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春休みに入りました。まとまった時間を利用して、これまで手が回らなかった分野や、苦手分野の復習など、じっくり勉強されていることかと思います。 しかし、苦手分野を学習する場合、なかなか思うように問題が解けないことが多いのではないでしょうか。たとえば、国語が苦手な場合、「問題をどのように考えればいいのかわからない」「人物の気持ちなんて、答えはひとつではないはずだ」とお悩みの方も多いのではないかと思います。国語の問題は、なんとなく読んで、なんとなく解いていても、0点にはなりません。ですから、「どこがわからないのかわからない」のが国語の特徴です。
しかし、国語の問題であっても、人間が作った問題である以上、そこには「解き方」が存在します。そして、「解き方」をマスターすれば、成績は必ず上昇するのです。
そこで今回は、国語の問題の「解き方」を、実際に文章を引用しながらご説明したいと思います。
気持ちを考える場合、場面と言動をしっかりと読み取れれば正解できます。「場面」とは、「いつ、だれが、どこで、どうした」という物語の基本的な情報です。「言動」とは、せりふ(心のなかで言ったことも含む)や行動、表情のことです。この「場面」と「言動」をあわせて考えることで、人物の気持ちを客観的に読み取ることができます。
たとえば、「泣く」ということから、すぐに「悲しい気持ち」と答えてしまってはいけません。「中学に合格した+泣く」だったらどんな気持ちになりますか。うれしい気持ちですね。このように、「場面」を読み取らなければ、それが「うれし涙」なのか「くやし涙」なのか、それとも単純に悲しくて泣いているのかわからないのです。
では、この公式を使って、実際の問題を解いてみましょう。
次の文章は、有島武郎「一房の葡萄」の一場面です。「僕」は、ジムの持っている絵具がどうしても欲しくなって、誰もいない昼休みに、絵具をこっそり盗んでしまいます。そのことが級友にばれて、問いただされる場面です。
「君はジムの絵具を持っているだろう。ここに出したまえ。」 そういってその生徒は僕の前に大きくひろげた手をつき出しました。そういわれると僕はかえって心が落着いて、「そんなもの、僕持ってやしない。」と、ついでたらめをいってしまいました。そうすると三、四人の友達と一緒に僕のそばに来ていたジムが、「僕は昼休みの前にちゃんと絵具箱を調べておいたんだよ。一つもなくなってはいなかったんだよ。そして昼休みが済んだら二つなくなっていたんだよ。そして休みの時間に教場にいたのは君だけじゃないか。」と少し言葉を震わしながら言いかえしました。
僕はもう駄目だと思うと、急に頭の中に血が流れこんで来て、顔が真っ赤になったようでした。すると誰だったか、そこに立っていた一人がいきなり僕のポッケットに手をさし込もうとしました。僕は一生懸命にそうはさせまいとしましたけれども、多勢に無勢でとてもかないません。僕のポッケットの中からは、見る見るマーブル球(今のビー球のことです)や鉛のメンコなどと一緒に、二つの絵具のかたまりがつかみ出されてしまいました。「それ見ろ」といわんばかりの顔をして、子供達は憎らしそうに僕の顔をにらみつけました。僕の体はひとりでにぶるぶる震えて、眼の前が真っ暗になるようでした。いいお天気なのに、みんな休み時間を面白そうに遊びまわっているのに、僕だけは本当に心からしおれてしまいました。あんなことをなぜしてしまったんだろう。取りかえしのつかないことになってしまった。もう僕は駄目だ。そんなに思うと、弱虫だった僕はさびしく悲しくなってきて、しくしくと泣き出してしまいました。
「眼の前が真っ暗になるようでした」とありますが、このときの「僕」の気持ちを説明しなさい。
さて、みなさんなら、この問題をどのように解きますか?
自分を主人公に置き換えて、「自分だったら、こんなふうににらめつけられると、腹が立つなあ」とか、「お母さんに怒られるのが怖い」とか、考える人もいるかもしれません。しかし、それでは完全な正解にはなりません。
「自分を主人公に置き換える」という解き方では、正解になることもありますが、不正解になることも多いのです。なぜなら、国語の問題は「この文章からは、どのような気持ちだと読み取れますか」という問題であり、「あなたならどんな気持ちになりますか」という問題ではないからです。
では、公式を使ってみます。
盗んだことがばれた場面です。「もう駄目だ」と思って体が震えているのですから、罪悪感に責められ、「取りかえしがつかない」と絶望的な気持ちになっていることがうかがえます。このように、「場面」や「言動」から、気持ちを客観的に推測するようにすると、正解率は飛躍的に向上します。
(例)ジムの絵具を盗んだことをみんなに知られ、取りかえしのつかないことになったと思い絶望している。
中学入試でも「気持ち」を問う問題は、たいへんよく出題されます。中学校側の“他人の気持ちを理解できる生徒に入学して欲しい”という意図が反映されているのかもしれません。
ここでご紹介した「気持ちの公式」は、問題を解く上で非常に有効ですが、使いこなすにはやはり生徒さんが自分自身で考える必要があります。人の気持ちが、完全に機械的な作業で、わかるようになるわけではありません。
ですから、他人の気持ちについて関心をもち、想像力を働かせる訓練を怠らないようにしてください。そのような訓練として、この春休みにぜひご家庭で、人物の気持ちについて考える機会をお持ちになることをお勧めします。映画やドラマでもかまいませんから、話し合いの時間が持てると非常に有効であると思います。
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