No.1565 日能研6・5年生 第19回算数対策ポイント!

 今回より、『日能研 算数対策ポイント!』は新6年生、新5年生の生徒様方へ向けての内容となります。

<算数 6年生 第19回>

 第19回のテーマは「規則性 約数・倍数の性質」です。今回の目標は「約数や倍数の考え方を使って問題を解けるようになること」です。そのため、「学び」の段階から「問い」があります。その「問い」を利用しながら約数や倍数の使い方を学んでいきます。実際に書きながら考えていくとよいでしょう。

 約数や倍数の考え方は「整数に関する問題」以外に「文章題」「図形」「速さ」など広い範囲で利用されます。その中で最も多いケースが、その問題が約数・倍数の問題だと気づかないパターンです。このことを避けるためにも、まずは書いて調べることを心がけていきましょう。

【対策ポイント】

 「学び1」では約数・倍数を具体でとらえます。はじめに6ページの「やってみよう!」に取り組んでみましょう。

 12と20の約数を調べてみます。12の約数は小さい方から1、2、3、4、6、12です。1×12、2×6、3×4のようにかけ算をしながら考えると抜けもれがなくなります。20の約数は1,2、4、5、10、20です。公約数は両方に共通する約数のため1,2、4となります。したがって最大公約数は4で、公約数の1,2,4はどれも最大公約数「4」の約数となっています。

 次に7ページの「問い1」をやってみましょう。縦の長さが72cm、横の長さが150cmの長方形の紙を余ることなくできるだけ大きい正方形に切り分けていきます。はじめにどのような切り分け方があるか調べてみましょう。1辺が1cmの正方形で切り分けることはできます。1辺が2cmの正方形で切り分けることはできます。1辺が3cmの正方形で切り分けることはできます。1辺が4cmの正方形では切り分けることはできません。1辺が4cmの場合、4は縦の長さの72cmの約数ですが、横の長さの150cmの約数ではないため余ることなく切り分けることができません。

 このように、この問題は72と150の公約数を探していけばよいことがわかります。そして問題文の中に「できるだけ大きな(正方形)」とあるため、72と150の最大公約数を探す問題と考えることができればよいでしょう。したがって、できるだけ大きな正方形の1辺の長さは6cmとなります。

 このように約数や倍数の問題では、まず具体的な量(今回の問題では辺の長さ)を調べてみて、そこから抽象的な数(今回の問題では約数)の考え方に置き換えることができると、スムースに解くことができます。はじめに「調べること」が大切です。

 次に8ページの「問い2」をやってみましょう。縦36cm、横45cmの長方形の紙を同じ向きにすき間なく並べて、できるだけ小さい正方形を作ります。縦に36cmを何枚か並べて、横に45cmを何枚か並べて同じ長さにします。したがって、36と45の公倍数を考えるとよいことがわかります。そして問題文の中に「できるだけ小さい(正方形)」とあるため、36と45の最小公倍数を探す問題と考えることができればよいでしょう。したがって、できるだけ小さい正方形の1辺の長さは180cmとなります。

 「学び2」では範囲の中にある倍数の個数を調べていきます。11ページの「学んだことを使う」で説明します。1~300までの整数のうち、6の倍数と9の倍数の関係をベン図に表していきます。ページ上段のベン図にも注目しながら解きましょう。

 はじめに1~300までの間に6の倍数は300÷6=50個あります。同じように9の倍数は300÷9=33…3となり、33個あります。6の倍数でもあり9の倍数でもある数は、6と9の最小公倍数の倍数のため、18の倍数となります。18の倍数は300÷18=16…2となり、16個あります。ベン図のイにあてはまる数は1~300までの整数のうち6の倍数でもあり9の倍数でもある数のため、16個あります。

 次にベン図のアにあてはまる数は1~300までの整数のうち6の倍数であり9の倍数ではない数のため、50-16=34個あります。ベン図のウにあてはまる数は1~300までの整数のうち9の倍数であり6の倍数ではない数のため、33-16=17個あります。

 したがって、1~300までの整数のうち6の倍数でもあり、9の倍数でもある数の個数は16+34+17=67個となります。したがってベン図のエ(6の倍数でも9の倍数でもない数)にあてはまる数の個数は300-67=233個となります。順番が前後しますが、この考え方を使って、10ページの「やってみよう!」に取り組んでみましょう。

 「学び3」では素因数分解をするとわかることについて学びます。12について考えてみましょう。

 12を素因数分解すると2×2×3となります。以下のようなことに気づくとよいでしょう。
①12は素因数分解をすると素数2があるため2の倍数である(2で割り切れる)。
②12は素因数分解をすると素数3があるため3の倍数である(3で割り切れる)。
※このことから12は6の倍数でもあり、6でもわり切れます。
③12は素因数分解すると素数2が2つあるため、2で2回わることができる(2でわると3回目でわり切れなくなるともいえる)。
④12=2×2×3のため、12に3をかけると12×3=2×2×3×3=2×3×2×3=6×6となり、6の平方数(6を2回かけた数)となる。

 続いて素因数分解を使って、その整数の約数の個数を調べてみましょう。
例えば12の約数は小さい方から1,2、3、4、6、12です。これは次のように考えることができます。12を素因数分解すると12=2×2×3です。これは2が2つ3が1つからできています。12の約数を作るときは2と3を組み合わせて作っていきます。2は「1個使う」「2個使う」「0個使う(使わないということです)」の3通りあります。3は「1個使う」「0個使う」の2通りあります。

 具体的に組み合わせを考えてみましょう。2を「1個使う」場合を考えてみましょう。このとき3を「1個使う」と2×3=6となります。6は12の約数です。3を「0個使う」と2×1=2となります。2は12の約数です。このとき2×0とすると0になってしまい12の約数にはなりません。「0個使う」というのは3を使わないだけですから2×0としないよう気をつけましょう。

 2を「2個使う」場を考えてみましょう。このとき3を「1個使う」と2×2×3=12となります。12は12の約数です。3を「0個使う」と2×2×1=4となります。4は12の約数です。

 最後に2を「0個使う」場を考えてみましょう。このとき3を「1個使う」と1×3=3となります。3は12の約数です。3を「0個使う」と1×1=1となります。1は12の約数です。

 このように12のすべての約数を「2の個数」と「3の個数」の組み合わせで求めることができます。約数の個数だけ求めるときは、このことを利用します。12(=2×2×3)の約数の個数を求める場合には、2は「1個使う」「2個使う」「0個使う(使わないということです)」の3通りあり、3は「1個使う」「0個使う」の2通りあるため、全部で3×2=6通りの約数があることがわかります。

 このように約数の個数は、その整数を素因数分解したときの同じ素因数の個数に注目して、(同じ素因数の個数+1)の積で表されることがわかります。

 「学び4」では分数が題材の問題において、約数・倍数を活用する例を紹介していきます。15ページの「問い1」を見てみましょう。

 8分の1より大きく、6分の1より小さい分数で分母が72の分数を考える問題です。分母が72とあるため、8分の1は72分の9、6分の1は72分の12とします。したがって72分の9より大きく、72分の12より小さい分数を考えます。72分の9より大きく、72分の12より小さい分数は72分の10と72分の11です。このうち既約分数は72分の11となります。

 「問い2」でも分母が72の分数を扱います。72分の1から72分の71までの71個の分数の中で約分できる分数の個数を数えます。このとき、1つひとつ調べていくのもよいです(71個なら調べるとこができると思います)が、計算で求めてみましょう。まずは72と約分できるのはどのような数なのかを想像します。

 小さい方から2、3、4、6、8、9、12、18、24…と並びます。また、72=2×2×2×3×3のため72は2の倍数や3の倍数、6の倍数でわれることがわかります。これらのことから、72分の1から72分の71までの71個の分数の中で約分できる分数は、1~71の数の中で「2の倍数または3の倍数である整数の個数」と同じことがわかります。

 1~71の数の中で2の倍数の個数は、71÷2=35…1となり、35個となります。同様に3の倍数の個数は71÷3=23…2となり、23個となります。2の倍数と3の倍数には共通する6の倍数があります。6の倍数の個数は、71÷6=11…5となり、11個となります。したがって1~71の数の中で2の倍数と3の倍数の個数は35+23-11=47個となります。47個は約分できる個数のため、約分できない個数は71-47=24個となります。

 「問い1」「問い2」ともに分数が題材の問題です。このような問題では「学び1」で習ったように初めに「具体的に考えてみる」「書き出して調べてみる」ことが大切です。そこから、素因数分解、約分、通分という手段を使って、約数や倍数という抽象的な数の考え方に置き換えてか考えることが重要です。効率を優先して「具体的に考えてみる」「書き出して調べてみる」という作業を怠ると応用がきかなくなります。

 「学び5」では最大公約数と最小公倍数のつながりについて確認します。ある整数A、Bとこれらの最大公約数をG、最小公倍数をLとすると、A×B=G×Lという式が成り立ちます(公式を導くプロセスはステージⅣ・本科教室答え6年46ページをごらんください)。

 ここではこの関係を使って問題を解いてみましょう。18ページ「学んだことを使う」を見てみましょう。2つの整数40とAの最大公約数は8で、最小公倍数は240とあります。Aを求めてみましょう。先ほどの式を参考にすると40×A=8×240という式が成り立ちます。逆算の考え方を利用してA=8×240÷40=48となり、整数Aは48とわかります。

 演習としては19ページから23ページは必修です。 26ページ問4は具体的に数を決めて取りかかるとよいでしょう。電車やバスの本数と発車間隔の数の関係に注意しましょう。27ページの問6はベン図のが表す数を意識しながら取り組みましょう。問7は書き出しながらかんがえることが基本ですが、素因数分解をするとどのような形になるかを考えることができるとさらによいでしょう。

 28ページの問9では①は計算して求めますが、それ以外は計算せずに整数の積の形のままで考えるとよいでしょう。②はわり算を分数で表すとうまくいきます。問10は連除法や「学び5」で習ったことを参考にしましょう。

<算数 5年生 第19回>

 第19回のテーマは「数と計算 整数の性質① ~約数と公約数~」です。今回の内容は「約数と公約数」「素数と素因数分解」「最大公約数」です。数の性質を学んでいきますが、実際の入試問題では、約数や公約数について直接問われることは稀です。

 入試問題では問題文を読み進めていく過程で、書き出して調べていくことで結果的に約数や公約数にたどり着くことになります。このため、今回は書いて調べることを意識していきましょう。

【対策ポイント】

 「学び1」では約数について学びます。約数とはある整数を割り切ることができる数のことをいいます。

 例えば6の約数を探してみましょう。6÷1=6のため、1は6を割り切ることができます。したがって、1は6の約数です。同じように。6÷2=3のため、2は6を割り切ることができます。したがって、2は6の約数です。このように割り切れる数を順に調べていく方法があります。

 違う見方をしてみましょう。6=2×3と表すことができます。このことから、6は2や3で割り切れることがわかります。つまり、6の約数を探すとき、かけて6になる整数の組み合わせを考えればよいことがわかります。かけて6になる整数は、1×6、2×3です。このことから、6の約数は1、2、3、6となります。かけ算を使って探すことで、正確にすべての約数を調べることができます。

 「学び2」では素数について学びます。素数とは約数が「1」と「その数自身」の2個しかない整数です。例えば2は約数が1と2の2個しかないため素数です。3は約数が1と3の2個しかないため素数です。ここで気をつけたいのは1の約数は1だけで1個しかないため素数ではないことです。10ページを参考にして小さい順に素数を探してみましょう。

 次に素因数分解について説明します。素因数分解とは整数を素数だけの積で表すことです。例えば6=2×3です。2も3も素数のため、6を素因数分解すると2×3となります。60を素因数分解すると2×2×3×5となります。11ページに説明のある「連除法(すだれ算)」と合わせて確認しておきましょう。

 「学び3」では公約数と最大公約数について学びます。2つ以上の整数に共通する約数を公約数といいます。また、公約数の中で1番大きい数を最大公約数といいます。

 12ページを見てみましょう。12の約数と18の約数が書かれています。12と18の公約数は1、2、3、6です(テキストに印をつけてみましょう)。また、最大公約数は6です。公約数はすべて最大公約数の約数であることも覚えておきましょう。

 次に最大公約数を計算で求める方法を紹介します。14ページを見てみましょう。36と48の最大公約数を求めます。上段の左側を見てみると、36と48を「連除法」で表した図があります。書き方を説明します。

 はじめに36と48を横に並べて書きます(書く順番は関係ありません)。次に36と48に共通する素数でわります。わった答えを次の行に書きます。この操作をわれなくなるまで行います。左側に並んだ数をかけると最大公約数になります。実際に36と48の倍数をそれぞれ書き出し、調べてみましょう。公約数は最大公約数の約数であることを利用すれば公約数も計算で出すことができます。3つの整数の最大公約数も同じようにして計算します(14ページ上段右側)。

 演習としては15ページから16ページは必修です。18ページ以降もできる限り挑戦してみましょう。18ページの問1は余りがあることに注意しましょう 20ページの問5は計算をする前に与えられたかけ算の式をよく調べてみましょう。問6は書き出して考えてみると決まりが見つかるかもしれません。21ページの問7は入試問題でもよく見られる形式です。記号の表す意味をよく考えながら取り組みましょう。

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