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今年=平成22年度開成中学入試の国語で「言葉のきまり」(=文法)が出題された! しかも、通常、どこの塾のカリキュラムでも扱われていない《ウ音便》という項目であった!それを聞いて、皆さんはどうしたらよいと考えますか?
ズバリ!それに対する秘策を伝授します!
この問題=平成22年度開成3は、固定化された思考パターンの持ち主を避けようとする出題意図が感じられます。すなわち、「開成の国語は記述だ!」といって、塾などでひたすら記述の特訓をしてきただけの受験生には正解できない問題になっています。
これまでにも開成中学入試においては、国語に限らず、受験生が予想していなかった’ビックリ箱問題’を、いきなり試験場でぶつける、という出題がなされてきました(=例えば、平成13年度国語の読解問題においては、前年度まで出題されていた選択肢問題が完全に姿を消して、全問が記述問題となりました。今ならば、開成の国語で全問が記述問題であっても、むしろ当然のように思われます。けれども、この年の受験生は試験場で大変ビックリしました。合格確実と思われていた子たちが、たくさん、予想外の不合格となったと語り伝えられています)。
こうした出題は、思いがけない問題にぶつかっても、パニックを起こしたり諦めたりせずに、自分がこれまでに身に付けたことを総動員して、その場で自分なりに考えて答えを出そうとする姿勢が求められている、と言えます。
さて、今年の開成3問一は、「1 めでたい」・「2せこい」・「3 さむい」・「4 やばい」・「5 おおきい」の下に、「ございます」をつけた言い回しを答えるものです。これは《ウ音便》と呼ばれる形を答える問題です。《ウ音便》とは、「形容詞の連用形『〜く』は、『ございます』をつけるときには、原則として『〜う』になる」というものです。
さらに、「例外[1]として、そのウ音便の末尾が『au』になるときには『ou』へ変化する。そして、例外[2]として、ウ音便の末尾が『iu』になるときには『yu』へ変化する」ということもあります。3の問一のうち、1と4が例外[1]に当たります。そして、5が例外[2]に当たります。
けれども、こんな説明を聞いても、小学生は何が何だか判らないはずです。今回の出題において、こんな事まで、事前に知識として正確に知っていることが想定されているとは考えられないのです。
では、どうしたら正確に達することができるのでしょうか?
3の問一に与えられた「1 めでたい」・「2せこい」・「3 さむい」・「4 やばい」・「5 おおきい」の下に、「ございます」をつけて実際に言ってみるのです。どんな音にしたら自然に聞こえるか?をその場で実際にやってみて、1つ1つ判断してゆくのです。言葉に対する自分の感覚が頼りです。
[もっとも、試験中に本当に声を出して言うわけにはいかない筈ですから、心の中で言ってみる、ということになると思います。実際に今年、開成に合格したA君は、あせる気持ちを押さえながら、声に出すつもりで1つ1つ口の中で言ってみて、答えを解答欄へ記入していった、ということでした]。
「ありがたい」という言葉に「ございます」をつけると、「ありがとうございます」という言い方になることは、問題文に例として挙げられています。
「ありが『たい』」が「ありが『とう』」へ変わっています。
[『たい』—→『とう』]。
そうであるのなら、「1 めで『たい』」は「めで『とう』」へ変わる筈です。
[『たい』—→『とう』]。
これらは、全く同じ置き換えであるということは、容易に判ると思います。そして、日時生活の中でも「おめで『とう』ございます」という言葉は、たくさん耳にして、又、口にしていることでしょう。
次に、「ありが『た』い」が「ありが『と』う」へ変わっている点に、注目します。
[『た=ア段の音』—→『と=オ段の音』]。
そうであるのなら、「4 や『ば』い」は「や『ぼ』う」へ変わる筈です。
[『ば=ア段の音』—→『ぼ=オ段の音』]。
「やばいございます」は、「やぼうございます」と言い直してみると、確かに、ていねいな言い回しになっている感じがしますね!
そして、「3 さむい」に「ございます」をつけると、「さむ『い』ございます」ではなくて、「さむ『う』ございます」に変わることは、上記の「1 めでたい」や「4 やばい」より、簡単に気が付くと思います。
[『い』—→『う』]。
そうであるなら、「2せこい」も、「せこ『い』」が「せこ『う』」になります。
[『い』—→『う』]。
最後の「5 おおきい」が一番難しいかもしれません。
けれども、テレビドラマの時代劇などで、上品なお姫様が、「桜がたいそう美し『ゅう』ございます」、「わたくしは悲し『ゅう』ございます」、「わたくしは寂し『ゅう』ございます」などと言うセリフを耳にしたことは、1度や2度ならず、よく経験していることだろうと思います。
それを思い出して考えれば、「5 おおき『い』」は、「おおき『ゅう』ございます」となることに気付くことができた、と思われます。
このように、開成の入試では、さりげなくテレビから聞こえてきたセリフを耳にしたこと等、これまでの自分の経験が生きてくるのです。
[平成18年度2問二[1]の「経験したことを…書きなさい」や、平成20年度2問二の「あなたが…頭を下げたい気持ちになったときのことを、思い出して書いてください」というように、経験そのものを記述させる問題も出題されています]。
今年の開成入試の国語では、様々な言い回しに触れることで、言葉に対する感覚を磨いておくことが求められていた、と言えると思います。
そこで、受験生の皆さんが言葉に対する感覚を磨いていく秘策を伝授しましょう。
まず最も身近な事から述べます。塾の国語の教材に載っている文章を音読しましょう。単に目で追うだけでなく、文章を口に出して読み、それが耳から入ってくることで、あなたの言葉に対する感覚は何倍も磨かれて来ます。
実は、サピックスの小6用の土曜特訓の教材である「ウィークリー・サピックスWSー01」の3の本文39行目には、「うれしゅうございました」という言い回しが出ています。
教材の文章を音読することによって、こうした言い回しを口に出して、耳から入れた経験があった受験生は、その場で自分の感覚を頼りに、3問一「5 おおき『ゅう』ございます」という、やや難しい問題に対する答えも導き出せた可能性が高いと思われます。
ただし言葉に対する感覚は、単に塾の教材を勉強するだけでは養えるものではありません。言葉に対する感覚を磨いておくことが求められた今年=平成22年度の問題や、前述のように、自分の経験を記述することが求められた平成18年度や平成20年度の問題は、いわば知的総力戦と言えるのです。
それに対する秘策を伝授します。
日常生活の中で、私たちは朝、起きてから、夜、眠るまで 、常に言葉を耳にしています。目が覚めている間はすべて、自分の言葉に対する感覚を磨くチャンスだと意識して、過ごすように心掛けるのです。
特に、お父さんやお母さんをはじめとする身近な大人の人たちに協力してもらって下さい。少し難しめの言葉を意識的に使ってもらい、あなたといつも会話をしてもらうように頼むのです。毎日の食事の際や、塾の行き帰りに、常に会話をしているように心掛けて下さい。これが1年、2年…と積み重なれば、自然とあなたの語彙も増えますし、あなたの言葉に対する感覚は、(漫然と日常生活を送っていた場合に比べて)見違えるほどに磨かれていくことでしょう。「継続は力なり」です!
そして、身近な大人との会話の他にも、さりげなく耳に入ってくる言葉に、常に意識的に耳を傾けましょう。
猛暑の今年、塾の夏期講習に出掛ける時に、お隣の上品なおばあちゃんが「お暑『う』ございます」なんて言葉をかけてくれたら、今年の開成の問題の答えを教えてくれているようなものですね。
電車やバスの車内放送は、そのまま敬語の勉強になります。もし女子高生が「見れる」なんて言っているのを耳にしたら、すぐに「ら抜き言葉」だと気付くでしょう。
そうしたら、単に「ら抜き言葉」は良くない!と思って終わりにするのではなく、「それとは異なる考え方も成り立つ筈だ」、「ら抜き言葉の良い点というのは、何かないだろうか…?」と考えを巡らせてみて下さい。
[今年=平成22年度の開成では、「この文章と異なる考え方…のひとつを自分なりに考えて述べなさい」という問題が出題されています(=2問二)]。
[平成20年度の開成中学1年の国語の授業では、先生から「詩人は何故、詩を書くのか?」という課題が示されて、生徒たちが議論した……と、筆者の教え子だった一郎君(=現在、開成中学3年)が、筆者に話してくれました]。
開成の国語は、言葉に対する感覚や自分の経験が問われる「知的総力戦」だと意識して、常に自分を磨き続けて下さい。次回、後編では開成3問三(記述)の解説を致します。
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