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今月は、“はやぶさ2着地成功”と“はしか200人超”そして“マラリア新ワクチン”について取り上げてみましょう。
宇宙航空研究開発機構JAXAは2月22日、探査機“はやぶさ2”が小惑星“リュウグウ”へ着地し、小惑星の試料採取に成功した可能性が高いと発表しました。3月5日には着地の瞬間の写真や映像が公開され砂や石が舞い上がる様子が確認されました。試料の採取が確認されれば2005年小惑星イトカワに着地した初代はやぶさに続き、世界で2例目の快挙となります。地球帰還は約52.4億kmの旅をして2020年12月になる予定で、帰還次第、試料の入ったカプセルを回収します。太陽系誕生の謎や地球の生命や海のもとはどこから来たのかという謎を解明することが出来るかもしれないと期待されています。
画像引用元:ファン!ファン!JAXA!
火星と木星の間に小惑星帯として無数に存在する小惑星は、太陽系が出来た当時、惑星にならなかった宇宙空間を漂うちりや小天体が衝突や合体を繰り返して出来たものと思われています。初代はやぶさが行った小惑星イトカワや今回のリュウグウのように、まれに小惑星帯の軌道から外れて地球と火星の間を通る軌道を回っている小惑星もあります。これらの小惑星は探査機が到達しやすい小惑星だったのです。
現在小惑星リュウグウは地球から約3億4000万km離れています。当初表面は平たんな地形が在ると思われていたのですが、接近して観測した結果、表面が岩だらけで安全に着地出来ないと判り、当初の予定を遅らせ着地地点の検討を行っていました。
これがリュウグウ – 3Dで見る全体像
はやぶさ2が安全に降りる場所は調査の結果、大きな岩が無い赤道付近の直径6mの範囲に高度20kmから降りることになったのです。地球とはやぶさ2との距離は電波の速度でも片道約19分つまり指示を出して確認が取れるまで約38分かかるので、予定外の事が起っても地球から即座に対策することは出来ないのです。なので、高度500m以下になった後は、はやぶさ2の制御は自ら判断する自動制御になります。目的地着地と同時に機体下部にある試料採取装置から金属製の弾丸を地表に打ち込み舞い上がった石や砂を機体内部のカプセルに収容し、再度高度20kmの定位置に戻っていきます。どれ程の高度な監視制御技術や色々な状況に見舞われても対処するだけのプログラムが組み込まれているか想像してみてください。
地球は約46億年前に誕生する時多くの天体との衝突で大きくなり、熱がこもってどろどろの溶岩の塊となってしまい、太陽系誕生時期の情報が失われてしまっています。小惑星は体積が小さいため熱による変化は少ないので、太陽系初期の状態を残しているものと思われているのです。なかでもリュウグウは生命に欠かせない水や有機物含んでいる可能性があるのです。
初代はやぶさは、2003年5月に打ち上げられ、帰還までの7年間で“太陽電池パネルの劣化”、“姿勢制装置3個中の2個の故障”、“エンジンの不具合”など数々の故障を知恵と工夫で乗り切り、小惑星イトカワまで総移動距離約60億kmにおよぶ長い旅を終え、2010年6月地球に帰還しました。この時、衛星本体は燃え尽きましたが、切り離されたカプセルからはイトカワの地質サンプルが回収されました。予定外の苦難を乗り切り、精根尽きて帰還した“はやぶさ”の中継映像に日本中が感動しました。
国立感染症研究所は2月26日、はしか(麻疹)の患者数が今年に入ってから2月17日までで222人になり、過去10年間で最多の流行となっていると発表しました。
感染症の一種ですが、まずどの様な感染症があるか最近ニュースになった病名を代表例であげてみましょう。最も危険な第1類としては、一時アフリカで感染が拡大した致死率の高いエボラ出血熱があります。結核、SARS、鳥インフルエンザが第2類、O157(腸管出血性大腸菌感染症)が第3類、ヒトスジシマカ等の蚊が媒介するデング熱は第4類で、はしか(麻疹)は第5類で最下位です。
しかし、同室内にいるだけで空気感染する非常に感染力が強い病気で、高熱、全身の発疹、咳などの症状が出るウィルスが原因の病気で、妊娠中にかかると流産や早産のリスクが高まってしまいます。感染症情報センターによると、先進国でも1000人に1~2人の割合で亡くなる方がいるようです。
2月の上旬大阪府の女性患者が新幹線で大阪と東京を往復していたことが判り、列車と車両番号をニュースで流し注意を呼び掛けていましたね。
画像引用元:ウィキペディア
2018年の世界保健機構WHOの資料によると、患者数が1,000人以上のはしか流行国は、中国、インドや東南アジアに加えロシア、フランス、イタリアだったようです。日本では1回接種や任意接種の時代がありましたが、2006年以後子供への2回のワクチン接種をするようになり、ワクチン接種で国内の病原ウィルスの根絶に成功し、2015年WHO世界保健機構にウィルスを排除した状態であると認められていたのです。しかし、ワクチン接種を受けなかったり、充分な免疫をつけていない人が海外旅行で感染したり、感染した海外旅行客が利用した施設や交通機関で同席し感染した事例が報告されています。
現在2歳以上では95%を超える方は免疫を持っているので大流行にはならないと予測されています。ただ、国立感染研究所の資料によりますと、昨年の沖縄での流行は、最も多かった20歳から40歳代の患者は予防接種歴が不明でした。ワクチン未接種の方が多くいる事も現実なのです。
厚生労働省によりますと、2006年6月2日以降、1歳児と小学校入学前の定期予防接種としては麻疹・風疹混合生ワクチンの2回接種が開始となっています。
米国立衛生研究所の元上席研究員だった日本人研究者・赤畑渉博士が率いる米製薬新興企業が今年5月からマラリアに対するワクチンの臨床研究を米国内で始めることになりました。本格的に実用化したワクチンはまだないとのことですが、この新ワクチンは別の病原体の空っぽのウィルスの表面にマラリア原虫のタンパク質を付ける独自の方法で開発したのだそうです。世界で2億人を超える患者を悩ましているマラリアの予防法になることが期待されています。
現代の日本に住んでいる皆さんは馴染みのない第4類の感染症ですが、2018年11月に発表されたWHOの最新情報によれば、2017年には推定でマラリア患者が90か国で2.19億人、死亡者が43.5万人の死亡者が出ている、蚊が媒介する恐ろしい感染症なのです。メスのハマダラカが産卵のため吸血する時、唾液腺にいるマラリア原虫が唾液と一緒に注入されるために発症するのです。
日本でもかつては風土病としてマラリアはあり、第2次大戦の復員兵が感染して帰国するなどして流行していましたが、1991年を最後に海外で感染した患者以外の報告はないそうなのです。
しかし、マラリア原虫を媒介するハマダラカは日本国内にも生息しており、国内に媒介蚊が生息するデング熱と同様、マラリアも検疫感染症に指定されています。ただし、温暖化傾向にあっても、媒介する蚊の生息地の拡大や生息数増加の報告は少ないので、国内でのマラリア流行のリスクは小さいと見られています。
米国ロックフェラー大学等の研究チームが、米国の科学雑誌に蚊の吸血行動を抑制する物質を見つけたと発表しました。蚊が媒介する感染症の対策に使えるのではないかと期待されています。人間の食欲調整にかかわる特殊なたんぱく質に似た物質が、ジカ熱やデング熱を媒介するネッタイシマカにもあることに研究チームが注目し、その働きを高める化合物を突き止めたのだそうです。
蚊が血を吸わないようになると夏の夜も安心して眠れますね。
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