No.815 あさって土曜早朝AM5:15から再放送です!NHK『小さな旅』

田沢湖

 地図帳を見ているだけではわからない。日本で一番深い湖「田沢湖」が神秘のブルーと引き換えに失ったもの。
 地理を苦手とするお子様方の多くが、地理には歴史のような人間ドラマがないので興味が持てないと思われているのではないでしょうか。そうお考えのお子様方にこそ、地理こそが人間の生活、生き様、そして歴史と深く結びついていることを知って頂きたいのです。
 そこで、短い時間で深く地理について学ぶことができるテレビ番組をご紹介します。NHKで毎週日曜の朝に放映されている『小さな旅』という番組です。特に先日7/28(土)に放映された『神秘のブルー 水鏡の湖~秋田県 田沢湖~』の回は、地理が人間ドラマの要素を色濃く持つことを見せつけてくれたまさに神回でした。その回が今週末8/3(土)午前5時15分より再放送されます。朝早い時間ですので、ぜひ録画して後でゆっくりご覧になることをおすすめします。
 番組では田沢湖との出逢いで人生が変わった人物、歴史の流れに翻弄され、それでも田沢湖を愛する人物など様々な人々の姿が紹介されています。ここではその中のひとつのエピソードをお伝えします。

【神秘のブルーはいかに生まれたのか?】

 田沢湖と言えば秋田県にある日本で最も深い湖(ちなみに第2位は北海道の支笏湖(しこつこ)、第3位は青森県の十和田湖)として有名ですが、多くの人々を魅了する特徴として、湖を彩る鮮やかな青が太陽光のあたり方によって様々に変容することがあります。番組で語られた言葉を借りると、

 湖面に差し込む光によって淡い瑠璃色から濃い藍色まで、刻々と表情を変える神秘の湖

 何とも詩的な表現ですね。その透き通るような神秘的な青の湖を見ようと、海外からも多くの観光客が訪れています。
 人々を魅了する神秘の青、その色が生まれた歴史をたどると、時代の流れに抗えずに生活が一変してしまった人々の姿が浮かび上がってきます。田沢湖で茶屋を営む三浦さんという一人の男性が語る言葉で、その歴史がひもとかれていきます。 
 三浦さんの家系は江戸時代から田沢湖で生活をしていました。かつて田沢湖には多くの漁師がいて、三浦さんの先祖もコイやイワナをとって生計を立てており、特に田沢湖のみに生息する固有種であったクニマスはお殿様にも献上する高級魚で、一匹で一升分の米にも相当する貴重な収入源だったのです。
 昭和15年、日本が戦争の時代へと進む中、国の電源確保のため田沢湖に水力発電所が設置されたことで、強酸性の玉川温泉の水が湖に流入されるようになりました。田沢湖の水が青いのは、この強い酸性の水の成分に光が反射することによるとされているのです。
 湖が神秘的な青色を帯びた一方で、水が酸性化したことにより、ほとんどの魚が1年で絶滅してしまいました。クニマスなどがとれなくなったことは漁師たちの生活に大きな打撃となり、三浦さんの先祖も漁師の仕事を断念せざるを得なくなってしまったのです。
 戦争という大きな歴史の流れが、自然や人々の生活を一変させてしまった一方で、図らずも生まれた神秘のブルーが、田沢湖に多くの人々を呼び込むことになる。なんとも皮肉なシチュエーションです。
 番組で語られる次の言葉がその状況を的確に表しています。

 神秘のブルーに秘められた光と影

 ひとつの出来事が相反する状況を生み出す、それを認識することは国語の読解力養成にもつながります。光と影という言葉の持つ意味を、ぜひ親御様とお子様の間で話し合われてみてください。
 三浦さんは現在、若い学生たちに田沢湖からクニマスが消えてしまった歴史を口伝しています。環境は一度壊したらなかなか戻せない、人の手によって自然の姿を変えてしまうような歴史はくりかえしてはいけないという三浦さんの言葉は、まさに環境問題の根源を指摘するものと言えます。
   
 番組ではその他にも、豊かな自然に囲まれた田沢湖を終の棲家(ついのすみか)と決めた女性の姿や、国の減反政策で農業から離れざるを得なかった男性の故郷・田沢湖に対する想いなどが紹介されています。

 各地域の地形的な特徴、特産物や産業が、いかにそこに住む人々の生活や歴史と結びついているか、それを知ることこそが地理を学習する意義であると考えます。実際に2019年度の入試問題を振り返っても、渋谷教育幕張中(第2回)の鹿児島市の道路に関する問題、筑波大附属駒場中の小笠原諸島に関する問題、広尾学園中(医進・サイエンス回)の河川の暗渠(あんきょ)化に関する問題などからは、人々の生活から地理を考えることを中学校側が求めていることが見て取ることができます。大学入試改革を見込んで思考力を求める問題が増えていく中で、地域の人々の生活とのつながりの中で地理を考えさせる問題は今後より多く出題されることが予想されます。

 今回ご紹介した『小さな旅』のような優れた番組を見ることは、地理の苦手意識の払拭だけでなく、より深く地理について考えるきっかけにもなります。
 この番組のもうひとつの特徴は圧倒的な映像の美しさです。ドローン撮影など抜群の撮影技術によって、地域ならではの美しさがこれ以上ない鮮明さで伝わってきます。映像を楽しみながら、地域への理解を深めることができる秀逸な番組です。25分という放映時間ですので、夏休み中のちょっとした時間で見ることができますので、ぜひ録画しておかれてはいかがでしょうか。

NHK『小さな旅』 
「神秘のブルー 水鏡の湖~秋田県 田沢湖~」(再放送)
8/3(土)午前5時15分より放映予定

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