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頭の痛い夏休みの課題として「読書感想文」がありますが、塾の夏期講習で忙しい中学受験生の皆さん(親御さん)からすれば、本はできるだけ読みやすく、それでいて中学受験的な読解力を養える本で、かつ記述力が高まるような読書感想文を短時間で書ければ最高ではないでしょうか。
そこで今回は、「本の選び方」と「鉄人会の学年別おすすめ本」を紹介します。さらに、8月4日(木)までに資料のご請求を頂いた方には、レポート「時短で完成!中学受験的記述力も養う読書感想文の書き方」をプレゼント致します。鉄人会の会員様は、クラウドの教務BOXからレポート(PDF)をダウンロード頂けます。クラスアップ答練会の会員様はログイン後、わが子を合格に導く最強ツールからPDFをダウンロード頂けます。
今回の内容は以下3点です。
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1.中学受験にも役立つ本の選び方
2.鉄人会おすすめ「本が薄く読みやすく」、「中学受験に直結する」学年別おすすめ本のご紹介
3.鉄人会オリジナルレポート「時短で完成!中学受験的記述力も養う読書感想文の書き方」無料プレゼント!8/4締切
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本を選ぶ際には以下の視点で、本屋や図書館に行ったり、インターネットで検索するとよいでしょう。
3つのポイントのうち、1つ目については、読書感想文の内容を組み立てるうえで重要な意味を持ちます。コンクールなどで評価され優秀作品に選ばれる感想文に共通するのが「自分の体験に基づいた内容であること」です。実際に書くにあたっては、自分の体験に照らし合わせた方が進めやすくなります。
2つ目のポイントは単純に見えて、とても重要です。せっかくの読書の機会なのだから、少し難しくても「語彙や知識が増えそうな本」を選んでしまいがちですが、お子さんにとって読むことが負担になるような本を選んでしまっては、時間がかかるうえに結局書き上げられないという結果になりかねません。お子さんが面白そうと思える本を第一に選びましょう。
そして3つ目のポイントとして、少しでも時間を短縮させるためにも、ボリュームが少ない、薄いなど、読みやすい本を選ぶとよいでしょう。
時間をかけずに読書感想文を完成させるために、この3つのポイントをもとに、お子さんが読みたいと思う本を2,3冊候補として、少しずつでも読んでみて、読み進められそうなものを選ぶ方法がおすすめです。
とは言いましても、ハードな夏期講習をこなしながら本を選ぶのも大変だと思いますので、鉄人会が「読みやすく」、「中学受験に直結する」本で、なおかつ読書感想文が書きやすい本を学年別にチョイスしましたので参考にして頂ければと思います。
《6年生向け》
『みつきの雪』眞島めいり(講談社)
『きのう、火星に行った』笹生陽子(講談社文庫)
『親方と神様』伊集院静(あすなろ書房)
《5年生向け》
『あした、また学校で』工藤純子(講談社)
『月にトンジル』佐藤まどか(あかね書房)
《4年生向け》
『ゆかいな床井くん』戸森しるこ(講談社)
『わたしのあのこ あのこのわたし』岩瀬成子(PHP研究所)
それぞれの本につき、あらすじと、読書感想文を書く上でのポイントをご説明します。
『みつきの雪』眞島めいり(講談社)
第21回ちゅうでん児童文学賞で大賞を受賞した作品で、2021年度、2022年度の入試でも多くの学校で出題されました。山村で育った二人が小学生から高校生になるまでの時間を過ごして行く様子が、美しい情景描写と合わせて描かれています。読みやすい文体で書かれていますので、二人が過ごす時間の経過がスムーズに読み取ることができます。
151ページ 1.8cm
学習院中等科(2021年度)、実践女子学園中(2021年度)、甲陽学院中(2021年度)、関東学院中(2022年度)
長野県の山村で暮らす満希が都会から山村留学で訪れた行人と出会った小学5年生時から、高校を卒業するまでの7年という時間の中で、二人がそれぞれに心を成長させて行く様子が描かれた物語です。
物語全体のテーマは友情関係です。二人が心の距離を縮めて行く過程をしっかり読み取った上で、以下のようなポイントに基づいて、自分の考える友情関係などについて考えを述べてみるとよいでしょう。
・中学二年生になった満希が行人について語った言葉「わたしの機嫌が悪いと察したとき、行人はすっと距離をとって、わたしの気分が落ち着いてもとに戻るまでじっと待ってるんだ」(P.51の11行目から12行目)について、自分がこれまで友人に救われた体験や、自分にとっての友人の存在の大きさについて考えをまとめてみましょう。
・高校三年生になった満希が、行人から山村留学の理由が不登校になったことであると知らされる最終章『春が来る(高校三年生 春)』(P.122からP.147)から、友人の抱える悩みに接したことがある場合には、その時の自分を振り返り、そうした体験がなければ、自分であったらどうするかについて述べ、友人関係についての自分の考えをまとめて書くとよいでしょう。
『きのう、火星に行った』笹生陽子(講談社文庫)
文庫本でページ数が少なく、主人公が成長して行く様子を描いた物語がテンポよく展開しますので、読み進めやすい作品です。著者・笹生陽子氏の作品では『ぼくらのサイテーの夏』が豊島岡女子学園中、東邦大付属東邦中(いずれも2006年度)などで出題されました。
162ページ 0.8cm
普連土学園中(2007年度)、成城学園中(2010年度)、法政第二中(2012年度)、成蹊中(2020年度)
何に対しても本気になることなく淡々と日々を送っていた6年生の山口拓馬が、7年ぶりに会った病気がちの弟・健児や、体育大会の選手に共に選ばれたでくちゃんと過ごす時間の中で、心の中にこれまでになかった感情を抱くようになり、成長して行く様子を描いた物語です。
物語全体のテーマは主人公・拓馬の成長ですので、以下のポイントなどに基づいて自分の体験をもとに書き進めるとよいでしょう
・健児を置き去りにした拓馬に激怒した父親の言葉「なにやったってつまらないのは、おまえがつまらん人間だからだ」(P.71の13行目から14行目)について、自分がこれまで言われた、自分を変えてくれるきっかけになった言葉について触れるとよいでしょう。
・健児が拓馬にかけた言葉「自分のいやなところとか、少しでもなくしてさ、なりたい自分に近づきたいって、そういう気持ち、あるじゃない」(P.144の10行目から11行目)について、同じような気持ちになったことがあればそこで自分がどのように行動したか、同じような体験がない場合には、この言葉をどのように感じたかを述べるとよいでしょう。
・作品全体を通じて、拓馬がなぜ考え方や行動を変えたのか、自分の考えを述べ、そこから自分がどうありたいか、どう成長して行きたいかについて感じた内容をまとめてみましょう。
『親方と神様』伊集院静(あすなろ書房)
これまで、渋谷教育幕張中、海城中、横浜雙葉中(いずれも2005年度)などで出題された作品が所収された短編集『ぼくのボールが君に届けば』をはじめ、数多くの作品が出題されてきた伊集院静氏による老人と少年の心の交流を描いた物語です。ボリュームこそ少ないですが、語彙レベルも高く、登場人物の心情を正確に読み取ることが、読解力のアップに直結する一冊でもあります。
55ページ 0.9cm
芝中(2021年度)、普連土学園中(2021年度)
人生のすべてを仕事に打ち込んできた鍛冶職人の老人・六郎と12歳の少年・浩太が出会い、鍛冶職人を目指したいという心の内を浩太から明かされた六郎が、自らの鍛冶職人としての半生を振り返りながら、仕事とは、生きて行くために大事なことは、といった問題についての想いを浩太に伝えるまでの二人の濃密な時間が描かれた物語です。
鍛冶職人の六郎が浩太に伝える言葉の意味するところをしっかりと読み取り、そこから以下のポイントをおさえながら、自分の未来について、また、これまでに大人の言葉に影響を受けた体験などについてまとめるとよいでしょう。
・六郎が浩太を山に連れて行く場面(P.38の1行目からP.45の4行目)で六郎が自分の親方に言われた言葉『玉鋼(たまはがね)と同じもんがおまえの身体の中にある。…とにかく丁寧に仕事をやっていけ』(P.39の9行目から11行目)、そして六郎から浩太にかけられた言葉「どんなに大変そうに見えるもんでも、今はすぐにできんでもひとつひとつ丁寧に集めていけばいつか必ずできるようになる。」(P.42の12行目からP.43の1行目)には、自分が丁寧に取り組んで成し得たことにはひとつとして無駄なことはない、というメッセージが込められています。これを受けて感じることを、過去の体験を振り返ってもよいですし、これから自分がどうありたいかでも構いませんので、具体的に書き表すとよいでしょう。
・浩太にとっての六郎のように、自分に影響を与えてくれた大人(両親、学校や塾の先生、コーチなど)について、どのような言葉や行動で、自分にどのような考え方を持たせてくれたのか、体験を詳しく書いてまとめるとよいでしょう。
『あした、また学校で』工藤純子(講談社)
「学校は誰のものであるか」というテーマのもと、教師、生徒、親といった様々な立場にある登場人物たちがそれぞれに事情を抱えながら行動を起こして行く様子が描かれています。文章自体は読みやすく、小学生のお子さんにとっても共感や驚きなどの感情が抱きやすい作品です。
188ページ 1.6cm
駒場東邦中(2021年度)、関東学院中(2021年度)
6年生の一将の弟・将人が大縄跳び大会の練習で先生から厳しく叱られた出来事がきっかけとなり、学校は誰のものであるのかという問題の答えを、生徒、学校の先生、生徒の親といった様々な立場にある人物たちがそれぞれの視点で考えて行く様子が描かれた物語です。
物語のテーマとなっている「学校は誰のものか」という問いに対する自分の考えを定めるための手がかりを、以下のポイントなどを踏まえながら物語の中から見つけるように読み進めると、感想文が書きやすくなります。
・はじめは学校に対して行動を起こすことに乗り気でなかった一将が、最後の場面で自分の考えを訴える(P.181の1行目からP.183の3行目)ようになるまでに変わったきっかけが、様々な人々の考え方に触れたことにある点に注目して、他人の意見を聞くことが自分の考えを決めるきっかけになった体験や、他人の言葉の重要性について考えたことを表すとよいでしょう。
・同じ生徒でも、咲良、梨沙、博樹の考え方に違いがありますが、その背景にはそれぞれが暮らす環境の違いがあります。それが書かれた章(梨沙→『3.すきやき』、博樹→『6.卒・家族』、咲良→『7.優等生のあたし』)を読んで、そこで感じたことを述べ、他者を理解するにはその置かれた環境にまで考える必要があるのではないか、とまとめてもよいでしょう。特に「学校は生徒たちのものでなく、大人たちが仕切って成り立つもの」と考える梨沙が、なぜそう考えるのかについては、考えてみる価値があります。
・最終的に「学校が誰のものか」という問い対する自分の考えを表すと、感想文がまとめてやすくなります。
『月にトンジル』佐藤まどか(あかね書房)
幼稚園の頃から仲良く一緒に過ごしてきた6年生の男子4人組が1人の転校をきっかけに、友人関係を変化させて行く物語で、等身大の人物たちの言葉や行動が読みやすい文体で描かれており、身近な内容として読み進められる作品です。著者の佐藤まどか氏の作品では、『一0五度』が横浜共立学園中、城北中(いずれも2019年度)などで出題されました。
191ページ 1.8cm
学習院中等科(2022年度)
幼稚園時代からの幼なじみであったダイキ、シュン、マチとの友人関係が続くと思っていたトールが、ダイキの引っ越しをきっかけにそれぞれの関係が変化して行くことに戸惑いながら、これまで気づかなかった友人たちの側面を知り、友人関係の在り方について思いを深めて行く物語です。
以下のポイントをおさえながら、タイトルが意味する、人の心にオモテとウラがあることについて、登場人物たちの言葉や行動をもとにして自分の考えを表す、といった内容でまとめることができます。また、物語では4人の人物たちの友情関係が変化して行く様子が描かれているので、そこから自分の友人関係に対する考え方、今後友人とどのような関係を築いて行きたいか、といった内容で自分の考えを表すこともできます。
・主人公のトールが、「相手のウラガワもひっくるめてつきあえないなんて、(中略)表向きは友だちみたいな顔して、いざとなったら本当の友情はなにもなかった…。」と思いを吐露する場面を含めた、『10 チャット』の章(P.105からP.113)で表されている、相手への理解が表面的な部分にとどまっていたのではないか、と戸惑うトールの姿から感じることを、自分の体験と合わせて(体験がない場合には、自分ならどうするか、の視点で)まとめるとよいでしょう。
・久しぶりに4人が集まった場面で、トールが変化して行く友人関係を受け止められず、つい言葉が過ぎてしまう様子が描かれた『14 ザッハトルテ』の章(P.140からP.156)、そしてそこから物語の最 後にかけてトールがとった行動からから感じたこと、例えば友人関係を変わらずに保つことの難しさ、あるいは友人関係とは変化することが当然で、それでも友人と思える関係を築いて行きたい、など、
自分の体験に合わせた考えを示すとよいでしょう。
『ゆかいな床井くん』戸森しるこ(講談社)
多くの学校で出題された『ぼくたちのリアル』や、駒場東邦中(2019年度)などで出題された『夏と百花とカルピスと』(短編集『ねがいごと』所収)などの作家、戸森しるこ氏の作品です。13章からなる短編集のような構成で、文章自体もとても読みやすく、楽しみながら様々な物の見方に触れることができる一冊です。
184ページ 1.5cm
女子美術大学付属中(2020年度)、浦和実業中(2020年度)、桐蔭中等教育(2020年度)
真面目な小6女子の暦が、となりの席の床井くんの言葉や行動に戸惑いながら、独特に見えるその言動が人の心に寄り添ったものであると知って、次第に床井くんに対する考え方を変化させ、自分自身も成長して行くという物語です。
床井くんというキャラクターが日常生活で起こるいくつもの出来事に対して、独自の考え方を持って対応する姿から、読んでいて共感したり、これまでなかった考え方を発見するといった組立てで、以下のようなポイントから感想を述べることができます。
・主人公の暦が、床井くんに対して初めはどのように対してよいのか困惑していたのが、次第にその個性を受け止めるようになっていった過程を読み取って、自分が読み始めた時と、読み終えた時の床井くんに対する考え方がどのように変わったかを書くとよいでしょう。さらに、そこから「他者とのコミュニケーション」を深めるためには、相手を深く知ろうとする姿勢が大事である、とまとめることもできます。
・床井くんをはじめとした登場人物たちの言葉や行動から、自分にとって共感できるもの、新しい考え方であったものを挙げて、それをどのように感じたかを自分の体験と合わせて書くとよいでしょう。例えば、『スタバッタ』の章の「なにかを嫌いな人が、なにかを好きな人のことを悪く言うのは違うと思うし、なにかを好きな人が、なにかを好きな気持ちを人に押しつけるのも、違うと思う」という言葉(P.68の11行目から14行目)や、『写真うつり』の章の「自分が当事者になってみないと、わからないことってあるんだな。」という言葉(P.68の11行目から14行目)など、自分の心の中で響く言葉や行動を自由に選ぶとよいでしょう。
『わたしのあのこ あのこのわたし』岩瀬成子(PHP研究所)
5年生の二人の女子が、ほんの些細な出来事がきっかけで心が離れ離れになってから、互いへの理解を深め合い、友人関係を再構築して行くまでの過程が、読みやすく、丁寧な筆致で描かれています。著者・岩瀬成子の作品はこれまでも『となりのこども』が桜蔭中、洗足学園中(いずれも2006年度)などで、『アスパラ』(短編集『くもりときどき晴れる』所収)が駒場東邦中(2015年度)などで出題されるなど、多くの学校で出題対象となっています。
207ページ 1.9cm
関東学院中(2022年度)
秋とモッチという5年生の女子二人の友人関係が、ある出来事がきっかけで壊れかけてから、二人がお互いに相手の立場、本当の気持ちを少しずつ理解する時間を重ねて、ゆっくりと元に戻って行くまでの様子が描かれた物語です。
「ほんの些細な出来事」で友人関係が壊れかけ、それが修復して行くといった過程を体験したことがあればその体験に基づいて、体験がない場合でも、友人関係が移ろいやすいことを知って、自分の友人関係を振り返る、といった内容について、以下のポイントに触れながらまとめると感想文が書きやすくなります。
・秋とモッチの関係が戻るきっかけになる出来事がいくつかありますので、そこから自分の体験と合わせて友人関係への考え方を書くことができます。例えば、秋がモッチのことを『しっぽ』と呼ぶ同級生たちに注意する場面(P.177の11行目からP.181の9行目)から、関係を修復するためには相手を思って行動することが必要になる、などの観点からまとめてもよいでしょう。
・また、登場人物たちの言葉から、感じるところを自分の体験に合わせて書くこともできます。例えば、秋の父親の道夫くんが秋に伝えた言葉「どっちもどっち、って思えるのが友だちだと思うよ。(中略)弱い人間ほど優位に立ちたがるものなんだよ」(P.68の1行目から3行目)や、「人の心は一色じゃないからね。あの人はこうだ、といえるほどだれかの心を知ることはできないだろう」(P.195の9行目から11行目)などの言葉から、共感できるもの、新たな発見となったものを選んで、第三者の言葉が新たなものの見方、考え方を教えてくれる、とまとめることができます。
・最終的に、自分の気持ちを相手に伝えること、相手の立場になって考えることが大事であると気づいた、とするとまとめやすくなります。
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