No.794 入試で狙われそうな今月の理科時事問題(ブラックホール撮影成功、日本初民間企業のロケット成功、常温でアンモニアの合成)

 今月は、“ブラックホール撮影成功”と“日本初民間企業のロケット成功”そして“常温でアンモニアの合成”について取り上げてみましょう。

< ブラックホール撮影成功 >

画像引用元 ウィキペディア

 約100年前の1916年、ドイツのカール・シュバルツシルトがアインシュタインの一般相対性理論を基に存在を予言したブラックホール。今までは周囲の現象などから間接的に存在が観測されていました。
4月10日、日本の国立天文台など世界の約80の研究機関による国際チームが初めてブラックホールの撮影に成功したと発表しました。

『どこにあるの?』

 撮影されたブラックホールは、地球から約5500万光年離れたおとめ座の「M87」という銀河の中心にあります。私たちの銀河の直径は約10万光年ですから、「M87」銀河はその550倍も遠くにあり、直径は約12万光年の楕円(だえん)銀河なのだそうです。
 撮影された画像はオレンジ色に輝くリング状のガスの中に直径約1000億kmの黒い穴(ブラックシャドウ)が浮かび上がっていて、その中に太陽質量の約65億倍のブラックホールがあると特定されたのだそうです。黒い穴(ブラックシャドウ)の直径の内側約400億kmの領域にあるのが、私たちがブラックホールと呼んでいる天体で、光さえ抜け出せないその境界を「事象の地平面」と言います。ブラックホールの大きさは「事象の地平面」の直径の大きさのことなのです。「事象の地平面」を作り出して空間を閉じてしまう程の超高密度で重たい星そのものはその中にあるのですが、私達には決して見ることは出来ません。事象の地平面の内側からは何も出てこられないから見えないのです。
 太陽と海王星との距離が約45億kmなので、この400億kmのブラックホールの大きさが想像できるでしょうか?

『どうやって撮影したの?』

 銀河の中心から出た“光”は周りに星やガスがあるため邪魔されて見ることは出来ません。波長の長い“電波”は星やガスを通過してくるので、電波望遠鏡を使ってブラックホールの周囲にある高温のガスから発射されてくる電波を観測したのです。但し、5500万光年先の1000億km(約0.01光年)の大きさを観測するには通常の電波望遠鏡では解像度(分解能)が得られません。見た目の大きさは、月面に置いたテニスボールの大きさと同等なのです。そこで米国本土、ハワイ、メキシコ、チリ、スペインと南極にある8基の電波望遠鏡を連携させ、データを合成することで、性能が地球の直径規模、口径約10,000kmに相当する“おわん”形のパラボラアンテナを作り上げて観測したのです。
 2017年4月、8カ所の電波望遠鏡が同時にM87銀河を観測して以来2年をかけ、膨大なデータの解析結果からブラックホールの黒い穴の画像が得られたのです。

『ブラックホールって?』

 私達のいる環境では想像できないことなのですが、恒星や銀河の周囲のように強い重力がある場合、重力により空間はゆがめられているのです。ところが、超新星爆発によって大質量の星が極めて高密度に圧縮された場合、その強烈な重力のために空間が著しくゆがめられ、物質のみならず光さえ脱出することができない空間ができ上がってしまいます。それをブラックホールと呼んでいます。
 撮影されたブラックホールのように、銀河の中心にある太陽質量の100万倍から100億倍の質量を持つ超巨大ブラックホールがどのようにできたのかは未だ解明されていない謎だそうです。

< 日本初民間企業のロケット成功 >

 5月4日、実業家の堀江貴文さんが取締役になっているベンチャー企業「インターステラテクノロジズ」が北海道大樹町の実験場から小型ロケット「MOMO3号機」を打ち上げ、高度113.4kmの宇宙空間へ到達したと発表しました。民間企業が単独で開発したロケットが宇宙に到達したのは日本初の快挙となります。

『どんなロケット?』

 全長10m、直径50cm、重量 1.15t の液体燃料ロケットです。このロケットは目標を高度100km に打ち上げる事としたので、100を表す漢数字の百の読み方の「もも」から付けた名前だそうです。

『日本の宇宙開発は?』

糸川英夫博士(1961年撮影):画像引用元 ウィキペディア

 日本の宇宙開発は1955年東京大学生産技術研究所・糸川英夫博士のペンシルロケットから始まりました。1963年には航空宇宙技術研究所NAL(科学技術庁、現文部科学省)が設立され 、1969年には商業衛星の打ち上げを主体とする国の機関である宇宙開発事業団NASDAができ、1981年に東京大学の研究を引き継いだ宇宙科学研究所ISAS(文部省・現文部科学省)が発足し、3つの機関が並行して研究開発と実用化を進めてきました。2003年に3つの機関が宇宙航空研究開発機構JAXAに統合され、現在はH2ロケットによる数々の成果を上げています。いずれも国の機関の主導により開発運営がなされてきました。

『なぜ民間企業が?』

 現在は技術の進展により機器の小型化が進み、重量100kg以下の超小型衛星の打上需要が急速に伸びてきています。小型衛星は大型衛星の打上げ時の余った空間に混載(こんさい)して打ち上げていますが、高額で打ち上げ時期を自由に選べないH2Aロケットでは対応しきれない事情があります。今回の打上成功により低価格でロケットを打ち上げる事が示されたので、会社は2023年に超小型の人工衛星を搭載できるロケットを打ち上げ、衛星打ち上げビジネスに参入する計画なのだそうです。ただ、小型衛星打上用の小型ロケットの開発は世界的に100社以上が取り組み、競争が激化していると言われています。

< 常温でアンモニアの合成 >

 化学肥料や化学繊維などの原料に使用されるアンモニアは世界で年間およそ2億トンが製造されています。そのアンモニアを安価な触媒を使って常温常圧で窒素と水から製造することに成功したと、東京大学・西林仁昭教授らの研究チームが発表しました。工業化されて世界中の化学肥料製造に使われるようになれば省エネとなり、温暖化の原因となっている二酸化炭素の排出削減に寄与することが期待されています。

『研究のきっかけは?』

 マメ科の植物に寄生する「根粒菌」が空気中の窒素からアンモニアを作り出すことに着目し、この菌が持っている酵素に似た働きを研究し、同様の機能を持つ触媒を開発したのだそうです。

『今までは?』

 皆さんが理科実験室でアンモニアを作る場合には、塩化アンモニウムと水酸化カルシウムを混ぜて試験管に入れて加熱していますね。その結果、塩化カルシウム、水、アンモニアができることは知っていますね。工業的に大量で安くアンモニアを製造するには、空気中の窒素と天然ガス等の化石燃料から取り出した水素とを合成して製造しているのです。合成時には数百度数百気圧の高温高圧下で反応させるので、莫大なエネルギーを消費する上、水素は天然ガスなどの化石燃料から取り出し、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出が課題になっています。水素ガスは燃えやすいので安全管理にも力を注がなければなりません。

『常温常圧って?』

 感覚的には人間が通常生活している環境の温度、湿度、気圧で良いのですが、物の製造や信頼性を評価する場合には条件を決めておかなければなりません。それで、“規格”という条件が決められています。常温とは、20℃±15℃ つまり5~35℃の範囲、常湿とは65%±20% つまり45〜85%の湿度範囲を言います。常圧とは、一般的に1気圧の1013hPaを指しています。ただし、製品によっては別な規格が決められていますので注意が必要です。

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