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第9回は『図形の移動』です。5年上で学習した多角形や円の転がり移動に加え、おうぎ形の転がり移動、多角形の平行移動を学習します。どんなことに注目すべきか意識して進めていきましょう。なお、分数は、分子/分母の形で表します。
図形の転がり移動では、円が動いたあとの図形が使われることになりますので、長さや面積計算に注意が必要です。丁寧に途中式を書いてミスをしないよう心掛けましょう。また、「センターラインの公式」はどんな場合に使えるか、を確認してください。加えて、図形問題では、自分で図をかくことを実践してください。
多角形と円の転がり移動を復習します。
1辺の長さが3cmの正方形の辺にそって、同じ1辺3cmの正三角形が時計回りにアの位置からイの位置まで回転移動します。図形の回転移動では、回転の中心はどこで、半径はいくつか、回転角度は何度か、などを注意して考えていきます。予習シリーズ96ページの解き方にある図を参照してください。
第一段階は、回転の中心はB、半径は3cmで、正方形の上部の辺と正三角形の辺BCが重なるまで動きます。このときの頂点Aの回転角度は、360-(90+60)=210度です。
第二段階は、第一段階での動きの逆になり、正方形の右下の頂点に点Aが到着します。頂点Aの動いたあとは、第一段階と同様です。
よって、頂点Aの動いたあとの線は、解き方の図の通りです。また、長さは、各段階で点Aが動いたあとの弧の長さ2つ分です。3×2×3.14×210/360×2=21.98 より、頂点Aの動いた長さは、21.98cmです。
三角形の辺のまわりを円が回転移動して1周します。5年上の復習です。
(1) 円の中心の動いた長さを求めます。三角形の辺にそって動くとき、円の中心の動きは、辺に平行な線で、動いた長さは三角形の辺の長さと同じになります。また、三角形の頂点のところでは、その頂点を中心として、円の半径を半径とした弧をえがきます。そして、3つの頂点のところでえがいた3つの弧の合計は、1つの円になります。よって、三角形の辺の長さの合計と、円周の和を求めることになります。
ここがポイントです。多角形の外周を円が回転移動する問題では、円の中心が動いた長さは、「多角形の周りの長さ+円周」になります。 (5+6+9)+1×2×3.14=20+6.28=26.28 より、円の中心が動いた長さは、26.28cmです。
(2) 円が動いたあとの図形の面積を求めます。5年上で学習した、「センターラインの公式 面積=道幅×センターラインの長さ」を利用します。道幅は、円の直径ですから、1×2=2cmです。よって、2×26.28=52.56 より、円が動いたあとの図形の面積は、52.56平方cmです。
おうぎ形の転がり移動を学習します。予習シリーズ98ページの例題3の前に書かれている説明をよく読んで理解しましょう。特に、直線にそって転がるとき、おうぎ形の中心の動きは直線と平行な線になります。
半径8cm、中心角45度のおうぎ形OABが、直線にそって、すべらないように転がります。予習シリーズ98ページの解き方にある図を参照してください。
第一段階は、半径OAが直線に垂直になるまで起き上がります。このとき、点Oは、点Aを中心に半径8cmで、回転角度90度の弧をえがきます。
第二段階は、おうぎ形の弧ABが、直線に接しながら点Bが直線につくまでころがります。このとき、点Oは、常におうぎ形の弧から半径分の長さ離れていますから、直線と平行な線をえがき、この長さは、おうぎ形の弧の長さと同じです。ここがポイントです。
第三段階は、第一段階の逆の動きとなります。よって、頂点Oの動いたあとの線は、解き方の図の通りです。
また、長さは、各段階で点Oが動いたあとの弧の長さの合計となります。第一段階と第三段階は同じ長さで、直線と平行の部分も弧の長さであることに注意してください。すべて、半径の8cmで、回転角度は、90+45+90=225度となります。
よって、8×2×3.14×225/360=10×3.14=31.4 より、点Oの動いた長さは、31.4cmです。
図形の平行移動(直線にそって、すべる動き)について、学習します。図形が平行移動して動いたあとの面積は、基本として、もとの図形の面積+平行四辺形(長方形をふくむ)の面積です。
直角をはさむ2辺の長さが7cm、10cmの直角三角形を直線にそって、6cm動かしたあとの図形の面積を求めます。
動いたあとの図形は、もとの直角三角形と、底辺6cm、高さ7cmの平行四辺形になります。予習シリーズ99ページの解き方にある図を参照してください。
よって、10×7÷2+6×7=35+42=77 より、直角三角形が動いたあとの図形の面積は、77平方cmです。なお、台形として面積を求めてもかまいません。
直線上に直角三角形アと正方形イがあり、アをイの方向に秒速2cmで動かす問題です。 問題の図を参照してください。
(1) 2つの図形が重なる部分の形を順に求めます。重なり始めの図を、自分でかいて考えます。頂点の重なりの直前、直後に注意して考えましょう。解答は、予習シリーズの解き方を見てください。三角形、四角形、五角形、四角形となります。
(2) この問題は、通過算の考え方と同様です。固定された正方形イが鉄橋、三角形アが列車です。(アの長さ6cm+イの長さ8cm)を速さで割ります。(6+8)÷2=7 より、2つの図形が重なり始めてから重なり終わるまでの時間は7秒間です。
(3) アを動かし始めてから10秒で、2×10=20cm移動しますので、アの右はしの頂点は、イの右はしの点より、20-(9+8)=3cm出たところです。この時の図をかいて考えます。予習シリーズの解き方の図を参照してください。図より、長方形ABCDの面積から三角形EFDの面積を引いて求めればよいことがわかります。
ここで、ポイントとなるのは、長方形に接している3つの三角形はすべて、アの三角形と相似になっていることです。つまり、直角をはさむ2辺の長さの比は、12:6=2:1です。三角形FCGにおいて、CG=3cmですから、FC=3×2=6cm より、DF=8-6=2cmで、DF=2÷2=1cmです。よって、三角形EFDの面積は2×1÷2=1平方cmです。また、長方形ABCDの面積は、8×(6-3)=24平方cmです。
結果として、24-1=23 より、2つの図形が重なっている部分の面積は、23平方cmです。
第9回は『円とおうぎ形』です。円とおうぎ形について、円周の長さや弧(こ)の長さ、面積の求め方を学習します。円の計算では、円周率としての3.14という小数のかけ算や、分子を中心角の大きさ、分母を360度とする「中心角/360」という分数の形の(割合)計算が数多く使われます。ですから、計算上の注意も必要となります。なお、分数は、分子/分母の形で表します。
円、おうぎ形についての長さ、面積の公式を覚えることはもちろんですが、例題4、5のような応用問題の解き方を身につけましょう。(円に限らず)面積計算では、分割するか加減するかで解きます。また、どの点が中心となるか、半径はどれを使うかなどに注意しましょう。
予習シリーズ84ページの説明をよく読みましょう。また、同ページ中央の二重線でかこんである、公式を覚えましょう。直径に対する円周の長さの割合は一定で、この割合を円周率といい、およそ3.14として使用します。
公式 「円周=直径(=半径×2)×円周率(3.14)」
公式を使って円周の長さを求める問題です。
(1) 公式より、8×3.14=25.12となりますので、直径が8cmの円の円周の長さは、25.12cmです。
(2) 公式より、5×2×3.14=31.4となり、半径が5cmの円の円周の長さは、31.4cmです。
与えられているのは、直径か半径かを注意しましょう。
予習シリーズ85ページの説明をよく読みましょう。また、同ページ中央の二重線でかこんである、公式を覚えましょう。
公式 「円の面積=半径×半径×円周率(3.14)」
公式を使って円の面積を求める問題です。
(1) 公式より、5×5×3.14=25×3.14=78.5ですので、半径が5cmの円の面積は、78.5平方cmです。
(2) 直径が6cmですから、半径は6÷2=3cmです。よって、3×3×3.14=9×3.14=28.26 より、直径が6cmの円の面積は、28.26平方cmです。面積の計算では、直径の長さではなく、半径の長さを使うことに注意しましょう。
おうぎ形の、弧の長さや面積を求める問題を学習します。予習シリーズ86ページの説明をよく読み、87ページの二重線でかこんである、公式を覚えましょう。
公式 「おうぎ形の弧の長さ=円周×中心角/360=直径×円周率×中心角/360」
「おうぎ形の面積=円の面積×中心角/360=半径×半径×円周率×中心角/360」
おうぎ形の弧の長さと面積を求める問題です。
(1) 公式より、4×2×3.14×135/360=3×3.14=9.42 となりますので、このおうぎ形の弧の長さは、9.42cmです。
(2) 公式より、4×4×3.14×135/360=6×3.14=18.84となりますので、このおうぎ形の面積は、18.84平方cmです。
長さの計算と面積の計算で、半径の使い方(2倍するか、2回かけるか)がことなることに注意しましょう。また、3.14を含む式では、3.14以外を計算した後で、最後に3.14の計算をすることをお勧めします(上の計算式では、この方針で計算しています)。効率よく計算でき、ミスも少なくなります。
円に関連した図形の面積を求める問題です。この問題の形は「はっぱ形・ラグビーボール」といわれます。これは、四分円(円を4分割したおうぎ形)の面積から、直角二等辺三角形の面積を引いて求めた形を2つ合わせて、はっぱ形になっています。予習シリーズ88ページの解き方にある図を参照してください。
半径10cmの四分円の面積は、10×10×3.14×1/4=25×3.14=78.5より、78.5平方cmです。また、等辺(直角をはさむ2辺が等しい)が10cmの直角二等辺三角形の面積は、10×10÷2=50より、50平方cmです。よって、(78.5-50)×2=57より、はっぱ形の面積は、57平方cmです。
なお、3.14の計算についてですが、3.14に1けたの数をかけた計算結果は、覚えておくとよいです。また、中心角/360の約分結果も、120/360=1/3、45/360=1/8など、よく使われる中心角については覚えましょう。上級学年でも使いますので、覚えておくと役に立ちます。
円の面積に関する応用問題です。
[例題5]
ひもやロープにつながれた動物が動く、はん囲の面積を求める問題です。円の中心と、その中心からの半径の長さの動き方をきちんと作図することが重要になります。特に、小屋のカドで、半径の長さが変化することに注意して、作図しましょう。予習シリーズ89ページの解き方にある図を参照してください。
小屋のカドAを中心とする、半径4mの中心角270度のおうぎ形アと、カドBを中心とする、半径(4-2=)2m、中心角90度のおうぎ形イを合わせた図形のはん囲になります。
おうぎ形アの面積は、4×4×3.14×270/360=12×3.14
おうぎ形イの面積は、2×2×3.14×90/360=1×3.14
と計算できます。
よって、分配法則を利用して、(12+1)×3.14=40.82 となりますので、犬が動けるはん囲の面積は、40.82平方mです。
繰り返しになりますが、3.14を使用する計算では、3.14以外をまとめた後に、3.14をかける計算を心がけましょう。また、九九の計算に、「3.14の段」を追加して、覚えることもお勧めです。
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