No.1444 次の入試で出る!注目の社会時事予想問題付き(日本の名目GDPが世界4位に、平均株価が史上最高値に、出生数75万人台に)

≪日本の名目GDP(国内総生産)」は591兆円で世界4位に。(15日)≫

日本のGDPの推移(2008年から2021年) 画像引用元:国際通貨基金(IMF)HP
※黒実線が名目GDP、赤点線が実質GDPです。

 GDP(国内総生産)とは、国内で1年間に生産された財(生活に必要な商品で形を持ったもの)とサービス(医療や通信など、形のない商品)の付加価値の合計を指します。2023年の日本のGDPは、物価の影響を反映させた「名目GDP」で、前年より5.7%増え、591.4兆円でした。これをアメリカドルに換算すると1.1%減の4.2兆ドルで、4.4兆ドルのドイツに抜かれて世界4位に転落しました。1968年に日本が西ドイツ(当時)を追い越して以来、55年ぶりに日本とドイツの順位が逆転したことになります。この結果は内閣府が2月15日発表したもので、長引くコロナ禍からようやく経済が回復を迎え、消費や輸出が伸び、物価の影響を除いた「実質GDP」も1.9%増え、名目・実質ともに3年連続のプラス成長になったものの、円安によりドルに換算した数字が大幅に目減りしたことも影響して名目GDPでドイツに抜かれることとなりました。

【予想問題】
問題1:

日本のGDPが世界4位となった要因には、長く続くデフレーションの影響で、金利が低く抑えられてきた点も含まれます。「デフレーション」とは次のどの状態を指しますか。記号で答えなさい。

A.物やサービスの価格(物価)が全体的に継続して下落すること。
B.物やサービスの価格(物価)が全体的に継続して上昇すること。
C.物やサービスの価格(物価)が短い期間で乱高下すること。
D.物やサービスの価格(物価)が上昇した後、短い期間で下落すること。

解答:

A

 主に不景気で経済活動が停滞することで、消費が低迷し、その影響で物価が下がります。 この現象が継続することがデフレーション(デフレ)です。逆に主に好景気で、商品が大量に売れるため物価や賃金が上昇していくことを、インフレーション(インフレ)と言います。日本はバブル景気以降、30年あまり、デフレ状態が続いていると言われています。デフレーションの影響で、金利が低く抑えられてしまうと、企業にとっては、お金を借りるコストが小さくてすみますので、生産性が低くても、赤字になりにくいという状況が続くことになります。こうした状況にあって企業が利益を大きく伸ばすための設備投資や研究開発をあえて積極的に行ってこなかった点が指摘されています。

問題2:

2023年までの約20年で、日本の名目GDPの増加率は10%程度にとどまっているのに対して、ドイツは1.9倍に拡大しています。ドイツが経済成長を果たした要因として、政府主導の経済改革と、EU(ヨーロッパ連合)の存在、そして、EU共通の通貨(   )の導入が挙げられています。(   )に入る言葉をカタカナで答えなさい。

解答:

ユーロ

ユーロ紙幣 画像引用元:ウィキペディア

 EUの共通通貨ユーロは2002年1月から流通が開始されています。EU圏内の貿易では関税がないため、特に中小企業を中心に輸出が容易になるという大きなメリットがありました。また共通通貨ユーロは、南ヨーロッパなど経済力が弱い国でも流通しているため、ユーロの為替相場は経済力のあるドイツにとっては割安になり、輸出産業への依存度が非常に高いドイツ経済にとって恩恵を受けやすい状況になりました。EUという陸路で搬送可能な巨大市場と、ドイツにとって割安な通貨がもたらされたことが、ドイツの経済成長を支えたと言われています。

問題3:

日本は1968年にGNP(国民総生産:当時の経済指標)で当時の西ドイツを上回って、アメリカに次いで世界2位となりました。当時、日本は「高度経済成長期」と呼ばれる急速な経済発展期にありましたが、この高度経済成長期は1973年に起きたある出来事がきっかけとなり、終わりを迎えました。その出来事とは何でしょうか。

解答:

第1次石油危機(または第1次オイルショック)

第1次石油危機の時の買いあさりによる混乱(1973年) 画像引用元:葛飾区総務部総務課HP

 およそ1955年から1973年にかけて、日本が急激な経済発展を遂げた時期を「高度経済成長期」と言います。この期間日本の経済成長率(実質)は、年平均10%を超えていましたが、1973年に発生した第4次中東戦争をきっかけとして、アラブの産油国が原油生産の縮小や石油価格の引き上げなどを行ったことで「石油危機(オイルショック)」と呼ばれる世界的な経済混乱が生じました。日本でも石油価格が高騰したほか、石油が不足したことが物価高につながり、様々な商品が品不足となりました。

≪日経平均株価、終値も史上最高値更新。(22日)≫

東京証券取引所 画像引用元:ウィキペディア

 3月22日の東京株式市場で日経平均株価は、前日より836円52銭(2・19%)高い3万9098円68銭で取引を終え、約34年ぶりに史上最高値を更新しました。バブル景気崩壊後、日本株は長く低迷していましたが、アメリカの株高の影響、日本企業の業績が好調であること、日本銀行の金融緩和、そして円安が続いていることによる輸出関連の企業の収益拡大への期待感の高まりなどによって、海外の投資家が割安な日本株を買う動きにつながりました。

【予想問題】
問題1:

日本が好景気だったバブル景気は、次の年代のうちいつでしたか。

A.1950年代初め
B.1960年代初め
C.1970年代半ば
D.1980年代後半

解答:

D

日経平均株価と地価公示価格の推移 画像引用元:東京大学政策評価研究教育センター

 「バブル景気」とは、1986年12月から1991年2月頃までの期間を指し、株価も急上昇し、社会全体が今までにない好景気を実感した時期でした。具体的には株・土地・絵画・宝石などの資産価格が、投機目的で異常に上がり続け、その結果、実態以上の価格となる異常な状態が発生しました。当時の東京都の山手線内側の土地の価格でアメリカ全土が買えるという算出結果が出るほど、日本の土地価格は高騰し、日経平均株価は1989年12月29日の最終取引で、当時の史上最高値38,957円44銭を付けました。ちなみに、バブルは「泡」という意味で、実態の価値以上の評価(泡の部分)が生じている経済状態のことを指します。そのため、バブル崩壊後の反動も大きいものでした。

問題2:

日本銀行の「金融緩和」とは、景気回復を目的に、市場に出回るお金の量を増やして、経済を活性化させるものですが、江戸時代の1736年に、元文(げんぶん)小判という金貨を多量に発行するという政策がとられたことがありました。この政策を実施した徳川第8代将軍の名前を漢字で答えなさい。

元文小判 画像引用元:ウィキペディア

解答:

徳川吉宗

徳川吉宗像(徳川記念財団蔵) 画像引用元:ウィキペディア

 享保の改革により、困窮していた幕府財政を回復させた徳川吉宗でしたが、深刻なデフレーションが起きてしまい、米価が下落、幕府財政だけでなく、武家や農民の生活までもが厳しい状態に陥りました。そこで吉宗は、「大岡越前」で知られる大岡忠相(おおおかただすけ)らの提案を受け入れ、金の含有量を減らし、通貨量を増大させることで財政再建に成功しました。この時期に造られたのが元文小判で、82年間もの長きにわたって流通しました。

問題3:

アメリカが株高となった要因に、AIの需要拡大を背景にした「半導体」関連の業績への期待が高まったことが挙げられます。半導体に関するニュースとして、半導体の受託生産(委託を受けて他社の製品を生産すること)で世界最大手の台湾企業「TSMC(台湾積体電路製造)」が日本のある都道府県に工場を完成させ、2月24日に開所式が行われたことが話題となりました。トマト、すいかの生産量で全国1位を誇る、その都道府県の名前を答えなさい。

解答:

熊本県

熊本県の位置

 九州地方は半導体産業が盛んで、1980年代中頃の最盛期には生産量が全世界の約10%にまで達し、アメリカのシリコンバレーにならって「シリコンアイランド」と呼ばれていましたが、2000年代に入った頃から日本の電気メーカーが次々に半導体の生産から撤退したこともあり、九州におけるシリコンアイランドは有名無実の状態になってしまっていました。今回のTSMCの熊本進出がきっかけとなって、九州で半導体関連企業の新工場建設などの大規模な投資が相次いで行われています。九州に再び国内半導体産業集積の気運が高まっています。

≪2023年の出生数75万人台に、減少加速 婚姻は戦後初の50万組割れ。(27日)≫

出生数、合計特殊出生率の推移 画像引用元:厚生労働省HP

 厚生労働省が2月27日に公表した2023年の人口動態統計(速報値)によると、2023年に生まれた子どもの数(外国人を含む出生数)は75万8631人で、8年連続で減少、過去最少となりました。また、婚姻数は48万9281組で、戦後初めて50万組を割る結果となりました。出生数は前年に初めて80万人を下回りましたが、さらに減少スピードが速まっています。

【予想問題】
問題1:

日本の少子化の原因として、直接当てはまらないものはどれですか。記号で答えなさい。

A.未婚化、晩婚化が進んでいること。
B.平均寿命が上昇していること。
C.非正規労働者の割合が増えていること。
D.育児や家事の女性の負担が大きいこと。

解答:

B

 少子化とは出生率が低下し、子どもの数が減少することを表した言葉です。日本で初めてこの言葉が使われたのは1992年に出された国民生活白書で、出生率の低下やそれに伴う家庭や社会における子ども数の低下傾向を「少子化」、子どもや若者が少ない社会を「少子社会」と表現されました。現在日本では、少子化が深刻な問題となっており、政府も対策を急いでいます。その原因として、未婚化や晩婚化の進展、若者の結婚及び出産に関する意識が変化していること、育児に対する経済的負担が大きいことなどが挙げられますが、更なる対策が急がれます。Bの「平均寿命の上昇」は高齢化には関係しますが、少子化に直接関係するものではありません。

問題2:

1992年から施行された制度で、原則として満1歳に満たない子どもを養育する従業員が、養育に専念できる期間として、法律上認められている休業のことを何制度といいますか。

解答:

育児休業(制度)

育児・介護休業法の改正事項 画像引用元:厚生労働省HP

 育児休業制度を含む育児休業法は 1992年に施行されました。育児休業法は、1995年介護休業を盛り込んだ改正がなされ、育児・介護休業法と名称変更されました。雇用保険法に基づき、育児休業給付金として、休業期間の当初 180日は 2014年現在休業前の賃金の 67%の額が、それ以降は 50%の額が支給されます。この制度は男女共に取得できますが、男性の取得率は増えてはいるもののまだまだ低い状況です。厚生労働省の調べで2022年度の育児休業(育休)取得率は女性が80.2%、男性が17.1%となっています。

問題3:

日本の人口を都道府県別に見た場合、上位ベスト5で2位(ア)、3位(イ)、4位(ウ)、5位(エ)に入る都道府県の組み合わせで正しいものはどれですか。AからDの中から記号で答えなさい。

1位 東京都 約1400万人
2位( ア )約930万人
3位( イ )約880万人
4位( ウ )約750万人
5位( エ )約730万人
※総務省統計局 人口推計(2022年(令和4年)10月1日現在)による。

A.ア:大阪府・イ:神奈川県・ウ:愛知県・エ:北海道
B.ア:大阪府・イ:神奈川県・ウ:福岡圏・エ:愛知県
C.ア:神奈川県・イ:大阪府・ウ:愛知県・エ:埼玉県
D.ア:神奈川県・イ:大阪府・ウ:福岡県・エ:愛知県

解答:

C

都道府県別人口増減率 画像引用元:総務省統計局HP

 6位以降は千葉県、兵庫県、北海道、福岡県と続き、6位までが人口500万人以上の都道府県です。逆に少ない順では、鳥取県、島根県、高知県、徳島県の順です。鳥取県の人口は約55万人で、東京都八王子市(約58万人)や、埼玉県川口市(約60万人)を下回っており、過疎化も深刻な状態です。さらに2022年度人口推計では、人口増加は東京都のみとなっていて、他はすべて減少しました。沖縄県は1972年に日本に復帰して以降、初めての人口減少となっています。

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