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今回は、5年生の11月度マンスリーテスト対策をお伝えします。また、攻略ポイントだけでなく予想問題付きです。過去問を分析し最も出題される可能性が高い問題を揃えてあります。解説も準備しますので、間違えた箇所はとくに読み込んで本番で同じ間違いをしないように注意してください。問題は11/8(水)のお昼ごろ 鉄人会のHPにアップ致します。アップが完了しましたら、メルマガ、フェイスブック、ツイッターでもお知らせ致しますので、ぜひ鉄人会のフェイスブック、ツイッターもフォローしてください!
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今回の範囲は、「仕事算」「倍数算」「相当算」「和と差に関する問題」となることが予想されます。それぞれについて順に説明をしていきます。
なお、「○の中に数字」の表記が文字化けしてしまう可能性がありますので、マル1、マル2と表記させて頂きます。また、分数は分子/分母のかたちで表記します。
仕事算を攻略するのに、2つの大きなポイントがあります。1つは「できるだけ分数を使わないこと」、もう1つは「逆比を利用すること」です。シンプルなタイプの問題で実践してみましょう。
「ある空の水そうを満水にするのにA管だけでは22分、B管だけでは33分かかります。この水そうが空の状態からA管、B管の両方を使って同時に水を入れ始めると、満水にするのに何分何秒かかりますか」という問題があるとします。水そうが満水となる際の水の量からA管、B管それぞれの1分あたりの水の量を出す、という解法自体は鉄則になりますので、しっかり覚えておいてください。
ここで全体の仕事量を1とする、という解説が多く見られます。全体を1にするという考え方が小学校の授業でも徹底されているせいかもしれませんが、結果として、A、Bの1日あたりの仕事量が1/22、1/33と分数になり、その後は分数計算で解き進めなければならなくなります。分数の計算力は鍛えられるかもしれませんが、問題を正確にできるだけ早く解くためには、分数を使うことが不利になることもあります。
ここでは、全体の仕事量を22と33の最小公倍数である66とすれば、A管だけでは1分で66÷22=3、B管だけでは1分で66÷33=2の水が水そうに入ることになり、この後の計算を、整数を中心に進めることができるのです。このように全体の量を1とする考え方にとらわれないことが、分数をできるだけ使わなくするというポイントにつながります。
もう1つのポイントの逆比ですが、上記で満水時の水の量を66としましたが、この数値は最小公倍数という考え方でなくても、逆比の考え方でも導き出すことができるのです。
満水時の水の量=1分あたりの水の量×時間(分)という式から考えると、全体が一定であれば、1分あたりの水の量と時間は逆比の関係になります。この問題で考えると、
A管だけで満水にする時間:B管だけで満水にする時間=22:33=2:3から
A管の1分あたりの水の量:B管の1分あたりの水の量=3:2となります。そこでA管の1分あたりの水の量をマル3とすると、満水時の水の量はマル3×22=マル66、と求められるのです。
もちろん最小公倍数のやり方に慣れていれば、そのやり方でも構いません。ただ、仕事算での仕事量と日数(この問題であれば、1分あたりの水の量と、満水にする時間)が逆比の関係にあることはおさえておく方がよいでしょう。
ちなみに問題の答えですが、66÷(2+3)=66/5=13・1/5となり、1/5分は60×1/5=12より12秒ですので、13分12秒で満水になります。
また、次のようなタイプの問題はどのように対応すればよいでしょうか。
「A君なら15日で、B君なら24日で仕上げる仕事があります。この仕事を2人でいっしょに始めましたが、途中でB君が何日か休んだため、この仕事を仕上げるのにちょうど10日かかりました。このとき、A君が1人で仕事をしたのは全部で何日ですか」
つるかめ算で解く方法もありますが、ここでは面積図を使った方法をご説明します。
まずは、複雑な分数計算にならないように、全体の仕事量を15と24の最小公倍数である120とします。A君の1日当たりの仕事量は120÷15=8、B君の1日当たりの仕事量は120÷24=5となります。ここまでは解き方に関わらず必要な前提になります。
ここから図を使って行きます。まず、最後まで休まずに仕事をしたA君の仕事量を長方形に表します。たての長さを1日あたりの仕事量、横の長さを日数とすることで、仕事量を長方形の面積で表すことができるのです。A君の仕事量はたての長さが8、横の長さが10(日)より、8×10=80となります。
次に、B君の仕事量を表す長方形を、A君の仕事量を表した長方形の上に乗せるかたちでかきます。たての長さは5ですが、B君が何日仕事をしたのかわかりませんので、横の長さはわかりません。ただ、B君は何日か休みましたので、A君の10日よりは当然短くなります。そこで、B君の長方形を、A君の長方形とたての辺が左端でつながるように上に乗せてみましょう。階段のようなかたちになりますが、この横の長さの差が、B君が休んだ日数、つまりA君が1人で仕事をした日数になることを把握しておきましょう。求めるべき値を視覚的にイメージできるメリットがここにあります。
あとは計算です。全体の仕事量が120、A君1人の仕事量が80ですので、B君1人の仕事量は120−80=40、となります。この40が、B君の仕事量を表す上部の長方形の面積ですので、40÷5=8より、上部の長方形の横の長さが8とわかります。よって、A君が1人で仕事をした日数は10−8=2(日)と求めることができるのです。
仕事算の範囲では以下のようなタイプの問題もあります。
「花子さんの所持金で、りんごだけを買うとちょうど18個、みかんだけを買うとちょうど30個買うことができます。花子さんはこの所持金のうち9割しか使うことができないものとすると、りんごを12個買ったあと、みかんを何個買うことができますか」
一見するとややこしそうですが、所持金を90(逆比または最小公倍数で)とおくと、りんごの単価が90÷18=5より5、みかんの単価が90÷30=3より3となり、一気に解きやすくなります。所持金90の9割しか使うことができず、そこからりんごを12個買ったのですから、残りのお金は、90×0.9−5×12=21となり、みかんを買うことができる個数は、21÷3=7から7個と導き出せます。問題の内容をしっかり読めば決して難しい問題ではありません。
差が一定というのは、「同じ金額を2人が受け取った」あるいは「同じ金額を使った」といった変化があった後で、2人の量の差が変わらず、比が変化するタイプの問題です。具体的には次のような問題になります。
「春子さんは1100円、夏子さんは800円持っていました。2人とも同じ値段の本を1冊ずつ買ったところ、春子さんの所持金は夏子さんの所持金の3倍になりました。2人が買った本1冊の値段は何円ですか」
倍数算では線分図をかくことが必須になります。そこでまずお子さんにヒントなしで線分図をかかせてみてください。1100円、800円の2本の直線をかいた後に、そこから線が短くなるかたちで使った金額をかき入れるお子さんが多いかもしれません。そこで2本の直線の差を考えると、その図が少し見づらいことにお子さんは気づくでしょう。
このタイプの問題では、2本の直線の基点(そろっているところ)から、量が増える場合は線が伸びる方向と逆に線を加え、減る場合には伸びる方向と同じ方に線を減らす、という方法で進めてみましょう。すると、もとからあった1100円と800円の差がそのまま変わらないことに気づくはずです。すぐにこの方法を教えるよりも、まずお子さんにやらせてみてから、違和感に気づかせ、そしてよりよい方法を教える方が、確かな定着が見込めます。
上記の問題であれば、その線分図から1100−800=300(円)が、夏子さんの所持金の(3−1=)2倍であることがわかります。300÷2=150(円)が本を買った後の夏子さんの所持金ですので、800−150=650より、本1冊の値段が650円と求められます。
和が一定は、次のようなタイプの問題になります。「はじめ、兄と妹の所持金の比は7:5でした。兄が妹に800円をあげたところ、2人の所持金の比は3:5になりました。現在の兄の所持金は何円ですか」
ここでも線分図をかくことがポイントになりますが、差が一定のパターンよりも、図はかきやすいかもしれません。大事なのは、2人の量を表す直線を上下にかくのではなく、2本をつなげて1本にする、ということです。やりとりの前後で全体量は変わりませんので、つなげた1本の長さも変わらなくなります。
まず1本の直線を7:5に分ける点を記します。やりとりがあった後の直線も1本のかたちで、既存の線の下にかきます。そこから上の線(変化の前)の7の分から700円減ったところに点をとり、その点から垂直に下の線にぶつけると、そこが直線を3:5にわける点になります。そこからは7+5=12と3+5=8の最小公倍数である24に数値を合わせ、上の線が14:10、下の線が9:15となるので、比の5が800円にあたる、とわかります。比の1を800÷5=160(円)としてから、最後に何を求めるのかに注意してください。この問題では、現在の兄の所持金ですので、比の9にあたる値を求めます。160×9=1440より、答えは1440円となります。
それぞれの図のかき方にしっかり慣れること、最後に求めるものを間違わないように注意することが重要です。
倍数算の中では最もやりづらいタイプの問題です。ここでは、消去算を活用すると問題を解く速度、正確さもアップが見込めます。例題を挙げてみましょう。
「はじめ、A君とB君の所持金の比は3:7でしたが、A君が400円使い、B君は720円もらったので、B君の所持金はA君の所持金の3倍になりました。B君の所持金はいくらになりましたか」
線分図をかくことはやはり必須です。A君の所持金とB君の所持金の比が3:7になるように上下に線をひき、そこからA君は400円分短くなり、B君は720円分を足して、できあがった直線の長さの比が1:3になる、というところまではしっかり図にしましょう。
ここから、新しくできた比の1:3の最小公倍数3の倍数に2本の線分の長さをそろえて、新しい線分図をかく、という方法で進めるケースが多く見られます。もちろんその方法でも解きやすくはあるのですが、新しくできる線分の値が大きいため、図をかきづらく感じてしまうことが起こり得ます。
そこで、ここからは消去算で解く方法をご紹介します。
はじめの2本の線分の長さをマル3とマル7、後からできた線分の長さをシカク1とシカク3とします。すると以下のような2つの式ができます。
シカク1=マル3−400
シカク3=マル7+720
ここで消去算の考え方で、シカクを3に統一すると、
シカク3=マル9−1200
シカク3=マル7+720
上下の式をよく見比べると、マル9とマル7の差であるマル2が1200と720の和になります。ここからマル1=(1200+720)÷2=960と求められます。
最後に何を求めるべきなのか、確認しましょう。この問題では現在のB君の所持金ですので、マル7+720が該当します。960×7+720=7440より、答えは7440円となります。
3にそろえるという意味では線分図を拡大することと同じですが、数値の大きな線分図を意外とかきづらく感じるお子さんもいらっしゃいますので、そんなときにはこの方法を取り入れてみてください。
この単元でも仕事算のときと同じく、「できるだけ分数を使わないこと」をポイントに解説を進めます。次のような問題をサンプルにしましょう。
「1本のひもを太郎君、次郎君、三郎君の3人で分けることにしました。まず太郎君が全体の2/5より9cm長く取り、次に次郎君が残りの3/4より16cm短く取り、最後に三郎君が残りの1/2より17cm長くとったところ、ちょうどひもがなくなりました。分ける前のひもの長さは何cmでしたか」
いくつもの段階があり、また分数が多く出てきますので、少しうんざりしてしまうこともあるかもしれません。そこは我慢なのですが、少しでもその気持ちを軽くし、また間違いを減らすためにも、分数をできるだけ使わない方法で進めてみましょう。
こうしたタイプの問題では話の最後からさかのぼって解いていく、という前提をまずしっかり理解しましょう。最後17cmからひとつひとつさかのぼって、はじめの長さに行きつくのです。
まず、三郎君が残りの1/2より17cm長く取る、とあります。この「残り」という言葉に惑わされないことです。その回ごとに長さを求めていけばよいので、ひとつ前に次郎君が取った残りの長さを全体とします。そこで全体を1とはせずに、1/2とありますので、全体をサンカク2にしてしまいましょう。するとサンカク1を取った残りが17cmなので、サンカク2は17×2=34(cm)と求められます。次に太郎君が取った残りの3/4とありますから、全体をシカク4として、シカク3より16cm短く使った残りがサンカク2の34cmなので、(34−16=)18cmがシカク1にあたります。よってシカク4は18×4=72(cm)となります。最後に、太郎君がひも全体の2/5より9cm長く取った残りが72cmにあたりますので、ひも全体をマル5として、マル3が9+72=81(cm)となることから、81÷3×5=135より、分ける前のひもの長さが135cmと求められます。
文章にすると長くなりますが式そのものはとても簡単なものです。この一連を分数で進めようとすると、どうしても間違いが多くなる可能性が高くなります。また、混乱しないように、必ず段階ごとに線分図をかいて、長さを視覚的に把握できるようにしてください。
ここまで、分数はできるだけ使わない、としてきましたが、もちろん分数を使う方が解きやすい問題もあります。その代表が「ボールのはね上がり」です。ボールを落とす高さと、ボールがはね上がる高さの割合は一定になります。この場合、その同じ分数で解いていく方が有利になることがあります。例えば次のような問題、「ボールを1mの高さから落としたところ、2回目にはね上がった高さは36cmでした。このボールの落とした高さに対するはね上がる高さの割合を求めなさい」
ここで2回はねあがるまでには、はじめの高さから割合を2回かけ合わせることになります。つまり1m=100cmから100×○/△×○/△=36となります。ここで○/△×○/△=36/100=9/25です。こうなると、答えは目の前に見えてきます。2つの数をかけ合わせた数(平方数)が9、25となる数は3、5とわかりますので、○/△を3/5と導き出すことができるのです。このタイプで分数を使わないで、としてしまうと逆に混乱してしまいます。問題のタイプに応じて、より解きやすい方法があることを確かめましょう。
同じボールのはね上がりの問題でも、次のようなタイプもあります。
「落とした高さの3/7だけはね上がるボールAと、3/4だけはね上がるボールBがあります。ボールAをボールBよりも66cm高い位置から床に落としたところ、それぞれが2回目にはね上がった高さが等しくなりました。ボールAを落とした高さは床から何cmのところですか」
はね上がりの問題ですので、もちろん分数を使って解くことができるのですが、ここでは「連比」を使った解き方をご紹介します。
まず、ボールAを落とした高さ:1回目にはね上がる高さ=7:3、1回目にはね上がる高さ:2回目にはね上がる高さ=7:3より、連比の求め方で、ボールAを落とした高さ:1回目にはね上がる高さ:2回目にはね上がる高さ=49:21:9となります。
同じように、ボールBを落とした高さ:1回目にはね上がる高さ=4:3、1回目にはね上がる高さ:2回目にはね上がる高さ=4:3より、連比の求め方で、ボールBを落とした高さ:1回目にはね上がる高さ:2回目にはね上がる高さ=16:12:9となります。
ここで、2回目にはね上がる高さが、ボールA、ボールBとも比の9で表されていますので、その高さをマル9とします。この問題では、たまたま9で一致していましたが、比の値が3と4のように異なる場合は、最小公倍数の12にそろえる、といった作業をします。
この問題では、2回目のはね上がりがマル9ですので、ボールAを落とした高さはマル49、ボールBを落とした高さがマル16となり、この差のマル33が66cmにあたりますので、マル1は66÷33=2となり、ボールAを落とした高さが、2×49=98(cm)と求められるのです。
連比を使うことで、複雑な計算をせずに解答まで行き着けますので、この解法もぜひ覚えておいてください。ただし、はね上がりが3回以上になると、連比の求め方が複雑になりますので、その場合は、分数で進める方がよいでしょう。
ここでは還元算型の問題もご紹介します。還元算というと、特に計算問題での64×□÷8=256の□を求める、というかたちが浮かんできますが、ここでは、「やりとり」を扱う文章題について解説します。与えられている数値から、さかのぼって未知の数値を求めるという意味では計算問題と同じですが、よりややこしいかたちになっているので注意が必要です。
次のようなタイプの問題です。
「A、B、Cの3人はそれぞれいくらかお金を持っていました。まず、Aが自分の所持金の中から、B、Cにそれぞれの所持金と同じ金額を渡します。次に、Bが自分の所持金の中からA、Cにそれぞれの所持金と同じ金額を渡します。最後に、Cが自分の所持金の中からA、Bにそれぞれの所持金と同じ金額を渡します。すると、A、B、Cの3人はそれぞれ1200円ずつ持つことになります。はじめのAの所持金は何円でしたか」
一見して文章量が多く、お子さんからするとうんざりしてしまうかもしれませんが、やりとりを説明しているから文章が長くなっているだけで、しっかり内容が整理できれば、恐れるような問題ではありません。
ここでも図をかくことが重要になりますが、難しい図をかく必要はありません。3回のやりとりの中でA、B、Cがそれぞれ何円を持っているかがわかるような図であればよいのです。図というよりもむしろ表に近いものです。
まず、縦でも横でも構いませんので、A、B、Cとかき並べます。これが3人のはじめの所持金を表します。そこから少し間隔をあけて、A、B、Cそれぞれの横(あるいは下)に□をかきます。ここには1回目のやりとりの後の金額をかき込むことになります。同じように間隔をあけて、また□をかき並べます。これが2回目のやりとりの後の金額をかき込む欄です。最後に間隔をあけて1200円をかき並べます。最後の3人の所持金を表します。
ここから話をさかのぼって、それぞれの□に金額をかき込んで行きます。1200円から順にやりとりをさかのぼれば、はじめの3人の所持金がわかることになるのです。
この問題では「それぞれの所持金と同じ金額」というところが少し難しく感じますが、例えばAがその時の所持金と同じ金額を受け取った場合、A君の所持金は受け取る前の2倍になります。そのように数値化できれば、決して解きづらくはなくなります。
□をかくのに少し間隔をあけたのは、そこにお金の移動する向きを表す矢印や金額をかき込めるようにするためです。
最後に1200円持っていたということは、最後のやりとりでA、Bの所持金は2倍になったのですから、2回目のやりとりの後(最終のやりとりの前の段階)で、Aは600円、Bも600円持っていたことになります。2人に600円ずつ渡した結果Cは1200円になったので、Cは2回目のやりとりの後で2400円持っていたことになります。空欄にそれぞれの数値をかき入れましょう。
同じようにさかのぼって、2回目のやりとりは、BからA、Cへとお金が移動して、A、Cの所持金が2倍になりましたので、1回目のやりとりの後に、Aは300円、Bは2100円、Cは1200円持っていることになります。そして最後に同じようにさかのぼって、はじめの所持金は、Aが1950円、Bが1050円、Cが600円と求められます。
このタイプの問題で気をつけるのは、図の空欄に正確に数値を記入すること、そして、全体の量(この問題では3人の所持金の合計)が一定である点に留意することです。上記の問題であれば、どの段階でも3人の所持金の合計は1200×3=3600(円)となります。全体の量が一定なので、空欄にかき入れた数値の和が一定になっているかどうか、で数値が正しいかどうかのチェックをすることができます。
問題によっては、「自分の所持金の1/5を渡す」といった分数のパターンもありますが、解き方は同じです。図のかき方にしっかり慣れれば、得点できるチャンスが大きく広がる問題ですので、頑張って取り組みましょう。
過不足算とは、例えば「子どもたちにバナナを1人5本ずつ配ると10本余り、1人に8本ずつ配るには3本足りなくなります。このとき、バナナは全部で何本ありますか」といったタイプの問題です。上記のような問題であれば、基本的な考え方で対応できるのですが、難しいのが「長いす型」の問題です。例えば次のような問題です。
「ある学年の生徒を、何脚かの長いすに同じ人数ずつ座らせていきます。1脚に6人ずつ座せていくと20人が座れなくなり、1脚に8人ずつ座らせていくと、生徒が座る最後の長いすにはちょうど8人が座り、長いすが2脚余りました。この学年の生徒は何人ですか」
この長いすのパターンになると、「余る」「座らない」という言葉の意味が急にわからなくなってしまうことが多いのです。そんな時に、図をかくことで状況が的確にイメージすることができます。
図のかき方ですが、まずお子さんには綿密な図ではなく、ラフでもよいので見やすくかくことを伝えてください。長いすも、いすのかたちを詳しくかく必要も時間もありません。簡単な長方形で構いません。長方形を並べて、横に6人とかきます。いすの数がわかりませんので、途中に「…」をはさんで、最後の長いすをかいた余白に座れなかった人数20人をかき込んでおきます。その下に同じく長方形を並べて8人とかきます。やはり途中に「…」をはさんで、8人ずつの方の最後の3脚について、8人、0人、0人とかきます。これで、長いすの数は同じにして座る人数を変えることで、何人の差が生まれたのかが視覚的にわかるようになり、式を立てられるようになります。1脚に6人ずつ座らせた場合は20人があまり、1脚に8人ずつ座らせた場合は、長いすをうめるのに8×2=16人分、足りなくなります。ここで2つの場合の差が20+16=36(人)と求められます。それは長いすに座らせる人数が1脚につき8−6=2(人)あるために生じたものなので、長いすの数が36÷2=18(脚)と求められます。あとはよりやりやすい式 を使って、6×18+20=128(人)として答えに行きつけます。
式や言葉ではなかなかイメージができない問題が、図をかくことで一気に状況が把握できるようになる例のひとつです。
次のようなタイプの問題には、どのように対応すればよいでしょうか。
「1本30円の鉛筆と、1本90円のボールペンを何本か買う予定で、おつりが出ないように1200円を用意していましたが、うっかりして鉛筆とボールペンの本数を反対に注文したので、240円足りなくなってしまいました。買う予定だったボールペンは何本ですか」
大人の感覚であれば、逆にした結果、金額が足りなくなってしまったので、予定では単価が安い方の鉛筆を多く買うつもりであったことがすぐにわかりますが、小学生にとっては、その点がなかなかイメージしづらいのです。
ここで、面積図を使った方法をご紹介します。この問題では、鉛筆の単価が1本30円、ボールペンの単価が1本90円、合計金額が1200円というところまではわかっていますので、「鉛筆とボールペンの本数の合計」がわかれば、あとはつるかめ算で解くことができる、ということを前提とします。図を使って、本数の合計を導き出します。
まず縦の長さが30(円)、横の長さがA(本)の長方形と、縦が90(円)、横の長さがB(本)の長方形を並べます。この図形全体の面積が、はじめに予定していた金額である1200(円)になります。次に、縦の長さが30(円)、横の長さがB(本)の長方形と、縦の長さが90(円)、横の長さがA(本)の長方形を横に並べます。この図形全体の面積が、個数を逆にした場合の金額ですので、面積は1200+240=1440(円)になります。
そこで後にできた図形を上下さかさまにして、はじめの図形の上にくっつけます。すると縦の長さが30+90=120(円)、横の長さがA+B(本)、面積が1200+1440=2640(円)の大きな長方形ができあがります。ここから横の長さであるA+Bの値が、2640÷120=22(本)であることがわかります。あとは、つるかめ算の解き方で、(1200−30×22)÷(90−30)=9より、求めるボールペンの本数が9本となります。
図をかく手間がかかるように思われるかもしれませんが、本数が入れ替わるということのイメージが固まらないうちは、このような視覚的な効果のある方法が有効になることがあります。ぜひ試してみてください。
この単元でその他に気をつけるポイントを挙げて行きます。
まずは消去算です。次のようなタイプの問題が該当します。
「なし1個の値段は、りんご1個の値段より50円高いです。なし6個とりんご3個を買うと、代金の合計は930円になります。なし1個の値段は何円ですか」
数学では連立方程式の基本問題にあたりますので、その記憶のある方々からすると簡単に思えるでしょうが、小学生にとっては不慣れでやりづらさを感じることがあります。何でこんな簡単なのがわからないのか、とは決して言わず、焦らず、お子さんの視点に合わせて進めるようにしてください。
順番に式を立てて行きます。
なし×1=りんご×1+50円
なし×6+りんご×3=930円
式のかき方ですが、上記のように同じものがたてに並ぶようにすると、より比較がしやすくなります。雑に式をかかないように気をつけてください。
式のかたちを見て、なしとりんごのどちらを消去すればよいかを考えます。上の式を6倍すると、なし×6=りんご×6+300円となりますので、なし×6をそのまま下の式で置き換えます。上の式を3倍して、りんご×3を上下の式に共通するものとしてもよいのですが、「+50円」があるだけに、計算がややこしくなります。よりシンプルにかかれている方を消去することが有効になります。
りんご×6+300円+りんご×3=930円より、りんご×9=630円から、りんご1個の値段が630÷9=70より70円と求められます。
ここで、問題で何を求めるように指示されているかを必ず確認するようにしてください。この問題では、なし1個の値段ですので、70+50=120(円)が答えとなります。解きやすい問題であればあるほど、最後の詰めで間違わないように気をつけるようにしましょう。
また、平均に関する問題も注意が必要です。次のような問題があります。
「算数のテストが何回かあって、それまでの平均点は62点でしたが、最後のテストで74点をとったので、すべてのテストの平均点は63.2点になりました。テストは全部で何回ありましたか」
同様の問題に慣れていれば難なく解ける問題ですが、やり方がわからないと対応のしようがなくなります。面積図をかいて考えてみましょう。
たての長さを平均点、横の長さをテストの回数として、2つの長方形を並べてかきます。まず、たてが62(点)、横の長さがわかりませんので適当な長さとして、これまでのテストの状況を表す長方形をかきます。その横に並ぶように、たてが74(点)、横を1(回)とする、長細い長方形で最後のテストの状況を表します。テストの回数が1回ですので平均点はそのまま74点として構わないのです。
そこに、たての長さが63.2(点)で横の長さは2つの長方形の横の長さを合わせた分となる長方形を重ねてかき入れます。もとの横長の長方形と、新たにかき入れた長方形の上の辺との間にできた部分の面積と、もとのたて長の長方形の、新たな長方形の上の辺からはみ出ている部分の面積が等しくなることが、面積図のポイントです。
横の長さが不明(□とします)で、たての長さが(63.2−62=)1.2の長方形と、横の長さが1、たての長さが(74−63.2=)10.8の長方形の面積が等しくなりますので、逆比の考え方から、□:1=10.8:1.2より、□=9となり、求めるテスト全部の回数が9+1=10(回)と求められます。面積図のかき方にはできるだけ早く慣れるようにしましょう。
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