偏差値だけではない!志望校選びの為に知っておいてもらいたいこと

志望校決定の最大の要素が偏差値であることはゆるぎないところでありますが、ここでは、そうした客観データ以外での周辺情報、お子さんやご家庭の、主観的判断の材料となる情報の入手の仕方などについてご紹介致します。

【鶏口牛後の牛後となることに、ためらいは不要】
“鶏口となるも牛後となるなかれ”とは、ご承知の通り、「大きな集団で人のしりについているよりも、小さな仲間でも、その頭となったほうがよい」といった趣旨で使われます。この言葉が中学受験で用いられる際には「偏差値の高いチャレンジ校にギリギリで合格しても、その学校の授業について行けなくなるだけ。それよりは相応校に入って、そこでトップを目指す方が得策である」といった意味合いが強くなります。確かにその考えも否定できるものではなく、特に、相応校でもそこでトップクラスにいるための日々の鍛錬を継続することは、大学受験に臨む“勉強での体力”を自然に鍛えることにつながります。

ただし、あと一歩の頑張りでチャレンジから相応校へと偏差値が上がる余地が見えている場合、例えば理科社会の知識面が補充されれば、全体偏差値が向上するような場合、そこでお子さんが「どうしてもチャレンジしてあの学校に入りたい!」と強く心に決めている場合には、例え入学する際の順位で上位にまで食い込むことができなくても、あえてチャレンジするべきと考えます。「お子さんの意欲」がこの時期からは結果に大きく影響します。「どうしても入りたい」という強い意志が、お子さんの背中を強く押すきっかけになります。また、なによりも「ギリギリ」という状況が誤解されているケースが多くあります。はたして本当に「ギリギリ」なのか。具体的に数字を示してご説明します。

下記は、ある中堅上位中学の近年の合格判定です。
・配点(満点):国語 100、算数 100、社会 50、理科 50
・合格者平均点:国語 76.4、算数 69.7、社会 39.1、理科 37.5
・合格者最低点:198点

以下の方法で傾斜計算を試みます。
合格者最低点÷3→国語・算数の最低点=66点
66÷2→社会・理科の最低点=33点
各科ごとの合格者平均点と最低点の差
→国語 10.4、算数 3.7、社会 6.1、理科 4.5

この結果をご覧になると、国語で10点の差こそありますが、それ以外は5点を前後する水準であることが分かります。つまり、合格者最低点ギリギリで合格したとしても、合格者平均とは、「各科につき5点、わずかに小問1問の違い」と見ることが出来ます。つまり、平均とほんの紙一重の差に過ぎないのです。 多くの場で言われております通り、いくらトップレベルの成績で入学しても、そこからの学校の勉強をおろそかにしていれば、アッという間に成績は大きくダウンします。一方で入試の点数は基準ギリギリでも、そこからしっかりと学校の勉強を積み重ねれば、校内でもトップレベルにまで上り詰めることが十分可能なのです。中学には英語があります。そのスタートは横一線です。また、中学数学の理解に受験算数の知識が大きく影響することは否定できませんが、全く異なるフィールドとなることも事実です。私立の学校によっては、数学の定期テストにおいて、方程式文章題の解法に、算数の特殊算の使用を禁止しているところもあるくらいです。学校側も、小学校での高いレベルに胡坐をかいて、努力をしない生徒よりも、入学してから鍛錬を積むことに積極的な生徒を求めています。何点で合格しようとも立派な合格であることに変わりはありません。どうか、胸を張って「牛後となること」を選ばれて下さい。

【駅からの距離は遠いことにも利点があります】
学校選定のひとつの要素として、「通学時間・距離」を重視されることがあります。たしかに6年間通うにあたり、毎日の通学時間が長すぎることは体力的にも消耗が大きくなります。ただし、駅からの距離が遠いことにも利点があります。住む場所に関係なく、学校と駅の間は、みんな同じ道を歩きます。授業やクラブ活動で忙しい私学生にとっては、登下校の道のりが、友人達との会話などの時間を確保し、かけがえのない思い出をつくる時間となる場合もあります。学校から離れてもなお、分かち合える友達とのコミュニケーションの時間は、お子さんの心を育てる大切な時間とも言えます。お子さんが学校を卒業して何年か経って、母校の通学路に降り立たれた時に、思い出がふつふつと沸いて来る瞬間を味わえることは、換えがたい幸せではないでしょうか。駅から学校が遠くても、決してマイナスポイントではありません。

【足でかせいで情報収集】
文化祭・体育祭などは、学校が外部の方を招くことで、一種独特の雰囲気になります。言わば学校が「化粧」をする状態になります。その魅力を確認することも、もちろん重要ですが、一方で学校の「素顔」を見ることも重要です。特に在校生達の普段の様子を見ることは、より学校のイメージを固める大きな要素になります。では、どこでその「素顔」見ることが出来るか。ひとつ、おすすめしたい方法は、「在校生が下校する時間帯に、その中に入ってみる」ことです。小学校が早めに終わった日などにお子さんと、志望校・最寄り駅の間の道に立ってみて下さい。下校時間になって多くの在校生達がゾロゾロと駅に向かいます。そこは先述の通り、彼らの学校を離れた「素のコミュニケーションの場」になります。在校生が常に学校で窮屈な思いをしていることはありませんが、学校を離れた場でしか見せない表情をご覧になることで、その学校の持つ特色を、より明確にとらえることが出来ます。少し時間のかかる方法ではありますが、臨場感は他にないものであり、また交通費以外に一切費用がかかりません。まさに足でかせぐ情報です。

【情報ツールを有効に活用】
これまではお子さん、お父様、お母様がご自身で動かれることで得られる情報について述べて参りましたが、限られた時間のなか、それで全てを満たすことは難しいと言えます。そこで、『中学受験案内』などのガイド以外で、より深く学校の事情に踏み込んだ書籍を以下にご紹介いたします。ぜひ参考にして下さい。

○『中学受験図鑑2008 森上展安が注目する全国500校』(ダイヤモンド社 1900円+税) 森上教育研究所・所長の森上先生の著された、ガイドの定番とも言える本書では、本年度入試結果の分析・来年度人気校の予想が説明された後に、全国主要校について、「1年生出身地」「創立」「併設高校の大学合格状況」「学校の事情」「教育内容」「父母OBの評判」「森上先生の視点」「大学合格状況詳細」と、細かく分かりやすく各校が紹介されています。とても読みやすい構成になっていて、この一冊を『中学受験案内』などの偏差値表と照らし合わせれば、学校の状況がクッキリと際立って来ます。

○『入りやすくてお得な学校(首都圏)』(ダイヤモンド社 1800円+税) 上記と同様に森上先生が中学受験父母の会との共著で刊行されています。内容としては、題名にもあるように、学校案内を全網羅するのではなく、各学校の独自の特徴により深く切り込んだものとなっています。ひとつの特徴として、学校ごとに小さな挿絵とコメントがつけられています。例えば、芝中「親父も太鼓判、居心地最高」サレジオ学院「寛容の精神が印象深い」普連土学園「家族ぐるみでみんなフレンドリー」などのコメントが、ユニークな挿絵と共に載せられていて、とても印象に残ります。もちろんデータも、より細かく紹介されていて、まさに様々な盲点に気づかされるものとなっています。

志望校選びは本人にとっても、その重要さを感じて不安になることが多いと思います。その不安を少しでも取り除くには、より有効な情報を多く入手されるほかございません。しっかりと分析をしたうえで進まれる学校でしたら、きっと素晴らしい思い出を積み重ねられます。どこへ行っても、そこからが本当の勝負です。より多くの選択肢を揃えて、納得のゆく選定をして下さい。

そして、志望校が決まったら、志望校対策です。中学受験鉄人会では、毎年6年生の最後の総仕上げ、志望校対策に力を入れています。志望校対策は、ぜに中学受験鉄人会の中学受験専門プロ家庭教師にお任せください!

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