入試で狙われそうな今月の理科時事問題(さよならカッシーニ、ノーベル自然科学3賞決まる、薬を産むニワトリ)

今月は、“さよならカッシーニ”と“ノーベル自然科学3賞決まる”そして“薬を産むニワトリ”について取り上げてみましょう。

<さよならカッシーニ>

1997年に打ち上げられ6年半をかけて土星の周回軌道に入ったNASA米航空宇宙局の土星探査衛星「カッシーニ」は数々の成果を上げ、今年9月15日土星の大気圏に突入し20年にわたる観測を終了しました。カッシーニはどんな成果を上げたのでしょうか?

『衛星タイタンに湖を発見』

カッシーニが先ず探査を始めたのが土星最大の衛星タイタン。2005年1月、カッシーニから探査機「ホイヘンス」を分離しタイタンに軟着陸させました。ホイヘンスの観測によってメタンなどの有機物を含む海の存在、液体が流れて出来たような陸の地形などタイタンの地表の姿が初めて明らかにされました。

『衛星エンケラドスから吹き出す氷の粒』

直径約500kmの氷の衛星と思われていたエンケラドスの南極付近の氷の裂け目から氷と水蒸気が噴き出しているのが観測されました。氷の下には海が広がっていることが判り、さらに噴出した氷を分析した結果、熱水が有ることを突き止めました。
その結果、エンケラドスには生命に必要な3条件(液体の水、有機物、エネルギー)がそろっていて、太古の地球と似た環境なので、何らかの地球外生命が発見されるのではないかと期待されています。

『輪の謎の解明』

輪を作っているのは数cmから数mの粒で、その95%が氷であることが解りました。

『土星の大気の様子』

土星は木星と同様に水素とヘリウムが主成分のガス惑星なのですが、厚いアンモニアの雲に阻まれ地球の望遠鏡による観測では大気の様子が判りませんでした。カッシーニの観測で、巨大な台風の発生や、北極付近にある六角形の渦は時速約320kmのジェット気流によるものと判りました。地球のジェット気流(最大時速約360km)と同程度の様です。

『なぜ土星に突入させたのでしょうか?』

万が一カッシーニに地球の微生物が付着していた場合、生命が存在する可能性のある天体の環境を汚染しないように、土星の大気によって燃え尽きさせる方法を取ったのだそうです。

<ノーベル自然科学3賞決まる>

今年もノーベル賞の自然科学の3賞が決まりました。物理学賞には「重力波の初観測へ貢献した米国人3名」に、生理学医学賞には「体内時計をつかさどる遺伝子を特定した米国人3名」に、化学賞は「極低温電子顕微鏡の開発に貢献したスイス、米国、英国人3名」に与えられることとなりました。
残念ながら4年連続の日本人の受賞は有りませんでした。

『重力波観測異例の速さのノーベル物理学賞』

かの有名な天才物理学者アインシュタインが存在を予言した「重力波」が100年目の昨年2月初めて観測されたことが公表されました。初観測公表後2年も経たないという異例な短期間で、“重力波観測装置LIGO”の計画を推進した米国の研究者3名にノーベル賞が贈られることになりました。それ程衝撃的な学術的事件だったと言えるのでしょう。
受賞した3名は「レーザー光の反射時間差から空間の伸縮を計測する装置を設計したレイナー・ワイス博士」、「ブラックホールや重い星の合体などで、どんな重力波が観測できるかを理論で予測したキップ・ソーン博士」そして「観測装置LIGOを計画し主導したバリー・バリッシュ博士」でした。
重力波の観測内容については“メルマガ2016年2月29日号”で取り上げましたのでそちらを見てくださいね。今回はこの1年半で判ったことのお話です。

  • 重力波観測施設と観測数
    重力波を観測した施設は米国ワシントン州とルイジアナ州にあるLIGOで、2015年9月、同12月、2017年1月に合計3回観測され、イタリアの斜塔で有名なピサにあるVirgoで1回、合計4回観測されています。日本の状況は岐阜県飛騨市山中に観測装置KAGRAが建設中で、2019年に運用が開始される予定だそうです。
  • 今後の展開
    現在重力波観測は世界3か所で観測されていますが、日本のKAGRAが観測を開始すると角度にして数度の精度で方向がわかるようになるのだそうです。さらに観測装置の感度向上、観測施設の増加で、今まで観測できなかった光ですら飲み込んでしまうブラックホールや表面が光っている星の内部の理解が進み、究極的には138億年前の宇宙誕生の謎に迫れるようになるとのことです。
『体内時計の仕組み解明にノーベル生理学医学賞』

皆さんは夜になると眠くなり、朝になると自然に目覚めますね。欧州や米国に行った経験のある方は“時差ボケ”を経験したことがあると思います。これらは体内時計が関係しているのです。中には起こされないとダメという人もいると思いますが、そんな方も含め、この仕組みは多くの生物に備わっているのです。
体内時計という仕組みは、1984年に遺伝子に組み込まれていることが発見され、その働きが解明されました。米国の3人の教授が別々にショウジョウバエの中に行動リズムに変化を与える遺伝子があることを発見したからです。その功績により今年のノーベル賞はブランダイス大のジェフェリー・ホール名誉教授とマイケル・ロスバッシュ教授、ロックフェラー大のマイケル・ヤング教授に与えられることとなりました。
ただ、“なぜ周期が約24時間なのか?”という根源的な謎はまだ解明されてはいません。

『極低温(クライオ)電子顕微鏡開発にノーベル化学賞』

皆さんが使っている“光学式顕微鏡”は光を当ててレンズで拡大して試料を見ますが、電子顕微鏡はより小さな構造を見るために光ではなく電子を当てます。試料の周りに空気が有ると電子が邪魔されてしまうために、試料を真空中に置かなければなりません。そうなると水分を含む生物や蛋白質の試料は水分が蒸発して“干物”状態になってしまい、元の状態を見ることは出来なくなってしまいます。
そこで考えられたのが液体窒素(約マイナス200℃)で急速冷凍して観測可能とすることでした。ノーベル化学賞は“凍結させて観測に成功したスイスのジャック・ドゥボシェ名誉教授”、“電子顕微鏡の複数の平面画像を解析し立体構造を突き止める手法を開発した米国のヨアヒム・フランク教授”、“蛋白質の立体構造を原子レベルでの観測に成功した英国のリチャード・ヘンダーソン博士”に与えられます。
このクライオ電子顕微鏡は精度の向上とともに応用範囲も広がり、医学や生物学、創薬(そうやく=薬の開発)への活用が期待されています。

<薬を産むニワトリ>

遺伝子組み換え技術を使う“ゲノム編集”によって、がん等の治療に使われる高価な薬の成分を含む卵をニワトリに産ませることに成功しました。発表したのは、国の研究機関である産業技術総合研究所関西センターなどの研究チームです。
そんなニワトリをどの様に創り出したのでしょうか?
ニワトリの精子のもととなる細胞の中に、薬の成分を作る遺伝子をゲノム編集によって組み込み、卵に移植します。その卵から生まれた雄を複数の雌と交配させ遺伝子を引き継いだヒナを育てます。
その後、成長した雌が生んだ卵には薬の成分が含まれているのだそうです。
医薬品なので安全面の検証作業で高いハードルがありますが、安く大量に生産する技術として注目されています。

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