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第11回は『速さと比(3)』です。円周上の旅人算、および時計に関する問題を学習します。なお、メルマガでは、分数は、分子/分母の形、帯分数は、整数・分子/分母の形で表すこととします。
2人が、円周上を同じ地点から出発して円周上を回るとき、反対方向に進む場合は、出会うまでに動く道のりの和は円周の長さ1つ分になります。また、同じ方向に進む場合は、速度の速い人が、速度の遅い人に追いつくまでに動く道のりの差は円周の長さ1つ分になります。このことは、5年上第19回で学習しました。この内容に比を交えて問題を解いていきます。
「必修例題1」は、兄弟が池のまわりを回る問題です。1周するのに、兄は20分かかり、弟は30分かかります。1周の道のりは、等しいのですから、速度比と時間比は逆比の関係にあります。兄と弟の速度比は、1/20:1/30=3:2です。兄の速度を3として20分で進む道のりは、3×20=60ですから、この池のまわりの道のりは60となります。
(1) 旅人算を考えます。60の道のりを、兄の速度を3、弟の速度を2として、同時に出発して反対方向に進みますから、60÷(3+2)=12より、2人がはじめて出会うのは、12分後です。
(2) 速度を2とする弟は、5分で、2×5=10の道のりを先へ進んでいます。このへだたり(2人の間の長さ)を兄が弟を追いかけます。10÷(3-2)=10より、兄が弟に追いつくのは、兄が出発してから10分後です。
速度や道のりを、比の値で表して解き進める方法に慣れていきましょう。
「必修例題2」は、必修例題1の逆問題です。池のまわりをA君とB君が反対方向に走ると6分ごとに出会い、同じ方向に走ると24分ごとにA君がB君を追いこします。
(1) 出会うまでに走る道のりの和と追いつくまでに走る道のりの差は、どちらも池のまわり1周分で等しいです。よって、A君とB君の速度の和と、速度の差の比は、出会いにかかる時間と、追いこしにかかる時間の比の逆比になります。1/6:1/24=4:1が、速度の和と速度の差の比になります。和差算で、A君の速度は(4+1)÷2=2.5、B君の速度は(4-1)÷2=1.5と考えられますので、2.5:1.5=5:3より、A君とB君の速度の比は、5:3です。
和差算を使った解き方が曖昧な場合は、線分図をかいて内容を整頓しましょう。
(2) A君の速度を5、B君の速度を3として、出会うまでに走る道のりである、(5+3)×6分=48を、池1周の道のりとします。よって、48÷5=9.6より、A君がこの池のまわりを1周するのにかかる時間は、9.6分です。
(3) A君は、9.6分ごとにスタート地点にもどります。また、B君は、48÷3=16より、16分ごとにスタート地点にもどります。よって、同時にスタート地点にもどるのは、9.6と16の最小公倍数である、48分後です。また、このとき、A君は、48÷9.6=5より、この池を5周しています。
「必修例題3」は、池のまわりの別の地点から、兄と妹が反対方向に池をまわる問題です
(1) AB間で、2人がはじめて出会った地点をDとすると、兄はDB間を8分で進み、妹は同じDB間を12分で進むことになります。同じ道のりを進む場合の時間比は、8:12=2:3です。兄はAB間を、12+8=20分で進みます。よって、20÷2×3=30より、妹は、出発してからA地点を通過するのは、30分後です。
(2) (反時計回りに進む)兄は、A→B→Cを60分で進みます。A→Bには20分かかっていますので、B→Cは60-20=40分です。この60分の時間で、(時計回りに進む)妹は、B→A→Cを進みますが、B→Aを30分で進みますので、A→Cには、60-30=30分かかっています。妹が30分かかる道のりを、兄は、30÷3×2=20分で進みます。よって、60+20=80より、兄はこの池のまわり1周するのに、80分かかります。また、兄が80分かかる道のり(池のまわり1周)を、80÷2×3=120より、妹は、120分かかります。
このように段階を踏んで解く問題は、慣れるまでは急いで解こうとせずに、上記のようにひとつひとつの内容を書き出して整頓するようにしましょう。
【攻略ポイント2】
時計に関する問題を学習します。時計の短針と長針の作る角の大きさと、時刻の関係を時計算といいます。基本的には、円周上の旅人算で、同方向に動く場合の問題と同じ考え方で解き進めます。
基本知識の確認をしておきましょう。時計の文字盤(12から1、2、3、…と続き、12にもどる)の1めもりは、360÷12=30度です。また、短針は、この30度を1時間=60分で動きますから、短針の動く速さは30÷60=0.5より、分速0.5度です。そして、長針は、1周360度を1時間=60分で動きますから、長針の動く速さは360÷60=6より、分速6度です。なお、時計算では、12のめもりからの時計回りの角度を道のりとして考えます。
「必修例題4」は、4時と5時の間で考える時計算です。
(1) 4時40分のときの両針(長針と短針)の作る角を考えます。4時ちょうど(正時といいます)のとき、短針は、長針より30×4=120度先にあります。40分で、長針は、6×40=240より、12のめもり240度から進みます。同じ40分で、短針は、0.5×40=20より、4のめもりから20度進みますが、12のめもりからの角度は、120+20=140度です。よって、12からの角度の差が、両針の作る角になりますので、240-140=100度です。
(2) 両針が重なるということは、長針が短針に追いつくということです。4時ちょうどのとき、両針は120度の差(長針が後ろにある)があります。旅人算の追いかける場合があてはまります。120÷(6-0.5)=21・9/11より、重なる時刻は、4時から21・9/11分たった時刻である、4時21・9/11分です。
(3) 両針の作る角が2度目に直角になる時刻を求めます。1度目に直角になるのは、短針が長針より先にある場合ですが、2度目に直角になるのは、長針が短針より90度先にある場合です。ということは、120度先にあった短針を追いこして、90度先に進むということになります。つまり、長針が短針より、120+90=210度多く進む時刻です。よって、210÷(6-0.5)=38・2/11より、時刻は、4時38・2/11分です。
時計算では長針、短針の動きをより正確にイメージできるように、慣れるまでは予習シリーズP.117の解き方にあるような図を自分でかく練習を重ねるとよいでしょう。
第12回は『流水算・通過算』です。流水算は、流れのある川を船が上り下りする場合の速度・時間・距離を考える問題です。通過算は、電車が鉄橋やトンネルを通過する場合、また他の電車との出会いや追い越しをする場合の速度・時間・長さを考える問題です。なお、分数は、分子/分母の形で表します。また、帯分数は、整数・分子/分母の形で表します。
流水算では、説明上の用語として、川の流れの速さは「流れの速度」、流れのないところ(静水時)での船の速さは「静水時の速度」と表すことにします。速度に関しての基本は2つです。船が、川の流れの方向と同じ方向(下り)に進むときは、下りの速度=静水時の速度+流れの速度、川の流れと反対の方向(上り)に進むときは、上りの速度=静水時の速度-流れの速度 となります。予習シリーズ113ページにある説明図を参照してください。
「必修例題1」は、流水算の基本問題です。
(1) 40kmの距離を2時間30分(2.5時間)で上りますから、上りの速度は40km÷2.5時間=16km/時(時速16km)です。攻略ポイントに述べましたように、上りの速度=静水時の速度-流れの速度 ですから、20-16=4より、川の流れの速度は、4km/時です。
(2) 下りの速度=流水時の速度+流れの速度 ですから、下るときの速度は20+4=24km/時になります。40÷24=1・2/3より、2/3時間は、60分÷3×2=40分ですから、下りにかかる時間は、1時間40分となります。時間から分への数値の変換がスムーズにできるようにしておきましょう。
「必修例題2」も、基本的な問題です。下りの速度と上りの速度から、静水時の速度、流れの速度を求める解き方を学習します。
下りの速度は、静水時の速度と流れの速度の和であり、上りの速度は、静水時の速度と流れの速度の差になっていますから、和差算を利用して、静水時の速度=(上りの速さ+下りの速さ)÷2、流れの速度=(下りの速さ-上りの速度)÷2、で求めることができます。上りの速度は、42km÷3時間=14km/時、下りの速度は、42km÷1・3/4(1時間45分)=24km/時です。よって、和差算により、静水時の速度は、(24+14)÷2=19km/時 です。また、流れの速度は、(24-14)÷2=5km/時 です。
【攻略ポイント2】
「必修例題3」は、比を利用した流水算です。
AB間の距離は同じですから、時間比の逆比として速度比(下りと上りの速度比)を求め、この速度比から流れの速度を出します。ここで、実際数量の流れの速度=2.4㎞/時にあわせて、実際の下りの速度(上りの速度)を求めます。
下りと上りの速度比 1/25:1/45=9:5 ですから、下りの速度を9、上りの速度を5とすると、流れの速度=(9-5)÷2=2 で、これが2.4km/時にあたります。よって、下りの速度=9は、2.4÷2×9=10.8km/時 となります。A町からB町までの距離は、10.8km/時×25/60時間=4.5kmです。
「必修例題4」は、反対方向に進む2つの船Aと船Bをダイヤグラムに表した問題です。旅人算で学習したように、出会いの問題では、速度は船Aと船Bの上りと下りの速度の
和になりますが、流水算では、下りの速度+上りの速度=(静水時の速度+流れの速度)+(静水時の速度-流れの速度)=静水時の速度+静水時の速度となりますので、解法上、流れの速度は関係しない、ということがこの問題のポイントになります。
(1) AB間の等しい距離を進みますので、時間が多くかかっているAからBが上りです。上りは、11-8=3時間かかっていますので、上りの速度は、36÷3=12km/時、下りは、10-8=2時間かかっていますので、下りの速度は、36÷2=18km/時です。よって、(12+18)÷2=15より、静水時の速度は15km/時、流れの速度は、(18-12)÷2=3より3km/時となります。なお、下りの速度-静水時の速度=流れの速度となることから、15-12=3より、流れの速度は3km/時、と求めることもできます。
(2) グラフを見ながら解き進めていきましょう。船P、Qの静水時の速度は等しく、流れの速度は一定ですので、船P、Qそれぞれの上りの速度、下りの速度も等しくなります。また、両船が町に到着後の休みの時間も等しいので、船P、Qがそれぞれ往復する時間は等しくなります。ですから、2回目に出会ってから出発地点にもどるまでの時間は等しくなります。出会ってから出発地点に到着するまでに、船P、Q合わせて36km進みますので、36÷(12+18)=1.2時間かかります。よって、下りの速度で、1.2時間かかる距離を求めればよいことになります。18×1.2=21.6より、A町から、21.6km離れたところです。
通過算は、例えば、電車の先頭や最後尾での点の動きを、動いた長さとして考えます。そこで、通過距離=電車の長さ+通過物体(鉄橋、トンネル、他の電車)の長さとして考えることがポイントになります。また、速度単位について、問題文では時速〇kmで与えられますが、問題を解く上では、秒速△mを使用することがほとんどですので、単位換算ができるようにしておきましょう。
「必修例題5」は、通過算の基本問題です。90km/時は、90km=90000m、1時間=3600秒ですから、90000÷3600=25m/秒(秒速25m)です。また、通過算の成り立ちをより明確に理解するために、予習シリーズ117ページの解き方にある図を参照してください。
(1) 通過物体である電柱の幅(長さ)は考えませんので、通過距離は、電車の長さそのものとなります。25×8=200より、電車の長さは、200mです。
(2) 通過距離は、電車の長さにトンネルの長さを加えた、200+1750=1950mですから、1950÷25=78より、トンネルを通りぬけるのに78秒かかります。
「必修例題6」は、2つの電車が、すれちがったり、追いこしたりする、電車の旅人算です。これらの場合の通過距離は、2つの電車の長さの和になります。2つの電車の進む方向が反対でも、同じでも、通過距離は、2つの電車の和になることに注意してください。予習シリーズ117ページの解き方にある図を参照してください。
(1) A列車の速度は、54km/時=15m/秒、B列車の速度は、90km/時=25m/秒です。すれちがい、つまり反対方向に進む場合の問題ですから、速度は、A、Bの速度の和になります。(180+100)÷(15+25)=7より、7秒かかります。
(2) C列車の速度は、72km/時=20m/秒です。追いつき追い越す、つまり同じ方向に進む問題で、時間が70秒かかりますので、(120+160)÷70=4より、速度の差が4m/秒です。よって、D列車の方が遅いので、20-4=16m/秒です。これを時速に直します。16×60×60÷1000=57.6より、D列車の時速は、57.6km/時です。
第11回は『分数(3)』です。分数×整数、分数÷整数、分数×分数、分数÷分数の計算を学習します。計算は、量的トレーニングが大切です。計算の仕方をしっかり、身に付けて、後はトレーニングです。今回は、具体的な計算の説明ではなく、注意点・ポイントとなる点をお話しします。予習シリーズの必修例題にある解き方を参照してください。
分数×整数では、かける整数は分数の分子にかける。分数÷整数では、わる整数は分数の分母にかける。ここがポイントです。
「必修例題1」の計算上、注意すべきことを述べます。
帯分数に整数をかけたり、整数でわったりする場合、仮分数に直して計算します。また、分数計算の答えは必ず既約分数(=これ以上、約分できない分数)です。ですから、約分できる場合、約分は途中でおこないます。分母の部分や分子の部分で、かけ算の形をつくり、この時点で約分をするのです。予習シリーズ83ページの解き方にある式で、(1)であれば12と9を3で割って4と3に、(2)であれば24と15を3で割って8と5にするということを指します。計算の後に約分すると、数が大きくなり約分するのに手間がかかります。
分数×分数では、分子どうし、分母どうしをかけ算します。分数÷分数では、わる分数の分母と分子を入れかえた分数(逆数)をかけ算します。予習シリーズ84ページから85ページにある説明を参照してください。
「必修例題2」の計算上の注意は、必修例題1と同様です。(3)では、3つ以上の分数どうしのかけ算・わり算が混ざっていますが、わり算をかけ算に直して、3つ以上の分数をまとめて、かけ算します。つまり、分子部分、分母部分にかけ算の入った、1つの分数をつくり、この時点で約分をして、答えを出します。
「必修例題3」の計算上の注意は、計算のくふうを考えることです。
(1) 分数・小数の混じった計算では、すべて分数にして計算します。小数では、0.25=1/4、0.5=1/2、0.75=3/4、また、0.125=1/8、0.375=3/8、など、分母が4や8になる小数は、今後の計算でもよく使われますので、今から覚えておくと役に立ちます。
(2) 整数のわり算は、わられる数は分子に、わる数は分母にした分数に直すことができます。よって、かけ算・わり算だけの整数計算では、分数の乗除計算が可能です。分数を利用すると、ひっ算をすることなく、計算が早くなることが多いのでおすすめです。
第12回は『消去算』です。大きさのわからない数量(=未知数といいます)が2つある問題で、一方の数量をそろえて消し去る(消去する)ことにより、残ったもう一方の数量の関係から未知数の片方を求める問題です。消去する方法は2通り(加減法・代入法)あります。具体的に問題を使って説明します。まずは、式を使って問題内容を整頓します。
「必修例題1」では、大=大人1人分の入園料、子=子ども1人分の入園料として、
大×1+子×4=440円…A
大×2+子×5=700円…B
と整頓します。
次に、Aの式全体を2倍して、大人を2人分にそろえます。つまり、
大×2+子×8=880円…A×2
大×2+子×5=700円…B
として、Bの式とくらべます。
880円と700円の差は子ども8人分と5人分の違いです(大×2に差は出ません)。よって、(880-700)÷(8-5)=60より、子ども1人分の入園料は60円となります。そこで、子ども1人分の入園料60円をAの式に代入して、440-60×4=200より、大人1人分の入園料は、200円と求められます。
このように、子どもの入園料分だけで考えられるように、一方の数量(人数をそろえた大人の分の入園料)を引いて(加える場合もあり)なくす方法を、加減法といいます。
「必修例題2」も加減法ですが、数量をそろえる場面で最小公倍数を利用するところがポイントです。
ボ=ボールペン1本の値段、え=えんぴつ1本の値段として、
ボ×2+え×7=790円…A
ボ×3+え×5=800円…B
と整頓します。
ボールペンの本数を2と3の最小公倍数である6本にそろえます。そのためには、Aの式全体を3倍、Bの式全体を2倍します。
ボ×6+え×21=2370円…A×3
ボ×6+え×10=1600円…B×2
となります。
この2つの式から、(2370-1600)÷(21-10)=70より、えんぴつ1本の値段は70円と求められます。また、この70円をAの式に代入して、 (790-70×7)÷2=150より、ボールペン1本の値段は150円です。
2つの式をたてに並べてかくことで、どの部分が共通しているかがわかりやすくなります。
「必修例題3」では、ジ=ジュース1本の値段、ケ=ケーキ1個の値段として、
ジ×3+ケ×1=420円…A
ケ×1=ジ×1+60円…B
と整頓します。
次に、Aの式をジュースだけの関係の式にします。Bの式(ケ×1=ジ×1+60)から、
ジ×3+ケ×1=ジ×3+ジ×1+60
となり、まとめると、
ジ×(3+1)+60=420 となります。
よって、(420-60)÷4=90より、ジュース1本は90円と求められます。また、Bの式から、90+60=150より、ケーキ1個の値段は150円です。
このように、ケーキの値段の代わりにジュースの値段を利用して表す(代わりに式に代入する)方法を、代入法といいます。この代入法は、少し難しく感じるかもしれませんので、基本的な問題をいくつか続けて解くことをおすすめします。
「必修例題4」では、リ=リンゴ1個の値段、メ=メロン1個の値段として、
リ×3+メ×2=1040円…A
メ×1=リ×2+100円…B
と整頓します。
Bの式から、Aの式の メ×2の部分は (リ×2+100)×2=リ×4+200 となります(計算法則の中の分配のきまり)。結果、Aの式は リ×3+リ×4+200=1040 となります。よって、 (1040-200)÷(3+4)=120より、リンゴ1個の値段は120円です。そこで、Bの式から、120×2+100=340より、メロン1個の値段は340円と求められます。
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