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今回は、国語の対策に極めて有効な書籍をご紹介します。
最近の中学入試国語について、小学校6年生に読めるのだろうかと思わせるような文章が出され、記述問題では小論文にも通じるような記述力を求められるなど、そのレベルの高さはすでにお父様・お母様が実感されていることと思われます。
確かに中学入試国語の問題を、中学生や高校生に出してみてもどこまで正答できるかが分からないほどに、そのレベルは極めて高いと言えます。それでは対策の余地はないのかとなりますと、これまでこのメルマガでも何度もご紹介してきましたように、国語には確かな解法があります。国語の問題は読書の問題ではなく、必ず答えがあるものですから、その答えを導く方法を身につければ、しっかりと問題を解けることになります。
そこで解法ですが、例えば文章中に線を引く、先に問題を読む、制限時間を設定して時間配分を身につける・・・など、様々なテクニックがあり、そのどれもが有効であります。ただし、そうしたテクニックを身につけることばかりに目を向けすぎてしまうと、大事なポイントを見逃すことがあります。「生徒さんがどれだけ文章内容を理解しているか」という根本の部分です。小学校5、6年生の生徒さんの中には、読書が大好きな生徒さんもいるでしょう。そうした生徒さんでも読んだことのない文章が多く出題されるのが入試国語です。また、小学生までの時期ではできる経験も限られます。大人の視点であれば納得できる文章でも、生徒さんにとっては、何のことやら・・・と頭を悩ますことが多くあります。中学入試国語の文章は、ただ漠然と読んでいては決して理解できないものなのです。
そうした文章内容を確実に理解する、「読む力」を養成したい。けれども適切な参考書が見つからない。そうした際のために一冊の強力な武器となる書籍をご紹介します。『中学受験 必ず出てくる国語のテーマ』小泉浩明先生著(ダイヤモンド社、1900円+税)が今回ご紹介する書籍になります。
本書の主旨は「中学入試の文章に共通して良く出るテーマについて、それをまず覚えること、そうすれば文章を速く、深く理解することができる」といったことにあります。テーマというのは、例えば「友人と友情」「文化・習慣」「父母子」「言語・コミュニケーション」など、文章が取り上げている内容を指します。
本書では、こうしたテーマについて、それぞれの内容をしっかりと理解することで読解問題を解くうえでの様々な効果が生まれることが説明されています。
例えば「読む速度」については、生徒さんの多くが課題とされていると思われます。テストでどうしても時間内に終わらない、焦る一方で答えが雑になってしまう・・・といったケースはとても多く見受けられます。「読む速度」を上げるために、ついテクニックとして制限時間を設けてテスト形式で解いてみる、といった手法を選ぶことが多くあります。もちろんその手法に意味がないことはありませんが、文章内容が分からないうえに時間を切られてしまっては、生徒さんとしては暗中模索の状態になり、結果として読み方が雑になるだけとなってしまいます。
そこで「テーマ」の重要性を認識することが必要となります。
具体的にはどういうことでしょうか。
テーマが頭にあることで、文章の方向を予想しながら読むことができます。「文明・進歩」がテーマであれば、これまでのテーマ学習から「否定的な見方が述べられているのでは」といった予想のもとに文章に入ります。そこで文を読み進めると「・・・この文明の進歩は必ずしもよいことばかりではない・・・」といった表現にあたるところで、生徒さんは「来た!」とこぶしを握りしめることでしょう。逆にその予想が外れて「・・・様々な批判があっても、やはり文明の進歩は素晴らしいことだ…」といった表現があったとしても、生徒さんは「どこが素晴らしいんだ!」と、対抗心を燃やすようにして文章に向かうことができます。いずれの場合も、生徒さんが文章の世界に入り込んでいることでは共通しています。そうなると速度は自ずと上がります。確実に文章に入るきっかけは得られており、何もなしでただ文章に当たる生徒さんとは、読む速さに大きな違いが生まれることは明らかです。文章表現に注意する意識にも違いが出ます。テーマを増やすことで文章を読む精度と速度が両方上がってくるのです。この「速度」以外にも本書では、テーマを覚えることで国語力がアップする様々な効果が挙げられています。
テーマについては、以下の頻出12項目について、それぞれが章に分かれて説明されています。「友人と友情」「父母子」「自然・環境」「考え方・思考」「動植物」「言語・コミュニケーション」「文芸論」「祖父母・おじおば」「文化・習慣」「兄弟・姉妹」「文明・進歩」「先生・生徒」といった内容です。
それぞれのテーマについて、生徒さんが見ても分かりやすいようにかわいらしい絵を用いながら説明がなされ、さらに実際の入試問題を題材として、どのようにテーマが使われているか、また問題をどのように解けばよいか、といった構成で進みます。
さらに後半には、学校ごとのテーマ一覧が載せられており、各校がどのような特徴があるか、一目でわかるようになっています。例えば「桜陰中」であれば、過去8年間の出題テーマが一覧表になり、同校で「文芸論」がどれだけ頻繁に出題されているかが分かるようになっています。志望校について、テーマで分類ができることは今までなかなかありませんでした。この表を見ることで、普段からどのようなテーマの文章に触れ、それを意識して対策を進めればよいかがわかるようになっています。
このようにテーマ、という哲学的な要素を題材にしながら、あくまで中学受験入試の対策としての方向性は一切ずれることがありません。生徒さんの国語の正答率を上げるためといった目標は統一されています。入試問題もとても多く載せられていますので、問題の解き方もしっかり習得できるようになっています。
また本書は、生徒さんが読んでもわかるように、絵や表を的確にはさみながら、とても読みやすい構成になっています。小泉先生が、テーマの重要性を生徒さんに直接授業で伝えていらっしゃるような感覚にさえなります。
そして小泉先生はこのように記されています。「中学受験の合格はゴールではありません。志望校合格の栄冠は、希望する中学で新しい生活を始めるためのものだったはずです。(中略)今回挙げたテーマで特に気に入ったものがあれば、そのテーマを追いかけてみてください。そして、これからの社会が必要とする『ものを考えられる人間』になってください。中学から高校にかけては、本を読む時間がずいぶんあります。若いみずみずしい感性で、一つ一つ楽しみながら読んでいきましょう」
ここに小泉先生の明確なメッセージがあると思われます。中学入試は厳しい戦いで、国語では小学生には読めないような文章をぶつけてこられることは避けられません。ただし、そうした文章に小学生の時期から触れられることは幸せなことでもあります。もちろん今は幸せを感じる余裕は生徒さんにありません。必死に取り組むことが何より大事になります。その取り組みを、ただ漫然と得点を上げることだけを考えて進めるのではなく、小泉先生の紹介される方法でテーマを常に念頭に置きながら文章を攻略することで、生徒さんのその後の「考える力」の養成に大きな効果が生まれてきます。
生徒さんにとって中学・高校、そして大学と学年を進み、そして学校を卒業してから後も「考える力」がより大事になることは、お父様・お母様がご自身の経験からも強く感じていることと思われます。その力の養成のためにも、ぜひ本書を一度読んでみて下さい。
余談になりますが、今回執筆担当をしています私は、小泉先生の講義に参加する機会を得ることができました。そこで先生のお話を聴く中で、国語の指導する際の意識を大きく変える必要性を強く感じられたのです。小学生の生徒さんに対して、哲学的な要素を含むテーマ演習というものがどこまで通じるのか、難しすぎるのではないか・・・と躊躇することなく、生徒さんの持つ可能性を信じてテーマを分かりやすく伝えること、結果としてはそうした働きかけで生徒さんの国語への興味・関心までも変えることができるのです。今回ご紹介しましたこの書籍を読むことは、お父様・お母様にとっても大きな意味を持つ出会いとなると信じています。
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