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第16回は『速さ(2)』です。速さの3公式、往復の平均速度、ダイヤグラム、その他の速さの問題を学習します。メルマガでは、分数は、分子/分母の形で、また帯分数は、整数・分子/分母の形で表します。
「必修例題1」は、速度の3公式を使う問題です。速度の問題では単位換算が重要になります。時速○kmならば、時間の単位は時間を、距離(=道のり)の単位はkmを使います。分速○mならば、時間の単位は分を、距離の単位はmを使います。基本的には、問われている単位にそろえて計算をします。単位換算では分数計算が多く行われます。正確な分数表記ができるように気をつけましょう。
(1) 時速□kmを求めますので、距離単位はkmを、時間単位は時間を使用します。1時間20分を時間単位で表すと、20分は20/60=1/3時間ですから、速度=距離÷時間の公式により、20÷1・1/3(1+1/3を1・1/3と表すことにします)=20×3/4=15となりますので、時速15kmですから、□にあてはまる数は15となります。
(2) 分速ですので、3時間40分=220分と分単位に換算します。距離=速度×時間の公式により、60×220=13200より、距離は13200mですが、km単位に換算して、□にあてはまる数は、13.2です。
(3) 時間=距離÷速度の公式により、12.6÷36=126/360=7/20となりますので、7/20時間です。分単位に換算すると、60分×7/20=21分より、□にあてはまる数は21です。
「必修例題2」は、往復の平均速度の問題です。往復の平均速度は、往復の距離を、往復にかかった時間で割って求めます。行きと帰りの速度をたして2で割ることではありませんので、注意しましょう。もともと速度の計算は、動きはじめから速度が一定であるわけではなく、距離の合計を時間の合計で割るという平均の考えです。2つの平均をたして2で割っても全体の平均を求めたことにはなりません。例えば、3人の体重平均と2人の体重平均から5人の体重平均を求める場合でも、正しくは、5人の体重合計を5で割ることで求める、ということと同様です。
(1) 行きにかかる時間は、5÷12=5/12時間で、帰りにかかる時間は、5÷3=5/3時間ですから、5/12+5/3=5/12+20/12=25/12=2・1/12より、2・1/12時間で、1/12時間は、60分×1/12=5分ですから、往復にかかった時間は、2時間5分です。
(2) 往復したときの平均速度=往復の距離÷往復の時間ですから、往復の距離=5×2=10km、(1)の結果より往復の時間=2・1/12時間ですので、10÷2・1/12=10×12/25=24/5=4.8より、往復した平均速度は、毎時4.8kmです。
平均速度の問題は、間違えやすい問題ですので、しっかり身に付けておきましょう。
「必修例題3」は、ダイヤグラムの問題です。ダイヤグラムとは、たて軸に距離を表し、横軸に時間を表して、距離と時間の関係を表したグラフのことです。このグラフを読めるようにすることが、今後の速さの問題を解くうえで大切になってきます。グラフの直線が右上がりの部分は、時間とともに前に進んでいることを表しています(右下がりの場合は、後ろへもどることを表します)。グラフの直線が横軸と平行の部分は、時間がたっても距離が進まない、つまり、ある場所にとどまっていることを表しています。予習シリーズの問題にあるダイヤグラムを見ながら読み進めてください。
(1) グラフのaは、午前8時に出発して、時速4kmの速度で進む太郎君が3.2km進んだ時刻を表しています。時間=距離÷速さ です。3.2÷4=0.8より、0.8時間=48分ですから、aにあてはまる数は、8時+48分=8時48分です。
(2) グラフの読み方としては、直角三角形を作って読みます。走る部分のグラフを直角三角形の斜めの辺、横軸が底辺、たて軸が高さにあたる三角形として考えると整頓できます。たて軸は、5-3.2=1.8kmで、横軸は、C地点で立ち寄っていた20分を入れた(8時+48分+20分=)9時8分から9時17分までの、(17-8=)9分間です。9分=9/60時間ですから、速度=距離÷時間より、1.8÷9/60=18/10×60/9=12となり、走る速度は、時速12kmです。
「必修例題4」は、速さのつるかめ算の問題です。
家から交番までを毎分70mの速度で歩き、交番から学校までを毎分50mの速度で行きますが、距離の合計は1200mで、時間の合計は20分とわかっています。速度×時間=距離から、かけ算の関係が2つあり、積(かけ算の答え)の合計が与えられていて、かける数の合計が与えられていますので、つるかめ算の問題になります。家から交番までの距離を求めますので、この距離を進む時間がわかれば、答えを求めることができます。交番から学校まで行く速度である毎分50mで全体の距離を行くと仮定することからはじめます。(1200-50×20)÷(70-50)=10より、家から交番まで、毎分70mの速度で10分かかったことがわかります。70×10=700より、家から交番までの距離は、700mです。
速度問題は、中学入試において、出題される頻度が極めて高い分野です。また、応用の問題も今後も多く学習しますので、基礎をきちんと身に付けましょう。
第17回は『容器と水量(1)』です。容器に入っている水について、水量と水の深さ、水量の変化とグラフ、水深の変化とグラフを学習します。直方体の容器に入っている水の体積は、直方体の底面積に(高さとなる)水の深さをかけて求められます。よって、水の体積=底面積×深さ、を基本に問題を解きます。また、容積とは、容器の体積をいい、容器いっぱいに入った水の体積のことです。
「必修例題1」は、水量と水の深さの問題です。
(1) 直方体の容器の底面積は18×20=360平方cmです。この容器に15cmの深さまで水を入れましたから、360×15=5400より、水の体積は、5400立方cmです。リットル単位にすると、1L=1000立方cmですから、答えは5.4Lです。
(2) 1dL=100立方cmですから、12dL=1200立方cmです。1辺が20cmの立方体の底面積は(20×20=)400平方cmで、この容器に□cmの深さまで水を入れると1200立方cmになるのですから、400×□=1200という関係が成り立ちます。逆算して、□=1200÷400=3より、水の深さは3cmです。
(3) 2.4L=2400立方cmです。底面積を□平方cmとして、15cmの深さまで水を入れたときの水の体積が2400立方cmになりますから、□×15=2400という関係が成り立ちます。逆算して、□=2400÷15=160より、底面積は160平方cmです。
水量の問題では、上記のように単位換算が必要になるケースがとても多いです。立方cm、dL、L、立方mの関係をしっかり覚え、使えるようにしましょう。
「必修例題2」は、水を入れた部分の、容器の各辺の長さを読み取ることが重要な問題です。
(1) 水が入っている部分は、たてが20cm、横が45cm、深さが14cmです。よって、20×45×14=12600より、水の体積は12600立方cmで、12.6Lです。
(2) 面ABCDが床につくように容器を立てた場合の状況は、予習シリーズ156ページの解き方にある図の通りです。たて20cm、横30cm、高さ18cmの部分の体積は、20×30×18=10800立方cmです。水は12600立方cmですから、残りの(12600-10800=)1800立方cmは、この部分より上に入ります。上の部分の底面は、たて20cm、横15cmとなり、底面積は20×15=300平方cmですので、上の部分の深さを□cmとすると、この部分で300×□=1800という関係が成り立ちます。逆算して、□=1800÷300=6より、6cmまで水が入りますから、面ABCDからは、18+6=24より、24cmの深さになります。6cmを答えとしないよう、注意しましょう。
グラフの問題では、前回の速さのグラフで述べましたように、グラフの斜めの線の部分を斜辺とする直角三角形を考えます。この直角三角形で、たて線は水量または深さを、横線はその水量または深さになる時間を表します。
「必修例題3」は、水を入れるA管と、水を出すB管のついた水そうの問題です。グラフの右上がりの部分はA管だけを使って水が増えていく状態を、右下がりの部分はA管とB管を使って水が減っていく状態を表しています。
(1) 右上がりの直角三角形を考えますと、横線は(0から40までの)40分で、たて線は(400から1200までの)800Lと増えています。よって、800÷40=20より、A管からは1分間に20Lの水が入ることがわかります。
(2) 右下がりの直角三角形で、横線は(40から60までの)20分で、たて線は(1200から400までの)800Lと減っています。よって、800÷20=40より、A管とB管を使って、1分間に40Lの割合で減っていることがわかります。ですから、20+40=60より、B管からは1分間に60Lの水が流れ出ることがわかります。40Lを答えとしないよう、注意しましょう。
(3) A管とB管を使うと、1分間に40Lずつ減っていきます。60分後の400Lをなくすには、400÷40=10より、あと10分必要です。よって、60+10=70より、水そうの中の水がなくなるのは、A管を開いてから70分後です。
「必修例題4」は、階段状の容器に水を入れる問題です。この場合、底面積が変化することに注意して解いていきます。予習シリーズ157ページにある、「水深の変化とグラフ」の説明もよく読んでおいてください。特にグラフの傾きと底面積の大きさの関係には十分に注意しましょう。
(図1)より、容器の容積がわかるのは、水そうの階段になっている上の部分です。この部分の体積は、80×100×90=720000立方cmで、720Lです。毎分24Lの割合で水を入れますから、720÷24=30より、グラフのアから36(分)までの時間は30分とわかります。よって、36-30=6より、アにあてはまる数は6です。
アが6ですから、水そうの階段になっている下の部分の体積は、24L×6=144Lで、144000立方cmとなります。この部分の深さを□cmとすると、80×60×□=144000より、□=144000÷(80×60)=30ですから、深さを表すイにあてはまる数は、30です。
ウは、容器全体の高さ(深さ)を表していますから、30+90=120より、ウにあてはまる数は、120です。
「必修例題5」は、仕切り板で分けられた容器に水を入れる問題です。グラフの読み取りが大切になります。グラフと水そうに入る水の入り方については、予習シリーズ159ページの解き方にある図を参照してください。仕切り板のある容器の問題では、この図(断面図)をかいて考えることが有効になります。なお、分数は、分子/分母の形で表し、帯分数は、整数・分子/分母の形で表しています。
(1) 毎分9L=9000立方cmの割合で、水そうのAの部分に水を入れ始めました。よって、グラフのはじめの部分は、Aに水を入れ始めて、8分後に仕切り板の高さまで水が入ったことを表しています。(図1)より、Aの部分の底面積は、60×40=2400平方cmですから、仕切り板の高さを□cmとすると、2400×□=9000×8より、□=9000×8÷2400=30ですから、仕切り板の高さは、30cmです。
(2) グラフの横軸に平行な部分は、水そうのAの部分の高さが変わらないことから、水そうのBの部分に水が入っていることを表しています。20-8=12分より、Bの部分の仕切り板の高さまでの体積は、9000×12=108000立方cmとわかります。よって、60×x×30=108000より、108000÷(60×30)=60ですので、xは60cmです。
(3) この水そうの容積は、60×(40+60)×50=3000000立方cm=300Lですから、300÷9=33・1/3より、33・1/3分となります。1/3分=60秒÷3=20秒です。よって、水があふれ出すのは、水を入れ始めてから、33分20秒後です。
第16回は『等差数列』です。等差数列とは、ある数に、一定の数を次々に加えたり、一定の数を次々に引いたりして、作られる数の列をいいます。たとえば、5に3を次々に加えてできる、5、8、11、14、…、のようなかたちが等差数列です。
「必修例題1」は、等差数列の□番目の数や、その逆で、〇という数は、何番目に出てくるかといった、基本の問題です。
5、11、17、23、29、35、…、の数列は、はじめの数が5で、次々に6を加えてできた数列です。
(1) 15番目の数までに、6は15-1=14回加えています。よって、5+6×14=5+84=89より、はじめからかぞえて15番目の数は、89です。このように、加える数(この問題では、6)を何回加えたらよいかは、植木算の考え方で、間の数(この問題では、15番目までに間は14回)を考えることが重要です。
(2) 同様に考えて、5+6×(□-1)=125となりますので、逆算して、□番目を求めます。(125-5)÷6+1=20+1=21より、125は21番目の数です。
「必修例題2」は、一定の数を、次々と引いてできている等差数列の問題です。
170、164、158、152、…、8。2 の数列は、170をはじめの数として、6ずつ引いてできた数列です。
(1) はじめの数から最後の数までは、170-2=168少なくなっていますが、6ずつ引いていますので、168÷6=28回引いたことになります。ということは、間が28か所です。28+1=29より、全部で29個の整数を並べました。
(2) 29個の整数の真ん中は、29÷2=14あまり1より、14+1=15番目です。15番目の数までに、間は14か所ですから、6×14=84少なくなります。170-84=86より、この数列の真ん中の数は、86です。なお、真ん中とは平均と考えられることから、はじめの数と最後の数の平均として、(170+2)÷2=86と求めることもできます。
「必修例題3」は、等差数列の和を考える問題です。等差数列のはじめの数から□番目の数までの和を考えます。基本は、予習シリーズ121ページのエピソードにあるように、ガウス少年が考えた等差数列の和を求める公式です。予習シリーズ123ページ、必修例題3の前にある説明、[等差数列の和]の公式の成り立ちを理解しましょう。
6、10、14、18、22、…、150 の数列は、はじめの数が6で、4ずつ増えて、終わりの数が150になっている等差数列です。(150-6)÷4=36より、間の数が36か所ですから、数は、36+1=37個並んでいます。[等差数列の和=(はじめの数+終わりの数)×個数÷2]
を利用して、(6+150)×37÷2=2886より、この等差数列の数をすべて加えると、2886です。
「必修例題4」は、図形における等差数列の応用の問題です。
長方形を1個作るとき、棒は6本使っています。長方形を2個作るときは、棒を4本増やしてでき、その後も、棒を4本ずつ増やすことで、長方形が1個ずつ増えていきます。したがって、長方形の個数が1個、2個、3個、…となるとき、棒の本数は、6、10、14、…と、はじめの数が6で、4ずつ増える等差数列になっています。
(1) 10番目の数は、6+4×(10-1)=42より、長方形を10つなぐとき、棒は42本使います。
(2) 6+4×(□-1)=90より、□=(90-6)÷4+1=22ですから、22個の長方形をつないだときです。このとき、図形全体では、たての長さは2cm、横の長さは22cmになりますので、(2+22)×2=48より、図形全体のまわりの長さは、48cmです。
等差数列は、その他の数列の問題や、規則性の問題でもよく使われますので、きちんと使えるようにしておきましょう。
第17回は『つるかめ算(1)』です。中学受験算数の中でも代表的な問題といわれるものです。予習シリーズ129ページから130ページにある説明をよく読んでください。つるかめ算のイメージをつかみ、解き方の仕組みを理解しましょう。また、つるかめ算が変化した弁償(べんしょう)算も学習します。
「必修例題1」は、つるかめ算の基本の問題です。
1本60円のえんぴつと1本90円のボールペンを合わせて12本買って、代金の合計が840円です。えんぴつの本数を求めますが、求めるえんぴつの本数を0本としてスタートします。つまり、12本すべて、ボールペンを買ったことにします。90×12=1080円で、1080-840=240円より、実際の代金840円より、240円多くなっています。ここで、ボールペン1本とえんぴつ1本をとりかえることを考えますと、代金は1本とりかえるごとに、90-60=30円少なくなります。代金を240円少なくするためには、240÷30=8より、8本とりかえればよいことになります。つまり、えんぴつは、8本買ったことになります。
「必修例題2」も、つるかめ算の基本の問題です。合計が表されていませんが、問題を最後まで読むと、すぐにわかる問題です。
50円切手と80円切手を合わせて15まい買い、代金は、1000-160=840円です。80円切手の買ったまい数を求めますので、50円切手を15まい買ったことからスタートします。
840-50×15=90より、実際との差は90円(少ない)です。50円切手と80円切手を1まいとりかえると、80-50=30円多くなります。よって、90÷30=3より、80円切手は3まい買いました。
弁償算を学習します。つるかめ算では、1つとりかえるごとに差が変わってきましたが、
弁償算では、1つとりかえるごとに和が変わってきます。その違いに気をつけて、どちらもしっかり式を立てられるようにしましょう。
「必修例題3」は、弁償算の問題です。
おはじきを20個持っている太郎君が、1回勝つとおはじきが5個増え、1回負けるとおはじきが1個減るゲームをします。
(1) 10回のゲームのうち、7回勝ったので、負けは3回です。勝ちが7回で、5×7=35個増え、負けが3回で、1×3=3個減ります。よって、20+35-3=52より、おはじきは52個になりました。
(2) ゲームを20回行います。すべて勝ったとすると、おはじきは、20+5×20=120個になりますが、実際は78個です。120-78=42個少なかったのですが、これは、1回勝ったときの5個が増えず、同時に1回負けたことによって1個が減りますので、(勝った場合にくらべ)合わせて、5+1=6個減るためです。42個少なかったのですから、42÷6=7回負けたことになります。よって、20-7=13より、13回勝ちました。
問われているのは、勝った回数なのか、負けた回数なのかを、間違えないように問題文をよく読みましょう。
つるかめ算と、弁償算のちがいをしっかりつかみ、どちらも解けるよう学習してください。
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