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第18回は『図形の移動(2)』です。図形の回転移動・転がり移動を学習します。この問題は、円に関する問題となります。計算上、中心角を表す部分で分数を用いますが、ここでは、分子/分母の形で表します。第17回と同様、自分で図をかいて確かめながら進めましょう。また、弧の長さやおうぎ形の面積を求める計算がほとんどですので、円周率3.14を含む計算は、まとめて計算することを心がけましょう。
図形の回転移動について学習します。回転移動とは、図形をある点を中心に回転させることをいいます。この移動では、中心の点から図形の各頂点までの各直線は、同じ角度だけ回転します。よって、各頂点の動いたあとの線は、中心からの長さを半径とし、中心角が等しいおうぎ形の弧をえがきます。
「必修例題1」は、直角三角形を1つの点を中心に回転させる問題です。
直角三角形ABCを、頂点Cを中心にして矢印の方向に90度回転させます。予習シリーズ171ページの問題の図を参照してください。また、(3)は、解き方にある図を参照してください。
(1) 頂点Aと回転の中心Cを結んだ辺ACの長さ10cmを半径とし、回転の角度(=中心角)が90度のおうぎ形の弧の長さになります。
10×2×3.14×90/360=5×3.14=15.7より、
頂点Aが動いたあとの線の長さは、15.7cmです。
(2) 辺BCの長さ8cmを半径とした、中心角90度のおうぎ形の面積を求めることになります。
8×8×3.14×90/360=16×3.14=50.24より、
辺BCが動いたあとの図形の面積は、50.24平方cmです。
(3) 回転移動により、直角三角形ABCが動いたあとの図形で、頂点Aが動いたあとの点をA’、頂点Bが動いたあとの点をB’とします。辺ABが動いたあとの図形は、辺ABと辺A’B’、弧AA’と弧BB’に囲まれた部分の図形になります。予習シリーズ171ページの解き方にある図を参照してください。
この図形は、(ア)三角形ABCとACを半径とする四分円を合わせた図形の面積から、(イ)三角形A’B’CとBCを半径とする四分円を合わせた図形の面積をひいて求めることができます。(ア)-(イ)ですが、三角形ABCと三角形A’B’Cはもともと同じ図形ですから、ひき算するとなくなります。
よって、ACを半径とする四分円の面積から、BCを半径とする四分円の面積をひくことで求められますので、
10×10×3.14×1/4-8×8×3.14×1/4=(25-16)×3.14=28.26より、
辺ABが動いたあとの図形の面積は、28.26平方cmです。
「必修例題2」は、直角に交わった2本の直線が回転する問題です。
長さ6cmの直線ABと長さ4cmの直線CDが、直線ABの真ん中の点Cで直角に交わっています。このとき、2点BとDの間の距離は5cmです。この図形を、点Dを中心に矢印の向きに1回転させます。予習シリーズ172ページの解き方にある図を参照してください。
(1) 頂点Bは、点Dを中心に、BDの長さ5cmを半径として、円をえがくことになります。よって、円周を求めます。
5×2×3.14=31.4より、
頂点Bの通ったあとの図形の長さは31.4cmです。
(2) この問題では、回転の中心Dから、一番遠い点の動いた図形と、一番近い点の動いた図形が重要になります。点Dから、一番遠い点はAまたはBで、(1)で考えたように半径5cmの円をえがきます。また、一番近い点はCで、半径4cmの円をえがきます。 そこで、直線ABが通ったあとの図形は、半径5cmの円と、半径4cmの円の間の部分となります。よって、2つの円の面積の差を求めることになります。
5×5×3.14-4×4×3.14=(25-16)×3.14=28.26より、
直線ABが通ったあとの図形の面積は、28.26平方cmです。
多角形の転がり移動について、学習します。多角形が直線上を転がる場合、直線上に、転がる多角形の頂点の記号をかいておくことをお勧めします。このことで、どの点を中心に回転するかがわかりやすくなります。ここでも、自分で図をかくことが大切です。
「必修例題3」は、直線上を長方形が転がる問題です。
長方形ABCDを、直線上を直線にそってすべらないように転がします。予習シリーズ173ページの解き方にある図を参照してください。この図を自分でもかいてみましょう。直線ℓ上の記号をはじめに書き込み、それから直線上以外の長方形の各頂点の記号を記入することをお勧めします。
(1) 頂点Bの動きを確認します。
(ア) はじめに、点Cを中心に、長さ4cmのBCを半径として、90度回転します。
(イ) 次に、点Dを中心に、長さ5cmのBDを半径として、90度回転します。
(ウ) 次に、点Aを中心に、長さ3cmのBAを半径として、90度回転します。
以上のそれぞれの回転によってできる弧の長さの合計を求めます。よって、
弧(ア)+弧(イ)+弧(ウ)
=(4×2×3.14×1/4)+(5×2×3.14×1/4)+(3×2×3.14×1/4)
=(4+5+3)×2×3.14×1/4
=6×3.14=18.84より、
頂点Bの通ったあとの図形の線の長さは、18.84cmです。
(2) (1)で、頂点Bが通ったあとの図形の、3つの四分円(ア)、(イ)、(ウ)の面積が求める面積に入りますが、そのほかに、(ア)と(イ)の間にある直角三角形BCDの面積、(イ)と(ウ)の間にある直角三角形DABの面積も、すべて直線との間の面積として、計算に入ることを忘れないようにしましょう。よって、面積(ア)+面積(イ)+面積(ウ)+直角三角形2つの面積を求めます。
(4×4×3.14×1/4)+(5×5×3.14×1/4)+(3×3×3.14×1/4)+(3×4÷2×2)
=(16+25+9)×1/4×3.14+12
=39.25+12=51.25より、
頂点Bが動いたあとの線と直線で囲まれた図形の面積は、51.25平方cmです。
円の転がり移動について、学習します。予習シリーズ174ページの説明をよく理解してください。直線が折れる場合の円の動きがポイントとなります。
「必修例題4」は、円が直線上を転がる問題です。
たて5cm、横6cmの長方形の辺上を半径1cmの円が、長方形の外側と内側を転がります。予習シリーズページ174の解き方にある図を参照してください。
(1) 長方形の外側を辺にそって、円Oが転がる場合の、円の中心の動いた長さを求める問題です。
長方形の辺上を転がる場合は、円Oの中心は、半径の長さの分だけ辺からはなれたところを平行に動きますので、直線となります。
カドのところでは、円Oの中心がカドを中心に円の半径の長さを半径として、弧をえがきます。弧の中心角は、常に360度-(カドの角の大きさ+90度×2)で求まります。
よって、円Oの中心が動いたあとの線の長さは、
(ア) 直線部分は長方形のまわりの長さと等しく、(5+6)×2=22、
(イ) カドの部分の線の長さは4つ合わせると半径1cmの円周になりますので、
1×2×3.14=6.28です。
(ア)と(イ)を合計して、22+6.28=28.28より、28.28cmです。
(2) 図をかいてみるとわかりますが、円Oが動いたあとの図形は、
(ウ) 長方形の辺にそった部分はそれぞれの辺の長さと直径の長さをもつ長方形が4つあります。面積の合計は、長方形のまわりの長さに直径をかけて、22×2=44より、44平方cmです。
(エ) カドの部分は、円の直径を半径として、中心角が90度の四分円が4つでできています。四分円4つは円1つですから、2×2×3.14=12.56となります。
したがって、円Oが動いたあとの図形の面積は、
44+12.56=56.56 より、56.56平方cmです。
なお別解ですが、平面図形の「外側」を円が動いたあとの図形の面積は、[円の中心が動いた長さ×直径]で求められます。(1)と(2)の結果を見比べてみると、別解が成り立つ理由がよくわかると思います。(1)の結果を利用して、28.28×2=56.56平方cmとして求めることができるのです。
ただし、円が平面図形の「内側」を動くときには、この別解を使うことができませんので、注意してください(予習シリーズ175ページにある枠内の図参照)。
(3) 長方形の内側を辺にそって、円Pが動いたあとの図形の面積は、円Pが通らない部分の面積を、長方形の面積から引くことで求めます。予習シリーズ175ページの解き方にある図を参照してください。
円Pが通らない部分として、長方形の中央に、たて(5-2×2=)1cm、横(6-2×2=)2cmの長方形(予習シリーズ解き方の図のア)ができます。
また、カドに1辺1cmの正方形から、四分円をひいた部分(予習シリーズ解き方の図のイ)が4つあります。このカドの部分の4つを合計すると、1辺2cmの正方形の面積から円Pの面積を引いた面積になります。
よって、円Pが通らない部分の面積の合計は、
ア+イ=1×2+(2×2-1×1×3.14)=2+0.86=2.86より、2.86平方cmです。
したがって、円Pが通った部分の面積は、
5×6-2.86=27.14より、27.14平方cmです。
長方形の内側を通る場合には、カドの部分にすき間ができることに注意しましょう。
円が図形の外側を通る場合と内側を通る場合の違いを正確に把握するためには、自分の手で図形をかくことが効果的です。
第18回は『場合の数(2)』です。第14回は並べ方を学習しましたが、今回は選び方を学習します。選び方(=組み合わせ)とは,並べる順番は異なっていても、組の中の数字や記号が同じ組み合わせならば、1通りとするものです。例えば、(A-B)と(B-A)は、並べ方としては2通りですが、選び方としては1通りとするものです。どのような順番で選ぶかという、順番の基準(ルール)を決めておくことが大切になります。
「必修例題1」は、A、B、C、Dの4人の中から、2人の組を作る選び方の問題です。
まず、2人を並べる場合を考えます。
(ア) Aからの並べ方として、A-B、A-C、A-Dの3通り
(イ) Bからの並べ方として、B-A、B-C、B-Dの3通り
(ウ) Cからの並べ方として、C-A、C-B、C-Dの3通り
(エ) Dからの並べ方として、D-A、D-B、D-Cの3通り
があります。よって、3×4=12 より、並べ方は12通りあります。
選び方としては、A-BとB-Aは同じ1通りです。同様に、B-CとC-Bも1通り、C-DとD-Cも1通りです。つまり、並べ方としては2通りにしているものを、選び方としては、1通りに数え直します。
よって、並べ方の12通りを2で割ったもの、12÷2=6が、選び方の場合の数です。書き出してみますと、A-B、A-C、A-D、B-C、B-D、C-Dの6通りです。
そうじ当番の2人の選び方は6通りです。
ここで、書き出したものを見てみますと、すべて、A→B→C→Dの方向になっています。B-AやD-Cという逆方向にもどることはありません。選び方の問題では、このルール(Uターン禁止)が重要です。予習シリーズ137ページの解き方にある、樹形図を参照してください。
「必修例題2」は、6まいのカードから3まいを選ぶ問題です。
ここでも、前問と同様、数の小さい方から選ぶというルールを決めて進めます。また、同じ数字がいくつかありますので、それぞれの数字が何個まで使えるかを確認しながら進めます。1-1-1、1-1-2、1-1-3、1-2-2、1-2-3、2-2-3の6通りです。
「必修例題3」は、選び方の問題であるとともに、三角形の辺の長さについての性質を学ぶ問題です。
三角形の3つの辺の長さには、[最大の辺の長さは、残りの辺(2つ)の長さの和よりも短い]という性質があります。覚えておきましょう。
大きい長さから選ぶルールで進めます。
(ア) 最大の辺の長さが6cmのとき、5+4=9cm、5+3=8cm、5+2=7cm、4+3=7cmはすべて、辺の長さの性質にあてはまります (4+2=6cmはあてはまりません) ので、4通りあります。
(イ) 最大の辺の長さが5cmのとき、4+3=7cm、4+2=6cmも同様にあてはまります(3+2=5cmはあてはまりません)ので、2通りあります。
(ウ) 最大の辺の長さが4cmのとき、3+2=5cmも同様にあてはまりますので、1通りあります。
よって、4+2+1=7より、三角形は全部で7個できます。
「必修例題4」は、A+B+C=15 となるA、B、Cにあてはまる数を、1から9まで数字の中から選ぶ問題です。
3つの数の和の問題ですが、1つの数Aを決めて、残りのBとCの和の組み合わせ(B+C)を考えていきます。
(ア) A=1とします。B+C=14となる組み合わせは、(5+9)、(6+8) の2通りです。
(イ) A=2とすると、B+C=13ですから、(4+9)、(5+8)、(6+7) の3通りです。
(ウ) A=3とすると、B+C=12ですが、3+9は3が入っていて使えません。そのほかに挙げられる (4+8)、(5+7) の2通りです。
(エ) A=4とすると、B+C=11ですから、(5+6) の1通りです。
以上、2+3+2+1=8 より、数字の和が15になる3まいのカードの選び方は8通りです。なお、ここでも、Uターン禁止のルールに従っています。
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