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amazon『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』川上和人(新潮文庫)
本書の帯には「科学エッセイ」と書かれていますが、国語の説明文対策にピッタリの珠玉の一冊です!恐竜が好きなお子様も、恐竜に興味がないお子様のどちらも楽しめます。
鳥類学者であり、森林教育研究所の主任研究員である川上和人氏による本書は、鳥類の祖先が一部の恐竜であるという説をもとに、恐竜がどのような生物であったのか、何を食べて、どのような色をして、どんな風に鳴いていたのか、鳥のように樹の上に巣をつくる恐竜はいたのか、といった考察が展開されていきます。
川上氏が本書の冒頭「はじめに」で「本書の主題は、鳥類と恐竜の緊密な類縁関係を拠り所とし、鳥類の進化を再解釈することと、恐竜の生態を復元することである。」としている通り、鳥の生態を通して、恐竜の生活を分析するといったアプローチが展開されていきます。
鳥類学者としての専門的な知識から繰り出される情報は豊富で圧倒的な説得力がありますが、決して読みづらいことはありません。軽快な語り口で、ユーモアに満ちた表現がタイミングよく登場してくるので、すいすいと読み進めながら、それでいて大事なメッセージを受け止めることができるのです。
例えば、鳥と恐竜に類縁関係があることにどのような意味があるかの説明で、「まず、冬の寒い日曜日に、家族みんなで水炊きを食べるとき、お父さんが息子に「これは恐竜なんだぜ」と語りかけることができる。家庭での会話が豊富になり、父親の権威が上昇することは、巡り巡って世界平和につながることなので、これはこれで重要である。」としておいて、その後に、「もう一つ重要なことは」として、「(外部形態を観察することが可能な)現生鳥類を調べることによって、(基本的に骨の形態しか知ることができなかった)恐竜の生活をより信憑性高く類推することが可能となる」といった主張を繰り出してくるのです。こうした緩急織り交ぜた文章を読み進めていくと、次第に川上氏の魔力的な語り口に魅了され、その見解に強く納得していくようになります。
同じ分析についての説明でも、ただ堅苦しい言葉一辺倒で進められるよりも、柔らかく楽しい文章でリラックスした状態で、そこに説得力のあるメッセージを投げかけられる方が、より受け止めやすくなります。本書は楽しんで読み進めながら、気がつけば知識・情報を増やすことができるという特徴があるのです。そうして習得した知識・情報の習得こそが国語の説明文読解に必要なエッセンスとなっていきます。
また本書には、「もちろん、仮説にもルールがある。科学的解釈には、合理性が必要だ。」「生物進化の実像に迫るためには、節度あるバランス感覚をもって単純な合理性の向こう側にある真実を探求していく必要があるのだ。」といった、まさに中学受験の説明文に使われるべき名言に満ち満ちています。そうした言葉に触れることもまた、説明文読解に必要な考え方を培っていきます。
まずはぜひ本屋でご覧になってみてください!
入試対策室 室長 筑駒 貝塚正輝
頑張っている中学受験生のみなさんが、志望中学に合格することだけを考えて、一通一通、魂を込めて書いています。ぜひご登録ください!メールアドレスの入力のみで無料でご登録頂けます!