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新6年生の生徒さんはいよいよあと1年です!そこで今回は、家庭教師の現場から見た、「あと1年!今、すべきこと、考えるべきこと」をいくつか挙げることといたします。
年が明けて、受験当日まで1ヶ月近くになりますと、各校の志望校対策を進める中で、細かな単元を優先して詰める段階になります。例えば、国語の語句や、社会の時事問題や暗記事項など。こうした単元が「直前演習」として重視されるのは、直前まで対策することで得点のアップに直結するメリットがあるからです。国語の読解や算数の文章題などが、長い時間をかけて演習を積み重ねることで、少しずつ成果が上がる単元であるのに対し、細かな内容の単元は、覚えたものをそのままテストにぶつける、といった、インプット→アウトプットを短時間で実行できるため、おのずと直前対策に適してきます。
ただし、留意すべきは、こうした単元が「直前まで置いておいてよい単元ではない」ということです。語句や暗記ものは直前対策が効くから、スタートも急がなくてよい、ということは全く当てはまりません。
例えば、毎年独特の語句問題を出す攻玉社中の問題を見てみましょう。平成19年度第2回の大問3は、季語を各季節に識別する問題でしたが、その内容は「熊手・灯籠(とうろう)・幟(のぼり)・甘茶を春夏秋冬に分けよ」といった設問です。情報量に長けた四谷大塚の『四科のまとめ』にも現れない語ばかりです。中学受験のテキストだけを繰り返しても解けない問題が出題される、ということになります。また、同校の漢字は、中学で学習する範囲から出題されますし、社会では、「陸奥、播磨、但馬・・・」といった旧国名を現県名と対照させ、かつ旧国名を「漢字で表記」させる問題も出されます。時事問題では、平成19年度の法政大、学習院女子で、「ゼロ金利」を答えさせる問題も現れました。時事問題のテキストでもかなりの細かい内容まで詰める必要が出てきます。このように、例えば麻布、海城や、鴎友女子、光塩女子といった時事と関連した総合問題の難問が出されることの明らかな学校については、対策を早期から十分に練ることが周知となっていますが、それ以外の学校でも「時事」に関しては細かな内容まで、確実に情報を理解できていることを求められているのです。
そうした内容について、「直前の詰め込みで大丈夫」と、後回しにしておくと、直前期になって「旧国名70個をすべて覚えなくてはいけない・・・しかも時事問題も総まとめしなくては」と、混乱してしまいます。一見細かな暗記事項に思える単元でも、早期からの対策がとても有効です。
では、早期と言ってもいつから始めるべきなのか。たとえば時事問題は、これから起こる事件が題材となるだけに、総括的な対応は今からは出来ません。語句問題は学校によって、出題内容の細かさが千差万別ですので、すでに志望校が決定している場合は除くと、まだ通常の語句演習以外に個別対応を急ぐ必要はありません。
そこで、時系列的に対策の積み重ねを並べます。
まず必要なことは、「1年後を見越した習慣づけ」です。各学校の過去問題集の巻頭にあります『傾向と対策』、あるいは塾から配布されます『学校別対策』を見ますと、そのほとんどが「普段から、新聞やニュースなどで、世の中の動きに目を配っておきましょう」といった文言で終わっています。当たり前のようなことですが、その通りで、この文言に勝る対策はないとも言えます。ただ、その時間を日常的に、かつ意識をもって持つことが出来るかというと難しいところがあります。塾が終わって帰ってきてから「ゆっくり」ニュースを見る時間を確保するのは実質困難です。打開する方法としては、「ニュースの読み合わせ」があります。週に1回でも2回でも構いません。お子さんと10分間、ニュースについて話し合う時間を設けて下さい。「『ねじれ国会』って言ってるけど、何がねじれてるんだろうね」といった平易な呼びかけで構いません。そうした会話の中から知識は固まっていくものです。積極的にニュースを見る時間を設けなくても、ニュースに触れることが出来ます。そうした積み重ねをしておけば、「直前」には、時事問題テキストを「確認作業」として活用するだけですむようになります。直前にテキストを見て、「こんなニュース、初めて見た・・・」といった事態を避けるためにも、ニュースを題材にした会話を大事にして下さい。
語句問題でも同じことが言えます。お子さんは見れなくても、お母様、お父様は極力、ニュースをご覧になって下さい。特にNHKのニュースでは「風物詩」を頻繁に取り上げます。例えば11月の酉の市で「熊手」が出てきた場合には、それをお子さんに「熊手って知ってる?」といったかたちで伝えるのです。最初はお子さんの反応は薄いかもしれません。それでもお子さんがどこかでその「熊手」といった言葉に触れられた時に、「そういえばお母さんが言ってたな・・・」といったかたちで再現されることがあります。その積み重ねがゆるぎない知識の集積につながります。お子さんへの意識づけは最初こそ不毛に感じられることが多くあるかもしれません。しかし、それでも変化は訪れます。その変化を起こせるのは、常に身近にいらっしゃるご家族です。
受験が終わると「入試報告会」というかたちで、各塾で説明会が開催されます。多くの情報を収集し、特徴的な問題の紹介などを含め、本年度の傾向をまとめた内容になりますので、ぜひ参加しましょう。さらに5月頃からは学校主催の説明会もスタートします。この説明会への参加が、その後の学校別対策を進めるうえでの大きなポイントになります。例えば先の攻玉社の「季語が出題される可能性が高いこと、漢字が中学範囲であること、旧国名の漢字表記が必要なこと」などは、説明会で発表されたものです。また、芝中でも「社会の解答は漢字指定」であることや、同校社会の特徴である記述問題についても「リード文の主旨と異なる場合には×」などの細かな説明までがなされます。そうした指示はメモを取られるだけでなく、ぜひ、ノートに整理したり、パソコンで打ち直すなどの「清書」をし、データをいつでも取り出せるようにしておくことをお薦めします。説明会に参加して、ただメモを取るだけでは、確実にお子さんにその内容を伝えることはできません。参加する説明会の数はどんどん増えてきますので、今のうちに情報を確実にまとめる方法や形式などを決めておくといいでしょう。
そして、志望校の説明会に参加した場合、その場で具体的な指示を受けたら、その時点から早めに対策をスタートして下さい。特に語句問題は、問題集の選定に時間を要しますし、他の学校で同様の問題が出題されているかどうかなどの調査も必要になります。
今の段階では、こうした「説明会」のスケジュールを確実に把握できるように準備をしておきましょう。通える範囲の学校のホームページをブックマークしておいて、こまめにチェックしたり、「進学レーダー」(みくに出版)などの受験情報誌を購読して常に最新のニュースが手に入るようにしておきましょう。
直前対策で固める内容の多くは、配点自体は少ないことが多いです。しかし、それでもそうした『小さな得点』の積み重ねが、マラソンで言う集団グループから一歩抜け出す大きな『力』になります。問題が学校独特のものであればあるほど、他のお子さんも確実に対策を講じてきます。少ない配点を決してあなどることなく、長期的な視野に立って対策を進めて下さい。
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