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夏期講習がスタートし、6年生は志望校の過去問や主要校の入試問題が掲載された中学入試問題集などを取り入れた学習が始まります。志望校の過去問を購入すると解いてみたくなりますが、問題を解く前にまずは出題傾向の分析を行いましょう。
出題傾向の分析で大切なことは、出題単元と単元別の出題比率、問題の難易度比率を把握することです。出題単元と単元別の出題比率では、どのような単元から出題されており、中でも出題頻度の高い単元は何か。問題の難易度では、偏差値は高いが問題レベルは標準、あるいは偏差値は中堅レベルだが問題は難しいなどの分析を行いましょう。
判断が難しい、あるいは時間がない、という場合は、先日、発売された『中学受験 偏差値だけではなく「合格力」で決まる! 鉄人の志望校別攻略法』(中学受験鉄人会著)を参考にして頂けると幸いです。
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夏の時点で出題傾向を把握するメリットは、夏期講習の復習を効率化できることです。夏期講習は塾の授業時間が長い上、5日程度連続して行われ、復習時間の捻出が困難です。よって、復習の優先順位をつける必要があります。出題傾向が分析できていれば、「志望校では標準問題がしっかり得点できれば合格点に達するので、発展問題まで手を広げるのはやめておこう」とか、「規則性は出題されていないので、とりあえず復習は後回しにしてしまおう」などの判断が可能です。
また出題比率の高い単元では、「お盆休み中に塾教材以外にも取り組んで演習量を増やそう」とか、「苦手単元なので基本からもう一度見直そう」など課題克服プランも立てることができます。
次に、これまでにも最近増加傾向にある出題として、「グラフ」を用いた速さや図形の移動と、立体図形の切断を挙げて参りましたが、前述の本を執筆するためのデータ収集を行う中で、改めて増加傾向にあることを確認することができました。
出題単元に速さや立体図形が見られる学校では、これまでは普通の文章題や立体図形の求積の出題であったとしても、来年度いきなりグラフを用いた問題や立体図形の切断が出題される可能性もありますので、中学入試問題集の中からグラフと立体図形の切断だけをピックアップして演習することも効果的です。
その際、いきなり難しい問題に挑戦するのではなく、志望校と同程度の問題を出題している学校の問題を選択するとよいでしょう。本では、標準問題・発展問題・思考力問題の難易度比率を載せておりますので、その難易度比率が近い学校を探して演習してみてください。
各学校の年度毎の難易度差について。
「今年は易しかったので、来年は難しくなる」などの隔年現象を耳にすることがありますが、「難しい年にあたるか、易しい年にあたるか」に神経質になる必要はありません。問題全体で見た場合には年度ごとに難易度の差があるでしょうが、各問題を分析すると一定レベルの範囲内で出題されていることが多いです。
例えば問題レベルを、1(基礎)〜10(超難問)の10段階で分類すると、ある学校では大体4〜7の範囲で出題されており、その中で6や7レベルの出題が多いと平均点が低く、難しい年度に位置づけられるというイメージです。
最後に、志望校の過去問演習が本格化するのは9月以降となりますが、各学校が出題するレベルをしっかり把握するためには、過去問は5年分以上解く必要があり、余力があれば10年分解いておくことをおすすめします。
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