No.970 定番テーマ、心情変化の教科書です!まはら三桃『無限の中心で』講談社

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まはら三桃『無限の中心で』講談社

 物語文の最頻出テーマのひとつである「心情の変化」。そのテーマを読み取る目を養うことができる傑作です。主人公の心情が「嫌悪」から「憧れ」へとダイナミックに移ろっていく様子が、細やかな表現で描かれています。
 6年生の皆さんは、本1冊を読む時間がないと思われますので、これからご紹介する箇所だけでも、ぜひ読んでみてください。心情変化が凝縮されていますので、そこを読むだけで最重要テーマをいかに読み取るかの練習ができますし、出題されるとしたら、そこしかありません!

【あらすじ】

 この作品の主な登場人物は、以下の7名です。
野崎とわ(高校二年生の文系女子)
名島潤(主人公の野崎とわのいとこ、同じ学校に通っているが不登校になっている)
一瀬在(いちのせあり・数研メンバー・昆虫好き)
桐原響(きりはらひびき・数研メンバー・音楽男子)
上山田章(うえやまだしょう・数研メンバー・相撲部とかけもち) 
前田美織(まえだみおり・新聞部・主人公の野崎とわと小学校の同級生)      
志村朝(しむらあさ・数学研究会の顧問の先生)

 物語好きの文系女子である主人公の野崎とわが、同じ学校の数学研究会のメンバーとの交流を経て、それまで全く興味のなかった数学への考え方を大きく変えたことから、自分が過去に犯した誤ちに向き合い、心を解放していくというストーリーです。

【主人公の野崎とわが、いとこの潤に対して抱く心情の変化を読み取る!】

 来年度中学受験の国語で出題される可能性が高いのが、ズバリ、以下の2か所です。

①P.223~225

 主人公の野崎とわが数学に対する想い、何かに打ち込むことの尊さを認識する場面です。以下の部分からも、主人公の野崎とわが数学の魅力を感じていることがわかります。

たったひとつの正解に行きつくためには、どんな考え方を用いるのも自由だ。自分が選んだやり方で到達するまで、正解は動かずにじっと待っている。千年でも二千年でも。

 数学の、圧倒されるような包容力と普遍(P.223~224)

  そして、この物語全体を通しても最も重要なのが、P.224~225にある以下の部分です。 

 何かに一生懸命に取り組んでいる人たちを間近で見ることで、こんなに清々しい気持ちになるとは思わなかった。よりによって大の苦手の数学がそれに気づかせてくれるとは。
 私も頑張りたい。
 体中を、じれったいほどの力が満たすのを、とわは感じた。(P.224~225) 

 この部分は、後でご紹介する箇所とも密接につながっていますので、おさえておきましょう。

②P.234~248 

 ここは、主人公の野崎とわがいとこの潤に過去の過ちを謝罪する場面であり、潤に対する心情の変化が凝縮された箇所です。特に次の心情表現の変化に注目してください。

 「困惑、羞恥、嫉妬」(P.238) → 「ほっとしつつもばかばかしく、それでいてちょっと妬ましい」(P.248)

 この表現の変化は、数学に打ち込む潤を奇異な目でしか見ていなかった主人公の野崎とわが、数学の魅力を感じたことで、潤を受け入れ、憧れに近い感情を抱くようになったことを的確に表しています。

 この2か所について、予想問題を作成してみました。模範解答付きですので、ぜひご覧になってください。

【予想問題】

P.248「ほっとしつつもばかばかしく、それでいてちょっと妬ましい。」について

問1:選択肢パターン

「ばかばかしい」と感じる、主人公の野崎とわの状況について正しく説明したものを選びなさい。
 ア:せっかく意を決して謝罪をしたのに、それに対する潤の言葉があっさりしたものであったことにいらだっている。
 イ:今まで罪と思っていたことが、思いのほか簡単に解決したので、これまでの自分の苦しみを後悔している。
 ウ:潤に謝罪を伝え、それを受け入れられたことで、心が軽くなり、自分が悩んでいたことが重大なことではなかったと感じている。
 エ:潤の言葉が昔から変わらず独特で、しかも自分が苦手な数学をからめてばかりいるので、うんざりしている。

 
問1:記述パターン

「ばかばかしい」と感じる主人公の野崎とわの状況について、60字以内で説明しなさい。
 
問2:

P.238の「嫉妬」も、P.248の「妬ましい」も、「ねたむ」という意味では同じですが、それぞれの言葉を使う、とわの心情の違いを説明しなさい。

この2問に共通する解答のポイントは以下の通りです。
・主人公の野崎とわは罪の意識から解法されて気持ちがすっきりしている。
・主人公の野崎とわが潤に対して抱いていた感情が、困惑、羞恥、嫉妬といったマイナスのものから、プラスな感情に変わっている。

その裏付けとなる表現が以下の箇所に見られます。
・鋭く光る目でひたすらに鉛筆の先を追っている。全身全霊。(P.245)
→P.224~225の「何かに一生懸命に取り組んでいる人たちを間近で見ることで」と重なっています。
・すっきりしたせいか、鉛筆の音がより鮮明に聞こえてきた。生きてるなあ。潤のからだから、強い生命体が伝わってきて、とわは、潤の姿にしみじみと見入ってしまった。(P.247~248)

 以上のポイントを踏まえたうえでの模範解答をご紹介します。

【模範解答】

問1:選択肢パターンの解答

 ぜひ注意して頂きたいポイントがあります。直後の「ああ潤は、いつまでたっても独特な人なのだ。」にだけ注目して、潤のことを否定的に考えていると間違えて、ア、エを選ばないようにしてください。このように誤った選択肢につながる表現が問題箇所のすぐ近くにある場合には、その時の人物の心情がどのようなものか、に立ち返ってみましょう。
また、イの「後悔」は表現が強すぎますし、その根拠となる表現が本文中にありません。

問1:記述パターンの解答
 潤に謝罪を受け入れられたことで心が軽くなり(気持ちに余裕がうまれ)、自分がこれまで悩んでいたことが、重大ではなかった(些細なことであった)と感じている。(53~58字)

 記述答案を作成するうえでのポイントとして、60字の場合は、2つから3つのポイントでまとめること、キーワードとして、「潤に許されたこと」、「心が軽くなったこと」の2つは必ず入れるようにしましょう。

問2の解答
「嫉妬」には、かけ算や九九ができるだけで祖父母に愛される潤に対して恨む気持ちが含まれているが、「妬ましい」には、全身全霊をかけて数学に取り組む潤に対するうらやましさ、憧れが含まれている。」
 
キーワードとして、「恨む気持ち」、「うらやましさ」、「憧れ」は含めるようにしましょう。 

「嫉妬」の意味を辞書で調べてみると、
・他人が自分より恵まれていたり、すぐれていることに対して、うらやみねたむこと。
・自分の愛する者の愛情が、他に向くのを恨み憎むこと。
の2つがあります。同じ「妬み」でありながら、異なる意味を含ませたこの表現に、ぜひ注目してください。

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