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今週、来週の二回に分けまして、日能研の5年生の生徒さんへ、この時期だからこその必勝アドバイスをお送り致します。もちろん、他の塾に通われている5年生の生徒さんにとっても、有効なアドバイスですので、ぜひご活用下さい。
まず今回の『第1章』では算数の「速さ」について取り上げます。現在、日能研の本科では『第31回 速さの三公式』が終わり、これから「進行グラフ・旅人算・時計算・通過算・図形上の点の移動」と、“速さ”が怒涛のラッシュで押し寄せて来ます。多くの生徒さんにとってこの“速さ”は、決して取り組みやすい単元ではなく、むしろ「うわっ!速さ…」と、一歩引いてしまわれる方々もいらっしゃるかと思われます。これまでも「食塩水」などの単元で「文章題」は出て来ましたが、この「速さ」が文章題の中でも特に生徒さんにこれほどまでの苦手意識を植え付けさせてしまうポイントは何なのでしょう。
第一に『イメージの難しさ』が、まず挙げられます。 そして『単位換算』も他単元とは違った難しさがあります。日能研テキストの流れとは異なりますが、ます今回は『イメージの掴み方』についてご説明し、『単位換算攻略法』については、また次回に触れることと致します。
「速さ」では「時間が変わり」「方向が移り変わり」そして「人数が複数登場」します。例えば「和差算」でも人数は複数現れて、お金のやりとりなどをします。ただし、「時間」の概念は不要ですので(手順はあっても)、線分図で勝負することが出来ます。手順を踏む、という意味では「食塩水の混ぜ合わせ」でも複雑な手順が続くことがあります。ただしここでも、順を追ってビーカー図などにすることは、決して難しいことではありません。食塩水では「面積図」という強力な武器も活用できます。ところが、「速さ」では、ここに「方向」も入って来て、時間のバリエーションも増大するのです。例えば「折り返す」や「途中で止まる」など。その動き全てをひとつの図にすることは至難です。例えば日能研・本科教室の『ステージⅣ 5年本科教室』のp.272、「学びのひろばのまとめ」の第二問は、「A地点から5km離れたB地点まで上り坂、B地点から6km離れたC地点まで下り坂になっている道がある。ある人が自転車でA地点を9時に出発し、B地点に9時30分に着き、そこで10分休憩して、10時にはC地点に着く」となり、問題では「9時45分にこの人はA地点から何kmの地点にいるか」を問われています。詳しい解法は割愛しますが、この問題を解くにあたっては一本の線の図ではかえって複雑になり過ぎます。全く別の「図・グラフ」が必要になります。より分かりやすく、早く解くポイントは「時間と道のりの関係を表すグラフ」を書くことです。本科教室には、書き込み用のグラフ座標がありますが、実際に自力でグラフを書く場合には縦軸に道のり、横軸に時間を示して座標を作ります。ここに「ある人」の動きを線で書き込んで行くかたちです。何時に0地点を出て、何時にどの座標に行き着くかを確認した上で、その点を線へと変換し、動きを直線として表します。最初は時間のかかる作業ですが、まずはこのグラフの書き方を確実に覚えて下さい。この「グラフ」が書ければ、解法の世界はがらりと変わります。数学で言う「関数」の考え方になりますが、複雑な解説ではなく、「何時にどこをスタートして、何時にどこにゴールした」といった、単純なつながりで把握することが重要です。
「速さ」という敵を倒すには、こうしたこれまでとは違ったアイテムが必要になります。これまで書かなかったような「図」や「グラフ」の導入が不可欠になります。そうしたアイテムを通すことで、「動きのイメージ」は固めやすくなってきます。
また、問題の題材となる、電車が陸橋を通過したり、家から公園を通過して駅まで止まったり走ったりといった状況は、食塩水を混ぜたり、お金をやり取りすることとは比べられないほどのダイナミズムが含まれます。その状況をイメージして、「図」や「グラフ」にする際には、どうしても難度が上がります。ただし、パターンで習得出来るものであることには変わりありません。「習うより慣れろ」ではなく「習い、そして慣れる」の境地で臨んで、一旦習得すれば、様々なバリエーションにも柔軟に対応することが出来ます。まずは最初ゆっくりでも、確実に図を書いてみましょう。その際、先ほど触れた「イメージ」をより鮮明にするために、「時計算」であれば、実際に時計の針を動かして、針の動きを実感すること、「通過算」であれば、プラレールや、消しゴムでも構いませんので、動きを再現してみること、などを実践されて下さい。また、流水算であれば、川に行った時にボンヤリ流れを見ているだけでも違いますし、テレビで「渓流くだり」などの映像が流されていれば、それを見るだけでも「イメージ」の助けになります。「イメージ」が難しく、かつ不可欠な単元では、「理科の実験」の感覚で臨むことも有効です。
日能研のテキストでは、本科教室の「オプション活用(オプカツ)」で、さらに難度の上がった問題が出てきます。もちろん、そこまで理解できるのに越したことはありません。ただし、算数の中でも強力な難敵のひとつである「速さ」に立ち向かうには、焦りは禁物です。まずは、第31から35回については「学びのひろばのまとめ」を確実に理解して、「単位換算」「公式暗記」「グラフの書き方」を把握することに集中し、それが固まったことを確かめたうえで、「オプカツ」に進んで下さい。他の単元で「オプカツ」まで進む生徒さんでも、少しでもこの単元を難しく感じたら、まずは「ひろばのまとめ」をしっかり押さえるようにしましょう。場合によって「オプカツ」は、カリテの難問と併せて、冬休みに改めて取り組むかたちでも、その後のダッシュにつながります。焦らず、地道に足場を固めて行きましょう。身近なものを活用してイメージ喚起→速さならではの図・グラフに慣れる、といった流れは速さに限らず他単元の文章題でも不可欠な要素です。ぜひご活用下さい。
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