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夏期講習が終了し、いよいよ受験算数において最も大切な5年生の2学期に突入しました。今後の学習内容の中心である、旅人算をはじめとする「速さ」の文章題、仕事算をはじめとする「割合」の文章題、平面図形における「相似形」は、受験算数の最頻出単元です。そしてサピックスの算数は、5年生のうちに全単元の学習を終了し6年生開始とともに入試対策に入るというカリキュラムになっています。(他塾の場合、サピックスより多少遅いですが、大きな流れは変わりません。)
ただ、6年生スタート時に「比と割合」をしっかり使いこなせている生徒は少数です。その一方で、この「少数派」に入っていないと、御三家をはじめとする超難関校への合格は大変厳しくなります。
具体的に6年生の流れをもとにお話しすると、αクラスは1学期にまず全単元を演習形式で学習し、夏期講習で中堅校の入試問題は高得点を取るレベルまで仕上げ、2学期以降は志望校対策に集中するというカリキュラムになっています。一方、ミドル・ロークラスは、1学期は演習まではいかず、時には5年生のB授業のように、各単元を基本的な事柄から確認していきます。そして夏期講習に入って演習形式になります。基礎学力の完成は9月〜11月にかけて行い、それから志望校対策となります。
このように、5年生の2学期の学習定着度の差は、そのまま6年生での演習量の差となり、追いつくことが難しい差がついてしまう可能性があるのです。では、なぜそのような差がついてしまうのか、以前にメルマガでもご紹介したことですが、理由は大きく2つ考えられます。
ひとつ目は、カリキュラムに連続性があるということです。しかも内容が難しいため、一度つまずいてしまうと自力で挽回することは容易ではなく、「気が付いたら全然理解できていない。」という状況に陥ってしまう生徒さんが大変多いです。
ふたつ目は、テキスト構成上の問題点です。サピックスのテキストは、各パターン1題ずつしか掲載されていません。それはサピックスの授業が「基本概念をしっかり理解し、それを様々なパターンに応用させていく」というスタイルだからです。
しかしこれは、よほど授業能力の高い先生に当たらない限り、一回の授業でその単元の内容を全て理解することは不可能と考えられます。(目安としては、デイリーサポートはほとんど扱わず、ノートを使った黒板授業で基本概念をていねいに教えてくれる先生かどうかで判断できます)
そこで、ご家庭での復習の際、以下のような点に注意してみてください。まず、授業中のノートやプリントを見て、線分図や面積図、時計算では時計の絵などを書くところから考えているか(指導がなされているか)をチェックしてください。今後学習する事柄に関しては、問題文の内容を目で見えるように「翻訳する能力」が最も重要といえます。数学のように式をズラズラ書いて計算するというよりも、与えられている条件を図式化し、解答にいたるまでの「パズルを完成させていく」というイメージをもって学習することが大切です。
もうひとつの重要な注意点は、割合では『全体を1とする』などの場合に、その数字に「○や□」など記号をつけて、一目で実際の数と区別できるように書かれているかということです。塾でもそのような指導を受けているはずですので、割合には必ず記号をつけているかチェックしてください。
では次に、何をやればいいのかということになりますが、「基本パターンの反復練習」です。問題文を翻訳し、パズルを完成させるというプロセスを叩き込みます。しかし、サピックスのテキストは基本パターンの問題量が不十分です。そこで、サピックス生なら大半の方が購入されていると思われる「応用問題の解き方」の基本問題が解けるかどうかチェックしてください。テキストよりも易しい内容ですので、まずは基本問題をすべて解けるようになってからテキストを復習するほうが効率的です。他には「応用自在シリーズ・算数計算問題の特訓」という問題集にも、文章問題の一行題が一通り掲載されていますので、こちらを活用してもよいと思います。
もし、基本問題を解くのに非常に時間がかかる、あるいは解けないという場合は、その単元が根本的に理解できていないと考えて、早目に質問教室などで理解するようにしてください。そのためには授業の翌日には必ず復習をし、理解できていないようであれば次の通塾日に質問しにいくというスタイルをとってください。理解が不十分なまま次の授業を迎えてしまう行為は、負のスパイラルへ足を踏み入れることになります。
そして、翌週のA授業とデイリーチェックで、どの程度定着でしたのか必ず確認するとともに、マンスリーテストの成績に敏感になってください。先にも述べましたが、カリキュラムに連続性がありますので、「1回ぐらい悪くても、次がんばればいい」という考えは捨ててください。
最後に、私は「割合」の考え方は受験算数特有のものであるため、「中学受験を経験した人」や「職業として教えている人」でないと教えることが難しいと考えています。つまり大多数の保護者の方には、ご家庭でフォローすることが非常に困難だと思います。また、上手くフォローしてあげられない苛立ちから、テストやデイリーチェックの点数が悪いと「大事なところなんだから、しっかりとわかるまで勉強しなさい」と、お子様を責めてしまうご家庭が多いようにも思います。
しかし、ご家庭でのフォローが難しいように、お子様にとっても理解し、解けるようになるということは大変なことなのです。しかも、どうやって解けばいいのか、どのように復習すればよいのかわからないケースが多いのですので、常にお子様の学習状況を把握し、行き詰まりはじめたときにどのように対処してあげればよいか、責めるのではなく手を差し伸べる準備をしておくことが肝心です。
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