No.1048 大学附属・系属中学が爆上がり中!まだお得な学校はどこだ!?

 近年、大学附属・系属中学校の偏差値が上がっています(以下、附属校・系属校をまとめて、附属校と表現します)。中にはまさに爆上がり!という中学校も出てきています。大学入試改革の迷走、私立大学の定員厳格化などの要因により、中学受験の段階で大学進学を確保したいという気持ちが働いているからです。

 偏差値が上がっている附属校の中で、特に爆上がりしている中学校はどこなのか。そして、すでに多くの学校の偏差値が上がってしまっている中で、まだこれから狙える、お得な中学校はあるのか。5年間の偏差値の推移をもとに考察してみましょう。

 早慶上理、GMARCH、成成明学獨國武、日東駒専の首都圏にある附属中学の5年間の偏差値推移の一覧表を文末に載せました。附属校ではありませんが、香蘭女学校は立教大学への関係校推薦枠が97名あり(香蘭女学校HP参照)、実質的に附属校と言える中学校ですので、一覧に含めています。進学校色が強すぎる中学校は外しています。
 また、四谷大塚の80%結果偏差値を用い、それぞれ第一回入試の偏差値で比較しています。
※日大豊山女子は第一回の偏差値が四谷大塚の偏差値表に載っていない為、2月1日午後の偏差値を用いました。

【爆上がり中学はここだ!】

 2021年の結果偏差値と2017年のそれを比較したところ上位のランキングは下記のようになりました。爆上がり第1位は、日大豊山で、なんと5年間でプラス10ポイント!まさに爆上がりです。

日本大学豊山中学校 画像引用元:学校HP

 続いて2019年より青山学院系属校となった青山学院浦和ルーテル学院3年間(※1)で男女とも8ポイントアップで第二位にランクイン。
 第三位は、早稲田佐賀(首都圏入試)で、女子8ポイント、男子7ポイントアップ
 第四位は香蘭女学校で7ポイントアップ、第五位は、千葉日大一で、女子6ポイント、男子5ポイントアップ。第六位は、青山学院横浜英和で、女子5ポイントアップ、男子は4年間(※2)で2アップです。そして第七位は成城学園、明大中野八王子がそれぞれ4ポイントアップで続きます。

※1 2019年4月より青山学院大学系属校となった為、3年間の推移となります。
※2 2018年から共学化(男子募集開始)の為、4年間の推移となります。

<爆上がり附属中学ランキング>
第一位:日大豊山
第二位:青山学院浦和ルーテル学院
第三位:早稲田佐賀
第四位:香蘭女学校
第五位:千葉日大一
第六位:青山学院横浜英和
第七位:成城学園
    明大中野八王子

 この中で、立教大学の関係校推薦枠が増加した香蘭女学校と、青山学院大学の系属校となった青山学院横浜英和と青山学院浦和ルーテル学院の偏差値が上がるのは当然でしょう。この3校以外の中学校が爆上がりしたのは、まさにお得であったからです。それぞれの附属大学のレベルから考えて、中学受験での偏差値が低めで、とてもお得だったのです。近年、多くの中学受験生とその保護者が、お得な大学附属校を探している、そして実際に受験しているということです。

【まだお得な学校はどこだ!?】

 それでは、上記の学校の偏差値がすでに爆上がりしてしまった今、まだお得な学校は残っているのでしょうか。早慶上理から日東駒専までグループごとに詳しく見てみましょう。

『早慶上理』

 結論からお伝えすると、残念ながらこのグループではお得と言える学校はありません。

 上智大学・東京理科大学は附属中がなく、中学があるのは早慶のみです。早慶ともにレベルはトップクラスで変わらずお得感は全くない状態です。地方での寮生活を視野に入れることが可能なら、2018年頃までは早稲田佐賀はお得と言えましたが、現在は、女子59、男子57まで偏差値が上がってしまいました。大学への推薦枠50%程ということ考えると(医学部や国公立を志望する生徒さんもいますので、厳密に成績上位50%と言うわけではありませんが)、お得とは言い切れないところです。また、残念ながら早稲田摂陵中学校は令和3年度以降、中学募集を中止してしまっています。

『GMARCH』

 このグループでは、まだお得な学校が残っています。それは、明大中野と明大中野八王子です。

明治大学付属中野中学校 画像引用元:学校HP

明治大学付属中野八王子中学校 画像引用元:学校HP

 総じて、どの中学校も人気となっていて、ここまで上がってくると、このレベルを狙える成績の生徒さんは、GMARCHの附属ではなく、同等レベルの進学校へ進み6年間かけて国公立・早慶を目指すのか、中学受験でGMARCHに決めるのか、迷うご家庭も多いのではないでしょうか。生徒さんの性格、ご家庭の方針によって慎重な判断が必要です。

 ほとんどお得と言える学校はないのですが、偏差値爆上がり中とはいえ、明大中野八王子はまだお得感がある偏差値と言えます。明大明治と偏差値を比較してみましょう。明大明治の偏差値は、女子63、男子60です明大中野八王子は女子54で、その差は9ポイント、男子52で8ポイントの差があります八王子駅か拝島駅からスクールバスで25分という立地さえクリアできれば、大変魅力的です。

 明大中野もじわじわと偏差値が上がっていますが、まだ55で、明大明治の男子60と比較すると5ポイントの差があり、お得なレベルと言えます。

 また、2018年に青山学院の系属校となった青山学院大学系属浦和ルーテル学院は、2031年度からは卒業生全員の大学への系属校推薦入学を目指しています(青山学院浦和ルーテルHP参照)。つまりその6年前の2025年2月の中学入試では偏差値が爆上がりすることは間違いありません。現在も経過措置期間として推薦枠はあります。現段階での推薦枠は各学部1名の11名で、推薦枠スタート初年度に推薦で青山学院大学に進学した生徒さんは7名とのことです。今後、各学科1名ずつ、合計25名~26名程度に増やす方向で協議中ということです。25名~26名くらいに増えてくると経過措置期間中でも俄然魅力的になってきますが、当然偏差値も上がるでしょう。

『成成明学獨國武』

 このグループでのお得な学校は明治学院です。また、獨協医科大学への系列校枠が設けられた獨協中学と獨協埼玉は、将来の医学部志望者にとっては魅力がアップしたと言えます。

 成蹊大学・成城大学・明治学院大学・獨協大学・國學院大學・武蔵大学からなるこのグループは、一般的にGMARCHと日東駒専の間のレベルと言われています。

明治学院中学校 画像引用元:学校HP

 成蹊と成城学園を比較すると、以前は若干成城学園が低くお得感がありましたが、現在はほぼ横に並び、この2校はお得とは言えないレベルとなっています。そうした状況の中、明治学院は、中学受験では成城学園、成蹊と比べてだいぶ偏差値が低く、とてもお得であると言えるでしょう。明治学院では最初の入試が2月1日の午後入試なので、一覧表にも午後入試の偏差値を用いています。2月2日の午前入試の偏差値はさらに2ポイント程度低くなりますので、2月1日午前の成蹊・成城と、2月2日午前の明治学院を比べると現在、7~11ポイントの差がありますので、お得であると言えるでしょう。

獨協中学校 画像引用元:ウィキペディア

獨協埼玉中学校 画像引用元:ウィキペディア

 獨協中学に関しては、獨協大学への内部進学は若干名で、附属校というくくりとはイメージが違いますが、獨協医科大学への学校推薦型選抜の系列校枠が設けられました。獨協埼玉と合計で10人以内ダイヤモンドオンライン)とのことですが、これは将来医学部を考える受験生と保護者にとっては魅力的に映るでしょう。また、1月の埼玉受験校に迷った際には、獨協埼玉は獨協医科大学の推薦枠の他、獨協大学へ毎年50~60名内部進学していますので、受験校選定の際にはプラス要因として働くでしょう。

 また、武蔵はもちろんのこと、国学院久我山についても進学校色が強いので、今回は外しています。

『日東駒専』

 このグループのお得な学校は、なんといっても日大豊山女子。それに日大一、日大三が続きます。裏技的に埼玉栄という選択もあります。

日本大学豊山女子中学校 画像引用元:ウィキペディア

 日大系は日大豊山、千葉日大一が爆上がり中です。そんな中、日大豊山女子は、かなりお得な偏差値となっています。その他、日大一と日大三も日大豊山女子に次ぐお得な学校です。また、一覧表には入れていませんが、埼玉栄中学校は日本大学提携校となっていて、日大系の付属高校で実施されている基礎学力到達度テストを受験することが可能ですので、日大系を検討している方は要チェックです。

 東洋大京北はだいぶ偏差値が高くなってしまい、すでにお得とは言えないレベルになってきています。
 その他、専大松戸はほぼ進学校と捉えられていると思いますので、今回は外しています。また、駒澤大学の附属中は残念ながらありません。

【お得な学校を取り入れて賢い併願作戦を立てましょう】

 今回は、大学附属校の中で、まだお得な学校はどこなのか探ってきました。爆上がりしている附属中の中でも、少ないながらも、まだお得な学校は残されています。
 明大中野、明大中野八王子、明治学院、日大豊山女子、日大一、日大三は、やはりお得だと言えるでしょう。その中でも特に偏差値と内部進学率のバランスを考えると明大中野八王子のお得度が高いでしょう。通える範囲にお住まいの方は検討の価値有りです。
 最後にお得な学校を受験する際の注意点もお伝えします。今、お得な学校は逆に言うと今後爆上がりする可能性がある中学校ですので、しっかりと安全校も含めながら、慎重に併願作戦を立てましょう。

【大学付属校 直近5年間の偏差値推移】
大学名 中学校名 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2021-2017  
早稲田大学 早稲田中 64 65 64 64 64 0  
早稲田実業(女子) 69 69 69 68 68 -1  
早稲田実業(男子) 64 64 64 63 63 -1  
早稲田大学高等学院中学部 62 63 63 63 64 2  
早稲田大学佐賀(女子) 51 51 56 59 59 8  
早稲田大学佐賀(男子) 50 50 54 57 57 7  
慶應義塾大学 慶應中等部(女子) 70 70 70 70 70 0  
慶應中等部(男子) 64 64 64 64 64 0  
慶應普通部 64 64 64 64 64 0  
慶應湘南藤沢(女子) 66 67 67 68 68 2  
慶應湘南藤沢(男子) 64 64 64 65 65 1  
学習院大学 学習院中等科 54 55 54 55 56 2  
学習院女子 57 58 57 59 58 1  
明治大学 明大明治(女子) 64 64 64 64 63 -1  
明大明治(男子) 61 60 61 61 60 -1  
明大中野 53 54 57 57 55 2  
明大中野八王子(女子) 50 53 54 54 54 4  
明大中野八王子(男子) 48 51 52 52 52 4  
青山学院大学 青山学院(女子) 63 64 65 65 65 2  
青山学院(男子) 57 57 58 58 58 1  
青山学院横浜英和(女子) 51 53 54 55 56 5  
青山学院横浜英和(男子) 51 52 53 53 2 ※1
青山学院系属浦和ルーテル(女子) 44 49 52 8 ※2
青山学院系属浦和ルーテル(男子) 43 48 51 8 ※3
立教大学 立教池袋 58 57 57 59 58 0  
立教女学院 60 61 61 61 61 1  
立教新座 60 60 60 60 60 0  
香蘭女学校 51 52 55 58 58 7  
中央大学 中央大学付属(女子) 55 55 57 58 58 3  
中央大学付属(男子) 53 53 55 56 56 3  
中大横浜(女子) 56 56 57 58 58 2  
中大横浜(男子) 54 54 55 56 56 2  
法政大学 法政大学中(女子) 55 55 56 57 58 3  
法政大学中(男子) 53 53 54 55 56 3  
法政第二(女子) 56 58 58 60 58 2  
法政第二(男子) 54 54 56 58 56 2  
成蹊大学 成蹊中(女子) 54 53 54 55 55 1  
成蹊中(男子) 48 48 50 50 50 2  
成城大学 成城学園中(女子) 50 50 51 53 54 4  
成城学園中(男子) 47 48 49 51 51 4  
明治学院大学 明治学院中(女子)2/1午後 45 45 46 46 46 1  
明治学院中(男子)2/1午後 44 44 45 45 45 1  
獨協大学 獨協 43 43 43 43 44 1  
獨協埼玉(女子) 41 41 41 42 42 1  
獨協埼玉(男子) 41 41 41 41 41 0  
日本大学 日本大学中(女子) 49 46 46 48 49 0 ※4
日本大学中(男子) 48 45 45 47 48 0 ※5 
日大第一(女子) 35 35 35 35 36 1  
日大第一(男子) 35 35 35 35 37 2  
日大第二(女子) 43 43 43 44 45 2  
日大第二(男子) 43 43 43 44 45 2  
日大第三(女子) 36 36 36 38 38 2  
日大第三(男子) 36 36 36 38 38 2  
日大豊山 35 38 38 43 45 10  
日大豊山女子2/1午後 38 35 35 36 38 0 ※6
日大藤沢(女子) 46 45 46 46 46 0  
日大藤沢(男子) 46 45 45 45 45 -1  
目黒日大(女子) 42 43 45 3 ※7
目黒日大(男子) 42 42 44 2 ※8
千葉日本大学第一(女子) 38 42 42 43 44 6  
千葉日本大学第一(男子) 38 42 42 42 43 5  
東洋大学 東洋大京北(女子) 44 43 45 47 47 3  
東洋大京北(男子) 44 43 44 46 46 2  

※1 2018年から共学化(男子募集開始)の為、4年間の推移となります。
※2 2019年4月より青山学院大学系属校となった為、3年間の推移となります。
※3 2019年4月より青山学院大学系属校となった為、3年間の推移となります。
※4 2020年よりGLとNSで偏差値が分かれて表示されているのでGLの数値を用いています。
※5 2020年よりGLとNSで偏差値が分かれて表示されているのでGLの数値を用いています。
※6 2/1午後の数値です。
※7 2019年より日本大学の附属校となった為、3年間の推移となります。
※8 2019年より日本大学の附属校となった為、3年間の推移となります。

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