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国語の読解問題はやりたくない。どうやって取り組めばいいのかわからない。こうした受験生の悩みをよく聞きます。そこで、今回は「はさみ」と「のり」を使った読解力養成法をお伝えしたいと思います。特に、思考力中心の志望校をお考えの皆さんに読んで頂きたいと思います。
用意する物は、まず、はさみです。出来れば、のりもご用意ください。ここまで読むと、図画工作でも始めるのかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、まだ読むのを止めないで下さい。
続いて、なるべく長くない国語の文章(題)を用意してください。文章題の出典は、比較的読みやすい随筆がいいでしょう。下記におすすめの本をいくつか書いておきます。塾のテキストやお子様のお好きな本でもよいと思います。塾テキストで基本と応用のように難易度が分かれていれば、最初は基本問題を選択してください。ただし、塾テキストは穴埋め問題などで本文中に空欄があったりしますので、そういう文章は避けてください。
最後に、用意した問題の本文(本)をコピーして下さい。これで準備完了です。
※大人向けの難しい文章の部分もあるので、
親御さんが一度読まれることをおすすめします。
新品のジグソーパズルを崩す時、どこかドキドキ感はありませんか?また、そのパズルを組み上げる時、自分を忘れて楽しんだことはありませんか?
これから説明する方式は、読解力を育てるために、非常に重要ですが見落とされている点である「本気で」「しっかりと読む」ことが目的です。では、実際に説明しましょう。
目の前にある現実の紙を切ってしまえば元には戻りません。だから、緊張感が走ります。しかし、「切ってごらん」と言われているだけであり、「しっかり内容を読解しなさい」などという難しい要求をされていないので、入り易いし、同時に、それが出来ないことは、簡単な要求なだけに子供のプライドを刺激します。つまり、本気になります。
ここで考えて頂きたいのは、「意味の切れ目で切る」とは何かです。実のところ、「意味の切れ目がわかる」ためには、実は「しっかり内容を読解」しなければならないのです。実際はかなり高度な作業をしているというわけです。
さらに、お子さんにこう伝えて下さい。「後で切ったものを元に戻してもらうからね」と。これでこれから行う自らの行為に責任が自動的に生じます。お子さんのハサミを握る手が汗でにじみます。
最初は、一マス下がりの形式段落に目をつけて切り始めると思いますので、長い文章は向きません。本当にバラバラな沢山のパズルピースになってしまいますので。
お子さんは「意味の切れ目」を探していろいろ試行錯誤しているはずです。その結果、ひとまとまりの文章がパズルのピースへと変化していきます。
切り終わったら、親御さんが文章のピースを思いっきりシャッフルしてください。跡形もなく全文の意味が崩れていきます。
さて、ゲームのスタートです。元の文章を復元する、つまりパズルを完成させて下さい。
最初の段階では、親御さんも生徒になって下さい。そして親子で、ああだこうだと考えながら組み上げます。出来ないのが普通と考えてください(実体験するとこの言葉の意味がわかります)。遊びの要素が入りこみ、楽しめると思いますよ。
しかし、遊びとは裏腹に、組み上げるには段落間のつながりを徹底的に見て、つながりを試行錯誤しなければこのパズルは絶対に出来ません。この時点で行っていることは、読解作業そのものといっていいと思います。つまり、「本気で」「しっかりと読む」ことが実践されています。
場面だけみれば、子供の試行錯誤ですが、こうした作業を行い習熟するにしたがって、「なぜ接続語が存在しているのか」、「なぜ具体例や要点がそこにあるのか」、そうした黒板で習うようなことが、体感レベルで理解できるようになります。ここが、このゲームの大きなポイントです。
ダメ押しの精神的な効果をもたらすのが、「のりづけ」です。貼ってしまったらはがせないのです。この緊張感はこれまでの努力の量に比例して高まるはずです。お子さんは、放っておいても自分で組み上げたパズル全体(本文内容)を再度確認します。ぐっと、読解の精度が高まるはずです。
以上、簡単に手順を説明しましたが、こうした作業のリズムが定着すれば、「しっかりと読解する」気持ちを持って、問題に取り組むようになります。
補足ですが、子供はなるべく嫌なことは簡単に済ませたいと思う「極めて合理的な生き物」です。後に待ち受けている組み上げ作業が大変であることを知ると、彼らの合理性が自らを駆り立てます。つまり、後の作業を出来るだけ合理的にする(手を抜きたいが)ために最初の分割を少なくしようと試みるでしょう。
つまり、最初から必死に読解しようとするのです。しかも、彼らにとって「いかに手を抜くか」ということは、実は!より難しい課題である「意味段落の設定をする」ことであり、まさに読解力の養成そのものなのです。
こうしたやり方が突飛なものに映った方に、少し安心材料を提供したいと思います。この方式は、実は塾のテキストに堂々と載っています。もちろん「はさみ」や「のり」こそ使いませんが、「乱文整序」や「並べ替え」型問題として整理されているはずです。もちろんこれらは実際の入試問題の一形態でもあるのです。
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