地理の苦手意識をなくす「きっかけ」作り

社会の中で「歴史・公民」と比べて「地理」を特に苦手とされている生徒さんが多くいらっしゃいます。その違いの原因として、例えば歴史であれば、戦国武将への憧れや、大河ドラマなどの歴史ドラマなどで見た人物への思い入れがあり、また公民であれば裁判や政治に関する報道やドラマを目にすることにより、イメージを、特に「そこにいる人間(ドラマ)へのイメージ」を持ちやすいという点があるかと思われます。その点、地理はそうした「人物中心の動 き」がないために「ただ細かい地名を暗記しなければいけない」という、ともすればネガティブなイメージを強く持つ生徒さんが多くいらっしゃるのかもしれません。

もちろん地理の細かさは否定できず、「キャベツの生産高が1位の県は…」 といった地域の特徴を把握する作業は幾分か「無機質」な印象すらあるとも言 えます。単純にそうした事例を暗記するだけの作業は、生徒さんにとっても負 担は大きいかと思われます。では、そうした状況をガラリと変えて、地理を好きにできる方法はないのでしょうか。

実は今回執筆を担当しております私は、大学受験の社会で「地理」を選択し、 周りからは完全なマイナー扱いを受けておりました。私自身も地理は決して好 きではなく、先に書きましたような「細かく」「無機質な」イメージを強く持っておりました。そんな私がなぜ大学受験で地理を選択することになったのか。きっかけはある予備校講師の講義でした。

その講師は地理の授業の導入に『ゴルゴ13』を用いたのです。ご存知の通り、ゴルゴ13(デューク東郷?)は「世界を股にかける狙撃手」です。しかも標的は各地の要人。となれば、舞台は世界各地に渡り、その舞台設定、事実関係は綿密に調査されたものとなる必要があります。作者の「さいとうたかを」の事務所は、さながら図書館の如くに世界各地の情報が保存され、また、実際の執筆は完全分業体制で行われているとも聞きます。つまり、『ゴルゴ13』に現れる舞台は、いずれも十分に調査されたうえで描かれたもので、その中での人物の動きを追うことにより、世界地理(世界情勢)の学習について、自然ときっかけをつかめることが出来るものであったのです。

予備校の授業では、まず『ゴルゴ13』の具体的な話が紹介され、そこで扱われる地域特徴と地理的意味について講義が始まります。例えば『チチカカ湖はどしゃぶり』という話では、ボリビアの世界最標高に位置する湖であるチチカカ湖を取り上げ、周辺事情や、湖の地理的成り立ちなどについて講義が展開されるのです。

もちろん大学受験の講義ですから、あくまで『ゴルゴ13』は「導入」で講義の大半は「チチカカ湖」について、になるのですが、聴いている私達生徒の意識は、すっかりゴルゴ13の視線となり、チチカカ湖をあらゆる角度から考察するようになっていました。その講義内容で感じる密度は、それまでのひたすら暗記の繰り返しであった時間とは雲泥の差であったことは言うまでもありません。

小学生の生徒さん達に『ゴルゴ13』をご紹介することは出来ません。また、地理の学習において「細かい暗記」は避けて通ることは出来ません。それでも、何か「きっかけ」となることを「導入」にすることで、その後の無機質な暗記が、色彩豊かなものに変わる可能性はあります。そのきっかけによっては、地理が少しでも好きになることもあります。

今回は、そのきっかけとなり得そうないくつかの「情報ツール」をご紹介します。

【書籍】

『脳を鍛える地図ドリル』成美堂出版 定価900円+税

様々なテーマについて、都道府県を書き込み式で答える内容になっています。 内容は大人向けですので、「日本の経済人」というテーマでは「松下幸之助」 や「盛田昭夫」「渡邉恒雄」の出身県を答える、といった中学受験の知識を越えたものが多くあります。

ただし、人物で言うと『NANA』の作者や、アイドルグループNEWSのリーダー、「ここにしかない花」「桜」で知られる男性二人組のアーティストの出身県は?といった、小学生の生徒さんにも身近な人物が取り上げられています。それぞれ答えは「矢沢あい→兵庫県」「山下智久→千葉県」「コブクロ→宮崎県」となります。雑学ではありますが、そうした情報を貯えることで、「ピーマンの出荷1位…コブクロふたりはピーマンが嫌い(仮定です)…→宮崎!」と、あくまで一例ですが暗記にも楽しみが出ることがありま す。同書の情報量は豊富ですので、様々な活用方法を試すことが出来ます。

【テレビ】

(1)『一攫千金!日本ルー列島』
フジテレビ 毎週金曜 21:55〜22:55

ある都道府県が何かで日本一であることや、珍しい物や風習などを紹介し、それがどの都道府県であるかをゲスト解答者が予想する、といったバラエティ型のクイズ番組です。番組の性質上、司会の島田紳助やゲスト解答者の対話に行き過ぎの感があることは否めませんが、扱っている題材、さらには解答に至るまでの情報の整理は、地理問題に限りなく近いものがあります。予想の題材となる映像の中に山脈や河川が登場したり、りんごの出荷高で上位を占める県はどこか、などの特産品から地域名の推測が求められるなど、生徒さんが「地理」の授業で学習しているような内容が意外にも多く含められています。また、フジテレビの強さであるバラエティ色が全面に出ているため、「気楽に見ながら自然と地理に触れられる」といったメリットがあります。

(2)『ニッポン縦断おかず発見!ルート88』
日本テレビ 毎週日曜 12:45〜13:25

「炊きたてごはんに合うおかず」を求めて、進行役の山口智充(ぐっさん)とベッキーが九州に始まりまさに日本列島を縦断する旅番組です。各地で出会った人々に声をかけて、自宅で郷土料理を振舞ってもらう、という定番の演出ですが、そこで紹介される料理が、まさに地元ならではの調理法であること、おかずに行き着くまでに地元の人々と交わす言葉・街中の景色から、地域の特徴が自然と伝わって来ること、などが特徴的です。例えば四国・愛媛では、「鯛めし」や「ミカンそば」などが紹介され、特産品がイメージで定着できるようになっています。進行役二人の嫌味のないキャラクターも相まって、安心して気楽に見られる良質の番組になっています。画面に映し出される何気ない景色や人々の姿を印象づけることが、地理を学習するうえでの大きな要素ともなります。

テレビ番組はいずれも生徒さんがリアルタイムで見られるものではない、と思われます。ぜひ録画されて、まずはお父様・お母様からご覧になられることをお薦めします。

【インターネット】

ここでは、私共「中学受験鉄人会」のHPから、ひとつのコラムをご紹介します。「中学受験!パパとママの勉強部屋」をクリックしてみますと、右端に「プロ家庭教師による成績アップノウハウ」という欄があります。その中に当会スーパープロの藤木講師が執筆された『地図でたどる日本の旅』というコーナーがあります。 構成としては、対象となる県を旅する視線でたどって行き、地名や地域の特徴 的な事物について穴埋め式で答えて行く、といったものになっています。 例えば第1回の「福岡県・大分県」から内容を一部抜粋しますと… 「福岡市を中心に周囲を見渡してみましょう。福岡は(1)とも呼ばれ、(1) 織・(1)人形といった伝統芸能品の産地でもあり、新大阪から出ている(2) 新幹線の終点でもあります。毎年5月には(3)という祭りも行われます。」 冒頭の一部でしたが、単純に福岡の特産品は何、といった機械的な暗記ではな く、「旅の視点」という要素が大きな意味を持っています。特に(2)にあり ますように、新幹線や、また別の部分では高速道路が出て来ます。一見細かいように見えるこうした鉄道網などの要素ですが、この存在が実際に解き進める 際の「臨場感」を高める大きな要素となっています。ぜひ一度、お父様・お母様もお試しになってみて下さい。 なお、上記の問題の解答は、(1)→(博多)、(2)→(山陽)、(3)→ (どんたく)となります。

これまでご紹介して参りました情報ツールですが、先に触れました通り、あくまで「導入」であります。それから先にはもちろん細かな暗記が待っています。それでもこうしたツールを活用することで、「地理は細かくて面倒なだけ !」という壁を取り払うきっかけがつかめることがあり、暗記のスピードと正確さが変わってくることがあります。

生徒さん達は計り知れない能力を持っています。その能力を引き出すための 「きっかけ」をどれだけ手に入れるかが、大きなステップの礎ともなります。

地理は決してつまらないものではありません。ぜひ様々な情報ツールからいくつかの「鍵」を手に入れて、地理の扉を開いてみて下さい。

社会は努力した分、得点に直結する科目です。しかし、算数、国語に重点を置かなければなりませんので、限られた時間で効率よく勉強しなければなりません。地理に限らず、社会の得点が伸びない、勉強の仕方がわからない、などの不安がございましたら、いつでも中学受験専門のプロ家庭教師にお任せください!必ず力になります!

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