの速さが算出できます。上りの速さは、48÷6=8(km/時)、下りの速さは、48÷2=24(km/時)となります。ここから図を活用します。
上りのときの流れの速さ(以下、流速とします)をマル1とします。下りのときの流速は船が川を上るときの3倍になった、とありますので、下りのときの流速をマル3とします。
この上りと下り2つの速さ、その中間に静水時の速さを表すそれぞれの線分を、たてに並べます。そこで、上りの速さと下りの速さの差(24−8=)16(km/時)が、(マル3+マル1=)マル4にあたることがわかりますので、マル1、つまり上りのときの流速が、16÷4=4(km/時)と求められます。よって、この船の静水時の速さが8+4=12(km/時)と求められるのです。
やり方を覚えると、つい図をかかずにすぐに計算をしてしまいがちですが、流水算は上りの速さ、下りの速さ、流速に静水時の速さ、と速さだけでもいくつも種類がありますので、自分が求めたものがどれに該当するのかを間違えてしまう可能性が出てきます。図をかいて、そこに求めた数値を記入すれば、そうした間違いを防ぐことができます。ぜひ図をかく練習を重ねてください。
上りと下りで状況が変わる点では、上記の【攻略ポイント6】と同じで、図をかくことが必要になる点も同じです。ただし、式のたて方はだいぶ異なりますので、やり方をしっかり区別できるようにしましょう。ここでも例題を挙げます。
「ある船が60kmの川を上るのに8時間かかりました。同じところを、静水時の速さを1.5倍にすると3時間で下ることができました。この川の流れの速さは時速何kmですか」
図をかくにあたっての基本的な考え方は、上記の流速が変化するパターンと同じです。上りの速さ、静水時の速さ、下りの速さを表す線分をたてに並べてかきます。今回は静水時の速さが1.5倍になるのですから、上りの静水時の速さをマル1、下りの静水時の速さをマル1.5としても、もちろんよいのですが、小数計算を減らすために、上りの静水時の速さをマル2、下りの静水時の速さをマル3としてみましょう。上りの速さはマル2から流速を引いた長さ、下りの速さはマル3に流速を足した長さで表されます。
上りの速さは、60÷8=7.5(km/時)、下りの速さは60÷3=20(km/時)となりますが、ここから消去算の考え方を使うことになります。 上りの速さ=マル2−流速、下りの速さ=マル3+流速となることから、上りの速さと下りの速さを足すと、(マル2−流速)+(マル3+流速)という式から、流速が相殺されて、マル2+マル3が残ることになります。この解き方は、図を見ることでよりイメージがしやすくなります。数値をあてはめると、7.5+20=27.5がマル5にあたりますので、27.5÷5=5.5より、マル2、つまり上りのときの静水時の速さは、5.5×2=11より時速11kmとなります。よって流速は、11−7.5=3.5(km/時)と求められます。
手順が多い印象を受けられるかもしれませんが、しっかり図がかけていれば、決して難しい問題ではなくなります。
この問題で出てきました、流速が相殺されるという考え方は、静水時の速さが異なる2つの船が上りと下りで出会う問題でも使われます。川を上る船Aと、同じ川を下る船Bが向かい合って進むときにどれだけの時間がかかるかを求める際に、旅人算の考え方で、2つの船の速さの和が必要になります。ここで、船Aの速さ+船Bの速さ=(船Aの静水時の速さ−流速)+(船Bの静水時の速さ+流速)=船Aの静水時の速さ+船Bの静水時の速さ、となり、流速が必要なくなるのです。この式の仕組みをわかっているかどうかで、問題を解く速さと正確さが大きく変わってきます。しっかり理解を固めてください。
上記の通り、同じ時間に同じ川を上る船と下る船が出会う場合に、その速さの和はそれぞれの静水時の速さの和になりますが、その考え方を使った、次のような問題があります。
「ある川の川上にある甲町と川下にある乙町は81km離れています。甲町からA船が、乙町からB船が、向かい合って同時に出発したところ、A船とB船が出会ったとき、A船の方が27km多く進んでいました。静水時の速さは、A船が毎時16.5km、B船が毎時10.5kmです。このとき、この川の流速は毎時何kmですか」
流速を求めるという点で、どう解き進めればよいか、少し考えてしまう問題です。ただ、材料は十分に与えられていますので、ひとつひとつ解き進めていけば、決して難しくはありません。
まず方針として、流速が相殺されるという点は置いておき、静水時の速さがわかっているので、川を下る船Aの下りの速さがわかれば、そこから静水時の速さをひいて、答えに行きつけることを確認しましょう。答えから逆算して、どの値が求められれば、答えの一歩手前まで行けるか、いわばビンゴゲームのリーチの状態になるか、を考えることは、この問題に限らず、算数全般の問題を解くうえでとても大事になります。
全体の長さが81kmで、A船とB船が出会ったとき、A船の方が27km多く進んでいた、とありますので、和差算の考え方で、A船が進んだ距離がわかります。(87+27)÷2=54(km)の距離をA船はどれだけの時間をかけて進んだのか、それがわかればリーチの状態になります。
そこで流水算での速さの和の考え方が出てくるのです。2つの船が向かい合って進み、出会うまでの時間は、距離を速さの和(静水時の速さの和)で割れば求められます。81÷(16.5+10.5)=81÷27=3(時間)となりますので、54÷3=18(km/時)が、A船が川を下る速さです。よって求める流速は、18−16.5=1.5(km/時)となります。
流水算は、いくつかの手順を踏まなければならない単元ですので、図をかくこと、問題を解く方針をしっかり持つことに注意してください。
速さの単元の中でも、この時計算を苦手とするお子さんが多く見られます。その原因のひとつは、速さが角度で表されることにあります。同じように周を動く対象を扱う問題でも、池の周りで出会う(追いこす)タイプの旅人算であれば、動きがイメージできるのに、時計算で、周るものが針となって、速さが角度で表されてしまうと、一気にイメージができなくなることが多いのです。
お子さんがイメージをしやすいようにと、実際の時計を動かしてみせることも効果がないことはありませんが、長針と短針が同時に動く様子を見ても、なかなかイメージを把握するまで至らないことがあります。まずは、長針と短針それぞれの動きを分けて理解することが大事です。 対策としては、時計の図を自分でかいてみることが有効となるでしょう。その場合、10時45分、といった細かい時刻ではなく、10時30分など、30分単位の時刻から始めるのがよいです。
時計に10時のときの長針と短針それぞれの位置を記入させて、そこからまずは、長針だけを12から6の位置まで動かします。その際に、長針が30分をかけて180度を動いたので、長針は1分間に6度動く、ということを確認しておきましょう。次に短針を10の位置から、10と11の半分の位置まで動かし、30分に15度動くので、短針は1分間に0.5度動く、と確認します。
そこで、10時30分の時の、長針と短針がつくる小さい方の角度を求める、というところまでの作業をできるだけ繰り返してください。基本問題ではありますが、この基本を繰り返すことが、時計算のイメージを把握するためには必要になります。
そのような基本作業を繰り返すことの効果として、「長針が1分間に6度、短針が1分間に0.5度進む」ということを、ただ数値を覚えるのではなく、「長針は60分で360度進むから1分間に6度、短針は60分で30度進むから1分間に0.5度進む」と、単位量あたりの考え方から理解できるようになることがあります。
そうした考え方から時計の針の動きを理解しておくと、時計の文字盤が24等分され、長針が1時間で1周、短針が1日で1周するといった応用問題に対した際にも、「長針は60分で360度進むから1分間に6度、短針は60分で360÷24=15(度)進むから1分間に15÷60=0.25(度)進む」と、対応できるようになります。時計であれば長針が1分間に6度、短針が0.5度と機械的に覚えてしまっていると、どのように対応すればよいか、わからなくなってしまうのです。
時計算の基本を固めたうえで、実践的な演習に進みましょう。そこでも、時計の図を自分でかいてみることが必要になります。まずは以下のような例題を挙げてみます。
「2時から3時までの間で、長針と短針が反対方向をさして一直線になるのは2時何分ですか」
図をかくにあたって気をつけるべきことがあります。時計の図をかくときに、あまり厳密になり過ぎないことが大事です。長針と短針の位置関係が把握できればよいので、例えば円形の時計をかく時に、その円を精緻にかこうとしすぎないことです。実際テスト中にも図をかくことになりますので、短い時間で図をかけるように、練習をしておきましょう。
この問題では、まず2時を表す図をかきます。このスタート時点の図をかくことは、慣れるまでは続けた方がよいでしょう。角度の変化を求めるので、スタート地点での角度から視覚的に把握しておくことが必要です。
そのとなりに、問題で求めるようにされている「一直線」の図をかきます。もちろん細かい時刻はこれから求めるので、大まかな位置で構いません(3時を過ぎてしまうような大きな誤差がなければ大丈夫です)。
こうして図を並べてかくことで、まず長針は短針の30×2=60(度)後ろの位置にいて、そこから短針を追い越して180度先にまで進んだ、という動きを把握することができます。あとは計算です。(60+180)÷(6−0.5)=43・7/11(分)と、答えを求めることができます。
一直線が180度とわかっていても、その180度にスタート時点の角度を足すのか、あるいは180度から引くのか、といった判断を頭の中だけで進めようとするのは危険です。慣れるまでは、いくつかの図をかいて、長針と短針の動きを正確に把握しながら、内容を理解するようにしましょう。
難度を少し上げて、次のような問題にしっかり対応できるでしょうか。
「10時から11時までの間で、時計の長針と短針のつくる角の大きさが135度になる時刻が2回あります。1回目に135度になってから2回目に135度になるまでに何分かかりますか」
それぞれの時刻を算出して、その時刻の差を求めてもよいのですが、(6−0.5=)5.5で割るという複雑な計算が2回も出てきてしまいますので、別の方法で進めてみましょう。
まずは、問題の最初の段階、この問題であれば時計が10時を表している図をかきます。
次に、1回目に135度になる状況を図にしてみましょう。簡単な時計の図で構いません。35度は90度と180度のちょうど中間になりますので、長針と短針がアルファベットのV(ブイ)より少し開いたようなかたちになります。よく時計屋に展示された時計が表しているような時刻です(10時13分と14分の間くらい)。
次に2回目に135度になる図ですが、10時何分くらいが該当するのか、まずお子さんにかかせてみてください。こうしたイメージを働かせることが、有意義な練習になります。長針がだいぶ短針に近づき、ほぼ10時30分のあたりで135度になります。実は10時30分が、ちょうど135度になる時刻なのですが、その時刻を出さない前提で進めていますので、そのまま、ほぼ10時30分あたり、ということで進めましょう。
ここから図に角度を記入してゆきます。ここで、1回目の図、2回目の図ともに135度の部分に「135」と記入してしまうと、かえってわかりづらくなります。1回目から2回目の変化をわかりやすくするためには、角度を統一する必要があります。つまり、「短針が長針よりどれだけ先にあるか」という視点で統一するのです。
1回目であれば、短針は長針より360−135=225(度)先にいます。そこで図の、両方の針の下の部分に「225」と記入します。
2回目は、短針が長針より135度先にいる状態になっていますので、135度の部分に「135」と記入します。
こうして、1回目から2回目までに、短針と長針の差が「225−135」の分だけ縮まったことがわかります。よって(225−135)÷(6−0.5)=180/11=16・4/11より、16・4/11分が答えとなります。
時計の図をかくことは少し手間がかかるように思われるかもしれませんが、こうした長針・短針の動きのプロセスを実際にかいてみることで、お子さんのイメージする力が一気に養成されていきます。基本的な問題でも、まず簡単な図で構いませんので、図をかいて、長針・短針がどのように動くのかのイメージをつかむ練習を重ねましょう。
この単元では、動く主体に「長さ」があることで問題を難しく感じてしまう受験生が多いです。その点を克服するためには、動く列車や電車の先頭に人がいる、あるいはランプがある、としてその点(人も点とみなします)の動きで考えることが効果的です。点の動きとして見れば、鉄橋やトンネルを通過する場合でも、動く列車を追い抜く場合でも、動く距離の合計をより簡単に導き出すことができます。
気をつけるのは、通過するものの長さが変化するようなパターンです。例えば、次のような問題です。
「トンネルAの長さは、トンネルBの長さのちょうど3倍です。長さ180mの列車が、トンネルAを通りに抜けるのに45秒かかり、トンネルBを通り抜けるのに21秒かかりました。トンネルAの長さは何mですか」
まず、トンネルAの長さを出すために何が必要になるでしょうか。列車の長さはわかっていて、トンネルAを通過する時間もわかっています。あとは列車の速さがわかれば、一気に正解に近づきます。
この問題の状況を正確に把握するために、図をかいて動きをイメージしたいところですが、ここで注意すべきことがあります。まず親御さんが何も言わずにお子さんにこの問題を解くための図をかかせてみてください。おそらく多くのお子さんがトンネルに電車が入る始点をそろえてかくと思われます。電車がトンネルを通過し終わった時点で電車の先頭の位置が異なる図になります。もちろんその図でも、同じ電車の長さを削除して、トンネルの長さの差が時間の差にあたる、と考えることもできますが、よりわかりやすい図のかき方があります。
それは動きの終点である、電車がトンネルを通過したときの電車の先頭を上下そろえてかく、という方法です。このかき方をすると、トンネルに電車が入る時点に差が生まれますが、トンネルの長さの差が視覚的に把握しやすくなるというメリットがあります。
この問題では、まず上にトンネルAと列車がつながった図、その下に、トンネルを通過した列車の先頭がそろうようにして、トンネルBと列車がつながった図をかきます。
ここに、問題を解くための数値を記入して行きます。まずトンネルAの中にマル3、トンネルBの中にマル1として、2つのトンネルの長さの関係を表します。次に、上の図の右端に45秒、下の図の同じような位置に21秒とかき入れます。それぞれ通過にかかった時間です。
これで図は完成です。後は上下の図をよく見比べてみてください。トンネルの長さマル2の分の時間の差が、45−21=24(秒)にあたることがわかるでしょう。マル1、つまりトンネルAの長さを列車が24÷2=12(秒)かかって進むことになります。よって列車の長さ180m分は、21−12=9(秒)で進むことから列車の速さが180÷9=20より、毎秒20mであることがわかるのです。あとは、20×45−180=720の式から、トンネルAの長さが720mと求められます。
通過算では、図をかかなければ状況がとてもわかりづらくなってしまいます。まずは基本のかたちから、図をかく練習をしっかり重ねておきましょう。
上記の問題は通過するものの長さが変化するタイプの問題でしたが、列車や電車の速さが変化する問題もあります。以下のような問題です。
「長さ245mの電車が、長さ175mの列車に追いついてから追いこすまでに35秒かかりました。もし、列車が30%だけ速ければ、電車が列車に追いついてから追いこすまでに56秒かかります。電車の速さは時速何kmですか」
通過算に追いこしの考え方が含まれ、さらに速さが変化するという、かなり複雑に見えるものですが、やり方をしっかり理解して、練習を積んで慣れを身につければ、取り組みやすくなるタイプの問題です。
まずは問題で与えられている、数値のわかっているものが何かを整理してゆきます。今回は電車と列車、動く主体が2つ出てきます。その2つの主体の長さはわかっています。また、速さが変わる前と変わる後、2つの状況での時間もわかっています。そこから主体の速さを出す、という問題になります。
2つの状況をそれぞれ式にしてゆきます。主体に長さがある通過算では、人が追いついたり出会ったりする旅人算とは、長さの考え方が変わってきますが、「追いつく場合は速さの差」「出会う場合は速さの和」を使うことは同じになります。この問題では、電車が列車に追いつき追いこすので、「速さの差」を使うことになります。
列車の速さが速くなる前は、(245+175)÷35=12より、電車と列車に秒速12mの差があります。また列車が30%速くなった場合は、(245+175)÷56=7.5より、電車と列車の速度差が、秒速7.5mであることがわかります。
ここからは消去算の考え方に近くなります。電車の速さを(デ)、列車の速さを(レ)とすると、(デ)−(レ)=12、(デ)−(レ)×1.3=7.5となります。ここで注意して頂きたいのですが、中学数学の連立方程式の考え方ですと、上記の式から(デ)を消去すべく、2つの式をひき算することで(レ)×0.3=12−7.5となるのですが、マイナスの概念がない小学生には、そのひき算が難しく感じられます。
そこで、線分図を使った方法をご紹介します。まず適当な長さの線分をひいて、その長さを(デ)とします。そこから(レ)の長さ(こちらも適当で構いません)の分だけ短くした部分が12となります。これで(デ)−(レ)=12の式を図にすることができました。その下に同じ(デ)の長さ線分をひいて、(レ)を1.3倍した長さ分を短くした部分が7.5になるような図をかきます。これが(デ)−(レ)×1.3=7.5を表す図です。この上下をよく見比べると、(レ)の1.3−1=0.3(倍)が12−7.5=4.5に該当することが、よりよく把握できるでしょう。
(12−7.5)÷(1.3−1)=4.5÷0.3=15より(レ)が15、つまり列車の速さが秒速15mと求められるのです。あとは、15+12=27より電車の速さが秒速27mとなるので27×3.6=97.2(秒速m→時刻kmが3.6倍になる意味をよく確認しておいてください)より、時速97.2kmとわかります。
今回のマンスリーで出題される速さの問題は、流水算であれば3つの速さが出てくること、通過算であれば列車の長さを考慮することなど、様々な要素にまで考察が行き届くようにしなければなりません。そのために、図が大変重要になります。5年生の今だからこそ、少し時間をかけてでも、有効な図のかき方を覚えることに注力してください。その時に、できればまずはお子さんに自分で考えてかかせることから始めてください。間違ったかき方をしても、その間違いがあるからこそ正解をみて気づくことが多くなります。間違えるからこそ理解もより固くなります。親御さんがぜひじっくりと構えて、お子さんが考えたうえでのアドバイスをしてあげる姿勢で臨まれてください。
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