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第12回は『場合の数(3)』です。ここでは、和の法則と積の法則の違いを学習します。また、並べ方(順列とも言います)の基本も学習します。
「必修例題1」は、ごばんの目の形をした道を進む道順の問題です。A地点からB地点まで最短距離(最も短い道のり)で行く道順が何通りあるかを考えます。最短距離ですので、この問題では、右方向か上方向に進むことで、左方向や下方向に進むことはできません。
基本は、ある道の角(かど)まで行くには、どの角を通って行けるかを考えることです。予習シリーズ109ページの解き方にある図を参照して下さい。A→E(角Aから角Eに行くことを表します)は1通りの行き方しかありません。そこで、角Eに1と書いておきます。同様に、A→Cも1通りなので、角Cに1と書きます。次に、角Fには、E→F、C→Fの2通りあります。そこで、角Fに2と書きます。このように、それぞれの角に、前(横とたて)の角に書かれた数を合計した数を書いていきます。また、角Dへの行き方は、C→Dのみですから、角Dは1と書きます。
次に、角Gは、F→G、D→Gですので、角Fの2と、角Dの1を合計して角Gは3となります。この後も、角ごとに合計の数を書き込んでいきます。
結果として、ゴールの角Bは、左どなりの角の6と、下の角の4を合計して6+4=10となりますので、A地点からB地点までの行き方は10通りです。
角に入れる数はその角に着くのに何通りあるかの数、という基本的な考え方をしっかり覚えておいてください。ただ角の数を足す、とだけ覚えてしまうと、応用問題に対応できなくなりますので、注意しましょう。
「必修例題2」は,サイコロの目の和の問題です。
(区別のつく)大小2個のサイコロをふって、出た目の和が5の倍数になるのは何通りあるかを考えます。サイコロ2個の目の和は、2以上12以下ですので、5の倍数になるのは、和が5の場合と、和が10の場合です。それぞれの目の出方を考えます。(大の目、小の目)として表します。和が5の場合は、(4,1)、(3,2)、(2,3)、(1,4)の4通りあります。和が10の場合は、(6,4)、(5,5)、(4,6)の3通りあります。
よって、4+3=7より、5の倍数になる目の出方は、7通りあります。
このように、複数のことがら(和が5になる場合と和が10になる場合)が同時にはおこらないとき、別々の場合に分けて場合の数を考え、結果をたし算することを、和の法則といいます。なお、必修例題1も、和の法則と考えられます。
「必修例題3」は、A町、B町、C町を結ぶ道において、道順を考える問題です。
(1) A町からC町まで行く道順が何通りあるかを考えます。A町からB町まで4本の道がありますので、A→B(AからBへ行く)の行き方は4通りあります。また、B町からC町まで3本の道がありますので、B→Cは3通りあります。どの道を通ってもよいので、A→Bの4通りそれぞれに、B→Cの3通りがありますので、4×3=12より、A町からC町まで行く道順は、全部で12通りになります。
(2) A町とC町の間を往復するとき、行きに通った道は帰りには通れないとする条件で道順が何通りあるかを考えます。
行きは、(1)の結果である12通りです。帰りには、C→Bは、3本の道のうちの1本は行きに通っていますので、残り2本ですから、2通りあります。同様に、B→Aも4本の道のうちの1本は行きに通っていますので、残り3本ですから、3通りとなります。よって、帰りは、2×3=6より、6通りです。往復では、行きの12通りのそれぞれに帰りの6通りがありますので、12×6=72より、往復の道順は72通りです。
このように、複数のことがらが、続けて起こる場合や、同時に起こる場合の計算は、それぞれの場合の数をかけ算します。これを、積の法則といいます。
「必修例題4」は、何人かの人を並べる問題です。並べ方の問題、または、順列の問題といわれるものです。父をA、母をB、子ども2人をC、Dとします。
(1) 左から1番目には、A、B、C、Dの誰が並んでもよいので4通りあります。
2番目には、1番目に並んだ人を除く3人のうちの誰が並んでもよいので3通りです。
3番目には、1番目、2番目に並んだ人を除く2人のうちのどちらでもよいので2通りとなります。
4番目には、残りの1人がくる1通りです。
続けて並んでいきますので、積の法則を使って、4×3×2×1=24より、4人の並び方は24通りあります。
(2) 両はしのA、Bの並び方は、A○○Bとするか、B○○Aとするかの2通りです。
中のC、Dのならび方は、□CD□とするか、□DC□とするかの2通りです。
2つのことがらが同時に起こりますので、積の法則を使って、2×2=4より、並び方は、4通りです。
「必修例題5」は、0、1、2、3、4の数字が書いてある5枚のカードのうちの3枚を並べる問題です。0が含まれるタイプの問題は慎重に取り組む必要がありますので、気をつけてください。
(1) 百の位には、0以外のカードならどれでもよいので、4通りの置き方ができます。十の位には、百の位に置いたカード以外の4枚のどれでもよいので、4通りあります。一の位には、百の位、十の位に置いたカード以外の3枚のどれでもよいので、3通りとなります。続けて起こりますので、積の法則を使って、4×4×3=48より、48通りの整数ができます。
(2) 偶数にするには、一の位が0か、2か4でなければなりません。このとき、百の位には0は置けませんので、その関係から、場合分けをします。
(ア)一の位に0を置くとき。百の位には、4通り。十の位には、一の位に置いた0と百の位に置いたカード以外の3通り。よって、4×3=12より、12通りの整数ができます。(イ)一の位は2か4を置く2通り。百の位には、0と一の位に置いたカード以外の3通り。十の位には、一の位と百の位に置いたカード以外の3通り。よって、2×3×3=18より、18通りの整数ができます。
(ア)の場合と(イ)の場合は別々に起こりますから、和の法則により、12+18=30となり、偶数は、30通りできます。
和の法則と積の法則を使い分けられるように、問題文の読み取り方に注意して練習を重ねましょう。
第12回は『三角形の性質』です。いろいろな形の三角形の角度について学習します。
「必修例題1」は、三角形の内角についての問題です。三角形の内側にある3つの角を内角といい、この3つの内角のそれぞれの大きさを合計すると180度になります。予習シリーズ91ページ必修例題の前にある説明、および92ページの類題2の前にある説明をよく読んでください。内角の和は、ア+54+45=180度ですから、180-54-45=81より、アの角の大きさは81度です。
「必修例題2」は、三角形の外角の問題です。外角とは、三角形の1つの辺をのばして、となりの辺との間にできる角のことをいいます。内角の外側全体ではありませんので、注意してください。
外角アととなり合う内角をイとすると、ア+イ=180度になることを利用して考えます。イ+78+41=180度より、イは180-(78+41)=180-119=61度です。よって、180-61=119より、アの角の大きさは、119度です。
なお、式をよく考えてみますと、180から119を引いて61を求め、この61をまた180から引いていますから、答えは、元に戻るように119になるわけです。つまり、アは78+41=119の計算で求めることができるのです。
この求め方が、「外角の定理」と呼ばれるものです。この「外角の定理」は、とても重要です。言葉で表すと、「1つの外角はその外角ととなり合わない、残りの2つの内角の和に等しい」となります。図形の角度を求める問題では、非常に多く使われますので、逆の使い方(外角が与えられている内角を求める)とともに、必ず理解して使えるようにしましょう。
「必修例題3」は、二等辺三角形や正三角形の角度の問題です。予習シリーズ92ページから93ページの説明をよく読み、理解しましょう。
(1) 図の左側は、二等辺三角形です。二等辺三角形の等しい辺の足もとの角は底角とよばれ、「二等辺三角形の底角の大きさは等しい」という性質があります。よって、ア+36+36=180度となりますので、180-36×2=108より、アの角の大きさは108度です。
(2) 図の右側も、二等辺三角形ですから、角Aと角Cは底角なので等しい大きさです。よって、42+イ+イ=180度となりますので、(180-42)÷2=69より、イの角の大きさは、69度です。
「必修例題4」は、直角三角形、またその代表といえる三角定規の角度の問題です。予習シリーズ93ページの類題3の後にある説明をよく読み、理解しましょう。
問題の(図2)の図形において、2つの三角定規(直角三角形)が重なってできている三角形に注目します。この三角形を三角形Pと呼ぶことにすると、三角形Pの3つの角のうち、左側の角は、30度、60度、90度の直角三角形のうちの1つの角と同じ30度の大きさです。また、三角形Pの右側の角は、直角二等辺三角形の1つの角と同じですから、45度です。
よって、三角形Pの3つの内角の合計は、ア+30+45=180度ですから、180-(30+45)=105より、アの角の大きさは、105度です。
三角形の内角の和、外角の定理、また、特別な三角形である二等辺三角形、正三角形、直角三角形の角について、しっかり身につけましょう。この基礎が、四角形以上の多角形の角の問題に応用できます。
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